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トランス

 昨夜授業が終わって生徒をバスで送っていくときに、隣に座った高3の生徒の携帯が鳴った。
「それ、着歌ってやつなの?」
「そうですよ」
「今みんな着歌にしているの?」
「そうですね」
「でも、あれうるさいじゃん、急に歌声が流れ出して」
私はずっと、携帯の着信音は昔ながらのベルにしてあったのだが、最近は「六月の子守唄」を電話の着信音に設定した。メールの着信音はムーミンに登場する「スナフキンのテーマソング」にしてある。着メロにしたのは何年かぶりだが、なかなかいい感じだ。しかし、着歌はさすがに一度も設定したことがない。
 試しにと思って、後ろの席に座っていた同じ高3の女の子に聞いてみた。
「やっぱり着歌なの?」
「そうですよ」
「誰の曲?」
「誰のってことはないですけど、トランスが多いです」
「えっ?何?」
「トランスです」
ここで私は完全に詰まってしまった。「なんだ、トランスって?」ブツブツ言っていると、隣の子が説明してくれた。
「ダンスなんかする時のノリのいい曲のことです。これがそうです」
と言って携帯から曲を流してくれた。
 うるさい、何を歌っているのか分からないが、電子音をバックに高い声で女の子が歌っている、うるさい。
まあ、要するに私にはうるさいとしか聞こえない音楽のことなんだろうとは思ったが、それだけではいけないと思って調べてみた。

 音楽におけるトランス(trance)とは、テクノから派生した音楽の一種である。130から150くらいまでのBPM(テンポ)のリズムに加え、うねるような旋律を奏でるのが特徴。そのリズムやメロディは、さも脳内の感覚が幻覚や催眠を催す「トランス状態」に誘うかの様な様式からトランスと呼ばれている。主にクラブシーンやレイヴパーティーなどでDJらによってターンテーブルまたはCDJなどを用いて演奏される。また、トランスミュージックの中でも二つの大きな流れがあり、その中でも更に細かく細分化されているため、非常に分類が難しく、地域や時代、個人的な解釈により分類や呼称が異なる傾向があり、物議を醸しているジャンルの一つである。

こんな説明を読んでもよく分からないが、その高校生がトランスの例として「恋のマイアヒ」を挙げた。その歌ならさすがの私も知っている。のまネコ問題として、少々問題になったフラッシュに流れていた曲だ。

     恋のマイアヒ

本当に「恋のマイアヒ」がトランスなのかどうかはよく分からない。違うような気がしてならないが、まあ、こうしたノリの曲だ、くらいに考えておけばいいのかもしれない。上の解説にも『非常に分類が難しく、地域や時代、個人的な解釈により分類や呼称が異なる傾向があり』と書いてあるから、いいのかもしれない
 後世恐るべしとは言うが、こんなに訳の分からぬことを言われては少々つらい。自分のことを、それほど時代遅れだとは思っていなかったが、いつの間にか時代ははるか先のほうへ進んで行ったようだ。ちょっと悔しい。
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