日本裁判官ネットワークブログ
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 裁判員制度の下での公判調書について,審理中のやりとりを機械で文字化する「音声認識システム」の実用化についての記事が下記のとおり,朝日新聞に掲載されています。一方,速記官制度を守る会と、電子速記研究会は,「裁判員制度を支える速記官」(http://www3.sokkikan.coco.ac/modules/wordpress/index.php?p=96)というDVDを作成されています。いずれにしても,裁判員制度の下で,裁判官と裁判員による充実した評議のために,正確でかつ迅速な調書の作成が求められており,そのために関心が高まるのはまことに結構なことのように思われます。

               記
裁判員時代の公判調書、自動化なるか 方言認識など課題

 裁判員制度のもとで、証人や被告が法廷で話した内容を翌日には裁判員たちが確認できるよう、最高裁は審理中のやりとりを機械で文字化する「音声認識システム」の実用化を進めている。2年後の制度開始までに全地裁での導入を目指すが、言葉の認識率をどう高めるかがカギ。全国一律のシステムのため各地の方言、独特の言い回しへの対応が困難という課題も浮上している。

 裁判の証人尋問や被告人質問は裁判所速記官が廷内で記録していたが、最高裁は98年に採用を停止。現在はやりとりを録音して後でテープ起こしする「録音反訳」が主流だが、調書作成に4日はかかる。

 裁判員制度の裁判では公判は原則ほぼ連日開かれる。調書のないまま連日開廷したのでは、きちんと流れをふまえて尋問・質問に臨みたい検察・弁護側や、評議に入ってから核心となる証言や供述を確認したいという裁判員・裁判官のニーズに応えられない。

 そこで最高裁はすばやい文字化を図ることにし、昨年度からNECに音声認識システムの研究開発を委託。今年度は1億3000万円を計上し、認識率の向上にかけている。完璧(かんぺき)な書面化には時間がかかるにしても「確認したい場面のチェックが優先」として、検索機能を充実させ、すぐ「頭出し」できるようにする考えだ。

 NECによると、アナウンサー調の話し言葉であれば認識率90~95%まで向上したものの、そのほかは話し手や話す状況によって数値は大きく変わる。同じ響きの他の言葉に変換される、語尾が文字化されない、などの課題は残り、最終的には人による点検が必要という。

 法廷に出てくる人にアナウンサー並みの話し方は期待できない。特に難題なのは、地方によって違う方言や言い回しの認識だ。法廷でよく使われている言葉の辞書化も進めているが、全国一律なシステムのため、各地裁の管内に特有の言葉への対応は困難という。

 大阪地裁で40年以上、速記官の経験がある石渡照代さん(63)は「記録には正確さが高く求められる。速記官は聞き取りにくければその場で聞き直しを頼むが」と機械による音声認識を懸念している。「転勤族の裁判官はともかく、法廷で方言を使うことはごく日常的。例えばヤクザの方言を使ったおどしが恐喝罪が成立するかどうかを左右するだけに、地方に合った対応が不可欠だ」と指摘する


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14歳未満であっても、少年院送致を可能とする改正案が国会で審議中ですが、低年齢少年が、実際に少年院送致された場合の処遇について、以下のとおり、毎日新聞が報道しています。児童自立支援施設(旧教護院)の夫婦小舎制を参考にするようですね。

<少年院入所者>低年齢はチームで処遇 男女教官が父母役に

 少年院の入所年齢を14歳から「おおむね12歳」に引き下げる少年法改正案の衆院通過を受け、法務省は、小学生など低年齢の入所者を、父母役の教官に精神科医らを加えたチームで処遇する方針を固めた。少年院は、同性の教官による集団での矯正教育が基本だが、低年齢の場合はこれとは切り離し、個室を含む専用の施設を使った独自プログラムで生活する。当面は全国53の少年院のうち、8施設でこうした処遇を行うことになる。
 法改正のきっかけの一つとなった長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件(04年)では、非行当時11歳の加害少女が、14歳未満の受け皿である児童自立支援施設で精神科医や心理学者らの専従チームによる処遇を受けている。同施設は「福祉」、少年院は「矯正・保護」と役割は違うが、低年齢者に対する処遇のため、同施設の手法を少年院で参考にする。
 具体的には、男子には男性、女子には女性の教官1人が担任となる通常の矯正教育とは異なり、小学生など年少の少年は、男女の教官が「父母のような役割」で担当。精神科医、カウンセラーも交えたチームを作り、集団から離れた環境で、心理・発達面に配慮して指導にあたる。小動物や花を育てたり、掃除・洗濯をプログラムに採り入れるほか、私服の着用も検討されている。
 受け入れる少年院は、東日本と西日本でそれぞれ▽男女の初等少年院各1カ所▽医療少年院各1カ所▽知的障害児などへの特別支援教育を行っている少年院各1カ所。新たな居住場所を確保するため改修を検討中だ。また、法務教官ら10人以上が児童自立支援施設で宿泊体験をした。
 一方、日本弁護士連合会などは小学生の入所に反対しており、今後議論になるとみられる。【野倉恵】


