日本裁判官ネットワークブログ
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最高裁広報課による裁判員制度メールマガジン第4号に,下記の情報が載せられていました。出演される鬼澤さんは,先日Jネットメンバーの安原さん,伊東さんが取材を受ける形で出演されたサンデープロジェクトの保釈特集にも,最高裁の参事官として,同じく取材を受ける形で出演されていました。東京地裁保全部時代は,田中真紀子元外相の長女の私生活に関する記事が掲載される予定であった「週刊文春(平成14年3月25日号)」の出版を禁止する仮処分命令(差止命令)を発令されたことなどで有名です。是非番組を見て下さい。

              記
裁判員制度について,制度の意義や仕組みなどを取り上げた放送大学テレビ放送が放映されます。この放送をご覧いただき,裁判員制度について,より一層ご理解いただければ幸いです。

  放 映 日:平成19年6月 2日(土)20:00~20:45
            8月29日(水)20:00~20:45ほか
      (詳しい放映日時については http://www.u-air.ac.jp/
                          をご覧ください。)
  制  作:放送大学学園
  タイトル:「特別講義 変わる刑事裁判~裁判員制度~」
  講  師:最高裁判所事務総局刑事局参事官 鬼澤友直



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週間文春5月31日号に,「新人2000人 底抜けおバカ弁護士 急増中」との刺激的な見出しで,司法改革についての記事が掲載されています。小見出しは「打ち合わせもしない弁護士」「新人五百人が就職できない」「司法制度改革はすでに失敗」などというもので,弁護士増員の弊害現象を記事にしたもののようです。記事の評価は分かれるでしょうが,読まれた方は感想などコメントして下さい。

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 裁判員制度や被害者の刑事訴訟への参加が話題に上ることが多いのですが、実は日常刑事裁判関係の仕事をしていると、やるせない思いをするのが、常習累犯窃盗犯などに代表される再犯を犯した被疑者・被告人の処遇です。あまり光のあたらない世界なのですが、朝日新聞に、以下のような学者の研究成果が出ていました。私は、今刑事関係は令状だけですが、記事の統計をみると、さもありなんと思います。

満期釈放受刑者の4割超、「帰る場所ない」

 刑務所からの満期釈放者のうち、30年前には9%だった「帰る場所がない」人が、05年には4割を超えたことが、龍谷大学矯正・保護研究センターの浜井浩一教授の分析でわかった。厚生労働省研究班調査で25日、知的障害がある受刑者の約半数に引受人がなく、生活苦が再犯につながっていると明らかになったばかり。浜井教授は「社会に居場所がないと、刑務所に戻るために微罪を重ねる累犯につながりやすい。新たな受け皿を」と話している。


満期出所者の帰住予定地の割合
 法務省の矯正統計年報を基に集計、26日、名古屋市で開かれた日本刑法学会で発表した。

 規律違反がなく、身元引受人がいる受刑者は、刑務所長の申請により、仮釈放が認められる場合がある。仮釈放にならない満期釈放者は、出所者の約半数、年1万~1万5000人にのぼる。1975年の1万1736人について、出所前に尋ねた帰住予定地をみると、「配偶者のもと」が最多で25%、「父母」24%、「更生保護施設」18%、「きょうだい」10%の順。「雇い主」も3%おり、「その他」=なし=は9%だった。ところが、年を追うごとに、配偶者、雇い主、更生保護施設の割合が減り、「なし」が増加。05年の満期出所者1万3605人では「なし」が44%で最多に。次いで父母22%、配偶者10%、知人8%。更生保護施設は5%、雇い主は1%に満たなかった。

 背景には、社会全体の離婚率・未婚率の上昇、受刑者の高齢化があり、受け皿となるべき更生保護施設も、満員で新規受け入れを断るケースが相次いでいるという。

 5年以内に再び罪を犯して刑務所に戻ってきた率(5年再入率)をみると、00年出所者で49%。帰住地や身元引受人が決まっている「仮釈放者」では39.1%なのに対し、「満期釈放者」では61.4%と高い。中でも半身まひや認知症など、生活介護が必要な「S級」受刑者の再入までの期間は、出所後3カ月以内が29%、1年以内が61%と短い。浜井教授は、社会で自立生活が送れない人は、刑務所を出てすぐ、無銭飲食や無賃乗車などでつかまって戻ってくる傾向がある」と説明。当面の衣食住を提供し、生活保護などの福祉につなげるような仕組みや、社会的弱者を排除しないようなコミュニティーづくりが不可欠だ、としている。


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5月23日に、追徴課税1330億円の取消しの判決のことが、マスコミを賑わせました。その額の大きさに驚きますが、一方で、海外移住との絡みの事件というところが興味を引きました。このところ、最高裁の判例で、何件かの租税関係事件が記憶に残っていますが、上記事件と似たところでは、海外の会社を介した場合の取引やスキームなど、海外が絡む場合が散見されるように思いました。以下は、朝日新聞からです。


 消費者金融大手「武富士」元会長の長男が元会長夫妻から贈与された海外法人株をめぐる税務訴訟で、東京地裁は23日、長男に対する約1330億円の追徴課税を取り消す判決を言い渡した。東京国税局は長男が税逃れのために香港に移住したとみて約1650億円の申告漏れを指摘していたが、鶴岡稔彦裁判長は長男の生活の本拠が実際に香港にあるため課税できないと判断した。

 税務訴訟で国側が敗訴したケースのうち、個人課税では史上最高額。

 訴えていたのは、武富士創業者の武井保雄元会長(故人)の長男で同社元顧問の俊樹氏(41)。

 俊樹氏は99年に元会長夫妻から武富士株約1569万株を保有するオランダ法人の株式の90%を贈与された。00年度の税制改正前は海外に住所があれば課税されないのがルール。97年に武富士の香港駐在役員として赴任した俊樹氏は、贈与された当時は香港が生活の拠点だったとして税務申告しなかった。

 鶴岡裁判長は、俊樹氏が制度改正前に財産贈与を受けるよう会計士からアドバイスを受けたことは認めたが、当時は国内よりも香港での滞在が長く、現地法人の代表として勤務していた点などに照らし、日本に住所地があったとはみなせないと判断。海外赴任が税逃れの目的だったとは言い切れないと述べた。

 俊樹氏は05年に提訴。国税局の指摘に応じて延滞税を含めた約1585億円を全額納付したうえで争ってきた。原告側代理人の試算では、現時点で判決が確定した場合、国は還付加算金を含め約1715億円を返還する必要があるという。

 東京国税局・新谷逸男国税広報広聴室長の話 国側の主張が認められなかったのは大変残念。関係機関と控訴するかどうか判決文を検討中だ。


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 3/21に,このブログで紹介した裁判員の模擬選任の様子が明らかになりました。結果としては,50人中5人の辞退が認められたようです。思ったより多いというのが個人的感想ですが,皆さんいかがですか。部分判決同様,裁判員制度をソフトランディングするための試みが模索されます。以下は,日経新聞からです。

模擬選任、「妻の出産予定」は辞退認める・東京地裁

 東京地裁は23日、トヨタ自動車や日立製作所など20企業の協力で実施している裁判員の「模擬選任手続き」で、無作為に選んだ50人の社員の返答状況などを公表した。10人から辞退の申し出があり、「妻の出産予定日」などを理由に挙げた5人は辞退を認めたことを明らかにした。

 模擬裁判は5月30日から3日間実施する。同地裁は約6週間前の4月18日、協力企業20社の社員から50人に呼び出し状を送付し、辞退理由の有無も調べた。

 10人の辞退希望者のうち認められた5人は「海外出張がある」「期間中に開かれる会議の意見書の取りまとめ責任者」「ちょうど異動時期で業務の引き継ぎが多忙」などが理由だった。(22:34)



