日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
ホームページhttp://www.j-j-n.com/も御覧下さい。
 



1 先日、正常眼圧緑内障の手術を受けた。両眼の予定であったが、とりあえず左眼だけで退院し、しばらく様子をみることになった。経過は順調である。このような話を書くことにどの程度の意味があるかはよく分からないが、参考になったという人もおられるかも知れないので、意を決して書くことにした。
2 本来の緑内障は「青そこひ」とも言われ、失明に至る恐ろしい病気である。眼の中に溜まる涙(房水)の生産量よりも排出量が少ないと眼圧が高くなり、眼底にある視神経の束を押し下げて、緑色に光りだすというのである。そして視神経の伝達機能に支障を生じて失明に至るそうで、痛みも強いとのことである。
3 私の眼圧は正常であるので、痛みもないし、緑色に光っているわけでもない。日本人は強度近視の人が多いせいか、正常眼圧緑内障の人が多いのだそうで、この場合の視神経を害する理由はよく分からないそうである。強度近視の結果眼球が長く変形して、視神経が伸びるとか、蛋白質の老廃物であるアミロイドベータが視神経内に溜まる結果だという説もあるようである。
4 眼圧は大気圧より少し高いので、大気圧との差を眼圧の値としているそうで、正常値は10~20mmHg(ミリ水銀柱)ということである。
5 私の正常眼圧緑内障歴は20年余り前の平成5年に遡る。当時裁判官であった私は、勤務先でパソコンに向かって判決を書いていたところ、画面を横に光の線が走ったのである。驚いてその日の夕方、勤務時間後に勤務先近くの眼科医院で診察を受けると、網膜に小さい傷ができており、その傷から網膜の下に体液が染み込んで、網膜を押し上げるので、網膜剥離になるとのことで、光視症と診断された。そして数日後レーザーでその傷部分を焼き付けて事なきを得た。光視症は完治した。
6 眼科医は、ついでに視野検査をしてみましょうかということで、生まれて初めて視野検査を受けた。そして極く少しだけ、両眼の鼻に近い部分の視野が欠けているとのことであり、眼圧は両眼とも16で正常値であった。このような視野狭窄の初期状態で発見されるのは、甚だ稀れであるとの説明を受けた。私には全く視野が欠けているという認識はなかったが、その時から、涙の生産量を減らす目薬と光に対する感度を高める2種類の飲み薬の使用が始まり、既に20年を越える正常眼圧緑内障との戦いが続いてきたのである。視野狭窄の進行は甚だ遅々たるもので、最近まで仕事にも格別の支障はなく、今でも車を運転しているし、1年前まではテニス大会にも参加していたということになる。なぜ手術することになったかについては、次回に書くことにする。
7 正常眼圧緑内障は痛みもなく、視野狭窄の進行も遅いので、その発見が遅れることが多いそうである。特に両眼で視野をカバーするため、視野に異変を生じたかどうかは案外分かりにくいそうで、片目が失明する寸前まで気付かなかったという人も多いということである。そのような事態を防止するためには、時々(月に1度)片目で見て異常の有無を確かめることを習慣にするのがよいようである。また金網のような物を視ると、視野の異変に気付き安いそうである。そして40歳を過ぎたら、年に1度眼科医院に出かけることも、教養の中に組み入れることをお勧めしたい。(ムサシ))



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )