日本裁判官ネットワークブログ
日本裁判官ネットワークのブログです。
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 最近夫婦で日曜の夜を楽しみにしている。毎週日曜夜11時にNHKで放送される「祝女」を見るためである。
 この番組の一番分かりやすい説明は,「サラリーマンNEO」の女性版,というところだろうか。過去二回単発で放送されたものが好評を博し,ついに今年1月から毎週の放送が始まった。アラサー周辺の女性をターゲットにしていると思われるが,50近くで「アラ,フィー,フィー」と言っているおばはん・おっさんにも大いに楽しめる。
 ショートコントをつないでいくパターンの番組だが,毎回どのコントが一番良かったかを語り合うだけでも,十分に会話は盛り上がる。
 1月10日放送分では「ユリ&マキ」が,事務所の弁護士・修習生(いずれも女性)を含めて4票満票を獲得。「自由にさせてくれるが,浮気心一杯の不誠実な男」と,「誠実だが,結婚して負担になる男」の二つしか選択肢はないのか,という問いかけに「誠実でもないが,負担にもなる男」というのもある,というところで爆笑してしまった。
 1月24日放送分では,個人的には内田朝陽・市川実和子の演技が微笑ましい「ま,いっか的に始まる恋」に惹かれたが,女性陣の票はともさかりえがヒモ男に啖呵を切る「11時の女 宇佐美怜」に集まった。
 最近の若い男女は何を考えているのかよく分からん,とお嘆きの家事事件担当裁判官・調停委員の方々には,娯楽とともに「発見」があるかもしれない。「要するにてめえら,相手云々より自分が幸せになることしか考えていないだろう。」と突っ込んでしまえば,それで終わってしまう,身も蓋もない話なのかもしれないが。
 本日31日も「龍馬伝」をハイビジョンで早めに見てから,4時間しっかり仕事をし,11時からテレビの前に座る予定である(あ,大阪国際女子マラソンも見なくちゃ)。
(最近テレビネタばかりの,くまちん)


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 ここ何日かは,今年の10大ニュースになるかもしれない大きな司法ニュースが続きました。
1月20日 神社への市有地無償提供違憲判決(最高裁大法廷)
1月25日 一票の格差,昨年の衆議院総選挙違憲判決(広島高裁)
1月27日 明石歩道橋事故事件で,初の起訴議決(神戸第2検察審査会)
1月28日 凶悪重大事件の公訴時効廃止などの刑訴法改正の要綱骨子案提示(法務省)

 それぞれに内容や意義等について,議論ができそうです。知っておくだけでも価値があります。こうした報道に限らず,高等裁判所や地方裁判所等の裁判例を含めた司法のニュースが報道された際には,身近な法曹の人とやりとりをする習慣をつけておくと,大事な判例や裁判例が頭に残り(片隅に残しておくだけでも,将来の検索の際に有用です。),また,司法に関する流れが理解できたりします。若い法曹や司法修習生,法科大学院生,法学部生には是非お薦めします。できれば,原文を読んで議論するくせをつけるとよいでしょう。たとえば,最高裁大法廷の上記違憲判決は,http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100120164304.pdfなどを見て下さい。関連事件もありますので,併せて読むととても参考になります。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100120161709.pdf
 私も,朝出勤した時や,昼休みに,いつもそうした情報交換をしています。司法修習生がいると,議論をしながら,最新の学説を仕入れたりできますし,若い人の感覚を知ることができるので,とても楽しいのですが,今は支部勤務で,司法修習生が身近にいないので寂しいところがあります。皆,忙しい毎日なのですが,「化石」や「たこつぼ」なんとかにならないように,日頃の研鑽が必要でしょうね。他の法曹の皆さんは,いかがでしょうか。



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1 私は,人生とは一局の「囲碁の名人戦」を戦うことではないかと思うことがある。本来なら仕事や文化的諸活動など人生の全てを含めて一局の囲碁と考え,そして人生における「妙手」や「絶妙の一手」を模索することが重要であると思うのであるが,それに関して論じるだけの強い衝動が湧くほど考えがまとまっているわけではない。

