今年1月に開かれると報道されている最高裁の弁論に注目しています。
千葉地裁が一昨年の10月に言い渡した覚せい剤の密輸入事犯についての無罪判決に,検察官が控訴し,東京高裁が昨年3月30日に逆転有罪判決(懲役10年,罰金600万円)を宣告しました。
問題は,一審が裁判員裁判であったのに,高裁の三人の職業裁判官が,証拠の評価が異なるとして一審を破棄していきなり有罪を宣告できるのか,という点です。
もし何の留保もなしにそのようなことが可能とすると,一審で6人の裁判員が懸命に議論したことが全く無視されたことになり,国民の新鮮な感覚を反映した裁判を目指す裁判員裁判の意味が無くなります。
一審の有罪判決を控訴審で無罪とする場合に比較すると,無罪判決の控訴審での破棄は被告人に対する打撃が大きく,特に慎重を要するといわざるを得ません。
一審の証拠評価が誤ってると判断する場合には,一審に差し戻して再度裁判員裁判に付すべきでしょう。
この事件について最高裁が弁論を開くことを決定したそうですから,裁判員裁判の判決について控訴審のあるべき姿が示されることは確実と思われます。
裁判員裁判の発展について,控訴審がブレーキとなってはなりません。
以上が,私が新年早々の最高裁に注目する所以です。
本年もどうぞよろしく 「花」