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2つの大きな最高裁判決が出ました。読売新聞と共同通信からです。

強制連行賠償訴訟、中国人個人の請求権認めず…最高裁(読売新聞)

西松建設強制連行訴訟の判決後、法廷を後にする原告団
 戦時中に強制連行され、広島県内の発電所建設現場で過酷な労働を強いられたとして、中国人元労働者2人と遺族3人が、工事を請け負った西松建設(東京都港区)に、総額2750万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が27日、最高裁第2小法廷であった。

 中川了滋裁判長は「1972年の日中共同声明により、中国人個人は日本に対し戦争被害について裁判上、賠償を請求することはできなくなった」との初判断を示した上で、企業側に全額賠償を命じた2審・広島高裁判決を破棄し、原告の請求を棄却した。原告側敗訴が確定した。

 戦時中の被害を理由に中国人が起こした戦後補償訴訟は、強制連行や従軍慰安婦など現在、約20件が係争中だが、最高裁が個人の損害賠償請求権を否定したことで、これらの訴訟で司法による救済が原則、認められない見通しとなった。


中国人元慰安婦も敗訴確定(共同通信)
 中国人元従軍慰安婦とその遺族が国に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は27日、2審東京高裁判決の請求棄却の結論を支持、原告の上告を棄却した。原告敗訴が確定した。才口千晴裁判長は、同日午前に中国人元労働者の敗訴が確定した西松建設強制連行・労働訴訟の判決と同様「72年の日中共同声明で中国人個人の賠償請求権は放棄され、裁判では行使できない」と判断した。





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共同通信からです。被告人に逃げられるという苦い経験は裁判官なら持っている人が多いのではないでしょうか。刑事訴訟法では保釈(権利保釈,裁量保釈)が認められていますが,それに該当する場合であるとして保釈を認めると,逃げられることもあります。私も経験があり,今でもよく覚えています。職責上,つらい経験ですね。(瑞祥)

被告が逃亡、30年以上公判停止 名古屋地裁 (共同通信)
 名古屋市で1975年に交通事故を起こし、業務上過失致死罪で起訴された男が翌年、名古屋地裁の初公判後に逃亡して行方不明となり、30年以上、公判が開かれていないことが26日、分かった。手掛かりはなく、生死も分からないという。男は愛知県春日井市で土木作業員をしていた古川賢助被告(70)。当初の国選弁護人は死亡、引き継いだ弁護人も死亡し、現在は誰も選任されていないという。





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京都地裁の東尾裁判官による温情判決のことが,新聞(京都新聞)に出ています。何かの本で紹介されるかもしれませんね。(瑞祥)

罰金は「0円」、温情判決 京都地裁、記憶喪失で万引の男に

 京都府城陽市のスーパーで万引をしたとして、窃盗罪に問われた記憶喪失の男の判決が25日、京都地裁であった。東尾龍一裁判官は、男が自分の名前や住所すら思い出せないことに触れて「犯行の背景には記憶喪失があり、同情の余地がある」と述べ、罰金15万円(求刑罰金20万円)を言い渡した。未決拘置期間を1日1万円と換算して刑に算入し、罰金を全額払った形にする「温情判決」となった。
 判決によると、男は2月22日にスーパーで弁当や酒(計1723円相当)を盗んだ。その3、4カ月前に山で寒くて目が覚めた時からの記憶がないといい、駐車場や地下街で寝泊まりしながら、ひたすら歩く生活をしていた。男は公判で「昭和26(1951)年か27年の生まれで、広島の方から歩いてきた」と述べたが、弁護人によると、今も記憶ははっきりしていない。
 東尾裁判官は「空腹をしのぐためだが、やったことは悪いこと」と諭した。その上で「弁護士や検察官もあなたがまっとうに生きてほしいと手を尽くした。世の中それほど捨てたものではない。人を信用し、交番に行くとか弁護士に相談するなどして悪いことはしないように。私に会いに来てくれても、できるだけのことはする」と述べた。
 男は判決後釈放され、保護施設に入ることになる。検察側は、罰金の略式命令では「金も身よりもない男が困る」としてあえて公判請求を選び、弁護人とともに男が施設に入れるように関係機関に働きかけていた。



