日本裁判官ネットワークブログ
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最高裁2007年10月31日発行の裁判員制度メールマガジン第7号の一部を転載します。裁判員制度の情報マガジンですので,是非皆さん登録して入手して下さい。 (裁判員制度ウェブサイト http://www.saibanin.courts.go.jp/)

 「トピックス」 裁判員制度ミニフォーラムのご案内
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 裁判所は,本年9月下旬から,全国各地において裁判員制度ミニフォーラムを実施しています。
 ミニフォーラムでは,最高裁判所制作の広報用映画(「評議」または「裁判員~選ばれ,そして見えてきたもの~」)の上映と裁判官による解説・質疑応答を中心としたものや,模擬評議用ビデオを見た後に,模擬評議を体験していただくものなど,裁判員制度に対する理解を深めていただけるものを企画しています。また,比較的少人数の参加者で実施しますので,裁判員制度に関する疑問を,直接,裁判官に尋ねることもできます。お気軽にご参加ください。
 各地で行われるものとしては,例えば,
 ○東京地方裁判所(11月5日ほか)
「裁判員制度フォーラム」
http://www.courts.go.jp/tokyo/about/koho/forum_annai.html

 ○福岡高等裁判所管内の地方裁判所「九州・沖縄 裁判員制度ミニフォーラム」
http://www.courts.go.jp/fukuoka-h/about/osirase/mini_forum.html があります。
 ミニフォーラムは,来年3月まで,全国各地で順次実施していきます。都道府県庁所在地以外の市町村でも行いますので,ご興味をお持ちの方は,最寄りの裁判所の総務課( http://www.courts.go.jp/map_tel.html )までお問い合わせください。また,各地の裁判所のウェブサイトでもお知らせしています(各地の裁判所のウェブサイトは, http://www.courts.go.jp/map_list.htmlからご覧いただけます。)。
 皆さまのご参加をお待ちしております。


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 「新着情報」 模擬評議用ビデオ「裁判員裁判~あなたも体験してみませんか~」が完成しました。
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 裁判員制度ミニフォーラムのご案内」でもご紹介したとおり,模擬評議を体験していただく企画では,模擬評議用ビデオをご覧いただくことになりますが,ここでは,このビデオの内容についてご紹介します。
 まず,第1部「裁判員制度ワンポイント解説」では,進行役に女優の佐藤藍子さんを迎え,裁判員制度について分かりやすく解説します。第2部「審理に臨むに当たっての留意点」では,裁判員として裁判に参加していただく際に気をつけていただきたい点を紹介しています。そして,メインの第3部「審理」でお届けするのは,来るべき裁判員裁判での審理を想定した,模擬の公判審理です。現実の裁判員法廷を使って撮影された臨場感あふれる映像となっていますので,実際に裁判員になった気持ちで,被告人が犯した罪の内容や刑の重さを考えていただくことができると思います。
 裁判員裁判を是非体験してみてください。

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中日新聞の社説です。中日・東京新聞の司法関係の社説には,ときどき,なかなか渋い社説が見受けられますね。

冤罪防止 “刑事弁護士”をもっと

 裁判員裁判の実施、被疑者国選弁護の拡大を前に、「刑事に強い」弁護士の大量育成が急がれる。冤罪(えんざい)防止のためには、使命感はもとより、豊かな知識と弁護技術を兼ね備えた弁護士が必要だ。

 富山県で起きた強姦(ごうかん)冤罪事件の検証作業を始めた日弁連は、弁護活動についても調査するという。

 有罪の確定後、再審で無罪になった柳原浩さんは「国選弁護人に助けを求めたのに真摯(しんし)に対応してくれなかった」と不満を語っている。

 弁護活動に対する被疑者、被告人の不満はしばしば聞く。日弁連は重く受け止め、弁護活動を客観的にチェックしなければならない。

 検察側との証拠収集力の格差、高い有罪率、低すぎる弁護報酬など、国選弁護に情熱を燃やす気になれない要素があることは事実である。おまけに、日本では刑事弁護能力の高い弁護士自体が比較的少ない。

 ほとんどの弁護士の業務の中心は民事事件である。刑事は頑張っても成果を得られる機会が少なく、経済的にもあまり報われないからだ。難事件の弁護は一部弁護士の奉仕精神や職人的活動に支えられている。