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法曹5月号に,3/17にチェックメイトさんが紹介した,ドイツのナチスの復活阻止のため、公の場で「かぎ十字」を掲示した被告人に無罪がでた事件についての紹介が書かれています。同紹介記事によると,ドイツでは,反憲法的団体の標章(マーク)を使用する者を3年以下の懲役又は罰金に処する刑法規定があるようです。地裁は,被告人に日本円にして罰金約58万円の有罪判決をしていました。これに対し上訴(ドイツでは,地裁が1審としてした刑事判決への上訴は連邦最高裁への上告のようです。)があり,無罪判決がでたのですが,上告審での公判手続では,弁護側と同様に,連邦検察庁も無罪判決を求めていました。これは,日本の刑事訴訟の常識に慣れた者としてはちょっとびっくりしますが,さらに上告審の判決は,「犯罪行為に反対する者は,罪に問われない」と判示つつ,「このことが分からない者は,罰として宿題を与えられる」と,またびっくりするようなフレーズが述べられているようです。この宿題とは,地裁が補償決定を書かなければならないことを意味しているようです。いろいろ興味深いですね。

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昨年11/21,12/27にお伝えした裁判員制度下における部分判決制度が導入されました。以下は読売新聞からですが,法施行前の改正という「異例」の改正のようです。しかしながら,裁判員制度という大プロジェクトを円滑に進めるため,また国民意識との調和を図るためにやむを得ない改正,いやむしろ望ましい改正のように思います。この趣旨の改正は,頻繁では困りますが,時に果敢に行うのがよいのではないでしょうか。従前の法律が間違っていたとは思いませんが,昔から「過ちて改むるにはばかることなかれ」(論語)といいますから。


同一被告複数事件の「部分判決制」成立…裁判員制へ法改正

 2009年に始まる裁判員制度に向け、複数の事件で起訴された被告の裁判を事件ごとに分離し、それぞれ別々の裁判員が審理する「部分判決制度」を盛り込んだ改正裁判員法が22日、衆院本会議で可決、成立した。

 裁判員の理解を助けるため、公判のビデオ録画も導入される。複雑で長期間にわたる審理を裁判員に強いないよう、政府は同法について、異例の施行前改正に踏み切った。

 今回の改正は、1988~89年に幼女4人を次々に殺害した宮崎勤死刑囚の裁判のようなケースを想定している。この裁判では四つの事件を順々に審理したため、1審の死刑判決まで7年かかった。裁判員制度で同じ方法をとると、裁判員の負担が大きくなる。


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いよいよ通達実施です。長年争われてきましたね。以下は,読売新聞からです。

離婚後300日特例措置、きょうから市区町村窓口で開始

 離婚後300日以内に生まれた子を一律に「前夫の子」とみなす民法規定(嫡出推定)の問題で、法務省が通達を出した特例措置の受け付けが21日から、全国市区町村の戸籍窓口で始まる。

 医師が作成した証明書を出生届に添付し、離婚後妊娠が確認できれば、「再婚相手の子」か、再婚していない場合は「非嫡出子」としての届け出を受理する。証明書には、〈1〉妊娠の推定時期〈2〉推定時期算出の根拠(超音波検査や生殖補助医療の実施日など)――を記す必要がある。

 法務省通達に基づく特例措置による受理であることを明示するため、戸籍の特記事項欄には「嫡出推定が及ばない」と記載される。


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以下は共同通信の記事からですが,年金分割請求が4月に293件だったということです。予想したより少ないと感じられた方が多いのではないでしょうか。今後の推移はいかがでしょうか。制度がまた一歩進められる来年4月以降を待っている人が多いのかも?(瑞祥)

 離婚時に厚生年金や共済年金を分割する新制度が始まった4月、年金分割の請求は全国で293件あったことが21日、社会保険庁のまとめで分かった。約4分の3が女性からの請求で218件に上り、男性からは75件。離婚の当事者双方から請求があったケースは別々に集計しているため、件数は年金分割制度を利用した元夫婦の組数とは一致しない。




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前々からお伝えしていますが,本日のサンデープロジェクトでは,特集で司法改革,裁判制度,取調べの可視化が取り上げられたと思います(テレビ朝日のHPにおける下記PR記事参照)。日本裁判官ネットワークメンバーの安原浩裁判官(現松山家裁所長)が取材に応じる形で出演したと思います。2回も「思います」と書きましたのは,小生,所用により残念ながら見落としてしまったからです。それで,見られた方は,是非コメントをして下さい。テレビ朝日の記事を見ると,えらく刺激的です。実際はどうだったでしょうか。(瑞祥)


言論シリーズ第6弾
裁判員制度の“落とし穴”
-遅れる「取り調べの可視化」-

今週の特集コーナーは11時7分ごろの放送です!

