京都地裁の東尾裁判官による温情判決のことが,新聞(京都新聞)に出ています。何かの本で紹介されるかもしれませんね。(瑞祥)
罰金は「0円」、温情判決 京都地裁、記憶喪失で万引の男に
京都府城陽市のスーパーで万引をしたとして、窃盗罪に問われた記憶喪失の男の判決が25日、京都地裁であった。東尾龍一裁判官は、男が自分の名前や住所すら思い出せないことに触れて「犯行の背景には記憶喪失があり、同情の余地がある」と述べ、罰金15万円(求刑罰金20万円)を言い渡した。未決拘置期間を1日1万円と換算して刑に算入し、罰金を全額払った形にする「温情判決」となった。
判決によると、男は2月22日にスーパーで弁当や酒(計1723円相当)を盗んだ。その3、4カ月前に山で寒くて目が覚めた時からの記憶がないといい、駐車場や地下街で寝泊まりしながら、ひたすら歩く生活をしていた。男は公判で「昭和26(1951)年か27年の生まれで、広島の方から歩いてきた」と述べたが、弁護人によると、今も記憶ははっきりしていない。
東尾裁判官は「空腹をしのぐためだが、やったことは悪いこと」と諭した。その上で「弁護士や検察官もあなたがまっとうに生きてほしいと手を尽くした。世の中それほど捨てたものではない。人を信用し、交番に行くとか弁護士に相談するなどして悪いことはしないように。私に会いに来てくれても、できるだけのことはする」と述べた。
男は判決後釈放され、保護施設に入ることになる。検察側は、罰金の略式命令では「金も身よりもない男が困る」としてあえて公判請求を選び、弁護人とともに男が施設に入れるように関係機関に働きかけていた。
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裁判官さんって犯罪者見下して力を振りかざす、非情な悪代官みたいなのばかりかと思ってましたが、絵に描いた大岡裁きなんてなさるお代官様はまだいらっしゃるんですね!法律って人間を凍りつかせるものっていうか凶器と思ってましたが人間が、否、力を与えられた裁判官さんがこのように使ってらっしゃるんでしたら、滅多には通らない司法試験にも意味があるモノだと思いました。
裁判所、地裁の刑事裁判を傍聴したことがあります。新聞やテレビの報道なんかより、事実関係がよーく解って、被告人は恥ずかしながら友人でありましたが、
「アイツってそんな奴だったのか~!」恋愛感情なんて被告人に抱いて望んでたのですが、人生の失策をお代官さまゆえに踏まなくて済みました。わたしの恋愛はいつになったらハッピーエンドになるのでしょうか?お代官さまには無理難題かな?
田舎の実情は手に取るようにわかります。小生は、人口8800人の小さな町で育ちました。あこがれは市でした。法律の力を振りかざすどころか、民事介入暴力がはびこり、同級生には一家離散になった者もいました。冷たいイメージがあるかもしれませんが、市民の権利と生活を守るために法律が大事なところもあると思っています。
それはそうと、刑事裁判を傍聴したことがおありなのですね。裁判員制度になったら是非ご活躍ください。また、市井太刀夫さんの恋愛に口出すことはできませんが、ハッピーエンドになるのをお祈りしております。
今更ですが、コメントさせてください。
この事件では、裁判官だけではなく、検察官や弁護人も被告人のために奔走したようですね。判決だけでなく、説諭にもジーンときました。
裁判官:私に会いに来てくれても、できるだけのことはする
検察官:罰金の略式命令では「金も身よりもない男が困る」としてあえて公判請求を選ぶ
弁護人&検察官:男が施設に入れるように関係機関に働きかける
東尾龍一裁判長が仰るように、本当に世の中捨てたものではないですね。