 それでいて、弁護士の少ない地域では、刑事が不得意な人にも弁護依頼はあり、引き受けざるを得ないこともある。これが誤った判決の出る背景の一つと指摘されている。

 二年後に始まる裁判員裁判では、素人に向かって平易に説明する表現力、相手に素早く反論できる瞬発的判断力が特に必要とされる。裁判の結論が適正なものとなるには、これまで以上に有能な刑事弁護士の育成が急務である。

 そもそも被疑者国選弁護が広がれば、刑事弁護を担える弁護士がもっと大勢いないと対応しきれない。富山県の冤罪事件が示すように、捜査段階における弁護活動はその後の裁判に重大な影響を与えるだけに、この対策も急がれる。

 日弁連はさまざまな取り組みを始めたが若手育成が中心だ。中堅も含む弁護力を底上げしないと「人権を擁護し社会正義を実現する」(弁護士法一条)使命を果たせまい。

 そのためにいろいろな事件の弁護活動を幅広く検証したらどうか。そうしてつかんだ教訓を継承する研修なども行い、多数の弁護士が刑事弁護の知識、技量を身につけるようにしたい。

 むろん弁護のあり方は事件の個別事情によって異なる。各弁護士の主体的判断、活動をむやみに制約しないことは大事だが、冤罪防止、適正な量刑実現という目標達成へ向けた共通項は見いだせるはずだ


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三ケ月,星野の両先生が受賞されるようですね。法律学の分野では,いずれも「泰斗」とよべる存在で,薫陶を受けた法曹の方々は多いのではないでしょうか。ただし,世代的には40歳代以上からもしれませんね。以下,読売新聞からです。

文化勲章に茂山千作さんら、文化功労者は塩野七生さんら
 政府は27日付で2007年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。

 文化勲章受章者には、発生生物学の岡田節人(ときんど)(80)、狂言の茂山千作(87)、有機化学の中西香爾(こうじ)(82)、彫刻の中村晋也(81)、民事訴訟法学・裁判法学の三ケ月章(86)の5氏が選ばれた。一方、文化功労者には、植物分類学の岩槻邦男(73)、音楽評論の海老沢敏(75)、洋画の奥谷博(73)、国際法学・国際貢献の小田滋(83)、南アジア史の辛島昇(74)、移植外科学・医学教育・医療振興の川島康生(やすなる)(77)、高分子化学・分子組織化学の国武豊喜(71)、材料化学・学術振興の桜井英樹(76)、小説の塩野七生(70)、心臓血管外科学の鈴木章夫(77)、日本画の鈴木竹柏(88)、評論・民俗学の谷川健一(86)、洋画の堂本尚郎(79)、俳優の仲代達矢(74)、民法の星野英一(81)の各氏が選ばれた。

 文化勲章の「発生生物学」「狂言」「民事訴訟法学・裁判法学」、文化功労者の「移植外科学・医学教育・医療振興」「心臓血管外科学」の分野は初めて。

 文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同月5日に都内のホテルで、それぞれ開かれる。



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今日はあります~NHK「ジャッジ」。
午後9時からです。是非感想を書いて下さい。先週20日のブログに,今日の番組のあらすじをNHKのHPから転載していますので見て下さい。



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国の動きが注目されますね。朝日新聞からです。

薬害肝炎「早急な解決を」 厚労相に首相指示

 舛添厚生労働相は26日午前の閣議後、薬害C型肝炎問題をめぐる対応について福田首相、町村官房長官に報告した。舛添氏は閣議後の会見で「(首相から)早急な解決を目指して欲しい、と指示があった」と述べた。

 舛添氏は首相の指示内容について「細かくこうしろ、という指示ではないが、訴訟を含むと思う」と説明。薬害C型肝炎訴訟の和解による年内解決を目指す考えを改めて強調した。

 C型肝炎の感染源となった血液製剤フィブリノゲンを投与された約28万人全員への追跡調査について、舛添氏は「(フィブリノゲン納入先の)約7千医療機関にどんな指示を与えるか詰めている。困難を極めると思うが、医療機関の協力をお願いしたい」と述べた。


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賛否両論のようですね。毎日新聞からです。

<裁判員制度>「思想信条に反してまで」と反発も

 どんな場合に裁判員を辞退できるかを定める政令案が24日公表された。ポイントは「思想信条を理由とする辞退」を明記せず、「自己または第三者に身体上、精神上、経済上の重大な不利益が生じると認められる場合」という抽象的な規定を盛り込んだことだ。裁判員を広く集める立場から政令案を評価する意見が出る一方、裁判員制度反対派は「思想信条に反してまで参加させられるのか」と反発している。【高倉友彰、坂本高志】

 ◇職務押しつけ?

 裁判員法の国会審議で政府は「裁判員の職務を行うことが思想信条の自由を侵すような事態は許されない」と答弁し、法務省は「思想信条」を政令で明記するか検討してきた。だが、これを認めれば辞退者が続出して制度が揺らぐ恐れもあり、「精神上の重大な不利益」という表現にとどめた。

 これに従えば、「制度に反対」というだけでは辞退は認められない。「宗教上の理由で死刑を言い渡せない」という場合は、選任手続きの中で裁判官が候補者に質問し、「精神上の重大な不利益」かどうか判断する。

 日本弁護士連合会・裁判員制度実施本部の小野正典事務局長は、個人的見解として「制度に反対というだけで辞退を認めるべきではなく、『重大な不利益』という包括的な規定も必要。妥当な案だ」と話した。これに対し、元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士は「裁判員制度を違憲と考える人の辞退を認めるべきだ」と批判。自分の考えと異なる裁判員の職務を押しつけること自体が憲法に反するという考えだ。

 ◇運用に不安の声

 法務省は24日、自民党の司法制度調査会に政令案を説明した。議員から異論はなかったが、運用を不安視する声も上がり、「嫌だというだけで辞退できるのはまずいが、厳しすぎるのもどうか。施行前に判断の仕方や考え方を整理しておくべきだ」などと裁判所に注文する意見が相次いだ。

 裁判官は政令案をどうみるか。

 中堅裁判官は「精神上の重大な不利益」という規定について「単なる『不利益』ではなく『重大な』と限定した点に意味がある。ごく例外的にしか認められないニュアンスだ」と受け止める。ベテラン裁判官は「本番前の模擬裁判や本番での選任手続きで、事例を集積する必要がある。ある程度たてば、辞退を認めるか否かの相場観ができるだろう」と語った。

 ◇中小企業に不安

 政令案では、辞退を認める「やむを得ない事由」として(1)妊娠中や出産直後(2)(転勤などで)現住居が遠隔地にある場合--などが明記された。

 市民団体「市民の裁判員制度・つくろう会」の敷田みほ事務局長は「遠隔地の人の辞退を認める内容だが、中には参加したい人もいるはずで、送迎サービスなどの工夫も検討してほしい」と注文する。

 東京商工会議所は「従業員50人以下の企業の役員・社員は原則として辞退を認めてほしい」と訴えてきたが、政令案に反映されなかった。担当者は「裁判官は中小企業の実情を理解し、柔軟に(辞退を)判断してほしい」と話した。



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日弁連の就職説明会が大盛況のようです。下記の報道は朝日新聞からですが,出身県のブースをのぞいていた女性といった下りは,中学入試の説明会で,各中学のブースをのぞく親の姿(自分もそうでした。)を連想しました。法曹の卵としては,隔世の感があります。ただ,「『過疎地に行くなんて変わり者』という目で見られたが、今や一つの選択肢としてすっかり定着した」と話す先輩弁護士の話は,「これこそ司法改革の成果」と思いました。今,司法試験合格者増に反対する地方弁護士会の声がでていますが,新しい法曹になろうという皆さん,状況は厳しいですが,がんばって下さい。

弁護士、地方の時代? 日弁連の就職説明会は大盛況

 日本弁護士連合会が21日、これから司法修習を受ける修習生らを対象に大規模な就職情報説明会を催した。合格者急増で「就職難」が懸念されている修習生。地方の弁護士不足を解消したい日弁連。実際の就職は1年以上先だが、東京・霞が関の会場は大盛況だった。

