日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
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前に法制審議会に社会奉仕命令の新設如何について諮問があったとのニュースがありましたが,審議会がいよいよ,その新設と一部執行猶予という聞き慣れない制度について答申予定と,今日の朝日新聞に出ていました。
一部執行猶予というのは実刑を一定期間服役した後,残りの期間を執行猶予として社会内で努めるというもののようです。
社会奉仕命令については,相当前に交通違反被告人にボランティアを命じた後に判決をした経験のある私としては,ようやくここまで来たか,という感じがしております。実刑と単純な執行猶予の間を埋める画期的な制度として発展すると期待しておりますし,量刑の選択の幅の狭さに悩む刑事裁判官からも大いに歓迎されるものと思われます。
                        新聞報道に喜ぶ「花」

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1 先日当地の法曹忘年テニス大会が行われ,30名余が参加して盛会であった。わがやも夫婦で参加した。熱戦の後の夜の部として忘年会が行われ,年間の通算成績が発表され,成績上位者には高額(?)の賞品が授与された。また忘年会参加者全員を対象に福引大会が行われ,1番くじを当てると景品は5万円相当の超小型パソコンなど,豪華な景品が目白押しということであった。

2 私は年間成績も中位で余り冴えなかったが,福引きも冴えず,幹事の悪戯が図に当たったというのか,サンタの衣装を引き当ててしまった。丁度クリスマスイブの前日で天皇誕生日であり,実は私の誕生日でもあった。

3 当日のテニス大会の組ごとにくじを引いて,全員が景品の内容を紹介するとともに,今年の反省や来年に向けた抱負などの挨拶をすることになっていた。
 私は無理矢理サンタの服装をさせられたうえで挨拶をしたが,「サンタの○○でーす。」などと言ってポーズを取ると,大爆笑の大受けとなり,忘年会は大いに盛り上がった。
 今年は妻の練習台となって夫婦で熱心にテニスの練習をしたので,かなり腕前が上達しており,来年は飛躍の年にしたいなどと挨拶した。妻は来年は私に勝つのだと挨拶したような気がする。タクシーで家に帰るまで,サンタの服装でいてはどうかという声も多かったが,それはさすがに拒否した。

4 ところで考えてみると,サンタの仮装は案外利用価値があるのではないかと思い直した。今年の事務所の忘年会は私の自宅でする予定になっていたため,その余興にサンタ姿を披露すれば受けることは間違いないだろう(忘年会は都合により新年会に変更された。)。またわがやでは子供が2人とも結婚したので,いずれ孫ができるだろうが,サンタ姿で孫に「おじいちゃんサンタでーす。」などとふざけて,大きな袋から孫の喜びそうなプレゼントでも取り出すと,バカ受けするに違いないと思うと,早くその日が来ないかなと待ち遠しい思いになった。

5 物事は何でも考え方次第で,受け止め方も異なるということであろう。このサンタの仮装のアイディアは大いに活用できそうに思えるので,おじいちゃんの立場の人にぜひお勧めしたくて,この文章を書くことにしたものである。(ムサシ)


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 当ブログ12月13日欄で予告しておりましたが,日本裁判官ネットワークのメンバー,サポーター,ファンクラブ会員の皆さんのほか,当ブログの読者の方々の意見も取り入れ,下記のとおり,今年の司法10大ニュースを決定しました。ほかのHP等でも紹介していただいたために,関心は高かったと思います。ご協力ありがとうございました。(瑞祥)
               記
1位 最高裁が裁判員候補者に通知(12月,当ブログ11月24日欄参照)
・・平成司法改革最大の改革内容がいよいよ始動です。

2位 司法試験合格者数について,日本弁護士連合会が緊急提言(7月,当ネットHP「judgeの目その21」参照)
・・いわゆるペースダウンの提言です。平成司法改革の一翼を担ってきた弁護士会の今後の動きが注目されます。

3位 婚外子の国籍法規定は違憲との最高裁大法廷判決 (6月)
・・戦後8例目の最高裁による違憲判決で,これを受けて,12月5日に国会で国籍法の一部を改正する法律案が可決成立しました(平成21年1月1日施行)。