先週に続くシリーズ「言論は大丈夫か」第6弾は、現在進められている司法改革を取り上げる。
市民が重大刑事事件について、裁判官とともに判決を下す裁判員制度の導入が2年後に迫っているが、果たして、これまでサンプロが提起してきた問題は解消されているのか。
内閣府のアンケートによれば、裁判員として「参加したくない」と答える消極派は78%にも上る。
 そのような声を意識した国は、裁判員裁判の「迅速化」を掲げるが、その「迅速化」には大きな問題が潜んでいた。
 それは、日本の警察における宿痾とも言うべき「自白強要」が行われた時、市民である裁判官が、それを見抜く事ができないという点だ。
 また、目撃者も証拠もなく、被告が自白を翻し、検察と弁護側が全面対立するいわゆる難事件を、裁判員制度で扱えるのか。
 今までは法廷に多くの証人が呼ばれ、凶器鑑定も複数行われるため、1審だけでも10年近い年月がかけられていた。2,3日から1週間程度とされる裁判員による法廷で、審理は尽くせるのか。
 特集では、実際に自白強要が行われた事件や、自白の信用性をめぐって検察と弁護側が全面対立した強盗殺人事件を取り上げ、裁判員制度で裁くことができるのか、徹底検証する。
 さらに、アメリカの陪審法廷を取材し、「迅速化」の弊害や、自白の任意性・信用性の問題を、どう解決しているのか明らかにする。
裁判員制度は大丈夫か!?徹底検証する。



≪出演≫
大谷 昭宏(ジャーナリスト)


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毎日新聞に,<法科大学院>5割弱が定員割れとの記事が載りました。「文部科学省は16日、今春の法科大学院入学試験状況を発表した。4月1日現在で、全74校(募集人員5815人)の志願者総数は前年比4866人増の4万5207人、志願倍率は同0.9ポイント増の7.8倍だった。志願者増にもかかわらず、定員割れの大学が5割弱の36校あり、総欠員数は102人だった。」というものです。これは何を意味するのでしょうか。受験生による法科大学院の選別が始まったということでしょうか。法科大学院が始まってまだ4年目なのに・・・。法科大学院経営も大変ですね。予想されたことではありますが。(瑞祥)



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犯罪被害者の新たな支援策が報道されています(毎日新聞)。また,刑事裁判への被害者参加について,東京新聞に社説が載りました。いろいろな動きがあるようです。

<犯罪被害者等給付金>政府、大幅引き上げへ 自賠責並みに(毎日新聞)

 政府は15日、犯罪被害者の新たな支援策について、犯罪被害者等給付金の大幅引き上げを図る方針を固めた。内閣府の検討会が近く公表する中間取りまとめに盛り込む。犯罪に絡み被害者が死亡した場合の遺族給付金は現行で最高約1573万円、負傷した場合の障害給付金は最高約1849万円だが、それぞれ自賠責保険金(死亡事故3000万円、重度後遺障害4000万円)並みに近付けることを提案する。
 国松孝次・元警察庁長官を座長に、学識経験者、被害者らで「経済的支援に関する検討会」を構成。同会はこれまで16回の会合を開き、犯罪被害者等給付金の範囲を拡大させる方向で一致。一般財源を充てることを念頭に大幅に引き上げ、支給裁定は今まで通り公安委員会が行うとしている。
 また、監禁殺人など特異な事件で期限内にやむなく受給申請ができなかった場合、特例として申請できるような制度の見直しも提唱。海外で事件に巻き込まれた被害者など、給付金の対象から外れるケースでは民間基金による救済を図るべきだとしている。また、今国会に上程されている刑事裁判への被害者参加制度が実現した際、被害者に公費での弁護人を付ける制度も検討すべきだとした。
 経済的支援以外の検討会では、被害者が被害状況を記載し、相談や説明の際に活用する「犯罪被害申告票(仮称)」の作成や、民間団体への財政支援などが盛り込まれる見通しだ。【坂本高志】


刑事裁判改革 被害者参加は出直しを(東京新聞社説)