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読売新聞からです。当事者も確信がもてないと,むやみやたらと懲戒請求ができないということでしょうか。(瑞祥)

弁護士への懲戒「理由なく請求」は違法…最高裁

 栃木県足利市の弁護士が、不当な懲戒請求で名誉を傷つけられたなどとして、新潟県上越市の男性とその代理人(弁護士)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が24日、最高裁第3小法廷であった。

 上田豊三裁判長は「懲戒理由がないことを知り得たにもかかわらず、あえて懲戒請求するなど、相当性を欠く場合は違法となる」との初判断を示した上で、賠償を認めなかった2審判決を破棄し、男性側に50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 弁護士に対する懲戒請求は、弁護士数の増加などを背景に近年、急増しているが、この日の判決は、懲戒請求した側に賠償責任が生じる場合の基準を示した。

 1、2審判決によると、弁護士は、男性が代表を務める会社に対して損害賠償訴訟を起こした別会社の代理人を務めたが、男性は「高齢の自分に過大な負担を強いる不当な訴えを起こした」などの理由で2003年1月、栃木県弁護士会に懲戒請求した。


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裁判員制度準備のためのコストは300億円のようです。読売新聞からですが,これだけの費用を投入するだけに,裁判員制度を成功させることは必須でしょうね。


9人並ぶ法壇・判決議論の評議室…裁判員制へ地裁一新

 2009年にスタートする裁判員制度に向け、裁判所庁舎の改修などの準備が本格化している。

 最高裁が施設整備などの費用を基に試算したところ、全体のコストは計約300億円。制度開始後には裁判員への日当や旅費なども必要になることから、最高裁は、こうした支出に国民の理解を得るため、制度の意義を強調していきたい考えだ。

 全国50地裁では現在、一般市民を裁判に迎え入れるための庁舎改修が、順次進んでいる。裁判官3人に裁判員6人を加えた計9人が法壇に並んで座れるよう、幅が広い法廷を確保するほか、裁判員候補者の待合室や、9人で結論を話し合う評議室も設けている。すでに、支部を含めて22か所で工事を終えた。

 また、審理を裁判員に分かりやすくするため、今後、法廷には映像機器を導入していく。例えば、目撃証人がタッチペンを使い、事件当時に自分のいた位置を図面上で指すと、法廷の壁の大型モニターに映写される仕組みなどが検討されている。

 このほか、年間約37万人に達する裁判員候補者の名簿を管理し、スムーズに呼び出すことができるコンピューターシステムも導入予定だ。こうした施設整備などには約300億円がかかると見られている。

 一方、制度がスタートすると、今度は人件費や、システムの維持管理費がかかるほか、8000円~1万円程度となると見込まれる裁判員への日当や裁判所への往復の旅費も必要になる。ただ、日当の額などが決まっていないため、「現時点では試算が難しい」(最高裁事務総局)という。

 裁判員制度では、こうした“ランニングコスト”に加えて、仕事や家事を休んで参加する裁判員の負担が、大きな課題となっており、こうした様々な負担に対する国民の理解が不可欠。最高裁は、判決に国民の感覚が反映されるなどの意義を訴えるため、人気俳優を起用した裁判映画や広告による広報活動を続けていくという。



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安原浩さん(前広島高裁岡山支部長)が,この度松山家裁所長に転出された。安原さんは,わが日本裁判官ネットワークのコーディネーターであり,グループの中心メンバーである。この人事異動を素直に喜びたい。長年誠実に仕事をしてきたベテラン裁判官を所長として処遇する,当たり前の人事ではある。それにしても,部内では風当たりが必ずしもよくないと,これまでやや辛い思いをしてきたメンバーには,ほっと一安心の思いがある。信じるところを臆せず堂々と主張し行動しても,真面目に裁判と向き合っている限り,人事の上での不利益はありえない,この当然の事柄がしっかりと確認でき,多くの裁判官に勇気を与えてくれる人事であった。安原さんの所長としての活躍に期待したい。(蕪勢)


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毎日新聞に,相次いで,被害者の刑事訴訟への参加制度について記事が出ています。

<被害者参加制度>「考える会」が廃案求め要望書

 犯罪被害者が刑事裁判の公判に出席して被告への直接質問などができる被害者参加制度について、遺族や学者らでつくる「被害者と司法を考える会」は20日、制度を創設する刑事訴訟法改正案の廃案を求める要望書を法務省や衆参両院の法務委員長に提出した。「制度開始後に改めて制度の在り方を検討すべき」と訴えている。

<犯罪被害者>裁判参加制度は「不可欠」

 全国犯罪被害者の会は21日、都内でシンポジウムを開き、被害者参加制度や付帯私訴制度を導入する刑事訴訟法改正案について、「被害者の尊厳、被害回復に不可欠な制度である」として早期の成立を求める決議を採択した。また、「制度が導入されても、裁判が報復の場になったり、混乱することは有り得ない」と訴えた。


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今年の新司法試験は,昨年よりも少し狭い門になりそうです。以下,時事通信社からです。(瑞祥)

新司法試験、5000人が受験へ=予想合格率は38%-法務省

 法務省は19日、今年の新司法試験(5月15~19日)の受験予定者が5280人に上ったと発表した。再挑戦組に加え、法学未修者を対象にした法科大学院の3年制コース修了者が新たに参加するため、昨年実施された第1回試験の受験者(2091人)と比べ2.5倍の急増となった。
 今年の合格者数の目安は2000人で、予想合格率は約38%。昨年(合格率48・3%)よりやや「狭き門」となるが、新司法試験と並行して実施されている旧司法試験(昨年の合格率1.8%)と比べると依然、合格率は高い。 


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児童虐待防止法改正案が通りそうです。この法案は,おそらく,多くの国民の皆さんが待ち望む法案ではないでしょうか。裁判所に勤務する者としては,また一つ,厳粛な職務(児童相談所への令状発付)が増えたと感じています。がんばらないといけないですね。以下は,読売新聞からです。


児童虐待防止法 施行が来年4月では遅すぎる

 家庭の中で虐待され、助けを求められずにいる子どもが、今もどこかにいる。命を救うためには実力行使も必要だろう。

 超党派の国会議員グループが児童虐待防止法の改正案をまとめた。今国会に議員提案し、5月にも可決・成立する見通しだ。

 改正案の眼目は、児童相談所の権限を大きく強化した点にある。

 虐待を疑われる親が任意調査や出頭の求めに応じない場合は、都道府県知事が裁判所の令状を取り、児童相談所の職員が強制的に住居に立ち入れるようにした。その際に警察官も同行する。

 当然、行政に持たせるべき権限だ。むしろ遅すぎたと言わざるを得ない。

 前回2004年の法改正時にも、児童相談所や警察の立ち入り権限を強化すべきだ、との議論があった。だが、「人権侵害の恐れ」を強調する野党などの反対で見送られた経緯がある。

 その後、悲惨な虐待事件が数多く明るみに出た。

 特に昨年5月、福島県で3歳の男児が衰弱死させられた事件では、親が玄関のドアに鍵をかけるなどして児童相談所の訪問調査を拒んだために、子どもの保護に至らなかった。

 この事件を受けて、警察庁は「人への危害が切迫した場合、建物に立ち入ることができる」という警察官職務執行法の規定を積極的に活用するよう通達している。しかし現実には、危害が切迫しているかどうかの状況判断は容易でない。

 今後は、定められた要件と手順に従って強制調査が行えるようになる。主体は児童相談所であり、警察は支援する立場だが、必要とあれば警察官はためらうことなく調査の前面に立つべきである。

 改正案はさらに、施設に一時保護した子どもを連れ戻そうとする親に対して、児童相談所が知事名で罰則付きの接近禁止命令を出せるようにした。

 児童相談所や市町村についても、虐待情報があった場合は必ず子どもの安全確認を行う義務を明記する。行政は強力な権限を与えられた以上、しっかりと職務を果たさなければならない。

 昨年1年間に、家庭で虐待されて死亡した子どもが59人もいる。対策は待ったなしの状況だ。にもかかわらず、改正案は施行期日を来年4月としている。1年近くも先だ。これは、あまりに悠長ではないか。