2 そこで長年関心を持ち,とりあえず論じておきたい衝動のある健康論に限定して「人生の名人戦」を論じようというのである。いささか期待はずれで,拍子抜けということになりそうではある。
 健康論における「妙手」はあるのか。それは密かに忍び寄る(ストークstalk)ガンなどの病気や老化との目に見えぬ戦いに勝利するための「妙手」はないかということを意味することになる。

3 殆どのがんについては,年1回の人間ドックなどの健康診断を怠らなければ,早期発見が可能であり,大事に至ることを防止できる時代である。目で見るだけでなく,血液検査をすると,腫瘍マーカーなるもので,どの程度自分の身体が傷ついているかをチェックできるようであるので,目に見えない敵についても,それなりの把握はできるのではあるまいか。がんは急に発生するものではなく,がんになる前には10年単位の長い経過期間があるとされており,その間がんを防止する対策としての「妙手」があれば,がんになることを防止できるのではないかということである。現代医学はがんも老化も同じメカニズムであるとしている。

4 最も恐ろしいのは,音もなく症状もなく,密かに忍び寄る「膵臓がん」ではないかと思う。気付いた時には手遅れで,打つ手がないということが多いそうである。この膵臓がんに対する備えとしての「妙手」はないものか。我々は,碁盤の前で腕を組んで,まるで命を削るかのように「絶妙の一手」を考える棋士たちのように,健康に対する「絶妙の一手」を見い出すことはできないものであろうか。

5 現代医学は,それを可能であると主張していると私は思うのである。最近は余り熱心に最新医学を勉強していないが,おそらく今でも,現代医学はがんや老化の原因として「活性酸素」説を主張しているのではないかと思う。
 活性酸素説とは,がんや老化の原因は自己の体内で過剰に生産された活性酸素が自らの細胞や遺伝子を酸化し傷つけることであるという説である。(ムサシ)

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 本日,1月24日日曜日の午後4時から,フジテレビ系列において,東海テレビ製作の死刑と犯罪被害者の問題を描いたドキュメンタリー「罪と罰」(FNSドキュメンタリー大賞受賞作)が放送されます。
 番組の内容については,以下のホームページをご覧下さい。
 http://www.tokai-tv.com/tsumibatsu/
 番組を製作されたのは,東海テレビのプロデューサー阿武野勝彦さんらで,2009年1月の名古屋での日本裁判官ネットワークの例会にご参加いただき,ギャラクシー賞を受賞された「裁判長のお弁当」の製作秘話を語っていただきました。取材対象の裁判長は机に座ったきり殆ど動きがなく,黙々と記録と向きあって仕事をするばかりなので,カメラは単調な画面が続き,裁判長が昼と夜(残業に備えて)の二つの弁当を持参して食べるところしか絵になる画面がなく,これを番組名にしたとのことでした。放映後,裁判所からは「お目玉」を食らったそうですが,どのあたりが裁判所のお気に召さなかったかについては,この番組の台本が「全国テレビドキュメンタリー09年版」(大空社)に収録されていますので,そこからご想像下さい。
 http://www.ozorasha.co.jp/fsouki.html#A-103
 なお,「罪と罰」とほぼ重なる題材を取り扱った青木理さんの「絞首刑」(講談社)が,最近公刊されており,裁判員裁判と死刑の問題にご興味のある方には是非お読みいただきたい内容になっています。「罪と罰」に登場する原田正治さんには,「弟を殺した彼と,僕」(ポプラ社)という御著書があります。
(くまちん)


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6 ところで,刑訴法,刑訴規則の規定は次のようになっている。
(1)上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて,・・保釈を・・すべき場合には,原裁判所が,その決定をしなければならない(刑訴法97条1項)。
(2)上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は,裁判所の規則の定めるところによる(同条2項)。
(3)上訴中の事件で訴訟記録が未だ上訴裁判所に到達していない場合については,・・保釈・・等は,原裁判所がしなければならない(刑訴規則92条2項,但し要旨)。