 犯罪被害者が刑事裁判に直接参加できるようにする法案への疑問が強まっている。刑事司法の基本構造を変えるには慎重でなければならず、議論を尽くす必要がある。廃案にして出直すべきだ。

 法務省が国会に出している法案では、被害者は裁判の正式な構成員となり、被告人、証人への質問や、論告、求刑をする権利を得る。

 被告人に対する損害賠償請求を刑事裁判手続きに付随して審理する、いわゆる付帯私訴の制度も導入される。現在は、民事裁判を起こし、被害の事実や相手の責任を被害者自身が立証しなければならないが、検察官の立証をそのまま利用できるのだから負担は大幅に軽くなる。

 いずれも被害者にとって朗報といえそうだが、法案に対する異論が少なくない。刑事司法の構造を根本から変えることになるのに議論が不十分だったからだ。

 新制度では、被告側は法廷で検察官のほかに被害者も相手にしなければならない。被害者の前では被告人が十分な主張をできず、防御が困難になる。むき出しの被害者感情が判決に影響するおそれもある、などさまざまな批判、疑問が出ている。

 付帯私訴が実現すると、被告・弁護側は性質の微妙に異なる刑事と民事双方の責任をにらんだ訴訟活動を並行してしなければならない。刑事裁判の大半を国選弁護人が担う現状で、それに対応できるだろうか。

 弁護士の理解、協力が不可欠の改革だが、日本弁護士連合会は「法務省案には問題が多い」と三回も意見書を出し反対している。

 「量刑決定の責任が被害者に転嫁される」「捜査側からの情報開示など、被害を受けた直後からの支援がほしいのに法案にはそれがない」などと反対する被害者もいる。

 被害者支援強化の動きは二〇〇〇年代に入って加速したが、裁判への参加制度創設も急ピッチだった。〇五年に閣議決定した犯罪被害者等基本計画に盛り込まれると、昨年十月には法制審議会の部会で論議が始まり、その答申を受けて早くも今年三月には法案が国会に提出された。

 部会には特定の被害者団体の代表が委員として参加、団体の作った要綱がたたき台とされた。結果的に被害者の声を集約しているとは言い切れないグループの案にお墨付きが与えられた。

 被害者救済に反対の人はいない。だが法廷を報復の場にしてはならない。被告人には「無罪推定」の法理に従い白紙で裁かれる権利がある。現在の法案は廃案にし、慎重に議論を重ねて練り直すべきだ。



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取調べの可視化が叫ばれていますが,ついに具体的事件で証拠申請がされたようです。何かと批判もあるでしょうが,第一歩とみてよいでしょう。以下は,朝日新聞からです。なお,取調べの可視化については,次の日曜日のサンデープロジェクトに安原裁判官が取材に応じる形で登場します。


東京地検、取り調べのDVD映像を証拠申請

 東京地検が、フィリピンで05年7月に起きた殺人事件の被告の公判前整理手続きで、検察官による共犯者の取り調べの録画内容を記録したDVDを証拠として提出する意向を弁護側に示したことがわかった。09年から始まる裁判員制度の対象事件で適正な取り調べを立証することを狙いに各地検が調べ過程の録音・録画を試行している。その中で、証拠採用されれば日本の刑事裁判史上初めてのケースとなる。

 東京地検は最高検の方針を受け、昨年夏から、容疑者自らの意思に基づいて供述したかどうかが公判の争点になる可能性があると判断したケースの一部で、取り調べの様子を録音・録画している。

 今回、検察側が証拠申請する意向を示したのは、フィリピンの路上で05年7月、東京都内の会社員油科(ゆ・しな)孝章さん(当時41)を拳銃で撃って殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた吉井誠被告(51)の公判。

 関係者によると、15日から審理が始まった殺人罪について、争点などを絞り込む公判前整理手続きが今月に入って行われた。検察側はこの中で、共犯として起訴された男性を検察官が取り調べた状況を録音・録画したDVDについて、証拠申請する用意があることを示したという。

 DVDは20~30分程度で、既に証拠として開示されており、男性の供述の任意性、信用性を補強する内容だという。

 吉井被告は殺人罪について15日の公判で否認した。検察側は今後、共犯とされる男性の証人尋問を行い、男性の供述調書と証言内容が食い違った場合などに、調書の信用性などを立証するためにDVDを法廷に証拠申請する意向とみられる。

 このDVDを見た吉井被告の弁護人は「検察側に都合がいい部分だけの可能性がある」と話している。

 最高検は録音・録画を実施した事件名などを公表していないが、これまでに30件以上について行われた。弁護側に証拠開示された例は複数あるものの、これまでに法廷で証拠として調べられたことはない。

    ◇

 〈取り調べの録音・録画〉 裁判員制度の審理対象となる殺人など重大事件に限る▽検察官が必要と判断した場合のみ容疑者に通告して実施する――といった条件で最高検が導入。東京地検での試行に加え、今春からは大阪、名古屋各地検などでも試行を始めた。捜査側の誘導などで調書が作られていないか争われ、裁判が長期化するケースが多かったため、迅速な審理を行うのが狙い。

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読売新聞からです。この事件は,ニュースになることがとても多い事件であるように思います。少年事件における捜査,報道,審理を考えさせる事件でもあります。

「自白の信用性に疑い」大阪高裁が少年事件で家裁差し戻し

 大阪市住吉区の路上で2004年2月、当時、大阪地裁所長だった鳥越健治さん(65)が強盗被害に遭った事件で、大阪家裁で中等少年院送致の保護処分決定を受けた当時14歳の少年(18)に対する抗告審の決定が14日、大阪高裁であった。

 若原正樹裁判長は「少年や共犯者の自白には信用性に疑いがある」などとして、強盗致傷の非行事実を認めた家裁決定を取り消し、審理を家裁に差し戻した。

 刑事裁判の逆転無罪判決に相当する決定で、少年は差し戻し審で「不処分」となる公算が大きくなった。

 事件は04年2月16日夜発生。鳥越さんを転倒させ、約6万3000円を強奪、腰の骨を折るなどの重傷を負わせたとして、少年と、当時16歳だった少年の兄(20)、13歳の少年(17)が逮捕・補導され、その後、共犯として会社員(32)と建設作業員(29)も逮捕された。




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このニュースを見て,日本もアメリカ並みに変わったなあと感じました。刑務所といえば,権力作用の最たるものとの意識がありましたが・・・。以下,産経新聞からです。

初の「民営」刑務所 コスト節減/ハイテク警備 山口あす開所

 山口県美祢(みね)市に13日、国内で初めて建設と管理運営の一部を民間に委託した刑務所「美祢社会復帰促進センター」がオープンする。法務省がコストの節減などを目的に、民間の資金や経営ノウハウを活用する「PFI方式」を採用した。今後の刑務所のあり方のモデルケースになりそうだ。

 同センターは、国が約28ヘクタールの用地を確保。大手警備会社のセコムや清水建設、竹中工務店などで構成する民間企業グループが建設し、さらに管理運営の一部を平成36年度までの18年間担当する。民間委託額は総額517億円で、これまでの方法に比べ約48億円節減できたという。

 施設は、男女各500人の受刑者が入れる収容棟6棟や教育・訓練棟、管理・医務室、体育館、職員宿舎など。コンクリートの外塀はなく、二重の金網状のフェンスや赤外線センサーで囲まれており、外側から中の様子が見える。

 また、収容棟の窓に鉄格子はなく、強化ガラス窓は10センチ程度開くなど開放的。職員は原則として受刑者の移動に付き添わず、受刑者の上着に付けられたICタグで居場所や移動の軌跡を警備室のモニター画面で監視。受刑者同士が上着を交換して別人になりすますのを防ぐため、居室などに出入りするたびに指静脈画像による本人確認を行うなど、ハイテクを駆使した警備を行う。

 職員は法務省の刑務官が約120人、民間側が約100人。受刑者を取り押さえるなどの公権力の行使は刑務官が行い、民間職員は警備、監視業務や教育、職業訓練、食事などを担当する。

 法務省矯正局総務課の木村昭彦・矯正調査官は「地域との共生を目指していく刑務所にしたい」と話している。

 13日に長勢甚遠法務相をはじめ法務省、企業グループ、地元の関係者らが出席して開庁式を行い、14日以降、初犯の比較的刑の軽い受刑者の収容を始める。


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