 日本弁護士連合会による就職説明会には、大勢の司法修習生らが参加した=21日、東京・霞が関で

 参加したのは、東京と大阪を除いた全国32の弁護士会の担当者と460人の修習生ら。説明会は昨年から3回目だが、集まった人数は最多。主に、法科大学院を経て9月に新司法試験に合格し、11月から1年間の修習に入る「新61期」だ。今年に就職活動した「60期」は今も就職できない人がおり、「61期」はさらなる「就職難」が予想されている。

 熱心に回っていた男性(24)は「法科大学院の先生からも、先輩からも『61期は厳しい』と言われ続けている。きょう話を聞いて、地方には求人があると分かった」。出身県のブースをのぞいていた女性(24)は「高齢化が進んで弁護士が足りないことや、女性が少なくて求められていることを知った。でも希望の勤務地は、今のところ東京6割、地元4割です」と話した。

 前日の20日には、「司法過疎」地域に弁護士を派遣する日本司法支援センター(法テラス)と「ひまわり公設事務所」も合同で就職説明会を開催。200人以上の修習生らが詰めかけ、過疎地での勤務経験を持つ先輩に質問する列ができた。

 03年から2年間、北海道の法律事務所長を務めた女性弁護士は「『過疎地に行くなんて変わり者』という目で見られたが、今や一つの選択肢としてすっかり定着した」と話した。


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以下,朝日新聞からですが,刑事事件に端を発し,いくつも関連の民事裁判が起こされているようです。

公選法違反無罪の元被告ら17人、国賠求め提訴 鹿児島

 03年鹿児島県議選をめぐる公職選挙法違反(買収・被買収)事件で全員無罪が確定した元被告12人と、公判中に死去した元被告の遺族ら計17人が19日、鹿児島県警や同地検の捜査や取り調べ、長期間の拘束で肉体的・精神的苦痛を受けたとして、国と県を相手に総額2億8600万円を求める国家賠償請求訴訟を鹿児島地裁に起こした。無罪判決から8カ月。いまだ明らかになっていない捜査の端緒など事件の全容についても、訴訟を通して明らかにしたいとしている。

 訴状によると、原告らは県警や地検が(1)証拠や嫌疑がないことを知りつつ逮捕、勾留(こうりゅう)した(2)証拠がないにもかかわらず見込みで起訴した(3)無罪が明確なのにもかかわらず公判を続けた(4)常軌を逸した長時間の取り調べや、自白の強要など違法な捜査をした――と主張。捜査や公判を続けるために組織的にさまざまな違法行為を行った、と訴えている。

 在宅起訴された1人をのぞく元被告の勾留日数は、87日から395日に及ぶ。

 原告は、「主犯」とされた鹿児島県志布志市の県議中山信一さん(62)ら無罪判決を受けた元被告12人と、公判中の05年に病死して公訴棄却となった元被告山中鶴雄さん(当時77)の妻ら遺族5人。

 この事件をめぐっては、すでに3件の国賠訴訟が起こされ、1件が確定、2件が係争中だ。

 確定しているのは、任意の事情聴取中に県警の元警部補、浜田隆広被告(45)=特別公務員暴行陵虐罪で福岡地裁に在宅起訴=が、男性に親族の名前などが書かれた紙を無理やり踏ませた「踏み字」事件の損害賠償請求訴訟の判決。今年1月、同地裁が取り調べの違法性を認め、県に60万円の支払いを命じた。

 係争中なのは、捜査の過程で被告との接見内容を調書化されたとして弁護士11人が国と県を訴えた接見交通権訴訟と、事件の関連捜査で県警から違法な取り調べを受けて自白を強要されたなどとして同市の住民8人が県を相手に慰謝料を請求している訴訟。


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残念ですね。第3回は,来週土曜日(10月27日)放映のようです。以下,NHKのHPからです。

