日本裁判官ネットワークブログ

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ビラまき体験

2010年10月26日 | Weblog
先週,弁護士会の呼びかけたビラまきに参加しました。

学生時代にしたかどうか,遠い昔のことで記憶がはっきりしませんが,たぶん初体験と思います。

修習生に対する給費制度廃止反対のビラを配るというものです。

弁護士会の派手な法被を着て駅頭で道行く人に手渡しをするのですが,出勤途上ということもあり,忙しそうなサラリーマンはほとんど受け取ってくれませんでした。

法被を着ていたことで安売りか飲食店の客寄せと誤解されたかもしれません。

主婦らしき人や工員風の人などいささか時間のありそうな人がよく受け取ってくれました。

中には朝からカップ酒を飲んでいる人が,「何のビラですか」と聞いてきましたので,法律家の卵に国から給料を出さないという制度では,金持ちしか弁護士や裁判官,検事になれなくなり,力の弱い人の味方をする法律家がいなくなるので反対しています,と説明すると,「なるほど」と頷いてビラを受け取ってくれた,ということもありました。

これからの時代には,弁護士はもちろん裁判官,検察官にも多様な人材が入ることが是非とも必要です。金銭的な問題で法律家志望を躊躇するような制度は是非やめて欲しいと思います。

                      ビラまき成績不良の「花」

「冤罪事件について考える」(その3)

2010年10月24日 | ムサシ
9 検察官が疑わしい被疑者に対して,捜査を遂げて有罪となるように努力するのは職務上当然のことであろう。また真犯人であるのに否認したり,罪を免れようと努力する者がいることは,人間の心理としては理解できないわけではない。そして余りにも簡単に真犯人が罪を逃れてしまうようでは,警察や検察に対する国民の十分な信頼は得られないことになる。そうすると捜査官は,否認する被疑者に対して,真実を述べるように,あるいは犯行を認めるように,追及することになる。

10 しかしながら,無実の者に犯行を認めさせるような追及は許されない。無実を主張する被疑者が,取り調べの際の捜査官に対する恐怖心から,心ならずも犯行を認めたという事例は決して少なくない。警察官や検察官はあくまで順々と説得し,客観的な証拠とも併せて,被疑者が真実を述べようという気持ちにさせるべきであろう。おそらく場合によっては,高度な人間的な力量が必要となることもあるに違いない。

11 最近,厚生労働省の元局長に対する郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で,大阪地裁が無罪判決を言い渡し,検察は控訴を断念した。同元局長から指示されたとする元部下らの供述調書の大半が「検事の誘導で作られた」などとして,証拠採用されなかったということである。
 更に捜査担当検事が証拠のフロッピーに手を加えて改ざんしたとして,担当検事が逮捕されるとともに,その上司2名もその事実を知りながら,部下を庇ったとして逮捕され,それぞれ起訴されたという事件があった(この点については,後で触れる。)。

12 捜査が余りにも杜撰であったり,脅迫的であったり,有罪となるように意図的な操作がなされることは許されない。警察や検察に真犯人を逃さないという気概は必要ではあるが,その役割はあくまで真犯人を見つけ出すことであって,虚心に真実を追求することでなければならない。疑わしいとはいえ,有罪とするだけの証拠が不足している場合には,結論として有罪になってはならないのである。警察官や検察官が証拠を改ざんしたり,無罪であるとする証拠,場合によっては無罪であるとする決定的な証拠を隠匿して,無実であると知りながら,何がなんでも有罪にしようとするようなことは,決して許されない。かつて松川事件では,被告人が犯人ではないことを証明する決定的な証拠が検察官によって隠されていた。このような行為は,検察に対する国民の信頼を根底から覆すことになる。真犯人を取り逃がしてはならないが,無実の者が有罪となることは許されない。検察官の役割は甚だ困難であり,重要であると言えよう。

13 結果として冤罪事件となった事件について,捜査中の検察官は,被疑者が真犯人であると信じていたのか,あるいは真犯人ではないかも知れないという疑問を抱きつつ起訴するのであろうか。当初頑強に否認していたのに,自白に転じた足利事件や,最近の厚生労働省の事件をみると,検察官の捜査のあり方には甚だ大きな問題があったと思われる。(ムサシ)

「秋深し」(その2)

2010年10月13日 | ムサシ
6 食欲の秋であるが,減量することになった。20年近く前に10キロ痩せたことがあるが,その頃の気分にかなり似てきた。当時は焼き肉を食べに行ってもビールを飲まなかった。当時食べる量も酒量も大幅に減らした。しかし自分では全く気がつかなかったが,いつもイライラしていたようで,家族からは嫌がられていたそうである。今回はニコニコ減量で行く。無理をして頑張って痩せるのではなく,頭で勝負するのである。無理をして空腹に堪えたり,無理して苦しい運動を頑張ったりはしない。無理は続かないし,必ず反動が来る。無理をせず,苦しくないように工夫し,そのささやかで緻密に工夫された努力を,粘って継続するという点でのみ頑張るのである。

7 減量に関する本を最近またいろいろと買い込んで読んだ。筋肉トレーニングをすると脳が成長ホルモンの分泌を促し,体脂肪を分解してエネルギーとして燃えやすい遊離脂肪酸にするそうである。そこで脂肪が燃えやすくなった筋トレ後に有酸素運動をするのが,痩せるチャンスだというのである。また成長ホルモンは若返り効果があり,不老長寿に役立つことや,運動をすると脳が活性化し,老化防止に役立つことなどが書いてあり,それらは私の知らないことであった。

8 そこでいろいろと考えてみた。まず基本方針は健康なままでの長寿を目指すことである。寝たきり長寿では家族も困るだろう。健康で呆けず,かくしゃく長寿を目指すのである。家族から喜ばれる長寿でなければなるまい。

9 そこで,まず食事はシッカリ食べることにした。ただし腹八分と言われるが,一応腹七分か腹六分を目指す。しかし空腹に必死で堪えるような愚かなことはしない。デンプン質やタンパク質,野菜はシッカリ食べながら痩せるのである。空腹対策としては,その日の夕方の予定を毎日チェックし,夕食が遅くなりそうであれば,適宜おにぎり1個か,コンニャクのゼリーパックを用意しておき,活用する。

10 成長ホルモンを分泌させるための筋トレは,激しいものではなく,無理のないスロー筋トレでよいという。私はしぶとくもう20年近く,3キロのダンベル2個を使って軽くダンベル体操を続けているが,最近スロースクワット,スロー腕立て伏せ,スロー腹筋運動なども少数回加えることにした(これらの詳細は発売中の「ためしてガッテン」の「科学のワザで確実にやせる。」という本に記載されている。)。

11 この「筋トレ後の有酸素運動」という理論は活用できそうに思える。そこで軽い筋トレ直後に,本の記載を参考にして,スローステップダイエットを試みることにした。高さ20センチ,長さ60センチ,幅30センチの木製踏み台を980円で買ってきた。その台に登り下りするのである。普通の速度では3秒で1回,1分で20回,5分で100回となる。本では1日の合計30分,600回を推薦しているが,この実践は容易ではない。かなり緻密な工夫が必要そうである。(M)

HP10月号

2010年10月10日 | ご案内
HP(http://www.j-j-n.com/)を更新しました。10月号です。以下は、トップページからの転載です。

10月号
 当ネットのHPには,「皆様からのメール」コーナーがあります。今月号では,ここ1年余りの投稿メールをまとめて掲載させていただきました。足利事件,労働審判,映画日独裁判官物語,取調べの可視化,単独親権・共同親権,令状実務など話題豊富です。今後も皆様からの投稿メールをよろしくお願いします。

10月号の新記事

シンポジウム「有罪判決後の被告の人生-量刑のための知識」に参加して オピニオン
弁護士任官どどいつ(39) コーヒーブレイク・弁護士任官どどいつ
悪魔の法典(20) コーヒーブレイク・悪魔の法典
推薦本「トラブル依頼人」 コーヒーブレイク
姉小路祐作の新刊「逆転捜査」(講談社) コーヒーブレイク
皆様からのメール2010年10月1日 皆様からのメール
偶然出会ったたくさんの裁判官 法曹&市民の声
わがB級グルメ道その7「酒の話」 Su&Fa からの声



日本裁判官ネットワーク秋の企画の「日程変更」のお知らせ

2010年10月09日 | Weblog
 当ネットワ-クの秋の企画は,「民事裁判改革」と題して,労働審判や簡裁の少額訴訟の手法と理念を,通常の民事訴訟事件の一部に取り入れることの当否を議論したいと考え,今年の11月に行う予定で準備してきましたが,具体的な改革実践の整理と分析に時間がかかっており,日弁連のシンポ,最高裁の考え方等も踏まえた準備をする必要がありますので,11月に実施することが出来なくなりました。
 来年(平成23年)の1月中・下旬に,関西の大学を借りて開催する予定です。改めてご案内しますので,多数の方々のご参加をお願い申し上げます。
                             メンバー小林克美


