日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
ホームページhttp://www.j-j-n.com/も御覧下さい。
 



日本裁判官ネットワークのHP6月号(http://www.j-j-n.com/)がアップしました。掛け値なしに面白いです。取材のために参加された周防正行監督を交えての例会報告は、裁判官、弁護士、市民の各発言とも興味深いものです。下記に、新記事等を掲載しておきますので、是非HPをご覧下さい。

8月号の新記事

例会報告・映画「それでもボクはやってない」を巡って
はじめに オピニオン・例会報告
冒頭発言その1 裁判官 オピニオン・例会報告
冒頭発言その2 弁護士 オピニオン・例会報告
冒頭発言その3 周防正行監督 オピニオン・例会報告
冒頭発言その4 裁判官 オピニオン・例会報告
意見交換・前半 オピニオン・例会報告
意見交換・後半(裁判員制度について) オピニオン・例会報告
周防正行監督への手紙 オピニオン・例会報告
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虹がでるとは コーヒーブレイク「弁護士任官どどいつ
「平和訴訟」の巻 コーヒーブレイク「女王の裁判所(最終回)」
事件を選べない コーヒーブレイク「悪魔の法典(新連載)」
ロンドンの空き巣 コーヒーブレイク「本の中から」
皆さまからのメール 皆さまからのメール
わが不老長寿法(続)その4 Su&Fa からの声
例会発言の趣旨 Su&Fa からの声


6月例会成功

 日本裁判官ネットワークの例会「『それでもボクはやってない』を巡って」が6月23日(土)東京学士会館で開催されました。会場一杯の盛況で,取材のために参加された周防正行監督からは,撮影の動機,裁判に対する不安と期待等のお話を聞くことができました。映画による批判を真摯に受け止めつつも反発も感じたとする会員裁判官らの感想意見に対して,痴漢事件に取り組む弁護士・市民らの厳しい裁判批判も多く出され,和やかさ中に緊張感も交じり,充実した意見交換の場となりました。議論は,裁判員制度の在り方に発展し,期待と懸念が熱心に語られました。オピニオン欄に意見交換の様子を紹介します。
次回例会のお知らせ

 日本裁判官ネットワークの次回の例会は,12月1日(土)に岡山市で催す予定にしています。内容や会場などはまだ未定で,次号でご案内できるかと思います。



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 現職裁判官の執筆による「かけ出し裁判官の事件簿」(1,365、ビジネス社)が話題を呼ぶかもしれません。今年は、裁判もののヒット作がいろいろ出ていますから(例「裁判官のお言葉集」「映画 それでもボクはやってない」)。著者の裁判官によるブログもあります(http://blogs.yahoo.co.jp/judge_nori)。是非ご覧下さい。
 当該ブログでは、「このブログをやってる理由でもあるんですが,あと2年もせずに始まる裁判員制度。少しでも多くの方が裁判のことを興味持っていただけたら,と思ってトライ。本屋さんで見かけたら,是非,手にとってみてください 。ちなみに,著者の「八橋一樹」となってるのは,主人公(架空)からそのままつけたペンネームです☆(巻末のプロフィールも,お話に合わせた架空の内容なのです)もちろん,フィクションだよ☆」とあります。いろいろ発信されているのは、裁判官による他のいくつかのブログと趣旨が近いところがありますね。もちろん、当ネットワークのブログも同じです。本が売れるといいですね。

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 今日は、参議院議員の選挙です。選挙というと、立法府の問題ですが、裁判所も何かと事後処理に追われます。後で議員定数不均衡の問題で訴訟になるのは、最近の国政選挙では恒例になった感じもあり、最高裁判決も度々でていますが、この種の選挙の効力や当選の効力に関する訴訟は、高等裁判所以上の裁判所で審理されますから、全国の裁判官に広く関係あるとまではいえません。一方、地裁、簡裁併せて、全国の裁判官に比較的広く関係するのは、地域差もあると思いますが、公職選挙法違反の事件でしょう。選挙が終わると、公職選挙法違反の事件が多数裁判所に押し寄せる可能性があります。まずは、逮捕状、勾留状等令状関係でしょうね。客観的証拠が残りにくく、供述に依拠する性格がある類型の事件です。平成15年に行われた鹿児島県議選中に、鹿児島県志布志町(現志布志市)で起きたとされる事件で、13人が逮捕・起訴されましたが、昨年2月に、鹿児島地方裁判所が自白には信用性がなく、被告人全員に無罪判決を下し、確定したことがありましたが、この事件は記憶に新しいところです。選挙が終わると、裁判所、その前に警察、検察庁、そして弁護士が忙しくなりますね。以下は、読売新聞からです。

悪質な選挙違反を一斉摘発へ、買収や詐偽投票など50件

 全国の警察本部では、参院選投票終了後の29日夜から、悪質な選挙違反の一斉摘発に乗り出す。

 警察庁によると、摘発予定は買収や詐偽投票など約50件に上り、約140人を取り調べる。

 27日までに摘発した選挙違反は、前回(2004年)より9件少ない21件で、逮捕者も10人少ない21人だった。容疑は、ポスター破りや演説妨害などいずれも自由妨害だった。




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 裁判所に放火行為が行われたとの報道がなされています。現行犯逮捕されたようですが(現場に、警察官がいたのも、令状請求の関係であって、裁判所の特殊性といえましょうか。市役所など他の公共機関ではまずないでしょうね。)、詳細は続報を待ちましょう。ところで、こうした事例がおきやすい状況になっており、当ネットのホームページ(http://www.j-j-n.com/)で、「Judgeの目その17 開かれた裁判所の理念と裁判所の警備問題~2つは矛盾するのでしょうか。」でも論じておきましたが、裁判についての普遍的な価値を踏まえつつ,裁判所が現在の状況に応じた警備問題の取組みも必要な時代になってきているといえましょう。裁判所が頼りにされ、いろいろな人が出入りをするだけに、そして、裁判員制度で裁判を支える人が増えるだけに、警備問題は重要な問題です。
 以下は、時事通信からです。

裁判所に放火、59歳男逮捕=「不当判決で恨み」-神奈川県警

 25日午後1時半ごろ、神奈川県藤沢市朝日町の藤沢簡裁2階の廊下で、男が持っていたペットボトルからガソリンのような液体をまき、ライターで火を付けた。廊下など約3平方メートルを焼き消し止められたが、同階にいた30歳と61歳の男性会社員2人がのどや目の痛みを訴え、病院に運ばれた。いずれも軽傷という。男は逃走したが、逮捕令状請求で訪れていた県警藤沢署員に現住建造物等放火の現行犯で逮捕された。
 調べによると、男は住所不定、無職樺沢澤夫容疑者(59)。同容疑者も左手に軽いやけどを負った。
 調べに対し、樺沢容疑者は「今年2月に交通事故の裁判で不当な判決を受け、恨みがあった」と供述しており、同署が詳しい動機を調べている。 


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 本日(7・26)付け朝日新聞で、2回目の司法取引の特集が組まれました。
 10年前の宇川検事による司法取引積極論の論文が紹介され、当時刑法学者や弁護士らが画期的と評価する一方で、法務・検察では黙殺されたとしています。詳しいことはわかりませんが、当時はともかくとして、現在は黙殺とはいえないでしょうね。
 その他にも、事実上の「取引」として、昨年10月から始まった「即決裁判手続」(比較的軽い罪に問われた被疑者が、執行猶予付き判決が言い渡されるのを前提に起訴事実を認めて争わず、1回の公判で判決が出される手続)があり、今年5月までに2925件が行われたとされています。
 この「司法取引」が日本で導入されるかどうかは、組織犯罪への対応という「待望論」がある一方で、冤罪防止という消極論が対極にあるようですが、私は、最後のポイントは、この制度が日本文化に馴染むのかという点のように思います。刑罰を取引で回避することができるようにすることに国民意識が納得するか、大いに議論したいところです。

