日本裁判官ネットワークブログ
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最近,法廷に出る機会が多くなり,いろいろな裁判官の審理を受けています。

私が現役時代にはあまり感じなかったのですが,当事者の立場になると,法廷での裁判官の言葉遣いが結構気になります。

被告人に対しても,比較的丁寧な言葉遣いをする裁判官の場合,判決の結論はともかく,なんとなくホッとするものがあります。

それに対して,なにかつっけんどんな言葉遣いをされる裁判官の場合,法廷に冷たい空気が漂うようで,緊張してしまいます。

言葉遣いがすべてを決めてしまうわけではないでしょうが,裁判の納得機能から考えると,当事者や証人が過度に緊張しないで話せる雰囲気を作ることは,訴訟指揮の第一歩といえるような気がしています。

      もっと丁寧な言葉遣いをすれば良かったと反省している「花」



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 裁判員制度施行を控えたGWの冒頭に読む本として,郷田マモラ氏の「サマヨイザクラ-裁判員制度の光と闇」(上下巻)を手に取った。5月には,ドラマ「電車男」で著名な伊藤敦史さん主演で単発長時間ドラマになる原作マンガである。
 雑誌「JW」の著者インタビューで,郷田氏が裁判員制度について「光」よりも「闇」の方が多いのではないかというニュアンスで話していたのを先に読んでいたのだが(現に下巻237頁のリアルな新聞記事の一コマで「闇」をチクリと刺している。),この作品自体はむしろ「光」について強いメッセージを発していると思う(最終話「裁判員制度の光」参照)。同じ著者の死刑をテーマとした「モリのアサガオ」を読んだ森達也氏が,当然郷田氏が死刑反対派だと思ってインタビューしたら,死刑存置派だったのでビックリしたというエピソードを思い出した(「死刑」朝日出版社49頁)。ネタバレしないように書くとなるときわめて抽象的に書かざるを得ないのだが,「個人の悪」に対する「集団の悪」というのがキーワードであり,その対極としての「集団の善」で締めくくられる。
 私はかねてより,司法への国民参加を行うならば,車の両輪として,更生保護への国民の関心の高まりもなければならないと小さな声で言ってきた。最近でこそ「おかえり」といったポスターを街で見かけるが,後者への関心は依然として低い(それ以前に生活が大変でそれどころではないということになるのだろうが)。裁判員制度が,量刑に関する実質的な評議の中で,後者への関心も深め,それこそ「集団の善」によって安心に暮らせる社会になれば良いと思うのだが。
 動き始めた制度に「マヨイ」,「サマヨイ」はつきものであるが,その果てに「サクラ」が咲くことを信じたい。

追伸
 これから読む法律家以外の方のために特に気になった点を指摘しておくが,裁判所が事前に裁判員候補者の個人情報を独自に調査して掌握している(上26頁)ということはないし,もちろん質問手続などで得た個人情報を他言するようなことはない(上106,108頁)。まして,裁判長が恣意的に裁判員を選定することなどあり得ない(下20頁)。また,当日質問票で死刑に関する意見を聞いて死刑反対派が事実上排除されるなどという運用(上24頁,下108頁)もあり得ない。もし「裁判員どうしで話し合ったら評議が混乱する恐れがありますから,我々裁判官に対してのみ発言してください」などと宣う愚かな裁判長(上66頁)がいたら,守秘義務の範囲外の合法的な「感想・苦情」として明らかにしていただきたい。その他にも突っ込みどころはあるが,全体としては十分に読むに値する本である。
(くまちん)

追記 フジテレビドラマ「サマヨイザクラ」の放映日時は
   5月30日午後9時に決まったようです。


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 今週は,歌手,タレントの草剛さんが逮捕されたというニュースが流れました。真面目な人柄からファンも多かっただけに,ショックを隠せない人も多かったのではないでしょうか。捜査継続中の事件なので,中身についてのコメントは避けますが,この事件に限らず,最近は,裁判員裁判の実施が近づいてきたこともあって(5月21日),刑事手続に対する関心が高まってきたように思います。
 私たち日本裁判官ネットワークは,この裁判員裁判について,隣国韓国の経験に学ぶべく,講演会を開きます。その準備も兼ねて,本日勉強会をします。どなたでも参加できます。ふるってご参加下さい。(瑞祥)
              記
日 時  平成21年4月25日(土)13時から17時まで
場 所  江坂第1サニーストンホテル(大阪市営地下鉄御堂筋線「江坂駅」東南東徒歩2分)
資 料
1 韓国における国民参与裁判の現状・刑事法ジャーナル15号65頁
2 韓国・大田で国民参与裁判を傍聴して・法曹2008年11月号24頁(以上はいずれも大阪地裁判事補今井輝幸氏の論文)
3 大韓民国型・国民の司法参加制度導入とその施行上の主要な争点(未公開論文)(大田高等法院金尚遵部長判事の論文)



