東京地裁の決定がでましたね。買収防衛策を東京地裁が認めたということで多くの報道がされています。決定そのものをまだ見ることができていないので、確かなことはいえませんが、ニッポン放送事件と比べると、やはり株主総会で決議したことがまず大きいのだという印象を持ちました。新株発行は、取締役会でもできるのですが、その場合は、現経営者の支配権維持目的が問われるので、不公正発行と評価されかねないのですが、株主総会決議であれば、会社の支配権を決めるのは株主なので、論点となるところ、判断内容が異なる感じがするのです。下記報道(読売新聞)を見ても、そんな印象を持ちました。ただ、不服申し立てがなされているので、今後の判断が注目されます。もっとも、報道には、あれだけ騒がれた2年前のニッポン放送事件との違いを丁寧に書いてほしいと思いました。その時々の事件を追うだけでなく、歴史的位置付けみたいなものもこうした事件には必要と思うからです。弁護士も、ニッポン放送事件を学んで、おそらくリーガル指導をしているのだと思いますし・・・(今後記者が分析して書くことになるのかもしれませんね。)。
ブルドックソース買収防衛策、東京地裁が適法性認める
米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンがソース最大手のブルドックソースによる買収防衛策発動の差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁(鹿子木康裁判長)は28日、申し立てを却下する決定をした。
決定の中で、ブルドックソースの防衛策が株主総会で出席議決権の88・7%の支持を得ていたことも明らかになった。司法判断でも防衛策の適法性が認められたことで、攻防戦はスティールの敗色が濃厚となった。スティールは決定を不服として同日、東京高裁に即時抗告した。
ブルドックの防衛策の適法性を巡っては、〈1〉株主を平等に扱わなければならない「株主平等原則」に違反しているかどうか〈2〉スティールの買収提案後に防衛策を導入した手続きが公正かどうか――が争点となった。
決定では、防衛策が、株主平等原則に違反しないとした。株主総会の出席議決権の3分の2以上の賛成を必要とする特別決議で導入されたことと、スティールに対しても現金を交付する仕組みになっていることを理由に挙げた。
スティールを狙い撃ちにした点についても、「現経営陣と買収者のいずれに経営を委ねるべきかの判断は、原則として株主総会に委ねられるべきだ」と、総会の意思表示を重視。その上で、スティールが、株式公開買い付け(TOB)でブルドック株の全株取得を目指しながら、経営方針などを明らかにしない点に言及し、「TOBへの対抗手段が必要とした株主総会の判断が、明らかに合理性を欠くとは認められない」と結論付けた。
ブルドックは、7月4日までにスティールがTOBを撤回しない限り、新株予約権発行による防衛策発動に踏み切る構え。買収防衛を目的に新株予約権を発行すれば国内では初のケースとなる。
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