 役所の事情を考慮してのことなら、理由にならない。令状を請求する児童相談所や、これを許可する裁判所の体制づくりは、今年度中でもできるだろう。子どもの命が第一だ。



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「少年院送致は12歳から、少年法改正で与党修正案」との報道がなされています。以下は,読売新聞からですが,かつて少年事件を担当した者としては,どんどん下限の下がる制度議論に少々抵抗感もあります。ただし,今まで触法少年(14歳未満)の処遇にあたってきた児童自立支援施設(かつての教護院)も,運営が曲がり角にきているようであり,厚生労働省から「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」報告(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0228-2.html)も出されています。当ブログを閲覧されている方の中には,少年事件関係に詳しい方も多いと思います。コメントをお願いします。なお,個人的には,児童自立支援施設の小舎夫婦制に郷愁がありますが,上記報告を見ても,その数は減少しているようです。

 与党は16日、少年犯罪の凶悪化、低年齢化に対応するため、少年院送致の下限年齢を現行の「14歳以上」から「12歳以上」に引き下げる方針を固めた。

 ただし小学生は除外する。今国会で審議されている少年法改正案の修正案として盛り込み、民主党側に提示した。

 少年法改正案は政府が提出しているもので、少年院送致の下限年齢を撤廃するとしている。これに対し民主党は、「少年の場合は児童福祉施設での処遇を優先すべきで、小学生を少年院に入れるのは不適当だ」などとして下限年齢の撤廃に反対している。このため、与党は下限年齢を「撤廃」から「おおむね12歳以上」に修正して野党との合意を目指すこととなった。民主党内には、政府案よりも与党案を評価する声があり、同法改正案は今国会で成立する可能性が出てきた。




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毎日新聞からです。何でも事業になるものですね。どう考えたらいいのでしょうか。(瑞祥)

保釈金:立て替え業者急増 刑事被告人対象に「担保不要」
 刑事被告人が保釈の際に裁判所に納める保釈保証金を立て替える専門業者がある。多いところでは、年間で800件以上も扱っており、年々増える傾向にある。保証金の額は、裁判所が事件の内容や被告の資産状況などから決める。「被告の家計が苦しい場合に助かる」と評価する声がある一方で、「第三者である業者の介入は、制度の理念を揺るがしかねない」など疑問視する法曹関係者もいる。

 「日本保釈支援協会」(東京)は、担保や保証人は不要で500万円を上限に立て替える。裁判所への納付や協会への返金は被告の弁護人が行う。被告が逃亡するなどして保釈保証金が没収されると、家族ら申請者に損害分を支払ってもらう仕組みだ。手数料は、金額が増えるほど高く設定していて、200万円を2カ月間立て替えた場合は6万6000円、400万円では13万4000円だ。

 立て替え件数は、始めた04年度は55件だったが、05年度は314件、昨年度は823件で年々増加。被告の逃亡などで保釈保証金が没収されたケースは、昨年度3件あったという。同協会の事務局長(43)が、知人の金銭トラブルに関係して逮捕され(不起訴)、保釈保証金を用意できない人がいることを知り、「困っている人を助けたい」と始めたという。

 横浜市内には、今年2月から立て替え事業を始めた業者がある。雑誌広告やインターネットを見た被告の関係者や弁護人から申し込みがあり、3月末までに10件請け負ったという。理事(61)は「社会貢献ができる新しいビジネスと感じている」と話す。

 担当した被告数人がこうした業者を利用した弁護士は「保釈保証金が高すぎ、被告の家計が苦しい場合はとても助かる」と語り、業者の存在意義を強調する。

 しかし、こうした実態に、元裁判官の萩原昌三郎弁護士は「業者が立て替えるようになると、保釈保証金が期待している精神的な拘束力が弱まる可能性がある」と指摘し、制度面からの懸念を示す。実際、業者を利用した別の弁護士は「簡単に立て替えてもらえ、被告が自分の置かれた状況を甘く受け止めているように感じた」と話す。

 また、業者の中には、金融業を営みながら「保釈保証金の相談に乗る」などと宣伝している例もあり、「実態は貸金業と同じ」と指摘する法曹関係者もいる。

 萩原弁護士は「法曹三者で立て替え制度の必要性の有無や保釈保証金の理念を議論し、必要なら日本弁護士連合会が保証金の立て替えにかかわるべきだ」としている。【渡辺暖、宮川裕章】