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8 今度はほんの少しだけ専門的な話である。この話は私が弁護士として相談された案件ではないが,身近な所で起きたひどい話であり,よくありそうな内容である。
ある孝行息子が親孝行のために,生命保険会社の外交員の勧誘もあって,息子が保険契約者となって,父が死亡した場合には母が,母が死亡した場合には父が,それぞれ生命保険金を受け取ることができるように,二つの生命保険契約を締結した。その後母が病死し,ある程度多額の生命保険金が父に支払われたが,税務署は息子から父への贈与とみなされるとして,支払われた生命保険金の半額近くの贈与税が課税されたのである。これは実話である。まさか大手の生命保険会社がこのようなお粗末なミスをするのかという信じられないケ-スである。

9 ではどうすればよかったのか。実際の保険料は孝行息子が出すが,契約書では保険契約者は父及び母とし,それぞれ配偶者を生命保険金の受取人と指定しておけば,贈与税ではなく相続税の対象となり,相続税の基礎控除により非課税処理されたケ-スである。このケ-スで孝行息子に税金に関する判断などできる筈がない。当然に生命保険会社が贈与税が課税されないように,適切な対処をすべきであった。生命保険の外交員ないし保険会社が無知であったということで済む問題ではない。こんなことがあるから,大会社であろうと誰であろうと,余り人を信用してはならないというサンプルのような事例である。

10 このような愚かな生命保険契約を締結させた生命保険会社は,ひたすら会社には責任がないという態度に終始したそうである。この件では孝行息子が生命保険会社に乗り込んで苦情を言ったが,受け付けられず,そこで諦めて引き下がったままになった。しかしこんなことで納得できる筈がない。この件ではその状態で思考が停止したのは失敗であったと思われる。生命保険会社が責任を回避しようとした時点で,更に諦めずに弁護士に相談して,損害賠償訴訟を提起すれば,勝訴できたのではないかと思われる。

11 このケ-スのように多少高度な法的知識ないし判断を要する場合には,法的な素人が契約段階で有効な対策を取るのは困難であろう。おそらく誰でも生命保険会社を全面的に信頼して契約を締結するだろうから,まさかそのような悲惨な結果になると疑うのは無理だろう。しかし現実には信頼できていい筈の大手の会社などが関与した契約でも,結構ひどい内容の契約が締結されることもないではないから,何事も全面的に信用するのは危険であるということになる。全く困ったことである。では何かよい方法はないものだろうか。

12 自分のことは自分で守るべきことはこれまで書いてきたとおりであるが,とりあえず,何事も余り人を信用してしまうのではなく,自分の頭の中に,「大丈夫かな」とチェックするシステム(思考回路)を作り,必ずチェックしてみることを人生の基本とするのである。本件では保険外交員に「税金などで問題を生じることはないでしょうか。」と念を押してみるのもよい方法であったと思われるが,なかなかそこまで頭を回転させることはできないであろう。更に自分で勝手に「マイホ-ムロイヤ-」だと思っている弁護士がいる人の場合には,何か心配なことがある場合には一応ロイヤ-に相談してみてはどうであろうか。人生にそう何度もないような契約などの「大事」をなす場合には,法律実務家に相談してチェックしてもらうことにしておくことは無駄ではないように思われる。(ムサシ)


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4 今度は逆に失敗したケ-スである。依頼者の父の後妻の遺産の相続に関する紛争である。父の後妻が多額の遺産を残して死亡した。依頼者は本来ならば父の後妻と養子縁組をしておくべきであったが,なされていなかった。「依頼者に遺産を相続させる」という遺言書も作成されていなかった。父は既に死亡していた。後妻の遺産の多くの部分は,依頼者の事業にからんで形成されたものであり,実質的には依頼者が遺産の殆どを取得するのが公平であるという事案であった。相続人は後妻の兄弟たちのみである。

5 後妻の死後,後妻の兄弟たちは,遺産形成の経過を承知していて,本心はともかくとして,遺産に対する権利を主張するつもりはないと述べていた。ただ遺産の内容を説明してほしいと求めてきた。その言葉を信じた依頼者は,必ず返してもらうという約束で,後妻の預貯金の通帳を全て相続人に渡してしまったところ,相続人が態度を豹変させて権利を主張し,通帳の返還を拒否した。依頼者はその段階で初めて弁護士に相談した。そして依頼者が原告となって民事訴訟を提起して完全に敗訴した。訴訟中に和解の話もあったが,和解は成立せず,事件は終了した。依頼者には大きな不満が残った。

6 このケ-スは弁護士の活用に失敗した典型的なケ-スであろう。依頼者はまず第一段として後妻の生前に養子縁組に関して弁護士に相談すべきであった。それがダメだった場合に,第二段として後妻の遺言書作成に関して弁護士に相談すべきであった。更に第三段として,通帳を交付した後ではなく,交付する前に,交付してよいかを弁護士に相談すべきであった。交付すればその後どうなるかは一目瞭然というべきであって,まるで絵に描いたような展開である。通帳を交付してよいという弁護士は一人もいない。通帳を交付した瞬間に強者と弱者の立場が逆転したのである。通帳を交付する前であれば,依頼者の立場は強いので,そこそこの金額を支払うという依頼者に有利な内容で和解を成立させることが可能であったと思われる。依頼者は億単位の金銭を失った。

7 自分に不利益な具体的な行動は慎重になすべきである。もしも大丈夫かどうか不安があるのであれば,行動する前に,法律実務の専門家に相談するのがよいと思う。契約書に署名押印した後で相談したのでは,殆どの場合遅すぎるのである。「チョット検討させて下さい。」と言って,決して即答してはならない。自分の権利や利益は,まず自分でしっかり守らなければならないのが原則である。そして他人を余り信用してはならない。日本人は案外お人好しで欺されやすいと言われている。大変なことになって大騒ぎする前に,軽率な行為は決してしないことを肝に銘じておくべきである。そのちょっとした心がけが,一生を台無しにする危険から自分を守ることもある。できれば信頼できる弁護士を早く見つけて,「私のホ-ムロイヤ-」などと,勝手に思っておればよいのである。後で後悔するのでは遅いのであるが,依頼者を見ていると,どうやら後で後悔する人の方が圧倒的に多いように思われる。「ちょっと待てよ。弁護士に相談してからにしようかな。」というほんのちょっとした頭の回転で悲劇を防止できることが多いと思う。わが国が「法化社会」の名に恥じない国になるためには,国民の一人ひとりが,「自分のことは自分で守る」という一層の自覚が必要なように感じるのである。(ムサシ)


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 先日初めて当番弁護士を経験しました。重罪事件にはすでに被疑者国選制度がありますが、比較的軽い罪については5月21日まで被疑者国選がありません。そのような事件については弁護士会の当番弁護士が出動して、相談や私選弁護制度の説明などをすることになります。

当番日に早速連絡があり、24時間以内に接見してくださいとのことでした。

居眠り運転で人身事故(軽傷)を起こし、そのまま逃げたという事件の被疑者でしたが、これからどうなるかの説明と、被害者が事故後車を降りて近づいてきたときにさらに衝突させた、という事実は覚えがないと一部否認の案件でした。

私撰弁護人を依頼する資力はない被疑者でしたが、一部否認ですから厳しい取調が予想され、弁護人の援助が必要と思われましたので、これも初めての経験ですが、日弁連が法テラスに委託している「被疑者弁護援助制度」の申請をしました。

要するに民事の法律扶助の刑事版というものでしょう。

その後援助決定が出ましたので、費用の心配なしで私選弁護人の活動が可能となり、被疑者段階の弁護活動をしているところです。

手続の煩雑さなど、いろいろ問題があるものの、司法改革の成果の一端を経験し、妙に感心しております。

                      新制度にまごつく「花」

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1 私は裁判官と弁護士の経験を通算すると30年を超えることになるが,その仕事を通じて痛切に感じていることがある。それらを思いつくままに書いてみることにした。その中心的な思いは,一般にどうすれば紛争を未然に防止できるかという工夫がもっとできるのではないかということである。多くの人は大変な事態になってから初めて弁護士に相談されるので,時既に遅しということが多い。そうなってからでは解決は容易ではないし,解決した結果も甚だ不満が強いことになる。大変な事態になる前に,自己に不利となる具体的な行動をする前に,どうしたものかと弁護士に相談することが大切だと思うのである。そうすれば大変なことにならずに,一応満足できる解決が得られることが多い。しかしなぜか早めに弁護士に相談されることは少ないように見受けられる。

2 なぜ早めに弁護士に相談できないかについては,それなりの理由があるに違いない。これまで弁護士のイメ-ジが悪く,気軽に相談できにくかったのだろう。弁護士の報酬も高く,弁護士に相談するには決死の覚悟が必要だったのかも知れない。しかしこのたびの司法改革では,「法化社会の実現」が唱われ,法曹人口を飛躍的に増やして,社会の隅々まで法律の光が照らしている社会の実現が目標とされた。各地の弁護士会が有料・無料の法律相談を行っているし,意を決して弁護士事務所を訪ねる場合にも,いきなり事件として依頼するのではなく,事件の内容を話してより良い方策を検討して貰い,そのうえで,相談だけで済ませるのか,事件として依頼するのか,依頼する場合の費用はどうなるのかを聞いて,どうするかを決めればよいのである。法律相談だけであれば大体1時間1万円程度であるので,余り心配することはない。法律相談を早めに気軽に大いに活用すべきである。病気の場合であれば,どこの病院に行くことにしているとか,掛かり付けの医師が決まっていることも多い。いわゆるホ-ムドクタ-である。それと同じように,困ったことがあれば安心して気軽に相談できる弁護士(ホ-ムロイヤ-)を早く見つけて,日頃から気軽に相談できる体勢を作っておくことが望ましい。

3 最近ある依頼者から相談を受けた。数千万円という結構な金額に関する紛争である。全額その依頼者の権利に属する金銭について,相手方にも多額の権利があると要求する文書が送られて来ていた。相続にからむ事件で,相手方に金銭を支払うべきかどうかの相談を受けたものである。そこで私が,相手方は相続人ではないので権利がないことを説明する内容証明郵便を相手方に送付した。ただ依頼者と相談して,相手方には権利はないが,親族間の問題なので,相手方の感情に配慮して,相当額の金銭を贈与することを提案し,無事円満に解決した。依頼者からは大変感謝された。このケ-スは早めに弁護士に相談することで満足できる解決ができたものである。依頼者が賢明でとても有効に弁護士を活用したという典型的なケ-スであると思う。相手方の要求に応じて過大な金銭を支払った後で,後悔してその返還を求めたいという相談であれば,訴訟をするなど解決は容易ではなかったと思われる。このケ-スのように,多少の金銭(弁護士費用)を惜しまずに,金銭を支払ってしまうという自己に不利な具体的な行動をする前に,「ちょって待てよ。弁護士に相談してみよう。」と考えたことが,紛争を未然に防止できた賢明で望ましい工夫だったと思うのである。(ムサシ)

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明日の日めくり万葉集(NHK教育)で,3回目の登場となります。
裁判では,人の死をめぐっての事案を扱うことが多いので,最後は,万葉集の挽歌を取り上げています。

衾道(ふすまじ)を 引手の山に 妹を置きて 山道を行けば 生けりともなし
                      柿本人麻呂 (巻2・212)

(NHK訳)衾道を 引手の山の中に いとしい人を葬って 山道を行くと
もう俺には生きているという実感がないのだ。

是非ご覧下さい。(瑞祥)



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今週の金曜日から、毎週ある私立大の法科大学院で刑訴の講義をすることになっています。

そこで教科書などを改めて読み直していますが、自分の法廷は自分の刑事訴訟法で運営するぞ、というような、不遜な態度でやっていた私としては、原理原則をどう教えようかと悩んでいる次第です。

また法科大学院の宿命として、司法試験合格という目標がありますから、受験参考書なども参照していますが、これまた私の経験した昔の試験とは全く違うだけに手強い存在です。

さらに、シラバス(授業計画?)、セメスター制(学期制?)、オフィスアワー(相談時間?)、エクスターンシップ(実習?)など、日本語してくれ、と叫びたくなるような言葉が教授間でとびかい、目を白黒させています。

しかし若い人たち(年齢的にはそうでもない人もいますが、気が若い人たち)にいろいろ辛辣な質問などを投げかけ、議論できることは私の老化防止にも役立つと楽しみにしている部分もあります。

                    いじわる教授になりそうな「花」

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1 車の運転中にスピ-ド違反などの交通違反をする人は,案外違反を繰り返すと言われており,違反をしない人はズッとしないことが多いそうである。違反を繰り返していると,免許の停止や取消を心配しなけれがならないことになるが,私は自分の違反点数を心配したことはないので,知識不足のため,人から質問をされて答えられないことが多い。そこで少し調べてみた。

2 違反点数の確認は,近くの警察署でその申請書類を貰って,運転免許センタ-へ問い合わせることで分かるのだそうである。有料だそうであるが,一度参考のために試してみようかと思っている。

3 手もとにある資料が平成17年のものなので,今もそうであるかどうか正確ではないかも知れないが,免許の停止や取消に関する基礎知識は,概ね以下のとおりと思われる。
(1)前歴がある場合には処分は厳しくなっており,その内容は複雑なので,ここに整理して記載するのは困難であるが,過去3年以内に前歴がない場合には,違反点数6点ないし14点で免許停止処分,15点ないし24点で免許取消処分(取消期間1年),それ以上は違反点数に応じて免許取消期間が長くなることを記憶しておくことは意味があるように思われる。
(2)前歴がある場合には,違反点数がもっと低くても,免許停止や取消処分を受けることになる。
(3)交通違反後1年以上無事故・無違反であれば,それまでの違反点数は消滅する。
(4)交通違反後2年以上無事故・無違反であれば,その後軽微な違反行為(3点以内)の日から3か月以上無事故・無違反であれば,違反点数は消滅する。

4 違反を繰り返して,違反点数などから免許停止・取消処分を受けることが心配になった場合には,違反点数を確認しておいて,正確な認識のもとで絶対違反をしないという決意をすることは意味のあることであろう。

5 物損事故の場合には原則として減点はされないようである。しかし物損事故だった筈なのに,示談の話がこじれたりすると,いつの間か「全治3日の頸椎捻挫」などという診断書が警察に提出されるようなこともあり,人損事故の扱いとなる。その結果免許停止・取消の心配が出てくるような場合には,損害保険会社に依頼して早急に示談により問題を解決し,診断書を取り下げてもらうことができれば,物損事故として処理されることになる。

6 若い頃から運転には自信があって無事故無違反を誇っていた人でも,年を取ると急に交通事故を起こす危険は高まるようである。夜間や長距離運転などの危険な運転の際には「絶対事故を起こさないぞ。」と自分に言い聞かせることで,事故を防止できる可能性が高まるそうであるので,参考にしたいと思っている。

7 車を運転する以上,何があろうとも事故を起こさないという,細心の注意深い運転態度が必要である。自分が交通ルールを守っておれば事故は発生しないということにはならず,相手が交通ルールを守らない場合でも,交通事故を避ける心構えが望ましい。青信号で進行する場合にも,左右を確認して,赤信号で侵入する相手がいないか確認するのである。その細心の運転態度が結局自分を守ることになる。車を運転していると,長い人生の中では何度か,あの時命を失っていても不思議ではなかったという危うい場面に遭遇する。そのような場合に死の結果を避け得るのは,このような細心の注意しかないと思うのである。(ムサシ)

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 また春がやってきて,転勤の時期となりました。元の職場に残る者は,3月には去る人との別れを惜しみ,4月には,新しく来た人との出会いを楽しむことになります。元の職場から去る人は,家族で引っ越しだと大変です。裁判官の場合は,転勤の範囲が日本全国になりますから,早くから引っ越しの準備に追われることにな
ります。転勤など慣れっこになれば,楽しいものだという裁判官もおられますが,任地が遠くになればなるほど,故郷を思う人も多いことでしょう。特に,遠くの任地が長くなればなるほどです。
 「日めくり万葉集」(NHK教育)では,1月30日に,山上憶良の次の歌を紹介しました。 ,

「 天ざかる 鄙に五年(いつとせ) 住まひつつ 都のてぶり 忘らえにけり」

 訳(NHK):(天ざかる)田舎に五年も住み続けて都のふるまいをすっかり忘れてしまいました。
 昔から,転勤は,故郷を偲ばせるものがあります。日本の転勤制度の歴史を遡ると,その大本(おおもと)は,実は中国にあるのだと思いますが,中国でも,故郷を思う詩は多いようです。

 杜甫の「絶句其二」は,次のようなものです。

「江碧鳥逾白 山青花欲然 今春看又過 何日是帰年」

 江は碧にして鳥はいよいよ白く 山青くして花然えんと欲す
 今春看すみす又過ぐ 何れの日か是れ帰年ならん(石川忠久氏の書き下し文)
 これは,有名な漢詩で,中国の錦江(現在の江西省あたりを流れています。)周辺の春を謳いながら,最後に,「いつ故郷に帰れるのだろうか」と詠じるものです。そういえば,中国では,詩人の多くは役人で,全国を転勤し,故郷を思うことが多かったのではないでしょうか。(瑞祥)

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