あづま運動公園内にある江戸時代中期から明治時代にかけての県北地方の民家を中心に移築復元した福島市民家園で第一回荒井新そば祭りが開催されたので試食して来た。
県北地方には自分達と同じそば打ちのアマチュアが数グループ存在していて、この荒井グループは遊休農地に栽培から手掛けている本格的なグループと聞いていたので、一体どんなそばを打っているのか“他人の打った蕎麦を食べるのも修行の一環”を実行した。
そばは明治初期の割烹旅館を移築した所で提供されていたが「受付はこちら」の張り紙の所で食券を買おうとしたら、ここは食べる順番待ちの登録所で、食券は園入り口のおでんや飲み物の販売所だと告げられた。
約200m戻って食券を求めてそれから待つ事1時間40分、ようやくそばと対面したが、そばは使い捨ての容器に盛られたぶっかけそば、こんなイベントでは良くある事で許せたが、何とそばの表面は艶を失い蒸発、割り箸を差込み下の汁と混ぜ合わせて解そうと持ち上げようとした瞬間に重さで箸の片方が折れてしまったのだ。
近くにいた配膳係りの小母さんに頼むと「アラ、すみません」と言って取りに行ったが戻って来ない。しばらく待っても来ないので自分で取りに行き、汁で解しながら食べた。
茹で上げてから食べるまでの時間経過を計算していると思われる細切りのそばは、ふやける一歩手前もまだ結構コシも残っていて、茹で立てだったら合格と思えたが、残念ながらこんなそばでは評価は不可能、対象外だった。
食べた後裏口から出ると、何と軽ワゴン車から容器に入ったぶっかけそばの大箱を下ろすところを偶然眼にして一瞬にして謎が解けた。どう考えてもここで調理する事は場所柄不可能だし、他所で打ち完成品をピストン輸送していたのだ。
13:00から休憩棟で事前申し込みのそば打ち体験があるとパンフレットにあり15分も過ぎていたが、入り口で係員に見学可能か訊ねるとOKの返事に立寄った。
始まったばかりで、講師の作務衣の胸元には磐梯そば愛好会の刺繍があり、どうやら荒井のグループでは無く磐梯町から出張して来た人物(荒井グループの師匠?)らしく、1人の講師は「今までそばを打っていたからゴメン」と遅れて入って来たから、自分の食べたそばもグループのメンバーと一緒に打っていた事も想像出来た。
生徒が「1人ずつ打つのではないのですか」と質問すると「3人で一鉢800g、10割りで難しいから」と二班に分かれた生徒6人は全工程の各部分をごく少し触れる程度の完全な会津方式のそば打ちだった。
見学者は60歳台の女性2人と自分だけだったが、民友の記者と明かした女性が撮影を始めたので遠慮していた自分もそれに紛れて数枚シャッターを切った。
素人の体験にいきなり“10割り”も会津磐梯町ではごく普通の事と思われるので納得も、しかし自分の食べたそばには本当に参ってしまった。
荒井グループも多分素人とは言え有料なのだ。自分達も先週は吉井田学習センター学習発表会で二日間、ここの半額350円を頂戴して提供した。これに類似したミスは無かったのか、改めて振り返って反省する貴重な教訓を得た事で不思議に怒りも収まり帰宅した。