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 7月25日朝日新聞朝刊に,「司法取引是か非か 捜査現場に待望論」との大きな特集が組まれている。司法取引というのは,例えば,組織犯罪などで末端の犯罪関与者が,上位の関与者のことを供述することで自らの処罰を減免してもらう(刑事免責)ため,捜査官と取り引きすることをいう。これが是認されれば,組織犯罪などで背後の大物検挙が容易になり捜査は大きく進展する。アメリカなどでは普通に行われているが,日本では許されないとする考えが強かった。しかし,最近,ゼネコンのかかわる談合事件で,最初に申告した業者を検察が立件せず,その業者の情報等を下に他の業者を起訴したケースで,司法取引・刑事免責を認めたではないかとして議論がわき起こっている。
 筆者は,以前から日本的な自白追求捜査の危険性と限界性を克服するためには,このような司法取引・刑事免責を認めるべきではないかと考えてきた。自白追求もだめ,司法取引のような代替の捜査手法もだめでは,捜査官側は納得できまい。もちろん,取引きに応じて述べた供述が,自分の処罰を免れるためにデッチあげた嘘の可能性はないか,これを慎重に見極めるシステムは必要だ。同記事によれば,秋山賢三弁護士は,①取調べ段階で弁護士を介在させ,捜査側に誘導されないようにする,②免責や減免のルールの確立,③嘘をついた場合のペナルティの確立などを司法取引導入の条件とすべきだとする。これに類した何らかの方法は必要であろう。アメリカでも刑事免責を受ける者の供述の真実性を慎重に見極める姿勢にあると聞いている。
 捜査官が自白(共犯者の関与事実を含む)を獲得するには,強圧的な方法か,何らかの取引材料を提供する代わりに自白を引き出す柔らかな方法が有効であり,実際にもこれらが利用されていると思われる。捜査官側が取調べの可視化(取調べ状況を録画するなどしてその供述が任意かつ信用できるかどうかの裏付けに用いようとする仕組み)に強く反対するのは,こうした手法が露わにされると,今の裁判実務の下では供述の任意性が疑われるからであろう。もし,取引的取調べ手法が容認されるなら,捜査官は,取調べにあたって堂々とそのような方法をとることができるようになり,少なくとも可視化を恐れる理由の一つが解消される。強圧的な方法による自白獲得が後に争われる可能性が高いとすれば,できれば取引的方法による柔らかい取調べの方が効率的でもある。しかも,真摯かつ誠実な取引を可視化しておけば,かえってその供述の真実性を裏付ける強力な証拠にさえなる。捜査官が可視化に反対する根拠はますます失われてくる。司法取引の是認は,現下の刑事司法最大の課題の一つである取調べの可視化に向けて突破口になるかもしれない。 (蕪勢)

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 朝日新聞で、2回にわたって司法取引の特集が組まれるようです。1回目は本日25日の朝刊。独占禁止法の課徴金減免制度が事実上の司法取引になっているといい、これをきっかけに司法取引を正面から議論すべき時代になってきたという論調です。
 組織犯罪への対応を迫られている捜査側には、司法取引待望論への期待が大きいとし、弁護側には賛否両論があると紹介しています。消極論は、無実の人間が、取引を持ちかけられて認めてしまう危険性にあると指摘しています・
 裁判員制度の実施に向けて2年弱となり、刑事裁判が大きく変わろうとしている時代ですので、司法取引についてもそろそろ議論の俎上にのせてもいいかもしれませんね。
 朝日新聞の特集は是非ご覧下さい。

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福島の事件に続き,また医事関連で刑事事件になるかもしれませんね。
以下は産経新聞からです。

独協医大で手術ミス 2医師を書類送検へ 業過致死容疑、埼玉県警

 心臓手術ミスで患者を死亡させたとして、埼玉県警捜査1課と越谷署は19日、業務上過失致死の疑いで、手術を担当した当時、独協医大越谷病院(埼玉県越谷市)に勤務していた40代と50代の男性医師をきょう20日にもさいたま地検に書類送致する方針を固めた。
 調べでは、医師2人は平成14年10月18日、狭心症で入院していた同市の会社経営の男性=当時(67)=の冠動脈バイパス手術中、ゴム管と糸で心臓を持ち上げた際、誤って心臓に数センチの傷をつけ出血させた。さらに、人工心肺補助装置のチューブの挿入位置を誤り大動脈を破裂させ、その後の適切な処置を怠り、男性を死亡させた疑い。
 遺族の被害届を受け、県警が捜査を進めていた。遺族は18年4月、病院を経営する独協学園を相手取り総額約8000万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。



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 村上事件について判決がでましたね。この事件に限らず,この種事件は量刑が重くなるでしょうね。保釈も認められたようですが,保釈保証金は,7億円だそうです。以下毎日新聞からです。
 