4位 東京高裁長官であった竹博允(ひろのぶ)氏が,最高裁長官就任(11月,当ブログ11月21日欄参照)。
・・サプライズ人事だっただけでなく,裁判員裁判実施・成功への強い姿勢の表れと感じさせられました。

5位 青写真判決見直しの最高裁大法廷判決 (9月)
・・土地区画整理事業を巡る訴訟で,42年ぶりの判例変更でした。事業計画の決定段階は,青写真に過ぎないとして訴えの門前払いをしてきたのを改める方向への判決です。

6位 原爆症認定集団訴訟の判決が相次ぐ(1年間)。
・・大阪,仙台各高裁,長崎,大阪,札幌,千葉各地裁などの判決が1年間を通じて相次ぎました。厚生労働省の認定基準も動きました。

7位 福島県立大野病院事件について,医師に無罪の福島地裁判決(8月)(当ブログ8月23日欄参照)
・・日本の医師会,医師注視の中での判決でした。検察側は控訴せず確定しました。

8位 司法の大きな不祥事が相次ぐ。下山事件で戦後8回目の弾劾裁判による6人目の罷免(12月)や,京都家庭裁判所書記官が私文書偽造等で逮捕・起訴(12月)。
・・裁判員裁判が始動し,司法への国民負担が議論される中での残念な出来事でした。

9位 8年半続いた岡口判事による法曹関係者のためのHP閉鎖(11月)
・・ファンが多かっただけにこれも残念の一言です。閉鎖の原因を考えると,裁判官の表現活動への影響も心配されます。 

10位 日本裁判官ネットワークの神戸総会が開かれる。メンバー裁判官の安原浩さんの退官記念講演会を開催(9月,当ブログ9月30日欄参照)
・・安原浩松山家裁所長に限らず,島田仁郎最高裁長官や井垣敏生大阪高裁判事(役職名はいずれも退官当時のもの)など,高名な裁判官の退官がこの1年間に相次ぎました。

 今年の司法10大ニュースをながめていますと,今年の特色は,平成司法改革の最後の仕上げとそのための態勢づくりがなされたのではないか(1位,4位)と思われる一方,平成司法改革について従来とは異なる動きも大きくなってきたこと(2位)が一番でしょうね。来年も引き続き,その後の動きから目が離せません。
 その他の今年の特色は,社会に大きな影響を与える判決が多かったこと(3位,5位ないし7位),司法全体への信頼を損ねたり(8位),逆に司法の一員からの発信にブレーキがかかる(9位)などとても残念な事態があったことなどです。
 なお,国会で薬害肝炎被害救済法が成立(1月,当ブログ1月12日欄参照)し,薬害肝炎訴訟も全面解決へ(11月~12月,残った日本製薬と原告団との基本合意へ)向かったことも大きなニュースでした。ただ,昨年の10大ニュースの第2位で触れましたとおり,昨年末に大筋で解決の方向性が出ていましたので,今年は,国会等で成果がでた年という意味で,司法の動きとしては番外にさせていただきました。ご了承下さい。


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昨日の新聞に,新61期司法修習生1731人(内女性491人)が修習を終了し,その中から判事補に75人(同29人)が任官したと報じられている。9月に修習を終了した旧61期(609人,内女性128人)から24人(同7人)が任官したので,今年の判事補任官は合計99人(同36人)となる。
 99人の判事補諸君,任官おめでとう。裁判官としてのご活躍を祈念します。裁判官としての自己研鑽のために,日本裁判官ネットワークのホームページとブログの愛読者になって下さい。また,来年1月31日に名古屋で開催されます当ネットワークの例会を覗いてみて下さい(ホームページのニュース参照)。
 今年,判事補任官を希望して不採用となったのは3人だという。ちなみに,今年の司法修習終了試験(二回試験)不合格者は123人(去年の不合格者33人中の不合格12人を含む)だった。
 修習生が500人前後の最後の年だった平成2年(45期)には,判事補として100人が採用されていたから,修習生が4.5倍以上に増加したというのに,判事補任官は全く増えていないことになる。弁護士任官も増加が見込めない現状では,裁判所の機能強化が望めない。最高裁は未だに少数精鋭主義を維持しているのだろうか。こんなことでは司法の将来が危ぶまれる。
 (瑞月)


