日本裁判官ネットワークブログ
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投票のご協力ありがとうございました。裁判官ネット内での投票等も併せて決定

しました。今年は特に激戦でした。

この投票も含めて,一年間裁判官ネットのブログに関心を持っていただき,あり

がとうございます。来年も「希望の裁判所」と共に,本ブログをどもよろしく

お願いします。

1位 大津地裁,関西電力高浜原発3,4号機運転差止めの仮処分決定(3月)
2位 司法修習生へ給付制度(71期以降 13万5000円 住居給付再考
   3万5000円)の新設を法務省が発表(裁判所法の改正などが必要)
   (12月)
3位 裁判官ネットの「希望の裁判所」出版。出版記念パーティも盛況(11月)
4位 東京高裁判事 ツイッター投稿により東京高裁長官から口頭で厳重注意
   (6月)
5位 最高裁 遺産相続における預貯金の扱いの変更判決(当然分割なし 遺
   産分割の対象に)(12月)
6位 最高裁 ハンセン病特別法廷について謝罪 最高裁裁判官会議が談話を
   発表(5月2日憲法記念日前の寺田最高裁長官の記者会見でも謝罪)
   (4月)
7位 最高裁 認知症患者のJR徘徊事故で家族に責任なしの判決 認知症患
   者の家族の監督義務について「総合判断」(3月)
8位 日弁連人権大会での死刑廃止宣言と会内外でのそれへのリアクション
   (10月)
9位 司法試験合格者1583人 大幅減 予備試験組235人で過去最多
   (合格率平均22.95%,予備試験組は61.52%)(9月)
10位(2つ)
  ・米軍基地の辺野古への移設問題における代執行訴訟で国と県が和解。移
   設工事はいったん中止し県と国が3件の訴訟を一本化。その後展開があ
   り,9月に,沖縄県知事の埋立承認取消しを違法との判断(福岡高裁那
   覇支部)。12月に最高裁で原判決の結論を維持。 (3月~12月)
  ・改正刑事訴訟法など可視化法成立 録音録画の一部義務付け 司法取引
   の導入・通信傍受の拡大(5月)
次点(2つ)
  ・法科大学院志望者8274人(前年比2000人減) 新たに9校募集
   停止(45校に ピーク時は74校) 受験者数は7528人(前年比
   1828人減) 合格者数4042人(同970人減) 競争倍率1.
   86倍(4月)
  ・保釈率 10年で倍増 最高裁のまとめで判明
   2005年:12.6%  2015年:25.7%

次点より下は,・福岡地裁小倉支部 組幹部の裁判で声かけ事件発生(閉廷後,
被告人の知人が裁判員に対し「よろしく」と声を掛けた) 裁判員4人補充裁
判員1人が辞退 裁判所は裁判員裁判から除外する決定 声かけ被疑者2人は,
裁判員法違反で逮捕(6月),・ヘイトスピーチ対策法成立(6月横浜地裁川
崎支部で,ヘイトデモ差止めの仮処分申立て認容。12月大阪地裁でも同様の仮
処分申立て認容)(5月),・最高裁 司法書士の債務整理に関する受任可能範
囲について限定(1件140万円以下の案件のみ。弁済額の変更により依頼者が
受ける利益が140万円以下なら受任可能との司法書士会の主張を退けた。)
(6月)でした。

 

 

 

 



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今年の司法十大ニュース候補を並べました。今年もいろいろありましたね。

3点・・3つ 2点・・3つ 1点・・3つ 合計9つのニュースを選んでください。

印象深いものについてコメント付きでも結構です。ネット内での投票と併せて集計し,

後日発表します。よろしくお願いします。番号だけでも結構です(3点は1,15,

27,2点は・・というように)。

(1月)
1 強姦罪で逆転無罪(福岡高裁宮崎支部)DNA鑑定が根拠(上告断念。確定へ)
2 最高裁 結果的に暴力団への融資となった事案で,信用保証協会の信用保証有効
 の判断(調査義務を果たしているかが問題となった。)
3 平田被告(オウム事件)の上告棄却 懲役9年確定へ
4 ゴルフ場での18歳女性に対する準強姦事件(強制起訴事件)で無罪確定へ。
 強制起訴事件8件。うち3件目の無罪確定。
5 京都地裁 アスベスト訴訟で,国と石綿建材メーカーに一部認容判決。後者は初。

(2月)
6 鞆の浦,埋立て撤回。県が申請を取下げ。景観保護をめぐる訴訟終結(広島高裁)
7 京都地裁 福島第1原発事故関係,自主避難で,3000万円の認容判決(ADR
 での和解提示額は1100万円)
8 東日本大震災での津波遺族の敗訴,上告審で2件確定(銀行従業員と保育園児の各
 遺族の訴訟)
9 福島第1原発事故関係で,東電元会長,元副社長2人の合計3人を強制起訴

(3月)
10 最高裁 認知症患者のJR徘徊事故で家族に責任なしの判決 認知症患者の家族の
 監督義務について「総合判断」
11 知財高裁大合議部判決 後発薬(ジェネリック),製法特許を侵害として販売差止
 めを認めた一審判決を支持 厚労省が特許切れを確認して承認したジェネリック商品で
 ,「物質特許」の期限は 切れていたが,「製法特許」は有効であった事案。
12 米軍基地の辺野古への移設問題における代執行訴訟で国と県が和解。移設工事はい
 ったん中止し県と国が3件の訴訟を一本化。その後展開があり,9月に,沖縄県知事
 の埋立承認の取消しを違法との判断(福岡高裁那覇支部)。12月に最高裁で原判決の結論を維持。
13 大阪地裁 5億円横領の弁護士に実刑判決(懲役11年)
14 大津地裁,関西電力高浜原発3,4号機運転差止めの仮処分決定
15 関西電力社長,高浜原発事件で,一般的に逆転勝訴すれば損害賠償請求も考えられ
 ると発言し,議論をよぶ(ただし,現時点では会社としては決めていないとも発言)
16 安全保障関連法が施行され,各地で訴訟が相次ぐ(12月現在12地裁)

(4月)
17 最高裁 ハンセン病特別法廷について謝罪 最高裁裁判官会議が談話を発表(5月
 2日憲法記念日前の寺田最高裁長官の記者会見でも謝罪)
18 綿引万里子判事 札幌高裁長官に
19 法科大学院志望者8274人(前年比2000人減) 新たに9校募集停止(45
 校に ピーク時は74校)受験者数は7528人(前年比1828人減) 合格者数4042人(同970人
 減) 競争倍率1.86倍(前年から横ばい) 入学定員(2724人)に対する定員充足率は68%
20 熊本地震 法律家の支援活動盛ん(弁護士による無料法律相談,情報提供活動,法
 テラスも同様の活動)

(5月)
21 ヘイトスピーチ対策法成立(6月横浜地裁川崎支部で,ヘイトデモ差止めの仮処分
 申立て認容。12月大阪地裁でも同様の仮処分申立て認容)
22 改正刑事訴訟法など可視化法成立 録音録画の一部義務付け 司法取引の導入・通
 信傍受の拡大

(6月)
23 福岡地裁小倉支部 組幹部の裁判で声かけ事件発生(閉廷後,被告人の知人が裁判
 員に対し「よろしく」と声を掛けた) 裁判員4人補充裁判員1人が辞退 裁判所は裁判員裁判から除外
 する決定  声かけ被疑者2人は,裁判員法違反で逮捕
24 石巻3人殺傷事件 元少年(事件時18歳)の死刑確定(死者2人 1審も死刑
 最高裁が上告棄却)裁判員裁判で初
25 最高裁 司法書士の債務整理に関する受任可能範囲について限定(1件140万円
 以下の案件のみ。弁済額の変更により依頼者が受ける利益が140万円以下なら受任可能との司法書
 士会の主張を退けた。)
26 日弁連調査 自治体常勤弁護士倍増 全国124人(2013年56人 2014
 年76人 2015年102人) 多いのは東京都10人 大阪市・明石市いずれも7人
27 東京高裁判事 ツイッター投稿により東京高裁長官から口頭で厳重注意
28 熊本地裁 熊本松橋事件再審開始決定
29 名古屋高裁 GPS捜査「違法」高裁初の判決「立法的解決を」
☆GPS捜査事件については,10月に最高裁大法廷回付となった。

(7月)
30 最高裁 歓迎会後に交通事故死の事例で労災を認める判決
31 明石歩道橋事件(強制起訴事件),免訴判決確定
 ☆これで,強制起訴事件9件中,5件が,無罪(3件)又は免訴・公訴棄却確定
2件は有罪確定。1・2審無罪で上告中が1件,1審係属中が1件。
32 神奈川県相模原市の障がい者施設で,19人殺害26人負傷の事件が発生し,被疑
 者(元従業員)が逮捕される。9月から来年1月まで鑑定留置し,責任能力を判断し
 た上で処分が決まる予定。

(8月)
33 最高裁 ハンセン病に関する特別法廷問題の再発防止のため,裁判官研修を発表
34 大阪地裁 東住吉事件で再審無罪判決(検察が控訴権放棄で即日確定)

(9月)
35 保釈率 10年で倍増 最高裁のまとめで判明
  2005年:12.6% 2015年:25.7%
36 日経調査 6月時点での企業内弁護士1707人のうち,女性が689人(40.
 4%)を占める。10年前に比べて642人増える。弁護士会内の女性比率は18%
 。
37 司法試験合格者1583人 大幅減 予備試験組235人で過去最多(合格率平均
 22.95%, 予備試験組は61.52%)
38 大阪地裁がヘイトスピーチについて,個人の賠償請求を認容

(10月)
39 全国の警察 裁判員裁判の対象事件は,被疑者の取調全過程を原則録画録音の試行
 開始(義務付けは平成31年までに)
40 日弁連人権大会での死刑廃止宣言と会内外でのそれへのリアクション
41 仙台地裁 大川小学校の津波被害児童の遺族全員に合計14億円の認容判決。被告
 は市と県。
42 最高裁 弁護士法23条の照会を回答拒否しても,弁護士会への不法行為は不成立
 との判決

(11月)
43 裁判官ネットの「希望の裁判所」出版。出版記念パーティも盛況

(12月)
44 最高裁 遺産相続における預貯金の扱いの変更判決(当然分割なし 遺産分割の対
 象に)
45 司法修習生へ給付制度(71期以降 13万5000円 住居給付再考3万500
 0円)の新設を法務省が発表(裁判所法の改正などが必要)
46 ニカラグアで服役した日本人男性が,死後に再審無罪判決
47 大阪弁護士会 元裁判官の弁護士に業務執行停止3か月(少年A関係)
48 最高裁 厚木基地騒音訴訟,1・2審判決を破棄し,自衛隊機差止めを認めず。将
 来分の損害賠償請求も却下。
49 最高裁 殺人事件で訴訟能力回復可能性がないことを理由に公訴棄却



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9 妻の死による最大の教訓は,健康に少しでも異変があれば直ちに検査すべきであるということである。少し前に検査をして異常がなかったとしても,放置してはならない。前の検査でミスがなかったという保証はないし,前回の検査の時点で異常がなかったとしても,その後異常を生じたかも知れないのである。
 私としては,何としても直ちに妻を検査に行かせるべきであったと痛恨の思いでいる。妻という存在は(夫もそうであるかも知れないが),夫の言うことを余り聞こうとしない存在のようである。友人の皆さんがそう言っている。「俺をひとりにしてくれるな。」と土下座してでも頼めばよかった。それでもダメなら,暴力亭主か鬼になって,強引に妻を病院に連行すべきであった。私は今後の生涯において,この点に関して自分を許すことは決してないだろうと思っている。そしてまた,その時の判断ミスの結果を,今自分の人生の様々な思いとして,悲しさや寂しさ,痛恨の思いに苦しむというツケを自分で支払っているということになっているのである。
10 私の親しい高校のクラスメイトで,乳ガンに詳しい医師の友人がおり,結局その友人に頼んで検査を受け,手術をして貰ったのであるが,妻が検査に行こうとしなかった時点で,直ちにその友人に電話して,どうしたものかと相談すればよかったと思うのである。その友人は,きっと直ちに検査を受けるべきだとか,乳ガンにもいろんな種類のものがあって,驚くべき速さで成長する乳ガンがあるという恐ろしい話を教えてくれたに違いない。やはり私が必死になって,ベストを尽くさなかったということであろう。
11 妻は,このたび階段を下りる際に,両手に荷物を持っていたようである。階段は危険な場所であるので,荷物は片方の手に持つだけにして,手すりに近寄って階段を下り,バランスを崩したような場合には,直ちに空いた手で,手すりを掴むことができるように心掛ける必要があったということである。そして階段は危険な場所であることをよく認識して,注意深く一歩ずつゆっくりと下りるべきであるということであろう。
12 私は,機会があるごとに,私の痛恨の思いを多くの人に伝えることにした。このような痛切な思いをする人をひとりでも少なくしたいと思うのである。「後悔は先に立たず」というが,今身に沁みてそれを実感していることになる。またその思いは今回の判断ミスという点だけではなく,結婚してから妻を亡くするまでの40年の結婚生活を振り返るときに,さまざまな小さな場面でそう思うのである。私は暴力亭主ではなく,比較的に細かな点に気付く人間であると思っているが,いざ妻を亡くして,もはや何もしてやることができなくなって仕舞うと,あの時もっと優しくできなかったものかとか,細かな点に気付かなかったこととか,寂しい思いをさせたのではないかなどと,甚だ多くのことを思うのである。それは,全く何もできなくなってしまった時に初めて,多くの後悔の念として頭に浮かんでくるような気がするのである。最近の私は,友人などに会うたびに,「奥さんに優しくしてる?」などと,余計なお節介発言をしているのである。
13 夫も妻も,配偶者との長年の生活に慣れて,謙虚に相手の意見や忠告に耳を傾けなくなって仕舞っているかも知れないが,「後悔先に立たず」と悔やむことのないように,まだ間に合ううちに,そっとひとりで反省し,密かに自分の態度を改めて,「出会いの頃」の気持ちを思い起こして一層優しくし,改めて妻に対して「再びの恋」をしたかったと,つくづく思うのである。(ムサシ)