7 そして結論はこうである。
(1) 実務では,上訴申立時に上訴審に移審の効果を生じるので,原審弁護人の権限は上訴申立時に終了するとしている。私は上告申立てと同時に保釈請求したが,高裁支部は好意的に保釈請求をした後で私が上告したと解する扱いをしてくれたので,私の名でした保釈請求は私の権限として有効になされたと扱ってくれたのである。
   しかし,保釈請求却下決定に対する異議申立てをした時点では,既に私の弁護人としての地位は失われていたということにされた。
(2)そして実務の結論はこうなる。控訴審で控訴棄却の判決がなされたときに,なお上告と保釈請求をしたいという場合であるが,上告審に私選として弁護人になる場合には問題はない。しかし国選の場合には弁護人選任までに時間がかかるし,原則として弁護人が交替するので,その場合には先に保釈請求だけをしておいて,保釈請求却下決定に対する異議申立ての権限など,原審弁護人の権限はできるだけ残しておいて,上告は2週間の上告期限のギリギリまで待つなど,状況を見て判断するという方法があるということになる。早々と上告すると,原審弁護人としての権限が上告申立ての時点で消滅してしまう扱いとなるので,その後の対処に困ることになることがある。これに気付かなかった点が私の失敗であった。もっとも結果に影響はなく,小さな失敗であったと言ってよいだろうが,肝は冷やした。

8 これには有力な反対説がある。上告申立てと同時に上告審に移審の効果を生じると,原審弁護人の権限が失われて困ることになる。例えば原審弁護人による保釈請求,記録閲覧謄写請求権,接見交通権,上訴申立前にした保釈請求に対する却下の裁判に対する異議申立権等を原審弁護人に認める必要がある。そこで移審の時を訴訟記録受送付時と解すべきであるというのである(大コンメンタール刑事訴訟法第6巻9頁最下行~10頁8行目,原田國男)。優れた説であるが,実務は前述したとおりの扱いとなっている。

9 こんなことはベテランの刑事弁護人にとっては常識に属することかも知れない。しかし私は少し慌ててドタバタしたのである。
  ところで私はこの件で上告には反対ではあったが,被告人やその家族の強い希望を踏まえて,上告し,無理と思われる保釈請求や上告申立前にした保釈請求に対する却下の裁判に対する異議申立てをしたりして,多忙であるのに無駄な努力を強いられていると考えて,内心苛立ちを覚えていた。しかし結果として被告人は,その結果には甚だ不満ではあったが,弁護人ができることは全てしてくれたということを嬉しく思ったようで満足し,上告を取り下げたのである。私も,到底無理なことが明らかであるとか,無駄な努力だと思っても,依頼者を説得して断念させようと焦るのではなく,場合によっては依頼者の納得のために,無駄とは思っても,弁護士としてできることをしてみることに大きな意味があることを学ぶことになったのである。(ムサシ)



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昨年6月に裁判官を定年退官し,11月に弁護士登録をして早くも1年余りとなりました。

裁判官40年の経験が少しは生きると思っていましたが,ほとんど役に立たず悪戦苦闘の1年でした。

国選弁護などで法廷に入ると,なんとなくホッとする雰囲気を感じるのはまだ弁護士になりきれていない証拠と自覚しています。

弁護士の仕事の大半は,法廷外にあり,しかもその手続の実際は,当然ながら裁判官としては全く経験していないものばかりでした。

接見の仕方,保釈申請の方法,保釈金の納め方から始まり,調停や訴状に必要な戸籍や住民票,不動産登記簿等の取り方,多種多様な法律相談への対応の仕方等などハラハラ,失敗の連続といったところでした。

なにしろ気楽な生活にあこがれて,即独を選んだだけに失敗から学ぶしかない生活がまだあと1年は続くと覚悟している次第です。

それでも,経験の長かった刑事裁判の関係では,かなり自分が予想した,あるいは主張した結果が出ているものもあると自負しているところもあります。

依頼者,被告人と喜び合った経験もいくつかあり,弁護士の醍醐味も少し味わいました。

ただ,予想に反した結果になった事件もあり,裁判官と違い自分では結論を決められないもどかしさを痛烈に感じ,弁護士の悲哀も経験しました。

このような貴重な経験を生かして少しでもましなマチ弁になるべく今年も頑張るつもりでおります。

以上,ぼやきと決意表明でした。

                       悪戦苦闘中の「花」



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1 新年おめでとうございます。日本裁判官ネットワークへの有形無形のご支援をいただき,心から感謝しております。同ネットも昨年9月に創立10周年を迎え,新しい10年に入りました。これからもご支援を宜しくお願い致します。