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1 そのおばあさんに同行して歯科医に行くのは事務員でもよかったのであるが,私の事務所も今は事務員が2人になっているが,当時は1人であったし,私が事務所でお留守番するよりも,事務員の方がずっと役に立つということである。歯科医の診察や治療が終了した後は,既に夕刻のことが多く,老人ホームの夕食時間が迫っているという事情のもとで,私が老人ホームまで30分車を運転して送り届けるということも多かった。

2 入れ歯の具合がよくなって,食事を沢山食べることができるようになったと言って,そのおばあさんは喜んでくれたが,こけた頬は一向にふっくらとしなかった。私はバナナ健康法も兼ねて,食事が終わるごとにバナナ半分か3分の1を食べるように勧め,おばあさんもそうしているということであったが,やはり効果はなかった。

3 私の事務所では月1回昼食会と称して,おいしい店を探して食べ歩いているが,とてもお気に入りの店があり,そこは「行列のできる店」であるので,午前11時半に事務所を閉めて,行列のできる前に店に入ることにしている。そのおばあさんも既に何回か昼食会に参加しており,おばあさん参加の昼食会はその店に限定していたのであるが,行くと驚くほどよく食べていた。あさりの潮汁と豚汁,炊き込みご飯がセットになっていて,いずれも抜群の味で,ご飯もお代わり自由なのであるが,おばあさんはよく炊き込みご飯のお代わりをしていた。

4 頬のこけたままのおばあさんをその店に誘えば,頬もふっくらするのではあるまいかという,甚だ単純な発想で,その後2回昼食会に誘ってその店に行った。おばあさんは恐縮して,「お金は全部私が支払います。」と言ってくれたが,私は「お金は大切に使いましょう。私はあなたの息子のつもりなので,息子が親孝行していると思って下さい。」と言って,費用は私が負担した。1回はいつものご飯,もう1回は季節限定の松茸ご飯であったが,おばあさんは,「おいしい,おいしい。」と言って,2回ともご飯をお代わりした。これで頬も少しふっくらするのではないかと,事務員と話しあったことであった。
                       (なお続く。ムサシ)



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日本では戦後廃止された姦通罪が、韓国では妻と夫双方を罰する形で存続しており、このように現実に適用されています。
今回の有罪判決に先立って、被告人は憲法裁判所に同罪の違憲を訴えていましたが、10月30日、4回目の合憲判断が出ていたそうです。
ただし、今回は「違憲」との見解を述べた裁判官が9人中5人(違憲派の4人は法の趣旨自体を不当とし、1人は罪が重すぎるとした。)と初めて過半数を占めたが、違憲決定には6人以上の同意が必要なため従来の判断が踏襲されたとのこと。いずれ違憲判断が出るのかも知れません。
日本で姦通罪の復活は考えられないでしょうが、もし仮にあったら、離婚訴訟の有力な武器にもなってしまいそうですね。(チェックメイト)

(スポニチから抜粋)
 韓国の裁判所は17日、不倫をして姦通(かんつう)罪に問われた人気女性タレントのオク・ソリ被告(39)に対し、懲役8月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。聯合ニュースによると、ともに起訴された不倫相手の声楽家チョン被告(38)にも、懲役6月、執行猶予2年が言い渡された。執行猶予付きの判決を出した理由について、裁判長は「2人とも姦通罪を認めている」などとしている。
 オク被告は06年5月から7月にかけ、チョン被告と3回肉体関係を持った。夫でタレントのパク・チョル(40)が昨年10月に姦通罪で告訴。検察が2人を起訴していた。夫妻は07年から離婚に向けて協議中。2人の間には子供がいる。


