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実力は当然の事ながら「NHK趣味悠々」や「プロフェッショナル仕事の流儀」のTV番組で紹介され一躍有名になった高橋名人が、栃木県那須烏山市で開催される第5回八溝そばまつりを最後にそば行脚を終えると云うので、福島手打ちそば研究会の仲間6人と共に、TVやDVDでしか拝顔していなかった名人のそば打ちの技を生で拝見して来た。
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早朝からほぼ1ヶ月ぶりに突然降り始めた恵みの雨。土砂降りの高速道を走行して会場に到着した開店10時数分前には雨も止み、高橋名人のブース達磨には既に5~60mの二列の大行列が出来ていた。
TVでも紹介されていた名人自ら運転して全国行脚したスタッフと機材を積む大型バスを眺めながら交代で40分程並び、ようやく名人の実技の見えるところまで到着した。
名人は“延しと切り”だけを担当“水回しと練り”は弟子達の手で行われていて、雨避けのためだったのか或いは衛生面からか透明ビニールシート越の拝観になった。
TVと変りは無く、ただ一点包丁が垂直では無くやや内側に下ろされていたそんな名人の技を拝見しながら、行列は順調に流れて一枚700円の名人のそばを受取り試食した。
常陸秋そばと北海道産ブレンドと言われている達磨定番の確かにこの袋から取り出していたこのそば、先ずはみずみずしい肌を眼にして、素のまま口に含むと何となく甘味のようなほのかな香りを感じ、噛締めるともっちりとコシがあり、汁をつけると何故か並みのそばに変ってしまったかにも思えた。
考え方を変えれば、これが誰が食しても美味い!と万人が認める名人技なのかも知れない。
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出店ブースは地域の特産品やグルメなどそば店の三倍ほどもあったが、そば店は名人の達磨を除き那須烏山6店、那珂川4店、茂木と日光各1店の出店だった。会場内で配られていたパンフレットに依るとこれらの地区にはこの数倍もの蕎麦屋が存在していて、八溝山麗の東側で栽培されて来た物が常陸秋そばとして全国的にも有名になり、西側で栽培されて来たこの地区の物は無評価でも、そば処としては変わりのない事を改めて知った。
出店12店の内2/3程は実演をしていて4人の若い女性職人のそば打ちも行われていて、他には客と対面で会話しながらの実演も4店あった。そんな1店那須烏山の「高瀬」に定着して“水回しから切り”までの全工程を見学した。
また他の店も流し見程度になってしまったが、これらの地区の打ち方は宇都宮「一茶庵」で修行したとも言われている高橋名人に似たもので“延し”以降はほぼ同も“丸出し”や“練り”と“菊練り”にはそれぞれ結構大きな違いがあった。
二食目の試食には腹分量の限度もあって「高瀬」を選択した。粉から見て来た通りのこの会場では一番の黒肌、甘皮粗引き粉のブレンドと外皮を混入した星の浮かんだ艶と光のある黒く細切りのそばは、田舎そばに似た野生味溢れると表現するよりは、さわやかな土の甘い香りの硬くてもっちりとした味わいのそばだった。汁は少し甘過ぎて糖分(赤ざらめ砂糖?)控え目の方が自分の口には合っていた様に思えた。
会津のそば祭りにも参加した事があったが、出店の店それぞれが大きく異なった特徴あるそばの主張と提供は、そば通やそば打ち道楽の自分達には最高に面白いお祭りだった。