 ◇保釈保証金◇ 裁判所が被告の保釈を許可した場合に、被告側に納付させる金。否認事件では、保釈の許可が出るケース自体少ないとされる。判決が出ると返還される。被告が法廷に出頭しなかったり、証拠隠滅をすると、裁判所は保釈を取り消し収監するとともに、保証金を没収することができる。金額は事件の内容や被告の資産などで決まり、100万円から300万円が多い。ライブドア事件で1審の実刑判決を受けた後の堀江貴文被告は5億円。



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各紙で報じられていますが,元札幌高裁判事の渡部保夫先生がお亡くなりになられました。渡部先生を慕っている法曹関係者は多いと思います。先生の生前のご活躍に敬意を表し,心からご冥福をお祈りしたいと思います。以下は,朝日新聞からです。(瑞祥)

 渡部 保夫さん(わたなべ・やすお=元札幌高裁部総括判事、元北大教授)12日、脳内出血で死去、77歳。偲(しの)ぶ会は14日午後7時、お別れ会は15日午前9時から札幌市豊平区平岸6条14の2の3の平岸シティホールで。喪主は妻倫子(みちこ)さん。自宅は非公表。

 理論派の刑事裁判官として、自白や目撃証言の信用性に関するルールをまとめ、刑事裁判の事実認定の方法論に大きな貢献をした。最高裁調査官時代は、水俣病患者だった故・川本輝夫さんがチッソ社員に対する傷害罪で起訴された事件で、検察側の上告を退ける決定などに関与。札幌高裁裁判長時代の85年には、共犯者の自白が冤罪につながった「梅田事件」の第2次再審請求即時抗告審で、再審開始を支持する決定をした。

 退官後は学者に転身。伊佐千尋氏との対談「日本の刑事裁判」では冤罪や死刑の問題点を指摘し、陪審制を支持した。




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以下は毎日新聞の記事からです。記事と共に、日本裁判官ネットワークのホームページ(http://www.j-j-n.com/)におけるオピニオン「judgeの目その13 山が動く~刑事裁判が変わりつつあります」をあわせてご覧ください。(瑞祥)  


<人質司法>裁判所側に対抗 日弁連が保釈請求運動へ

 刑事事件で起訴された被告が否認している場合に裁判所が保釈を認めない「人質司法」を打破しようと、日本弁護士連合会は今月から、全国8カ所の裁判所で一斉に保釈請求する運動に乗り出した。請求が却下された場合は準抗告・抗告して徹底的に争うよう求め、保釈が認められなかった理由を調査する。保釈請求しなかった事情の報告も求めており、結果は今秋にもまとめ公表する。
 日弁連は、釧路▽青森▽群馬▽愛知▽兵庫▽岡山▽徳島▽佐賀の8カ所を指定し、地元弁護士会に所属する全弁護士に対し、7月末までに起訴され保釈が認められない全被告の保釈を請求するよう呼びかけた。
 こうした運動に乗り出したのは「裁判官の判断が厳しすぎて保釈される被告の割合(保釈率)が下落した」との弁護士側の指摘に対し、裁判所側から「弁護士が保釈請求しないから保釈率が下がった」との反論が出ているためだ。弁護士側には「裁判所が保釈を認めないので、やみくもに請求することを控えているだけだ」との反発があり、日弁連はどちらの言い分が正しいか検証する。
 保釈について、刑事訴訟法は被告の権利と位置づけているが、否認や黙秘をしている場合は「罪証隠滅を疑う理由がある」との刑訴法の例外規定を根拠に、裁判所が請求を却下することが多い。こうした裁判所の姿勢には「自白を強要して裁判で争う権利を奪っており、えん罪を生む」との批判が根強くある。
 日弁連刑事弁護センター制度改革小委員会の竹之内明委員長は「保釈率低下の原因を明らかにして、保釈率が向上するよう制度改正につなげていきたい」と話している。
 【保釈率】起訴後も拘置が続いた被告の中で、保釈された人の割合。72年の約58%をピークに減少を続け、ここ数年は13~14%で推移する。一方、78年まで90%を超えていた保釈請求率も年々低下し、現在は25%前後。保釈請求を受けた裁判所が保釈を認める割合は65年以降、毎年ほぼ50%台となっているが、裁判官からは「裁判所の基準が厳格化しすぎているので見直す必要がある」との意見も出ている。



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