2 新年を迎え,「光陰矢の如し」という言葉を,改めて実感をもって噛みしめています。 今年はどんな年になるのかと思うと,余り明るい気持にはなれませんが,クヨクヨと考えても仕方がないので,自分の持ち場でシッカリ頑張るしかないという結論になりました。

3 65歳から75歳までの前期高齢者の頃が人生の黄金期であるという説があります。そうであるなら,私も今人生の黄金期を生きていることになりますが,その実感はありません。多忙な日々を仕事に追われて,嘆息しながらアクセクと生きています。今年は人生の黄金期の人らしく,仕事も手早く片付けて,もう少し「颯爽」と生きたいものだと思っています。

4 私は「計画魔」で,これまで結構貪欲に色んな計画を立て,ある程度は実行してきましたが,あれもこれも中途半端なままになっています。そんな中で,今年はそれらの計画に一つずつ「結果」を出す年にしようと思っています。多くの計画に順番をつけて,中間的なことにはなりそうですが,「結果」を出す「収穫」の年にするのです。余り多くを望んでも無理でしょうから,「地道にしぶとく」と思います。前期高齢者の最終段階までには,それらの「集大成」を目指すことになるでしょう。まだまだ進化するのです。

5 先日誘われて参加したあるテニス大会で,90歳の男性プレイヤーがかくしゃくとして試合を楽しんでいる姿を見て,感動してしまいました。私が90歳まで生存しているかどうか,余り自信はありませんが,この人のことも一つの目標として,まだまだ色々と頑張ることにしました。

6 当地の今年の元日の朝はとてもよい天気でした。
「何となく 今年はよいこと あるごとし 元日の朝 晴れて風なし」(石川啄木)
                                (ムサシ)



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謹賀新年

読者の皆さん,いつもJネットのブログを読んでいただき,ありがとうございます。今年も,内容の充実を図りたいと思います。コメントなど宜しくお願いします。

ブログと両輪のHP(http://www.j-j-n.com/)は,2か月に1度の更新を考えています(偶数月)。特集などを企画し,メンバーやサポーターの意見を従来以上に充実させるだけでなく,法曹一般の方からの原稿も掲載していきたいと思っています。

好評だった「ネットワーク通信~裁判官のちょっといい話」第2号も春頃には発刊・配信予定です。是非ご一読下さい。

ところで,今年は,大きな企画を2つ考えています。日程は,5月の29日(土),11月6日(土)です。場所は,いずれも東京になると思います。内容は,5月29日に「裁判員経験者の話を聞く企画」を,11月6日に,法律実務家向けの企画「民事裁判改革」を予定したいと思います。日程や内容には多少変更があるかもしれませんが,一応今から予定表に書き込みをしていただくと幸いです。

さて,昨年から裁判員裁判が始まり,司法の新時代が到来したといえると思います。国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することで,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上することが期待され(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律1条),司法と国民の皆さんとの関係が変わっていくことになると思われます。Jネットは,設立当初から,「開かれた司法の推進と司法機能の充実強化」を目的にし,司法と国民の皆さんとの架け橋になり,司法の信頼強化のために努力してきたと自負しています。このため,この新時代の到来を共に喜び,従来以上に司法と国民の皆さんとの架け橋になれるよう努力していくつもりです。今年だけでなく,今後とも末永くJネットを宜しくお願い致します。
    




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日本裁判官ネットワークは,11年目の新年を迎えました。
今年は,民主党政権がその真骨頂を問われる年ですが,司法界も同じです。裁判員裁判では,全面否認事件や死刑求刑事件などの難事件が続々と係属し,長期間の審理と厳しい論点の評議という難関が待ちかまえています。民事裁判では,押し寄せる膨大な数の事件に対する対応が著しく遅れています。法曹養成では,3000人合格目標の修正の方向が問われます。裁判官の飛躍的増員を計ろうとしない最高裁の姿勢に対し,我々がどのように立ち向かうかも決断しなければなりません。
 困難な時代ですが,新年を迎えて気持ちを新たにし,この一年を頑張りたいと思います。当ネットワークのメンバー及びサポーターの皆さん,力を結集してください。ファンクラブの方々,このホームページを見てくださる大勢のみなさん,いっそうのご支援をお願いします。  瑞月

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