「モリのアサガオ」と「塀の中の中学校」

2010年10月06日 | くまちん
 先日,国士舘大学で開催された「判決後の被告の人生」というシンポジウムに参加してきた。裁判員裁判時代に,裁判員の皆さんに適切な量刑判断をしていただくには,刑務所や保護観察制度などの実情を知っていただく必要がある,という趣旨で開催されたもので,「終身刑の死角」(洋泉社新書y)などで著名な河合幹雄氏が実行委員長を務められていた。その内容については後日に譲り,このシンポの問題意識にもつながる二つのテレビ番組を紹介しておく。
 一つは,テレビ東京が10年ぶりにプライムタイムで現代のドラマを放映するという「モリのアサガオ」(10月18日開始)で,郷田マモラ氏のコミックを原作にし,刑務官と死刑囚の交流を描くという内容で,多彩な出演陣による重厚な作品が期待できる。
 http://www.tv-tokyo.co.jp/moriasa/
 テレビ東京では,「モリのアサガオ」の放映に先駆け,10月11日夜10時から,「実録 刑務官と死刑囚」という番組が放送される。元刑務官の証言を基に,死刑囚との間の様々なエピソードが紹介されるとのこと。テレビライフ誌によると「長い拘置所勤務の支えになったある死刑囚の言葉や,死刑執行を前にした死刑囚の意外な行動などを再現ドラマを交えて送る。また,死刑が行われる手順など死刑制度の現実を伝える」という内容だそうである。
 そろそろ死刑の適用が正面から議論される裁判員裁判が実施される時期に入っている。我がこととして受け止めていただく機会にしていただければと思う。
 同じ11日には,TBSでドラマ「塀の中の中学校」が放映される。こちらも渡辺謙・大滝秀治・すまけいらの受刑囚(生徒)に,オダギリジョーの教官という豪華な顔ぶれである。 http://www.tbs.co.jp/hei-no-naka/
 長野県の松本少年刑務所の中に設置されている,日本で唯一の,義務教育を終えていない受刑者のための中学校分校を舞台にした作品である。渡辺謙さん演じる登場人物が字を覚えようとする動機が悲しい。
 頭書の国士舘大学のシンポジウムで,元保護観察官の生島教授(福島大学)が,障害や高齢・学歴など,社会統合への複数のハードルを抱える「併存障害」犯罪者の問題を取り上げていた。社会復帰に成功した人は,社会に「居場所」があると感じさせてくれた保護司さん等との出会いがあった人が多数で,自己責任とは決めつけがたいと,「排除型社会への危惧」を述べられていた。
 なかなか世知辛い時代であるが,自分も誰かの人生に向き合って,何かをしてあげることができないか,と感じていただければ幸いである。
(くまちん)

「秋深し」(その1)

2010年10月05日 | ムサシ
1 急に寒くなり,「秋深し」という趣きである。もっとも夏の盛りのころには全く咲かなかった朝顔が,今ごろになって毎朝10個余り咲いているので,季節感に戸惑うこともある。

2 先日偶然すれ違った友人から,少し痩せたのではないかと言われた。今2キロから3キロ減の間を変動しているところである。10キロ以上痩せないと,誰も気付かないと思っていたが,さすがに嬉しくなった。

3 先ごろ万歩計を買った。以前買って愛用していたこともあったが,いつの間にか紛失してしまっていた。最近減量意欲が強まって,万歩計を購入し直したのである。1日1万歩が目標であるが,朝の犬との散歩が約3000歩なので,昼ころには5000歩を超えていることが多い。夜寝るころには大体1万歩を超えている。ということは,これまでの日常生活でも大体1万歩を超えていたことになる。それなのに余り減量効果はなかったということになって,何だかガッカリしてしまった。そこで気を取り直して,とりあえず毎日2000歩増やすことにして頑張ってきたが,減量はその成果でもありそうである。これらの数値は,もう20年以上継続しており,6枚に及ぶ私のトレーニング計画表に毎日記入されている。

4 万歩計の数値は,毎日何度も見ている。万歩計の効用として面白いのは,歩くことが苦にならなくなったことである。これまでは余り歩くことが好きではなかったように思う。しかし最近はイソイソと歩くようになったのである。歩いては万歩計の数値を見るのが楽しみとなってる。近くのコンビニに行くときも自転車に乗らず,歩いている。

5 歩くこと以外にも,色々と名案を思いついている。気分としては10キロ減量のチャンスのような気がする。ズッと以前に減量理論は完成したと豪語してきた私であるが,これから実践理論を完成させることにしたい。(M)

4件目の強制起訴

2010年10月05日 | Weblog
検察審査会法改正後,明石歩道橋事故,JR脱線事故,沖縄県の詐欺?事件に続いて,4件目の強制が東京でありました。

この起訴を契機に,起訴とはなにか,の議論が活発になりそうです。

嫌疑が十分な場合のみに許されるのが起訴なのか,嫌疑があれば白黒をはっきりさせるための起訴もあるのか,という議論です。

わが国では,私人訴追の伝統がないため,国家訴追の伝統からすれば,前者であるのが通常で,社会的な意識も定着していると思われます。

しかし,そのような意識は逆に,訴追=有罪のような意識が生まれ,被告人が社会的に葬られる危険や検察官が有罪にこだわる余り証拠隠しやねつ造などの無理をする,という弊害もあります。

今後も十分な証拠がある場合のみ起訴する伝統は変わらないとしても,なにか変えなければならない部分もありそうです。

改正検察審査会法は裁判員裁判と同様,日本の刑事司法の伝統に疑問を投げかけているようです。

                         いろいろ考えさせられる「花」