インサイダー取引 村上被告に実刑 追徴金11億円

 ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、証券取引法違反に問われた村上ファンド前代表、村上世彰(よしあき)被告(47)に対し、東京地裁は19日、懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円余(求刑・懲役3年、罰金300万円、追徴金11億4900万円余)を言い渡した。高麗(こま)邦彦裁判長は「一般投資家ではなり得ない特別な地位を利用したプロによる犯罪で、買い付け額は類を見ないほど巨額。強い利欲性が認められ、非難に値する」と述べた。前代表側は即日控訴する方針。追徴金額はインサイダー取引事件では過去最高となった。
 村上前代表が実質経営していた投資顧問会社「MACアセットマネジメント」には、求刑通り罰金3億円の判決が言い渡された。
 実刑判決を受け、検察側は村上前代表を収監する手続きをとった。一方、弁護側は東京地裁に再保釈を申請。認められれば、19日中に再保釈されるとみられる。
 最大の争点となったのは、ライブドア(LD)がニッポン放送株の大量取得を決定し、04年11月8日の会議で伝えたかどうかだった。判決は「うちで(発行株式の)3分の1を取りに行きます」と伝えたとするLD元取締役、宮内亮治被告(39)=別の証取法違反事件で1審実刑、控訴中=らの証言の信用性を認め、「買い集めの決定や資金調達の準備作業を始めたことを聞き(前代表は)伝達を認識していた」と指摘した。
 さらに「フジテレビに資本再編を促して高値売り抜けを企てたが、進展せず窮地に陥り、LDに『経営権を取れる』と甘言を用いて大量取得を持ち掛けた」と動機を指摘。「利益を上げる戦略で自らLDを勧誘した結果、インサイダー情報を受けた。偶然『聞いちゃった』のではなく、買い集めると言わせたもの。単なる情報の被伝達者というよりも当事者性が強い」と厳しく非難した。
 株の大量取得を決定した時期については「10月20日ごろまでには、LDに大量買い集めのための資金調達のめどがついていた」と判断。「05年1月下旬ごろ」とした前代表側の主張を退けた。
 村上前代表は公判で無罪を主張。「04年11月8日にLDからニッポン放送の経営権を取りたい趣旨の話を聞いたが、LD一流の面白おかしい大言壮語と思った。LDによる大量取得情報を念頭に同放送株を買い集めたのではない」と訴えた。だが、判決は捜査段階で容疑を認めた自白調書について「信用性を肯定できる」とし、無罪主張した公判供述を「不自然だ」と断じた。
 追徴金額では、ファンドの特性を考慮して、村上前代表の持ち分から金額を計算した検察側の算定方法を認めた。
 ▽村上世彰被告と弁護団の話 本日の判決は不当であり、控訴して適正な判断を仰ぎたい。
 ▽岩村修二・東京地検次席検事の話 証券市場の公正確保に資する的確で極めて有意義な判決である。
 ◆インサイダー取引の罰則
 インサイダー取引の罰則規定は「タテホ化学工業事件」(87年)を契機に、証券取引法が改正された89年に新設された。罰則はこれまで「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は3億円以下)」だったが、昨年成立した金融商品取引法では上限が「懲役5年、罰金500万円(法人は5億円)」に引き上げられ、罰則強化が進んでいる。


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 民法所定の年5%の法定利率引下げ検討のニュースが流れています。低金利時代に,5%は高すぎるとの批判が続き,裁判でも争われていました。最高裁が判決をして一旦決着しましたが,今回は立法で対応しようというものでしょう。ただ,世間の金利は時代と共に変化しますから,引き下げといっても,将来は引き上げが相当な場合もあるでしょうから,どういう形式で法定利率を変更するか興味あるところです。政令に委任して,変動金利のような形にするのでしょうか。また,法定利率を下げると,交通事故で後遺障害が残った場合など,将来の逸失利益の計算について,中間利息の控除で大きな影響が出ますね。法定利率の変更によって,損害賠償額にかなりの違いがでる結果,逆に,過去,法定利率5%で収支計算して保険料をはじいていたのと見合うのかといった問題もありそうです。変動金利になったら,中間利息の控除の計算などどのようにするのでしょうか。裁判官では,計算不能に陥りそうです。
 いろいろ波紋が大きそうですが,法務省はいろいろな場面を想定して手当もするのだと思います。今後の検討が注目されますね。以下は,読売新聞からです。

現行5%の法定利率、引き下げへ…逸失利益算出などに影響

 法務省は民法で定める法定利率を、現行の年5%から引き下げる方針を固めた。

 低金利時代を踏まえ、市中金利との乖離(かいり)を是正するのが狙い。引き下げ幅や変動型か固定型かなどについて検討を進め、早ければ2009年の通常国会で法改正したい考えだ。

 法定利率は、民法404条で、「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする」と規定され、金銭貸借などの契約で、利息をつけることになっているのに、具体的な利率が決まっていない場合に適用している。損害賠償金など法律上発生した債権に加算される遅延損害金、不正利得を悪意で得た受益者がその利得を返還する場合につける利息にも適用される。


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 当ネットワークのHPで,「Judgeの目 その7 裁判の迅速化に関する法律
~裁判の「うまい,やすい,はやい」は実現するか」(http://www.j-j-n.com/)
でも紹介しましたが,略称裁判迅速化法という法律が制定されています。同法では,1審は,2年以内のできるだけ短い期間に終えることを目標とし,検証は,最高裁が2年ごとに結果を発表することになっています。その第2回発表がありました。全文は,最高裁のHP(以下)
http://www.courts.go.jp/about/siryo/jinsoku/hokoku/02/pdf/gaiyo_honbun.pdf
に出ています。是非ご覧下さい。なお,北海道新聞の報道を以下に付けておきます。

刑事0.1カ月、民事0.4カ月 一審期間が短縮傾向 最高裁が第2回検証

 最高裁は十三日、「一審二年以内」を目標とする裁判迅速化法に基づき、昨年一年間に終結した裁判の審理期間などの検証結果をまとめた。一審の審理期間は刑事三・一カ月、民事七・八カ月で、二○○五年の初検証と比べて刑事が○・一カ月、民事は○・四カ月短くなった。特に刑事裁判では、初公判前に争点を絞る「公判前整理手続き」の効果がみられた。

 刑事裁判の一審の検証対象は七万五千三百七十件で、うち公判前整理手続きが実施されたのは三百三十六件。平均審理期間は公判前整理手続きを適用した裁判が五・二カ月で、適用しなかった裁判より二・三カ月短かった。特に、審理が長くなりがちな否認事件は、同手続きを適用しないと一三・一カ月だったのに対し、適用すると五・九カ月と半分以下だった。

 最高裁は、公判前整理手続きが審理期間の短縮につながっている、とみる。一方、裁判員制度で同手続きを行った場合「弁護士の準備などに無理が出る可能性もある」と懸念も示した。

 民事裁判の対象は十四万三千三百二十一件で、審理期間二年以上は5・5%。争点整理の長期化の要因について、内容の専門性や当事者の事前準備の不足などを挙げた。

 専門分野別の平均審理期間は、医療関係が二五・五カ月と最も長く、次いで建築関係の二二・四カ月。ただ、各地裁の専門部設置などで、前回よりそれぞれ一・六カ月、三・二カ月短くなった。



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 イギリスでも,市民に身近な裁判官というのは課題なのでしょうか。有名な裁判官のかつらが,民事で廃止されるそうです。でも,こうした伝統が無くなるのは,ちょっぴり惜しい気もしますね。以下は,共同通信からです。

民事裁判官のかつら廃止へ…約350年の伝統に終止符

 英イングランドとウェールズの両地方を管轄する司法当局は14日までに、約350年にわたり裁判官らが法廷で着けてきた伝統の白いかつらの着用を、来年一月一日から民事裁判で廃止すると発表した。経費削減に加え、市民と司法の距離を近づける狙いもある。

 刑事事件の公判では、法廷の威厳を保つ必要性とともに、被告人からの裁判官の人物特定が容易になることへの懸念もあり、着用廃止は見送られた。

 これまでの司法当局による意識調査では、64%が裁判官の法衣などの「近代化が必要」と回答。中には「時代錯誤」という厳しい意見もあったという。

 かつらは馬の毛でできており、裁判官が主に着用する短髪のものは約800ポンド(約20万円)。裁判官の法衣も簡素化され、全体で年間30万ポンド(約7400万円)の経費削減が見込まれている。

 英国では17世紀ごろから、上流社会でかつら着用が普通となったことに伴い、法廷にも慣習が持ち込まれた。


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裁判員制度を悪用して、個人情報を聞き出すという手口が報道されています。困ったものですね。以下は、時事通信からです。

「裁判員に選任」とうそ=電話で個人情報聞き出す-警察庁に通報・法務省

 2009年5月までに始まる裁判員制度を悪用して、「裁判員に選任されたので、住所、氏名を教えてほしい」などとうそを言って、個人情報を引き出そうとする不審な電話があったとする相談が法務省などに寄せられていることが13日、分かった。同省は「現段階で『裁判員に選ばれた』という連絡は来ることはなく、個人情報を尋ねることもない」とホームページを通じて注意を呼び掛けるとともに、警察庁刑事局や日弁連などに情報を提供した。 



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 年金確認の基本方針が出ましたね。選挙前の駆け込み基準などという批判もあるようですが,行政の基本方針にありがちな画一的な基準ではなく,柔軟な基準となったようです。私は,何か,民事裁判の基準のような印象をもちました。要は,年金保険料の納付という事実認定をするのですから,画一的な基準はなじまず,経験則を使っていろいろな証拠や間接事実から,認定できればよいのです。このため,判断の基準や,その適用にあたっての関連資料,周辺事情の例示は,司法修習生や法科大学院生が事実認定のために学べば,意外と勉強になるような気がしました。関心のある人は是非基本方針の原文(http://www.soumu.go.jp/hyouka/nenkindaisansha/pdf/070709_1.pdf)を読んで下さい。また,この基準で弁護士という法曹や社会保険労務士という専門家の入った地方委員会が認定していくわけですから,ちょっとした行政版裁判員制度,専門委員制度といった色彩もないではないですね。法化社会かな。以下は,日経ネットからです。(瑞祥)

「確からしい」は原則支給・年金確認委が基本方針
 領収書など年金保険料を支払った証拠がない人への年金給付を審査する総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」(梶谷剛委員長)は9日、給付の是非を判定するための基本方針を決めた。原則として本人の主張が「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」場合に支給対象にする。納付の裏付けとして認める資料や事情についての具体例も列挙した。

 政府は週内にも全国50カ所に地方版の確認委を設け、審査の受け付けを開始。国民の年金不安の解消を急ぐ。

 年金確認委は社会保険庁に記録がない人に支給の道を開くため、政府が6月下旬に設置した。基本方針はまず、「社会保険庁など行政機関の管理に起因する」として年金記録漏れ問題の責任が社保庁をはじめとする行政にあると明示。国民の立場に立って「公正な判断を示す」と強調した。



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 一昨日から昨日にかけて,いくつかお伝えしたいニュースが続きました。中国残留孤児訴訟が全面解決へと動き出したようです。全国の裁判所で争われていただけに感慨深いですね。ただ,地裁段階では唯一勝訴した兵庫訴訟だけは,原告団が高裁判決まで新支援策の受諾を留保したい旨述べておられるとの報道も目にしました。こうした訴訟は,弁護団がどの段階で解決を模索するか,難しいと思います。裁判官にはないご苦労があると思います。以下は,読売新聞からです。


残留孤児訴訟が全面解決へ、原告側が新支援策の受諾を決定

 中国残留孤児に対する新たな支援策について、中国残留孤児訴訟の原告・弁護団は8日、東京都内で記者会見し、与党プロジェクトチーム(PT、座長=野田毅元自治相)から提示された最終案を受け入れ、損害賠償請求権を放棄した上で、訴訟を終結させると発表した。

 原告・弁護団は最終案について「老後の生活安定という最大の目標が達成された」としている。2002年12月以降、帰国孤児の9割に当たる約2200人が全国15地裁で国を相手に起こした訴訟は、全面解決に向かうことになった。

 現在、残留孤児のうち約6割は生活保護を受けている。新たな支援策により、厚生年金も就労収入もない生活保護受給者の場合、生活費の支給は、現在の8万円から14万6000円に増える。厚生年金や就労収入がある人の場合は、14万6000円に加え、厚生年金や就労収入の3割分が上乗せされる形で手元に入る。


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