この国の喫緊の課題
岸田内閣が誕生したが、まだ全体像は分からない。格差是正や中間層の拡充を訴え、成長の果実を低所得者層にもきちんと分配するなど、これまでの株主資本主義とは一線を画した主張は、一部に社会主義シフトとさえ言われたりするけれど、社会の在り方として間違ってはいないと思う。
初期の内閣支持率が麻生政権以来の低さと言うのも、甘利幹事長はじめ閣僚にも過去のお金にまつわる不祥事が、十分国民に説明され納得されていないことが大きい。内閣発足時の支持率として高くはないが、不支持率は低く、自由民主党の政党支持率も向上したのではないか。
安倍、菅政権への嫌悪感は、コロナ対応も大きいが、首相自身の身内の不祥事に始まり、桜を見る会に代表される、政権の私物化というイメージが大きい。加えて一部の権力者に権限が集中してゆく傾向が顕著で、言わば独裁化の兆しが見え見えになったこと。官僚に加え検察迄の人事権を握り、異なる考え方の官僚はどなりつけ追い出すという噂。不祥事も「不起訴」で決着させて説明が不十分。党の金をどう使おうが勝手とばかり、選挙で候補者に極端な差を付けて、気に入らない候補者は自党であろうが蹴落とす。今や税金で政党助成金が分配されていることを忘れたわけでもあるまいに。
このような事例を挙げるまでもなく、野党による岸田政権への追求の文言である、「安倍、菅政権と同じ」というのは全く当たっていないと思う。
それにしても幹事長が二階氏から甘利氏に代わって、菅政権発足時の内閣支持率より低下する現象は、まだ日本国民には中共の脅威が十分に理解されていない証拠ではないか。甘利氏については知らない。しかし二階氏については媚中派の頭目で、その功でパンダも和歌山の選挙区の動物園にはたくさん居るらしい。
これまでの体たらくの政権が続いた間に、わが国は中共との経済的つながりを徹底的に強め、国民の8割が中共嫌いでも、政治家は経済的つながりの強い隣国中国は、日米同盟の米国と同等の最重要国家であるとの認識が行き渡った。今や小規模の企業でも中国抜きに事業が成り立ちにくい状況になっているようだ。能天気の有識者には未だ中国3000年の歴史の信奉者も多く、日本が学んだ大陸の文化を持ち上げる輩が居るが、過去の中国と現在の中共は全く異なる国家であることを理解していない。
この度習近平主席は、台湾は内政問題であり、国家の統一に自信を持っている旨の発言をしている。その発言に続く行動が、東アジアの安全と経済にどれだけ危険なことか。中共はどこにでも勝手に国境線を引く。東シナ海しかり、尖閣周辺しかり。第一列島線、第二列島線、そして防空識別圏設定。中共の好き放題を放置して、国際的な報復処置は無い。
唯一トランプ前大統領の、中共製品に多額の関税を掛けて起こした経済戦争があるくらいだが、トランプ氏も中共発のコロナに敗れた。
中共は台湾進攻の前に、尖閣を取りに来る。周辺の制海権を確保するためだ。呑気に北京オリンピックに備えて選手強化を図っている時ではない。