日本裁判官ネットワークブログ
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ブログ読者の皆さんへ

 いろいろなこと、大変なことが本当に多かった年でしたが,ブログ読者の皆さん、1年間お読みいただいてありがとうございました。読者の皆さんとのつながりのために、もっともっと新規投稿を増やしたいですし、毎日毎日、事件を通じて人間の争いや悩みなどに接して、書きたいことは山ほどあるのですが、当事者のプライバシーや係争中の事件への配慮などからなかなかままならないのが正直なところです。それに、忙しさのために、あっという間に時間が経過して、投稿しようと思ったことができなかったりしています。でも、投稿を数多くの方に読んでいただいたり(閲覧数などがわかります。)、コメントをいただくと何よりの動機付けとなります。来年も閲覧やコメントなどよろしくお願いします。

 ところで、いろいろなこと、大変なことが本当に多かった年でしたが,皆さんにとって、一番印象深かったことはなんでしょうか。多くの方々にとっては、東日本大震災及びその関連の事柄だったと思うのですが、私も全く同じでした。特に、夏期休暇を使って、息子2人と震災ボランティアで東北に行ったのは忘れられない出来事です。岩手県宮古市田老地区を通った際には、万里の長城とまで言われた10メートルの高さの防波堤を越えて、20数メートルの津波が押し寄せたことを知りました。夏には、がれきの撤去が進んでいましたが、建物の基礎だけが何十何百と広い地区に残っており、その光景に呆然としました。息子2人には、この光景を決して忘れてはいけないと教えていました。でもそんな中で、復興に向けてがんばっておられる地元の方々の姿には心打たれると共に、震災ボランティアに来ていた人の中に、学校の先生が多かったことにとても希望が持てました。「何もできないのだけれど、自分が現地に行って、ボランティアをして、その経験を2学期にクラスの子供達に是非伝えたい。」と言って、遠方から来ている先生が何人もおられたのには驚きました。また来ると語っている人もおられました。一緒にボランティアをしながら様々なことを考えさせられました。今年一番忘れられない出来事です。

 こんな時代なのですが、一裁判官として、一個人として何ができるのか、個人的に考えていきたいと思っています。来年も、このブログを通じて、発信していきたいと思っています。日本裁判官ネットワーク共々、来年もよろしくお願いします。               瑞祥



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皆さんの投票及び裁判官ネット内の意見を踏まえて決定しました。ご協力ありがとうございます。第1位から第3位までの投票・意見が他を引き離しました。性格上,ニュースをまとめた項目もあります。ご了承ください。御感想があればお願いします。

 

第1位 東日本大震災 司法現場にも大きな影響 一部機能停止も(3月)

     原発事故も起こり,原子力損害賠償紛争解決センター,「和解仲介室」設置により法曹の大量動員(9月)。

第2位 弁護士のゼロワン地域(支部所在203地域で,弁護士が0人か1人の地域)が解消(12月)

    6月に見通しが発表され,年末に達成。弁護士会の長年にわたるひたむきな努力を評価する声多し。

第3位 最高裁,裁判員裁判制度が合憲との判断(11月)

     今次司法改革の最大の改革内容が揺るぎないものに。判決文も格調高し。

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第4位 1年を通して刑事再審の動きが続く

     布川事件で,水戸地裁土浦支部が,強盗殺人罪で無期懲役が確定していた2人に再審無罪(5月,確定)。東電OL殺人事件再審請求審で,東京高検がDNA鑑定をするなどの動き(7月)。名古屋高裁金沢支部,福井女子中学生殺害事件で再審開始決定(11月)。袴田事件(袴田巌死刑囚)の第2次再審請求事件で,静岡地検が,取調べの録音テープや供述調書176点を開示(12月)。狭山事件,第3次再審請求審で,14点の証拠開示(12月)。

第5位 司法修習生,給費制から貸与制へ(11月)

第6位 フロッピー改ざん事件の余波が続く

     大阪地裁,前田元検事に証拠隠滅罪で1年6か月の実刑判決(4月,確定)。大阪地検特捜部元部長,元副部長の事件で公判開始(9月)。

第7位 検察審査会の議決に関連する動き

     那覇検審,中国人船長に公務執行妨害,建造物損壊等で2回目の議決(起訴議決,7月,起訴議決の事例は5例目)。同じく那覇検審で,交通死亡事故を起こし不起訴となっていた米軍属に,起訴相当の議決(1回目,5月)。これを受けて,那覇地検が再捜査。日米地位協定の運用見直しも行われ,自動車運転過失致死罪で在宅起訴(11月)。昨年起訴議決があった小沢一郎元民主党代表の政治資金規正法違反事件で,公判開始(10月)。

第8位 平成21年衆議院議員総選挙について違憲状態(格差2.3倍)との最高裁判決(3月)

第9位 裁判官ネット,シンポジウム3回開催(2月民事,7月刑事,11月退官記念・司法改革)

10位 最高検が村木元局長(厚生労働省)に謝罪(1月)

 

番外では,親権停止の(最長2年)の民法改正が国会で可決成立(5月,1年内に施行予定)。
 最高裁,君が代起立命令に合憲の判決(5月)。B型肝炎訴訟で,国と原告団が和解の基本合意書に
調印。菅首相が首相官邸で,原告ら120人に謝罪(6月,救済対象約40万人・和解金総額は5年
で1.1兆円・30年で3.2兆円の見通し)。裁判の迅速化に関する検証結果の公表(第4回,7
月)。東京高裁,日債銀粉飾決算事件で,元会長ら3人に逆転無罪判決(8月。確定),最高裁,混
合診療禁止が合法との判決(10月)。弁護士殺害事件,上告棄却で無期懲役確定(11月,横浜事
案)・懲役30年の裁判員裁判(12月,検察控訴,秋田事案)。オウム裁判事実上終結(11月,
遠藤誠一被告人の上告棄却で。全体で16年経過)。以上のようなニュースがありました。

 



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毎年恒例の司法10大ニュースの候補を選んでみました。今年もいろいろありましたね
。この中から、3つを選んで投票していただくとありがたいです。どなたでも結構です。
3つ限定が難しければ、併せて次点や、次々点を選んでいただいても結構です。ほか
のニュースがありましたら、38番でお願いします(具体的中身もお願いします。)。
集計等して、後日発表します。
平成23年10大ニュース候補

1 最高検が村木元局長に謝罪(1月)
2 宇都宮地裁、菅家さんに刑事補償8000万円の支払決定(「請求額どおりの満額
回答」、1月)
3 江田参議院議員(元裁判官)、法務大臣に(1月)
4 大阪地裁所長襲撃事件、大阪府に1500万円の賠償金支払を命じる判決(府警の
暴行、自白誘導を認める。国(大阪地検関係)、大阪市(児童相談所関係)に対する各
請求は棄却、1月)  
5 倉田卓次さん死去(2月)
6 新潟水俣病4次訴訟和解成立(3月)
7 東日本大震災 司法現場にも大きな影響 一部機能停止も(3月)
8 平成21年衆議院選挙について違憲状態(格差2.3倍)との最高裁判決 (3月
)
9  大阪地裁、前田元検事に証拠隠滅罪で1年6か月の実刑判決(4月) 
10  横浜地裁、イージス艦「あたご」の衝突事故で、あたご側に「回避義務はなかった
」として、2士官に無罪判決(4月、控訴)
11 最高検が、10地検特別刑事部で取調べ録音・録画試行通知(5月)
12  裁判員裁判2周年(5月)
13 布川事件で、水戸地裁土浦支部が、強盗殺人罪で無期懲役が確定していた2人に再
審無罪(5月、確定)
14 親権停止の(最長2年)の民法改正が国会で可決成立。1年内に施行。(5月)
15  最高裁、君が代起立命令に合憲の判決(5月)
16 弁護士、ゼロワン地域(支部所在203地域で、弁護士が1人か0人の地域)が今
年中になくなる見通し(6月)
17 原発差し止めを求めて、統一弁護団結成。(6月)
18 B型肝炎訴訟で、国と原告団が和解の基本合意書に調印。菅首相首相官邸で、原告
ら120人に謝罪。救済対象約40万人。和解金総額は5年で1.1兆円。30年で3
.2兆円。
19 長崎地裁、国営諫早湾干拓事業で潮受け堤防排水門の開門請求棄却(7月、控訴)
20 裁判の迅速化に関する検証結果の公表(第4回、7月)
21 東電OL殺人事件再審請求審で、東京高検がDNA鑑定をするなどの動きあり(7月
)
22 那覇検審、中国人船長に公務執行妨害、建造物損壊等で2回目の議決(起訴議決)
。起訴議決の事例は5例目。(7月)
23 東京高裁、日債銀粉飾決算事件で、元会長ら3人に逆転無罪判決(8月。確定)
24 原子力損害賠償紛争解決センター(文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」の
下)業務開始。総括委員会委員長に元東京高裁部総括判事の大谷禎男弁護士、和解の実
務を担う「和解仲介室」の室長に野山宏・前東京高裁判事、仲介委員に弁護士100人
、調査官に弁護士30人。(9月)
25 大阪地検特捜部事件、公判開始(9月)
26 東京地裁、小沢元秘書裁判で、3人全員に有罪(9月、全員控訴)
27 最高裁、混合診療禁止が合法との判決(10月)
28 小沢一郎元民主党代表の政治資金規正法違反事件で、公判開始。(10月)
29 最高裁、裁判員裁判制度が合憲との判断。(11月)
30 司法修習生、給費制から貸与制へ。(11月)
31 弁護士殺害事件(横浜)で、無期懲役確定(上告棄却、11月)
32 オウム裁判事実上終結。遠藤誠一被告人の上告棄却で。16年経過(死刑判決は1
3人)。(11月)
33 名古屋高裁金沢支部、福井女子中学生殺害事件で再審開始決定。(11月)
34 弁護士殺害事件(秋田)で、懲役30年の裁判員裁判(12月、未確定)
35 袴田事件(袴田巌死刑囚)、第2次再審請求事件で、静岡地検が、取調べの録音テープ
や供述調書176点を開示(12月)
36 狭山事件、第3次再審請求審で、14点の証拠開示。(12月)
37 裁判官ネット、シンポジウム3回開催(2月民事、7月刑事、11月退官記念、司
法改革)
38 その他(   )



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今月号の目玉は、先日のJネット秋の企画における小松平内元裁判官の退官記念講演録です。是非ご覧ください。http://www.j-j-n.com/



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 毎年年末恒例で、司法の10大ニュースを発表していますが、今年もそろそろその時期になりました。現在、ニュース候補を選定中ですが、「このニュースを候補に是非入れてほしい」という要望がありましたらお寄せください。候補の選定で考慮させていただきます。その後、このブログで候補を発表して、皆さんのご意見も伺い、クリスマスのころに決定10大ニュースを発表したいと思います。ご期待ください。

参考までに、昨年の10大ニュース(過去の分をホームページに掲載しています。)を紹介します。

● 司法10大ニュース(平成22年)

第1位 大阪地検特捜部検事を郵便不正事件における証拠隠滅被疑事件で,逮捕・勾留の後起訴。同検事の上司2人も犯人隠避被疑事件で,逮捕・勾留の後起訴(9月~)。

☆郵便不正事件では,村木被告人に無罪判決(9月,大阪地裁,確定)。その後の動きが激しく,上記の各事件を受けて、年末には,最高検が検証報告し,大林宏検事総長,伊藤鉄男次長検事が辞職(12月)。

第2位 足利事件,再審無罪判決。佐藤裁判長謝罪。(3月)

☆昨年も,足利事件は、再審開始決定が2位。なお,布川事件の再審公判も開始(7月)。

第3位 裁判員裁判で,「初」判決続く。初の死刑求刑事件に無期懲役判決(11月,東京地裁「耳かき事件」),初の死刑判決(11月,横浜地裁),少年に初の死刑判決(11月,仙台地裁),死刑求刑事件で初の全面無罪判決(12月,鹿児島地裁)。

 

第4位 明石歩道橋事件で,検察審査会法改正後,初の起訴議決(1月。4月起訴)。

☆その後も,尼崎JR脱線事故で,歴代3社長に(3月),政治資金規正法違反被疑事件で小沢一郎民主党元代表に(10月),それぞれ起訴議決。

第5位 諫早湾干拓訴訟,国の控訴棄却(12月,福岡高裁,湾を閉め切った潮受け堤防の南北2カ所にある排水門を,5年間常時開放するよう国に命じた一審佐賀地裁判決を支持)。これを受けて,菅首相,上告断念。

 

第6位 違憲,違憲の疑いの判決相次ぐ。政教分離原則違反で,違憲判決(1月,最高裁)。平成21年8月30日投票の衆議院議員選挙の定数不均衡訴訟で,各高裁が違憲等の判決(違憲3つ,違憲状態2つ,合憲2つ),今年7月11日投票の参議院選挙衆議院議員選挙の定数不均衡訴訟で,各高裁が違憲等の判決(違憲1つ,違憲状態3つ,合憲4つ)

 

第7位 殺人罪などの公訴時効の廃止,期間延長(8月)。

 

第8位 弁護士殺害事件相次ぎ発生(6月横浜。11月秋田。9月には,和歌山地検内で検事が襲われる事件が発生。)

 

第9位 再投票で,日弁連会長に宇都宮氏当選(3月)。

☆新執行部の成果か,修習生の給費制,一年延長へ(11月)。

第10位 裁判員裁判1周年,マスコミで各種企画あり。日本裁判官ネットワークも,東大5月祭「日本の裁判制度のこれから」で,裁判員裁判1周年記念企画に参加。(5月)

 

 



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