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亥年の年の瀬を迎えて

2007年12月30日 | あすなろ
 季節感のないまま、年の瀬も早や一日となった。
どうにか仕事も一段落して、年賀状を書いている。

 年々歳々、今年こそは、郵便局の指定する12月20日までには、出し終えようと決意するものの、結局は仕事等を優先する結果となり、12月30日前後の2,3日、年賀状書きに追われるのがここ10何年かのお決まりコースになってしまっている。
 約500枚を手書きすることは短時間ではできないので、表書きも裏書きもパソコン印刷に頼ることになる。
 肉筆で書く部分を少しでも多くしようと思うのだが、時間切れで「本年もどうぞよろしく」と書き添えることすらできないで投函してしまうこともあった。
 科学技術の進歩は大したもので、今年は、新調したプリンターが、約30分で表書きを完成してくれた。これで明日にかけて肉筆で書き添える時間が例年よりは多くとれる。


今年の漢字には「偽」が選ばれた。
不二屋が消費期限切れの牛乳でシュークリームを製造販売したことが発覚したことに始まり、ミートホープが偽牛ミンチを出荷していた事件、比内地鶏の原材偽装事件、「白い恋人」・「赤福餅」の賞味・消費期限改ざん事件、料亭船場吉兆が消費期限切れの生菓子を販売するなどしていた事件等、食品偽装の発覚が相次いだほか、有価証券報告書の偽装などが明らかとなり、国民が、「ブルータス、おまえもか」という不信感を持ったことが背景にある。

内部告発による情報提供が保護されるよう法整備がされたことから、透明化が進んだ結果でもあり、今年になって急に「偽」が進んだわけでもないと思われる。
しかし、姉歯構造計算書偽造事件をはじめ、種々の偽装事件が明るみに出て、企業のコンプライアンスが日常的に叫ばれる中で、これまでの悪習を断つことなく平然と続けていた感覚はどこからくるのであろうか。
偽りでも隠し通せばどうにかなるという確信がさせたのであろうか。
「悪事千里を走る」とか「真理は時の娘」とか「天網恢々疎にして漏らさず」といった古今東西の格言が頭をよぎる。 


 訴訟においては、双方が「相手の言っていることはすべて偽りである」「正直者がばかを見るような判断をしないで欲しい」などと相互に言い合う場面も少なくない。
 そして、双方の供述の齟齬が見方の相違による結果であることも多いが、どちらかが虚偽の主張をしているとしか考えられない状態で、自由心証による事実認定をせざるを得ないことがある。
その場合、裁判官は動かせない事実、資料を基礎にしながら、さまざまな角度からの推認をし、自己検証しながら、事実認定作業をすることになるが、虚偽の事実を述べて自ら墓穴を掘っているケースもあり、また、その人の虚言が紛争を大きくしてしまったと見られるケースもあって、「偽り」の持つ「負」の価値を思い知らされる。

来年は、「偽」などというやるせない漢字とは無縁の年であって欲しいと願う。
(あすなろ)