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お祝い

 私には母方の従兄弟が17人いる。先日1人亡くなってしまったため、今は16人になってしまったが、上は60歳から下は34歳まで、親子ほど年齢の開きがある。事実、60歳の従姉妹の長女は、一番下の従姉妹よりも年上である。したがって、その従姉妹の3人の子供たちは、ほとんど従兄弟としての付き合いをしている。
 今月に入って、従兄弟が続けて新しく子供をもうけた。一人は36歳になる従姉妹で自身2人目の出産だった。予定日を過ぎてもなかなか産気づかなかったため、暑いさなか大きな腹を抱えて上の子供と散歩しているのをよく見かけた。大丈夫?と声をかけると「もう、生まれた瞬間に首が座ってるかもしれない」などと冗談を言っていたが、お腹の中でちょっと大きくなりすぎたようで、出産は大変だったよという。2人目も男の子で、暴れん坊二人はこれから大変だろうなと余計なことを思わないでもない。
 もう一人は従兄弟が2人目の父親になった。上は女の子だが、今度は男の子が生まれた。自分が父親から譲り受けた会社を切り盛りしている身だけに、跡取り息子ができたと喜んでいるだろうか。子供が生まれてから顔をあわせたことがないのでよく分からないが、男親として女の子と男の子の父親になれるのはうれしいことのような気がする。
 私も男女一人ずつ子供がいるので、男の子・女の子それぞれの親としての楽しみを味合わせてもらってきた。私に似たのが娘で、とても厄介な女だが、自分と思考回路が近いので話していて飽きることはない。息子は顔立ちも妻に似て呑気な性格だが、現在は受験生として今まで生きてきた中で最高に頭を回転させている毎日なので、息切れしないように祈るばかりである。

 その二人の男の子の誕生祝いを日曜に買いに行ってきた。従兄弟に赤ん坊が生まれると、服を買ってプレゼントするのが私の習慣となっている。5月末に35歳の従姉妹が未婚の母となったが、その子のお祝いにも服を買って贈った。だいたいはファミリアの服を選ぶことにしているが、今回は贈るのが2人とも男の子であるため、一人はファミリアで選んだが、もう一人は違うブランドのものにした。そこはたまたまバーゲンをしていたため、同じ金額で上下2セット買えた。子供はどんな服を着ていても遠慮なしに汚すに決まっているから、数が多いに越したことはない。なかなかうまい買い物だった。
 
 それにしても、大事な従兄弟が亡くなったばかりで意気消沈している私たち身内には、このちょっとした出産ラッシュは心の憂いをやわらげてくれる。帰り道に従姉妹の家に立ち寄って、お祝いを渡しがてら赤ちゃんの顔を見た。生まれたばかりの赤ん坊は、本当に小さい。小さいけれども完全に私たちと同じ形をしている。大きさが違うだけで、見事なまでに完全な人間だ。当たり前のことかもしれないが、赤ん坊を見るたびに私は感動する。「人間は人間として生まれてくるんだなあ」と赤ちゃんの顔を見ながら私が呟いたら、「なに馬鹿言ってるのよ。でも、本当に可愛いね、この子」などと笑顔でくしゃくしゃになりながら、妻が答えた。
 逝くものがいればやって来るものもある。そうして時代はゆっくりと確実に変わっていくものなんだなということを痛感するこの頃である。

 
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