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今週は,薬害肝炎訴訟和解骨子案発表でしょうね。

2007年12月15日 | 瑞祥
 今週のニュースで一番注目され,続報が続いたのは,13日,大阪高裁が,薬害肝炎訴訟で,和解骨子案を示したニュースでしょう。いくつかの地裁判決のうち,東京地裁判決を基準に,補償の対象となる投与期間を(1)フィブリノゲンは1985年8月-88年6月(2)第9因子製剤は84年1月以降と限定し,肝硬変と肝がんは4000万円,慢性肝炎は2000万円,感染したがまだ発症していない場合は1200万円の3ランクに分けて補償するというもののようです(共同)。その他に,基準から外れた人には,訴訟費用の名目として一括して8億円を支払うなどの内容となっているようです(時事)。
 全員の一律救済を求める原告側は受け入れを拒否したようですが,今後被告国側の対応が注目されます。大阪高裁は,今後の手続について,「年内に基本合意を成立させたい」とし,20日ごろまでに修正案を提案するよう双方に要望したとされており(毎日),20日がひとつの山かもしれませんね。
 その他のニュースでは,捜査の適正に関するニュースが続いています。東京高裁(門野博裁判長)が「立証に必要」として,取り調べ警官のメモ開示を検察側に命じる決定をしたこと(共同), 警察庁は,以前に紹介した有識者懇談会(座長・平良木登規男慶応大名誉教授)で、取り調べの適正化のため,これまで逮捕後に作成していた報告書を任意段階でも作成する方針を説明したこと(共同),大阪高裁(若原正樹裁判長)が,「警察が共犯者に違法な取り調べをした疑いがある」として、懲役3年6月とした一審京都地裁判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻したこと(時事),山口地裁(山本恵三裁判官),「警官が虚偽証言の疑い」「犯罪の証明がない」として,公務執行妨害の罪に問われた男性に無罪(求刑懲役2年)を言い渡し無罪(求刑懲役2年)を言い渡したこと(共同)などです。
 ちょっとほっとするニュースでは,滋賀県彦根市で開かれた国宝・彦根城築城400年祭のイメージキャラクター「ひこにゃん」の原作者が市などにキャラクター使用承認の取り消しなどを求めた民事調停(彦根簡裁)で,調停が成立し,「末永く愛される」ことを目標にキャラクター管理などを協力することで合意したとのニュースです(産経)。使用停止になれば,「ひこにゃん」が見られなくなるだけに,テレビでもかなり報道され,注目されていましたが,今回の調停成立のニュースでほっとしています。司法の役割も示せましたね。(瑞祥)