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 表記についての記載に一部誤りがあるという事務員の指摘があり,

一旦全文を削除して,訂正を検討することになりました。

 お詫びを申し上げる次第です。(ムサシ)



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1 先日用事があって上京した際に,池袋に住んでいる次女夫婦の家に泊めて貰った。来年小学入学の男の子と4歳の女の子の2人の孫と遊んできた。男の子とはオセロの真剣勝負で,接戦であったが2連敗した。ふざけて「こんなチビに負けてたまるか」などと悪態をついていたので,孫は大喜びしたようで,近くまた勝負をすることになった。
2 下の女の子は「木の実博士」で「どんぐり」が大好きで,そこそこ大きい箱にどんぐりを沢山拾い集めていた。近くのあちこちの公園に行くと,どんぐりの木がないかと探すのだというのである。私も妻も2人の子も大のどんぐり好きで,夫婦裁判官として転勤するごとに,転勤先の宿舎の近くの公園などで,どんぐりの木を見つけては,拾って箱に集めたものであった。
3 そうすると,下の女の子のどんぐり好きは遺伝ということであろうか。「おじいちゃんに一番大きなどんぐりをお呉れ。」と言うと,「ダメ」と拒否されてしまった。しかしなお執拗にせがんでいると,中ぐらいのどんぐりをひとつ呉れた。
4 そのどんぐりを自宅に持ち帰って,仏壇に祭ってある妻の位牌の前に,「君の遺伝だよ。」と言って,そのどんぐりを供えたのである。
5 もう20年も前のことだと思うが,私の郷里の桃太郎を祭っているとされている有名な神社の裏山には,桃太郎の古墳があり,その頂上近くに大きな実のなるどんぐりの木を見つけて,親子4人でどんぐりを拾ったことがあった。そのとき次女はまだ小学生であったような気がする。そのどんぐりは,孫が集めていたどんぐりの一番大きなどんぐりの2倍はあるのではないかという気がする。そのどんぐりを沢山拾っておいて,今度上京するときに,孫にプレゼントすることにしようと思っている。そして,私も孫から,この前貰ったどんぐりよりも大きいどんぐりを沢山貰ってきて,妻の位牌に供えてやろうと思っている。きっと妻も喜ぶに違いない。
6 寺田寅彦随筆集の「どんぐり」という一文がある。妊娠中に肺結核になった奥さんが,ある体調の良い日に,近くの小石川植物園に行きたいというので,夫婦で歩いて出かけたところ,奥さんがどんぐりの木を見つけて,夢中になってどんぐりを拾い,自分のハンカチが一杯になると,夫のハンカチを借りてまた一杯にして喜んだという,微笑ましい夫婦の光景が描かれている。
 その後奥さんが亡くなり,奥さんのお墓に苔(こけ)の花が何回か咲いたころ,6歳になった忘れ形見の長男を連れてその植物園へ遊びに出かけたところ,その子が夢中になってどんぐりを拾い,5~6個拾うごとに息をはずませて,父のそばに飛んできて,父の帽子の中に広げたハンカチに投げ込むことを繰り返すのである。その様子を見て,父は母の遺伝だと思うのである。「大きいどんぐり,ちいちゃいどんぐり,みいんな利口などんぐりちゃん」と歌いながらどんぐりの頭をつつく長男の姿に,懐かしさと悲しい思いで亡き妻を忍ぶのである。そして亡き妻の長所も短所も全て遺伝して差し支えないが,母の悲しい運命だけは,この子に繰り返させたくないものだと,しみじみそう思ったというのである。明治38年の作品である。
7  わがやはみんなどんぐりが大好きであるが,そんなことから私は寺田寅彦一家に,わが家との類似性を見い出して,この随筆が大好きになったのかも知れない。(ムサシ)

             



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