日本裁判官ネットワークブログ
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平成司法制度改革をレビューする企画は,今年6月2日(日)に行うという情報を流していましたが,会場確保の都合などから,次のように変更して,確定しました。

日時 2012年6月17日(日曜日) 13時から

場所 東京千代田区霞ヶ関

詳細は,3月頃に,このブログでもご案内します。

 

なお,昨年7月2日に東京で行いましたシンポ「裁判員裁判の量刑」が判例時報に掲載されます。

これも,本年2月11日号という情報をお伝えしたことがありましたが,正しくは「2月21日号」です。

訂正してお詫びします。

文責 小林克美

 

 



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 1月1日付けの「裁判所時報」に毎年恒例の最高裁判所長官「新年のことば」が掲載されました。最高裁のウエブサイト(http://www.courts.go.jp/about/topics/2401.html)にも掲載されていますので、ご覧ください。

 今年の特徴は、何と言っても震災関係の記述が多いことでしょう。新年の挨拶の後には、震災関係の記述が続きます。「この災害からの迅速な復興は全ての国民の切実な願いです。裁判所としても,復興に関連して様々な紛争が提起されることを想定し,それに備えて態勢の整備を始めとして十分な検討を重ねておく必要があると考えてきました。」と裁判所の全体的な姿勢を示した後で、「とりわけ,原子力発電所の事故は,国民生活に様々な面で深刻な問題を生じさせていますが,それらの点について未だ十分な議論が尽くされ国民的なコンセンサスが形成されるには至っていないように思います。司法の立場からも,このような状況を踏まえ必要な情報を把握し,法的な観点からの検討を進めておく必要があります。」とある部分が注目されます。

 その後は、裁判員制度や家事事件について触れられていますが、個人的には、創設90年を迎える調停制度について、「これまで,関東大震災,阪神淡路大震災と2度の大きな災害に当たり,調停制度は,非常時に際し国民の間に生まれる連帯意識を背景として,大きな役割を果たしてきたと思われます。この度の大震災からの復興に当たっても,十分その役割を果たすものと期待しています。」とある部分に目を留めました。調停制度が震災で大きな役割を果たしてきたのは、史実としてその通りなのです。当ネットのウェブサイト(http://www.j-j-n.com/)でも、オピニオン「● Judgeの目その27 震災対策にL方式を」の稿で触れています。 

 是非原文に当たってください。

 

 

 



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 みなさん,新年おめでとうございます。2012年がスタートしました。政治,経済ともに,国の内外にわたって,とても不安な門出ですが,いかなる時代においても,新しい年の始まりは,このうえなく喜ばしいことです。
 年賀に,京都・鴨川法律事務所の「かもがわ」第50号が届きました。毎号,読み応えのある論稿にあふれた弁護士事務所報です。今回の巻頭は,坂元和夫弁護士(13期)の「文明の敵・民主主義」というショッキングな本(著者は元東大教授・評論家西部邁)の読書感想でした。

 「どの民主主義国でも指導者は歓呼の声で迎えられた後,罵声を浴びせられて退場する。衆愚政治である。大衆は自らの愚かさを棚に上げて政治不信に陥り,強力な指導者の出現を待ち望むようになる。全体主義への転落はこうして始まる・・・・デモクラシーは最悪のものより少しだけましな政治制度に過ぎない(チャーチル)。そのようなものだと見定めて,独裁や全体主義に陥らないように,選挙民がパブリックマインドを持ち,口先だけの公約ではなく道理に従って行動する政治家を選ぶしかない。」というのがショッキングな本の著者の論旨のようです(私も早速読もうと思います。)。

 これを受けて,坂元和夫弁護士は,原発問題を国民投票(only Yes or No)で決めることに反対する民主党前原誠司政務調査会長の意見に共感を寄せています。 独裁や全体主義の防波堤は「選挙民のパブリックマインド」という不確かなものでしかないとすると,その前に「法曹のパブリックマインド」を試そうとしているのが,法曹増員による平成司法制度改革ではないでしょうか。今年は,平成司法制度改革を振り返り,後退しないで前に進む議論をしましょう。 瑞月

 



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今年1月に開かれると報道されている最高裁の弁論に注目しています。

千葉地裁が一昨年の10月に言い渡した覚せい剤の密輸入事犯についての無罪判決に,検察官が控訴し,東京高裁が昨年3月30日に逆転有罪判決(懲役10年,罰金600万円)を宣告しました。

問題は,一審が裁判員裁判であったのに,高裁の三人の職業裁判官が,証拠の評価が異なるとして一審を破棄していきなり有罪を宣告できるのか,という点です。

もし何の留保もなしにそのようなことが可能とすると,一審で6人の裁判員が懸命に議論したことが全く無視されたことになり,国民の新鮮な感覚を反映した裁判を目指す裁判員裁判の意味が無くなります。

一審の有罪判決を控訴審で無罪とする場合に比較すると,無罪判決の控訴審での破棄は被告人に対する打撃が大きく,特に慎重を要するといわざるを得ません。

一審の証拠評価が誤ってると判断する場合には,一審に差し戻して再度裁判員裁判に付すべきでしょう。

この事件について最高裁が弁論を開くことを決定したそうですから,裁判員裁判の判決について控訴審のあるべき姿が示されることは確実と思われます。

裁判員裁判の発展について,控訴審がブレーキとなってはなりません。

以上が,私が新年早々の最高裁に注目する所以です。

                                                   本年もどうぞよろしく 「花」

 



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