短編を読む その27

「シュレミールがワルシャワへ行った話」(I・B・シンガー)
「まぬけなワルシャワ旅行」(岩波書店 2000)

ヘルムの村からワルシャワめざして歩きはじめた、まぬけのシュレミール。途中、ひと眠りして歩きだし、ヘルムの村にもどってきてしまうのだが、ここは別の村だと思いこむ。そして、もとの家族を別の家族と思いながら一緒に暮らす。

「衣装」(ルース・レンデル)
「夜汽車はバビロンへ」(扶桑社 2000)

服を買うのがやめられない女性。夫に露見するのを恐れながら、サイズも確かめず、女性は服を買ってしまう。

「名もなき墓」(ジョージ・C・チェスブロ)
同上

地下鉄の駅で中国人女性の出産を手伝った、元CIA諜報員の画家ヴェイル。女性を密入国させ、売春させている中国人結社に単身乗りこむ。スーパーヒーロー的探偵小説。

「無宿鳥」(ジョン・ハーヴェイ)
同上

訪問した家の夫に殴られている修道女を助けた、出所したばかりの泥棒。友人の警察官にこの件をつたえた泥棒は、ある絵を所蔵している屋敷に侵入する。絵が好きで、バードウォッチングが趣味という泥棒を主人公にした作品。短編だが多視点で、それが話をうまくふくらませている。

「完璧なアリバイ」(パトリシア・マガー)
「新世界傑作推理12選」(光文社 1982)

結婚生活が破綻している男。愛人がいるが、それとは別の若い女性に夢中になり、妻を殺そうとする。殺し屋を雇い、アリバイづくりのため愛人とレストランにいくのだが、すべてが裏目にでてしまう。

「朝飯前の仕事」(ビル・ブロンジーニ)
同上

お屋敷での結婚披露宴のあいだ、プレゼントを置いてある部屋の見張りに雇われた探偵。窓を割る音とともに、何者かが部屋から指輪を盗みだす。状況からみて、外部からの侵入とは思えず、疑いは探偵に向けられるのだが。名なしの探偵(オプ)シリーズの一編。

「ディナーは三人、それとも四人で」(L・P・ハートリー)
「ディナーで殺人を 上」(東京創元社 1998)

ヴェニスにいる2人組の英国人が、食事の約束をしているイタリア人と落ちあうためゴンドラででかけていくが、途中で水死体を拾ってしまう。2人の英国人の会話で話が進む、ユーモラスな怪談。

「三つの詠唱ミサ」(アルフォンス・ドーデー)
同上

17世紀のクリスマスイヴ。城の礼拝堂付き司祭が、クリスマスのごちそうに心を奪われ、第1第2のミサを大急ぎですませ、第3のミサはついにはしょってしまったために、神から罰を受ける。

「しっぺがえし」(パトリシア・ハイスミス)
同上

妻が愛人と共謀し、事故を装ってめでたく夫を殺害。が、その後、愛人との仲がこじれて…と、ひねりの効いた展開が続く。さすがパトリシア・ハイスミスだ。

「いともありふれた殺人」(P・D・ジェイムズ)
同上

人妻と青年の密会をたまたま目撃した男。ある日、人妻が殺害され、青年に容疑がかかる。容疑を晴らせるのは、目撃した男だけなのだが――。


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