10月27日放送予定

※10月20日は放送休止となります。

 三沢恭介(西島秀俊)は島で起きた殺人事件を受け持つ。それは長年の介護の果てに、妻(中原ひとみ)が寝たきりの夫を殺してしまうという悲しい事件であった。殺人事件のような重大な事件は合議体と呼ばれる3人の裁判官によって行われ、恭介は鹿児島本庁から出張してきた2人の裁判官と裁判を進めることになる。そんなとき、東京にいる恭介の母親、早苗(大山のぶ代)が足を骨折し、手術を受けるという連絡が入る。殺人事件の裁判で動けない恭介に代わって、麗子(戸田菜穂)が見舞いにいくことになる。一方、介護の殺人事件は、寝たきりの夫を11年に渡って一人で献身的な介護を続けたあげく、慢性的な疲れと睡眠不足から、思い余って犯行に及んだものと弁護士の平正明(寺田農)は法廷で主張する。だが、恭介は、被害者の顔の安らかな表情から、予想していたような単純な事件ではないことに気がつき始める…。


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 保険関係では,保険会社に厳しい最高裁判決が続いていますが,今回は,約款で疾病免責条項がなかったことが決め手になったようです(疾病によることを保険会社が立証しても,免責されないことになると考えられます。)。詳細は,最高裁判決文(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071019152240.pdf)を参照してください。以下,産経新聞からです。

「交通事故で死亡」だけで立証十分 最高裁初判断

 自動車総合保険の人身傷害補償特約をめぐり、保険請求者はどこまで事故原因を立証する必要があるかが争われた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第2小法廷であった。中川了滋裁判長は「請求者は、事故と被保険者が受けた傷害との間に因果関係があることを証明すれば足りる」との初判断を示した。その上で、保険金の支払い請求を棄却した2審高松高裁判決を破棄、支払うべき保険金額算定のために審理を同高裁に差し戻した。

 人身傷害補償特約は、事故によって車に乗っていた人が死亡したり、けがをしたりした場合、過失割合にかかわらず損害額分の保険金が支払われる。保険契約は「外来の事故により傷害を受けた場合に保険金を支払う」となっている。

 中川裁判長は「『外来の事故』とは、被保険者の疾病によって生じた事故にも該当する」と指摘。その上で「保険金の請求者は、事故と傷害の間に因果関係があることを立証すれば足りる」と判断した。

 上告していたのは、ニッセイ同和損保の人身傷害保障特約に加入し、乗用車運転中にため池に転落して死亡した松山市の男性の遺族。

 男性には狭心症の既往症があり、損保側は「狭心症発作が原因で運転できなくなり、事故が起こった。病気が原因なので『外来の事故』に当たらない」として保険金の支払いを拒んでいた。

 1、2審判決は「『外来の事故』とは事故原因が体内でなく、外部からの作用にあることをいう」とした上で、事故原因が狭心症の発作ではないことを遺族側が立証する必要があると判断し、遺族側の請求を退けていた。



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 公開手続に関して裁判官・書記官を厳重注意「処分」にしたとの報道がされています。戒めにしなければならないでしょうね。なお,根拠となっている下級裁判所事務処理規則21条は,各裁判所の長が,事務の取扱及び行状について「注意を与えることができる」との表現になっており,処分性があることは明白ではありませんので,「処分」の用語は避けた方がいいかもしれませんね。裁判官に関しては,憲法78条が「裁判官の懲戒処分は,行政機関がこれを行うことはできない。」とし,裁判所法及び裁判官分限法が,裁判官に対する懲戒の手続を定め,その判断は「裁判」でなされることになっています。今回の「注意」は,裁判でなされたものではなく,こうした懲戒とは異なるものです。
 以下,読売新聞からです。

公開手続き取らぬ判決、裁判官を厳重注意処分
 千葉地裁松戸支部の民事訴訟で第2回口頭弁論の公開手続きが取られないまま判決が言い渡された問題で、千葉地裁(中山隆夫所長)は18日、担当した同支部の納谷肇裁判官(53)を厳重注意処分とした。

 納谷裁判官の指示で公開されたとの内容の調書を作成した女性書記官についても注意処分とした。

 処分は、下級裁判所事務処理規則に基づくもの。納谷裁判官は昨年12月、土地賃借を巡る民事訴訟で、非公開の弁論準備手続きから公開が原則の口頭弁論に移る際、書記官を同席させるなど必要な手続きを取らなかった。控訴審で原告側が手続きの不備を申し立て、東京高裁が5月、「公開法廷で弁論終結の手続きを行わないまま判決を言い渡したのは違法」として審理を差し戻していた。



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司法試験合格者数について,揺れ動いていますが,この部分は平成司法改革における人的なインフラ整備の面があります。基本線がふらついていてやや心配です。司法過疎,弁護士偏在の問題はどの程度解決したという認識なのでしょうか。以下読売新聞からです。

司法試験合格者増の見直しの是非、自民調査会が検討を決定
 自民党は16日の司法制度調査会(臼井日出男会長)で、2010年度までに司法試験の合格者数を年間3000人程度に増やすとした政府目標の見直しの是非を検討することを決めた。

 政府目標は02年3月に閣議決定。02年度に1183人だった合格者数は06年度に1558人に増え、今年度は約2100人を見込んでいる。

 しかし、法曹関係者からは「合格者数が多すぎると弁護士の過当競争が起きる」などの反対意見が出ており、鳩山法相も「3000人は多過ぎる」などと発言した経緯がある。



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裁判官の自殺という悲しいニュースが流れています。産経新聞からです。

裁判官が飛び降り自殺 兵庫・尼崎

 12日午前11時10分ごろ、兵庫県尼崎市潮江の21階建てマンションの敷地内で、このマンションに住む山口地裁下関支部の男性裁判官(46)が頭から血を流して倒れているのを、外出先から戻った裁判官の妻が見つけ119番通報した。男性は全身を強く打って死亡した。

 県警尼崎東署の調べでは、マンション上層階に飛び降りた形跡があり、男性が自殺をはかったとみている。遺書などは見つかっていないが、男性は今春から病気を理由に休職。自宅のあるマンションに戻り、通院中だったという。

 同地裁は「詳細を調査中でコメントできない」としている。


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楽しみですね。また感想などをコメントして下さい。以下,NHKのHPから第2回のあらすじです。

第2話【迷走】

 三沢恭介(西島秀俊)が下した実刑判決の影響で、被告の息子と同じ学校に通う恭介の娘、麻衣子(桝岡明)が学校の友だちからいじめられる。しかし麻衣子はほんとうのことを麗子(戸田菜穂)に話さない。いじめを察した麗子は学校に相談しに行くが……。一方、恭介は80歳のお婆さん(菅井きん)と76歳のおじいさん(梅津栄)との間の金の貸し借りの訴訟を受ける。双方に借用書や領収書などの証拠が無く、お互いの言い分を聞くだけの恭介は困惑する。また、島のつむぎ工場の民事再生手続きを手がけている弁護士の畑夏海(浅野温子)から、恭介は手続き開始の迅速な判断を強く迫られる。そんなとき、窃盗を繰り返す少年事件の審判を恭介は受け持つ。少年のたび重なる犯行から鑑別所での観護措置を決め、少年(森田直幸)に鑑別所への送致を告げる。その直後、少年は裁判所から逃走する…。


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まだまだ法曹人口を吸収できていませんが,将来的には有望ではないかと思います。よく言われる行政官庁や自治体はどうでしょうか。以下,朝日新聞からですが,本文に出てくる高山弁護士は元裁判官で,一緒に野球をしたのが懐かしい。裁判所から去ってしまって少し寂しい限りです。

法務部、増す存在感 買収防衛・法令順守…役割拡大

 「企業の法務部門」と聞いて何を思い浮かべますか。契約書式のチェック? 特許の登録事務? 確かにそれも法務部門の仕事ですが、最近は中身も陣容も大きく変わりつつあります。法令順守や企業倫理が社会から厳しくチェックされるようになり、法律や制度も次々に大きく変わります。世界的な企業合併・買収(M&A)時代にも備えなければいけません。変化のなかで、関係者の悩みもまた多いようです。

経営法友会の会員数と企業内弁護士の人数

企業内弁護士が多く所属する企業上位10社

 ●不可欠な現場感覚

 約400人の企業の法務担当者らが9月半ば、都内のホールを埋めた。法務部門の交流組織「経営法友会」が毎月開く定例会。この日のテーマは買収防衛策だった。

 米投資ファンドのスティール・パートナーズがブルドックソースに仕掛けた敵対的買収など、国内で本格的なM&A時代が幕を開けたことを印象づける事例がこの数年、相次いだ。企業は、買収防衛策の検討などいや応なく対応を迫られている。

