日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
ホームページhttp://www.j-j-n.com/も御覧下さい。
 



 今週も,第1のニュースは,当ブログでも話題を呼んだC型肝炎に関する薬害肝炎訴訟でしょうね。
 新聞を引用しながら紹介しますと,先週13日の大阪高裁による和解骨子案に対して,原告ら側が和解の修正案を大阪高裁に提出しました。被告の国と製薬会社が「被害を防止できなかった責任」を認めて謝罪し、今後提訴する人を含めて血液製剤の種類や投与の時期を問わずに感染が立証された患者に症状別の和解金を支払う内容となってます(以上朝日)。一方,国は,舛添要一厚生労働相が,20日、大阪高裁から示された和解骨子案の中で、国と製薬会社が責任を認める対象から外れた被害者の救済のため、30億円を支払うことを表明しました。舛添厚労相は「事実上の全員救済。政治決断だ」としていますが、原告側が求めた「全員一律救済案」をそのまま受け入れたものではないため、原告側は「被害者が線引きされた」と反発。和解協議を打ち切る意向を示しました(以上産経)。その上で,大阪高裁は,、原告らと被告国との双方の修正案を検討した上で、新たに第2次和解骨子案を提示する意向を示しました(以上時事通信)。
 スモンやハンセン病に次ぐ裁判であるために,横田裁判長の裁判体の第2次和解案が注目されます。年内に決着するのでしょうか。

 第2のニュースは,法曹人口増に絡むニュースです。法曹人口増のために,司法修習生の大量採用になっておりますが,大量の不合格問題が新たに発生していることは,以前からお伝えしているとおりです。
 これも,新聞を引用しながら紹介しますと,法科大学院を卒業した新司法試験組が初の司法研修所卒業試験を受験し、59人が不合格になりました。今回の試験は、旧司法試験に合格しながら司法研修所の卒業試験で不合格となった「59期」「旧60期」の再受験組69人も受けましたが,再受験組は17人が不合格でした(以上朝日)。一方弁護士会では,中国地方弁護士連合会,中部地方弁護士連合会に続き,埼玉弁護士会でも,年間の司法試験合格者を3000人程度に拡大する閣議決定の見直しを求める決議を発表したようです(以上産経)。
 弁護士さんが大変なのはよくわかりますが,司法改革の全体にかかわる問題なので,個人的には,「ちょっと,待った」と手を上げたいのが本音です。

 最後に,司法が国政や社会に影響を与えたニュースを(以下引用は上記と同じ)。
 複数業者から借り入れる多重債務者問題の解決を図るため、改正貸金業法が19日に本格施行されました。同日には新たな自主規制団体「日本貸金業協会」も設立され、過剰融資の歯止めを目指します。同協会は消費者金融や信販会社など4063社が加盟し、過剰融資を防ぐため毎月の返済総額を借り手の月収の3分の1、あるいは年収の36分の1以内に抑える総量規制を実施します(以上産経)。
 ここのところの積極的な最高裁判例が法改正に結びつき,その実施も始まったというところでしょうか。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )