日本裁判官ネットワークブログ
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1 突如として「断酒?宣言」をすることになった。正確には「節酒宣言」ということになる。病気だから酒を止めようということではなく,一応健康体なのであり,弁護士としての仕事はまだ暫くは続ける予定であるので,職業上必要な飲酒の機会には,今後も飲酒は続けるつもりである。そこで「断酒」ではなく,「節酒」ということになるが,家でひとりでは絶対に飲酒しないことにしたのである。結構固い決意ではある。「酒は百薬の長」であるので,飲酒量を減らすという選択肢もある。しかしその方法では必ず失敗するに違いないと思うのである。懇親会の場合にも,酒量は大幅に減らし,帰宅後は飲酒しないことになる。「断酒?」は既にある程度実験済みで,成功する自信ができたので,この一文をこのネットのブログに投稿することにしたのである。
2 私は以前ヘビースモーカーで,1日2箱の喫煙をしていたが,忘れもしない昭和53年5月の給料日にピタリと喫煙を止めたのである。「健康のために強い意志でキッパリと煙草を止めた」というような,そんな格好いい話ではなく,意志の弱い男の笑い話に過ぎない。その年の4月私は判事補として和歌山地裁に着任したが,釣好きの先輩裁判官から「和歌山は釣りのメッカで,堤防からの紀州釣り(ぬか団子釣り)でチヌ(黒鯛)がよく釣れる。」と言って釣りを誘われたのである。私も釣りは好きで,キスの投げ釣りは得意であり,投釣用の竿は数本持っていたが,チヌ釣りの経験はなかった。そこでチヌ竿などの釣具を買うために,同期の裁判官であった妻に小遣い値上げ請求をしたところ,「煙草を止めて釣竿を買ったらどう?」と即座に拒否されて,やむなくそうしたのである。その年の5月の給料日にチヌ竿を1本買って,煙草を止めた。煙草とチヌ釣りのどちらかの選択を迫られて,やむなく釣りを選択しただけのことであるが,そのお陰で,結果として現在も肺ガンなどにならず,健康であるということなのである。「母ちゃん,小遣い値上げ請求を拒否してくれて本当にありがとう。君のお陰で今も肺ガンなどにならず元気なんだよ。」という笑い話なのである。もっとも当時はまだ煙草が有害であるという説を聞いた記憶はなかったが。
3 ところで,断酒や禁酒と禁煙はどちらが困難であろうか。実は私はこれまで長期間に亘り繰り返し「節酒」を試みたが,見事に失敗してきたのである。酒が百薬の長であるためのアルコール量は,純粋アルコールの量にして30CCであるとされている。ところが節酒の決意はいつも,飲酒開始後に脆(もろ)くも崩れ,一旦飲酒するとアルコール量を30CCに押さえるのは至難の業である。そして「今日1日だけはオーバーを許すが,必ず明日からは・・」となり,それが実現できる明日は永遠にやって来ない。
4 このたびは変形の「断酒?」が成功しそうな気配であるが,妻は全く信じてくれない。私は断酒の策として,毎日ビール350CCと日本酒ワンカップ1本(1合)を飲んだことにし,その酒代を500円とみて,断酒貯金として毎日500円を貯金することにした。そのために空になったペットポトルをハサミで切断して,マジックで「断酒用貯金箱」と記載した貯金箱を作成した。そして毎日500円硬貨1個をそれに投入している。不思議なことにこの工夫により,私の断酒の決意は強化され,飲酒しようとする衝動との戦いに連日勝利している。いずれ「断酒貯金」により巨万の富を貯めようかと,認知症老人の夢を見ている気分であるが,この貯金は案外楽しみになっている。
5 そして私が断酒を本気で決意した真の理由は別にあるが,今は書かない。(ムサシ)



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