 その最前線にいるのが法務部だ。「防衛策導入の効果はあるのか」「どんな仕組みにすべきか」。講師の弁護士の話に、法務部員らは熱心にメモをとった。買収防衛策の導入を決めた上場企業は約1割の400社に過ぎず、経営陣にも判断材料はまだ乏しい。法的な実務を仕切る法務部門の判断が重要になる。

 大買収時代到来だけではない。「ここ数年は大きな制度改正が続いた激変期。規制緩和でビジネスも多様になり、法務で扱う案件が増えた」。大和証券グループ本社法務部長の桑原政宜さん(43)は話す。06年施行の新しい会社法で、様々な組織再編や資金調達が可能になり、国境を越えたビジネスも増えている。

 加えて、投資家保護を強めた金融商品取引法も9月末に全面施行された。証券会社員が商品説明を今まで以上に十分果たさないと法令違反の恐れがあるなど、経営リスクにかかわる事例が増加。社会や消費者の目も一層厳しくなっている。

 71年に約100社で発足した経営法友会への加盟は今年、1000社を突破した。会の代表幹事を務める三菱商事法務部長の松木和道さんは「法務は契約書の草案作りなど黒衣役だったが、今は営業の最前線に立つことも多い。仕事の領域が広がっている」と話す。

 課題は人材。桑原さんは「法律知識だけではだめ。変化が早い現場の動きを把握しなければ仕事にならない」と、人材育成の重要性を指摘する。

 ●弁護士の採用は道半ば

 そんななかで、企業法務界で期待されているのが、「企業内弁護士」の役割だ。昭和シェル石油の井上由理・法務室長もその一人。同社の顧問をしている法律事務所にいたが、03年に請われて室長に就いた。

 石油業界は近年、需要低迷や激しい価格競争にさらされている。同社も太陽光発電などの新規事業を拡大中で、法務室の仕事も契約の審査だけでなく、最新技術の知的財産権保護や活用が重要度を増している。井上さんの室長就任時に8人だった室員は12人に。井上さんは「法務部の力が、企業の基礎的な力として試される時代になってきた」と実感している。

 国内の企業内弁護士は現在約190人。TMI総合法律事務所の弁護士、高山崇彦さんは「早い段階で法的なチェックができ、法律事務所に持ち込まれる案件でも問題点が事前に整理されている」と利点を指摘する。

 だが、日本弁護士連合会が今年まとめた約5000社を対象に行った調査では、企業が今後5年間で採用する予定の弁護士は約70~170人と、「非常に低調」(日弁連)な結果となった。

 背景には、企業が求める実務に通じた人材は応募が少なく、「企業側が望む人材と就職を希望する弁護士のミスマッチがある」(企業の法務担当者)という事情がある。一般に弁護士の所得水準は民間企業の従業員より高く、処遇が難しいことも二の足を踏む原因になっているようだ。

 ただ、司法制度改革により、現在は年間約1500人の司法試験合格者が、2010年に2倍に増える見通しだ。弁護士資格を持つ人が企業に入り、営業現場なども経験しながら法務担当者になる可能性は今後増える。

 企業や官庁で働く弁護士で作る日本組織内弁護士協会理事長の梅田康宏さん(33)は「日本企業が国際競争力を保ち続けるには、法律の知識や経験豊かな人材が社内にも不可欠なはずだ」と話す。企業が弁護士を社内で活用する機運を高め、弁護士側も企業で働くことへの抵抗感を薄めるなど、「産業界も法曹界も意識を変える必要がある」と梅田さんは指摘する。

 ●「ブレーキ役」期待

 企業の法務部は、経済記者もあまり接する機会がない。初めて取材して、広い守備範囲に驚いた。ビジネスや研究開発の現場から見れば、口うるさいブレーキ役に見えるかも知れないが、大きな事故やトラブルを回避して仕事を進めるための、縁の下の力持ち的な存在だ。

 法務部門には、経営陣が万一、暴走した場合にブレーキをかける役割も一層大きくなっていくだろう。社会正義の実現を旨とする弁護士が、企業内で働くことの真価も、その局面で問われるのではないか。


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