goo

特技

 先日父が名古屋の御園座へ、藤山直美の芝居を見に行ってきた。「妻をめとらば」という与謝野晶子と鉄幹夫婦を描いた芝居のようだが、期待して行った割にはあまり面白くなかったと言っていた。これは妻の妹が農協の関係で切符が手に入ったものを自分の母親と私の父に回してくれたものだった。食事がついてお土産までもらってという至れりつくせりの観劇だが、土産は私がもらった。松河屋老舗というところの饅頭の箱詰めだったため、甘いものには目のない私は喜んでもらった。箱をあけてみると中にみつ豆が入っていた。


これは冷やして食べたらおいしいだろうなと、早速冷蔵庫に冷やしておいたが、しばらく忘れていた。それを昨日になって思い出して食べてみた。

 

左は封を切ったそのままであるが、右は好みによって加えるために添付されている黒蜜を入れたものである。実はみつ豆は2つ入っていて、1つ目は黒蜜を加えず、もう1つには加えてみたのだが、私の好みを言えば、加えないほうが甘さがくどくない分さっぱりしておいしかったように思う。みかん、桃、キウイ、寒天、豆などがいずれもおいしくて、思わぬ拾い物をした気持ちになった。順番に食べていっても、どういうわけか最後に残ったのは、2回ともさくらんぼであった。

 

もちろん食べた、おいしかった。さくらんぼなんて本当に久しぶりに食べた。あまりに久しぶりなので、種を吐き出してそのまま捨ててしまうのもなんだかもったいない気がして、ちょっと種を口の中で遊ばせていた。すると、思い出した。私にはさくらんぼを使った特技があったんだ。種を吐き出して、軸を口の中に入れた。舌と前歯を微妙に駆使して軸を結んでみようとした。もう何年も、10年も、下手すりゃ20年近くもやっていなかったから自信はなかったが、もごもごしばらくやっていると、何とかできた!決してきれいではないが、一応の形は整ったと思う。


どうだ!と大見得を切れるほどの技ではない。世の中にはこれができる人などごまんといるだろう。またこんなことができたところで何の役にも立たないし、自慢できる代物でもない。しかし、私は久しぶりにやってみて成功した自分がうれしくて仕方なかった。だからこうしてブログの記事にしてしまったのだが、少しばかり晴れがましい気持ちでいる。

 馬鹿だなあ・・・
コメント ( 22 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする