日本裁判官ネットワークブログ
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          つれづれなるままに   
 ブログ掲載を再開するように言われながら、約束を果たせないままに,1年が過ぎてしまった。文をものするに当たっては、心中から沸き上がってくる想いがないと、空しさが伴う。ここのところ、世の中の動きに気になることが多く、心の中から沸き上がってくる思いは激越になる一方である。これをそのまま文章にしてしまうと、政治的な論考であると捉えられてしまいかねず、Jネットのブログにはふさわしくないことになる。これがブログ掲載の再開が遅くなってしまった弁解である。
 このGW中の2,3日は忙中閑ありで、久しぶりにのんびりした。
 朝、縁側に座って庭の花木を眺めていると、花木に熊ん蜂やすずめばちや足長蜂が数匹飛んできていた。刺されたら危険であると思い、「蜂、アブ、ジェット」という蜂駆除用の噴霧器を家内から取ってきて、再び庭に出ると、ブンブンと騒がしい音が聞こえてきた。
 朝っぱらから,暴走族がうるさいなあ、まだ今時、暴走族が走っているのかなあと思い、音のする方向に行ってみると、庭の3メートル程に成長した樹木の幹の中程辺りに、ミツバチが次から次へと飛んできているのに遭遇した。そこには、厚さ7,8センチ、縦20センチ、横15センチほどの楕円状の塊の表面を無数のニホンミツバチが囲うようにして蠢いていた。
 セイヨウミツバチの蜂群が、世界的に激減しつつあり、地球温暖化が原因であると指摘されている中で、ニホンミツバチは健在であったことに感動するとともに、我が家に巣を作ってくれたことを感謝するような気持ちになった。ミツバチが次から次へと飛んできては、塊の中に潜り込んだり、表面で羽を振るわせている姿は、見ていて飽きず、子供の頃に戻ったような清々しい感じがした。ファーブルが齢を経て後、昆虫を観察するときの気持ちはこのような気持ちだったのかと思ったりした。
 ところが、翌朝、廃品回収のトラックのスピーカが鳴り響くや、塊のところに集まっていたミツバチの大群は、渦を巻くように舞い上がり、空の彼方に消えてしまった。そして、塊があった樹木の幹には、その跡形もなかった。ミツバチについて調べてみて初めて知ったのだが、この塊は、分封蜂球というものであり、新たな女王蜂が誕生すると、蜂の群の分割が起こり、女王蜂は働き蜂を引き連れて新しい巣を探す旅に出、女王蜂を守って働き蜂が塊のようになるそうである。また新たな旅に出たのであろう。我が家が終の棲家にならなかったのにはちょっと寂しい気がした。専門家にとっては常識的なミツバチの生態であろうけれども、門外漢の私にとっては初めての経験であり、珍客の訪問に、一時、俗界から離れて、自己が自然の中の一部であると感じる時間を持てたことに感謝した。
                                    (田丸一心)



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