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1 私が公正証書により任意後見契約を結んでいたお婆さんが87歳で急死した。2か月位前までとてもお元気だったので,信じられない思いでショックを受けた。丁度私の母に当たる年頃で,若くして母を失った私には,まるで母と接しているような気分で,とても楽しくおしゃべりを重ねていた。
 いろいろと初めての経験をしたので,感想や反省を纏めてみることにした。
2 まだ頭は明晰であったので,私の仕事は預貯金の管理が中心で,月々の老人ホームの支払いも自動引き落としになっていたから,半年に1回会計報告書を作成する程度であった。そのお婆さんとは気が合うというのか,大した用事もないのに,「先生,こんな書類がきたのだけれど」などと,口実をつけて事務所にたびたびやってきていたので,「やはり寂しいのかな。」と受け止めていた。
3 私はできるだけ時間を作って,楽しいおしゃべりをすることが多かった。得意の健康論をぶったり,私が書いているこのブログの記事を印刷して読んで貰ったりもした。「裁判官だってしゃべりたい」の本の私の文章をコピーしてあげたりもした。あるとき私の書いた文章を読んで,泣いたこともあった。
4 今年の6月ころのことであったが,お婆さんの入歯の具合が悪くなり,隙間に食物が入って痛いので,食事があまり食べられないと言って,頬がこけてしまった。老人ホームで紹介された歯科医で新しい入歯の見積もりをしてもらうと60万円かかるという。そこで私のホームドクターとなっている腕のいい歯科医に相談することにして,すぐに電話した。約20万円でできるというので,そこで新しい入歯を作ってもらうことになった。私の事務所に来て貰い,私の車で約10分の所にある歯科医まで,私が送り迎えすることになった。
5 そして約1か月半後に約20万円で,とても具合のよい入歯ができて,とても喜んでくれた。その後虫歯の治療も終えて,歯磨き法の説明も受けた。あとは定期検査であるが,当面は月1回ということになった。すでに10回以上私が同行していた。勿論無償である。私の4か月に1回の定期検査を兼ねてもいた。喜んでくれるのは嬉しいが,これは少し親切すぎるのではないだろうかと,内心あせりの気持ちもあった。私の弁護士業も結構忙しいのである(以下続く)。(ムサシ)


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 前にホームレス相談会に参加したことから,その中の数名の方が生活保護申請をするので同行して欲しい,との要請がありました。財政事情の窮迫から本人申請ではなかなか受付てくれないので,弁護士が法的助言をするため同行するのだそうです。

 このような場合弁護士はどうやって粘るか,などいろいろ書いた某弁護士会作成のマニュアルがあり,それを読んで某市役所に向かいました。もっとも初心者で役に立ちそうもないので,支援団体のベテランが私の補佐役でついてくれました。

 さて,生活保護申請をしたい,というと早速住所を聞かれました。本人が河川敷です,というといきなり相談用書面(決して申請書自体を渡さないのが最近の行政の対応だそうです。)を引っ込められました。いよいよ戦闘開始か,と思いきや,先ほどのベテランが課長補佐を呼んでくれ,と言うとその後はスムースに申請がすすみ,あっけない幕切れでした。

 ベテランの顔もあったのでしょうが,どうも河川敷の美化という近隣住民の要請もあって,河川敷ホームレス減少のため割合簡単に認めたというのが真相のようです。実際に給付が始まるまでの約1週間,近隣の病院に検査入院として入院させる(社会的入院というのだそうです。)ことまで市役所側が手配してくれ,私の出番は結局なにもなかった,という結果でした。
                  社会勉強中の「花」

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携帯の人の便宜のために,10大ニュース候補のみを短くして掲載します。
① 婚外子の国籍法規定は違憲との最高裁大法廷判決 (6月)
② 福島大野病院事件について,医師に無罪の福島地裁判決(8月)
③ 青写真判決見直しの最高裁大法廷判決 (9月)
④ 原爆症認定集団訴訟の判決が相次ぐ。厚生労働省の認定基準も動きました。
⑤ 国会で薬害肝炎被害救済法が成立(1月)。薬害肝炎訴訟も全面解決へ(11月~12月,残った日本製薬との基本合意へ)。
⑥ 司法試験合格者数について,日本弁護士連合会が緊急提言(7月)
⑦ 最高裁が裁判員候補者に通知(12月)
⑧ 取調過程の可視化の動きが今年も進む。
⑨ 東京高裁長官の竹博允(ひろのぶ)氏が最高裁長官就任(11月)。
⑩ 8年半続いた岡口さんの法曹のためのHP閉鎖(11月)
⑪ 下山事件発生。戦後8回目の弾劾裁判が開かれました(12月)。
⑫ 京都家庭裁判所書記官が私文書偽造等で逮捕(12月)
⑬ NHK土曜ドラマ「ジャッジⅡ~島の裁判官」大好評
⑭ 日本裁判官ネットワークの神戸総会開催。安原さんの退官記念講演会(9月)



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 年の瀬が迫ってきましたね。皆さん,年賀状は出されたでしょうか。
 過去お世話になった人にお便りするのは,何とも日本的で奥ゆかしいものだと思いつつ,仕事の合間に年賀状の図柄や文面を考えたりするのはなかなか負担ですね。毎年感じています。
 ところで,当ブログでは,ここ2年ほど年末に司法の10大ニュースを取り上げています。年末に1年間を振り返ると,その年の大きなニュースが再認識できると共に,断片的なニュースとニュースの間に,大きな流れを感じることがあるからです。昨年,一昨年の分は,当ブログ昨年12月29日欄を見ていただくとわかりますが,昨年は,ニュースをながめていると,裁判員裁判をはじめとした改革の準備や実施が進み,その影響が出始めたこと,それに合わせて司法が映画や本で取り上げられることが多くなったという流れを感じさせられました。
 今年も同様の流れは感じさせられましたが,それにとどまらなかった気もします。そこで,今年も10大ニュースの企画をしたいのですが,昨年までと異なり,今年は,読者の皆さんからも意見を聞きながら,10大ニュースを選んでいこうと思っています。
 1年を振り返って,今年の重要なニュース,印象的なニュースと思われるものについて,どしどしコメントを入れて下さい。ちょっとした感想でももちろん結構です。今のところ目につくニュースは,下記のとおりです(付番しましたが,重要度の意味はありません。)。視点としては,① 司法機能として政治や社会に大きな影響を与えたもの(判決や訴訟等),② 司法自体の構造変化をもたらすもの(司法改革等),③ 司法関係で大きなニュースになったもの(人事や不祥事等)などですが,ほかのニュースを取り上げていただいてももちろんかまいません。よろしくお願いします。なお,当ブログへのコメントだけでなく,ホームページ(http://www.j-j-n.com/)における「ご意見・ご感想」欄への投稿でも結構です。この場合は,投稿内容を表に出さないことも可能です(転載「否」にして下さい。)。
                記
(判決)
① 婚外子の国籍法規定は違憲との最高裁大法廷判決 (6月)
② 福島大野病院事件について,医師に無罪の福島地裁判決(8月)(当ブログ8月23日欄参照)
③ 青写真判決見直しの最高裁大法廷判決 (9月)
土地区画整理事業を巡る訴訟で、42年ぶりに判例変更。事業計画の決定段階は,青写真に過ぎないとして訴えの門前払いをしてきたのを改める方向へ。
④ 原爆症認定集団訴訟の判決が相次ぐ。
大阪,仙台各高裁,長崎、大阪、札幌,千葉各地裁地裁などの判決が1年間を通じて相次ぎました。厚生労働省の認定基準も動きました。

(訴訟等)
⑤ 国会で薬害肝炎被害救済法が成立(1月,当ブログ1月12日欄参照)し,薬害肝炎訴訟も全面解決へ(11月~12月,残った日本製薬との基本合意へ)。

(司法改革)
⑥ 司法試験合格者数について,日本弁護士連合会が緊急提言(7月,当ネットHP「judgeの目その21」)
  いわゆるペースダウンの提言で,関連があるのかないのか議論がありますが,今年の合格者数は,新試験2065人,旧試験144人の合計2209人で,従来に発表されていた目安(新試験2100人~2500人,旧試験200人,目安合計2300人~2700人)よりも少し下回りました。
⑦ 最高裁が裁判員候補者に通知(12月,当ブログ11月24日欄参照)
⑧ 取調過程の可視化の動きが今年も進む。
  検察庁では昨年から,全国の地検で録画・録音の試行が広がっていますが,今年は,警察庁が試行すると発表しました(3月,当ブログ3月15日欄参照)。また,「取調べの可視化法案」(刑事訴訟法改正案)は参議院では,6月に可決成立しています(衆議院は審議未了,廃案のようです。)。その他,捜査メモに関する証拠開示決定が最高裁判所第三小法廷で維持されました(6月)。

(人事)
⑨ 東京高裁長官であった竹博允(ひろのぶ)氏が,最高裁長官就任(11月,当ブログ11月21日欄参照)。

(トラブル)
⑩ 8年半続いた岡口さんの法曹のためのHP閉鎖(11月)
実に残念でした。全国にファンが多かったのに・・・。

(不祥事) 
⑪ 下山事件発生。宇都宮地方裁判所の下山芳晴裁判官がストーカー規制法違反で有罪となり,戦後8回目の弾劾裁判が開かれました(12月)。

⑫ 京都家庭裁判所書記官が私文書偽造等で逮捕(12月,ブログ12月12日欄参照)
  事件の解明が待たれます。

(マスコミ)
⑬ NHK土曜ドラマ「ジャッジⅡ~島の裁判官」大好評(当ブログ11月8日欄参照)
  昨年の続編ですが,裁判員裁判の関係で,裁判,裁判官への関心が高まっているのでしょうね

(内輪)
⑭ 日本裁判官ネットワークの神戸総会開かれる。安原さんの退官記念講演会(9月,当ブログ9月30日欄参照)



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 京都家庭裁判所が捜索を受け,同裁判所書記官が私文書偽造等で逮捕されたというニュースが新聞紙面を賑わせている。書記官が記憶喪失者の就籍を許可する家事審判と貸金請求の民事判決とを偽造して,こともあろうに振込め詐欺被害救済法によって凍結された預金を差し押さえ,数百万円の払戻しを受けたと報道されている。現在捜査中なので,どのような方法でどのような審判・判決を偽造したのかは明らかでないが,これが事実とすれば,裁判所に勤務する者としては,情けないやら,腹が立つやら,痛恨の極みだ。
 裁判所部外者が判決を偽造した例はいくつも聞いているが,裁判所に勤務する者が審判・判決を偽造するということを,私は予想できなかった。裁判制度とは,武器対等,機会均等,抜打ち・闇討ち禁止,公明正大をルールとして喧嘩をするものであるから,裁判手続には必ず利害が対立する相手方が関与しており,一方に有利な審判・判決を偽造すれば,必ず他方からクレームが出て,すぐに偽造であることと犯人がバレてしまう仕組みである。相手が行方不明のため,裁判所の掲示板に貼紙をしただけで,呼出しや通知をした扱いにする公示送達という手続があり,相手方が実質的に関与しないこの公示送達手続による判決を偽造し,同判決によって強制執行をして相手方の財産を手に入れようとしても,判決に表示された原告に対して強制執行をする裁判所から何度も通知や連絡をするから,架空名義の原告では用を足さないわけで,役にも立たない判決の偽造に裁判所職員が駆られることはないと思っていた。
 就籍許可の家事審判を偽造してこの世にいないXを創作し,Xを原告として,振込め詐欺師が用いた預金の名義人を被告とする民事判決を偽造し,Xになりすまして強制執行手続を進めたのが今回の事件のようである。振込め詐欺師たちが名乗り出るはずのない預金の銀行支店名,口座番号,口座名義人及び預金額がインターネット上に公開されていたことを,今回の事件で知ったが,この情報開示が裁判所部内者による審判・判決偽造の誘引だったと思われる。インターネットによる情報開示の広さと速さに追いつけないことが悔しいし,怖ろしい。捜査によってこの犯罪の全貌を明らかにして貰いたい。 瑞月

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先日,弁護士として初めての公判に出ました。久しぶりに法廷に入り,大変懐かしい感じがしましたが,さすがに長年は働いてきた職場だけに,雰囲気にのまれてあがるというようなことは全くありませんでした。当たり前かもしれませんが。

前の事件が予定時間を経過して尋問が続くと,裁判官がちらちら時計を見ながら焦っている様子がうかがえましたが,自分の経験からしてもその気持ちがよくわかりました。

さて,私の担当事件は,保釈直後と言うこともあり,しばらく生活や稼働状況をみてから被告人質問をして欲しいと続行を希望していましたが,裁判官も1回結審にこだわりませんと,柔軟な姿勢でほっとしました。

結論がどうなるかはわかりませんが,当事者の納得が得られるような立証と弁論活動に努めようと思っています。
                      久しぶりに法廷に出た「花」  

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 裁判官を定年で退官し,弁護士登録をして3年半が過ぎた。かなりの事件に関与したが,引き受けなければ良かったと後悔している事件が2,3ある。世間を知らないために引き受けてしまったものであるが,後悔先に立たずである。使命感と少しの同情がかえって仇になってしまったのである。当事者双方も,自分も,悩んだだけで,何にもならなかったという虚しさである。法的紛争の正体は,いったい何なのか深刻に考えさせられる。
 こうした落ち込んだ精神状態の時に,支えとなるのは,報酬と関係のない人権訴訟に関与している自分の存在感の自覚である。報酬と関係のない事件は「蟷螂の斧」を振るうのに似ているが,自分にとっては,昔から握り馴れた「杵柄」である。法曹として生きることができる心棒のようなものである。
 訴訟は「狂気の沙汰」と思うことがある。これは皮相な,未熟者の見方かもしれないが,そうした訴訟は法的平和の実現とは逆のものである。正義感だけでは,こうした訴訟から逃れられないと感じている。弁護士としての勘が働く場面かもしれない。こうした勘は,一朝一夕で養われるものではなく,若いころから苦しみ,努力しなければ養われないものであろう。定年まで裁判官をしていた世間知らずの者には,こうした勘を会得するのはできないかもしれないと感じている。
 あることがあって,少々落ち込んでいるため,こんなことを考え,皆さまに愚痴をこぼした次第である。
 ところで,高い山の紅葉はそろそろ盛りである。なかなか出掛けられないが,出掛ける準備だけはしておこうと思う。準備だけをして,シーズンが終わってしまうことも多いが,それでも良いのである。
                       (万太郎)



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 我がネットワークの安原さんが,本日NHKの生番組に出演しました。テーマは裁判員制度です。
 まず,安原さんとは関係ないのですが,午後7時半から「あなたは死刑を言い渡せますか」と題して,NHKが行った模擬裁判の様子についてのドキュメントが放映されました。NHKのHPによると,「実際に起きた強盗殺人事件をモデルに、裁判官、検察官、弁護士役をいずれも経験豊富な専門家に依頼し、台本なしで真剣勝負をしてもらった。主役となる裁判員は無作為で選ばれた一般の市民6人。3日間にわたって行った裁判で、彼らは何に悩み、どんな意見を戦わせたのか、そのドキュメントを通じて、裁判員制度で私たちが向きあうことになる現実を浮き彫りにする」とのことでしたが,確かに裁判員になった人たちの苦悩がとてもにじみ出ていた感じがします。評決の前に,各人が庭等で一人でじっと考えていたのが印象的でした。
 午後8時35分からは,安原さんのほか,最高裁,法務省,日本弁護士連合会からも出席のほか,上記模擬裁判に参加した人や一般の市民も参加した裁判員制度の討論会でした。討論では,裁判員制度の意義,当否,問題点等の討論がいろいろな切り口でなされたほか,調書裁判といわれるものの問題点,公判前整理手続・証拠開示等の意義・運用のありかた,捜査の可視化の必要性にも議論が及び,とても有意義な番組だったと思います。コメンテーター的な立場の参加であった落語家の文珍さんのコメントも良かったですね。
 討論ではいろいろな意見がでましたが,その内容については賛否両論があろうかと思います。ただ,言えることは,裁判員裁判の実施が近づいて,市民の皆さんが裁判はどうあるべきか,そして裁判に市民はどうかかわるべきかを真剣に考え初めておられるのではないかということです。これは,制度設計者の予想以上ではないかと思うのです。この気風はとても大事にしたいと思いました。それだけに,裁判員制度が実施から3年後に見直しの検証があるようですので,実際に裁判員裁判に係わった人の声が,何らかの形で公になったり,少なくとも上記検証の際に,生かされることが大事であると切に感じました。たとえば,3年後の検証の際には(法曹三者で検証機関を作るという報道もされています。),守秘義務を解除し,裁判員経験者の経験や実感を,検証機関等に出していく作業は必要ではないでしょうか。そのために立法措置が必要ならば是非考えていただきたいと思います。
 いろいろ感想はあるのですが,安原さんハラハラドキドキだったと思います。ご苦労様でした。(瑞祥)

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