「大きなかぶ」はなぜ抜けた?

「「大きなかぶ」はなぜ抜けた?」(小長谷有紀=編 講談社 2006)。

講談社現代新書の一冊。
副題は「謎とき世界の民話」。
毎日新聞に載った書評が面白そうだったので読んでみる。

編著なので、いろんなひとが世界のさまざまな民話や昔話について考察している。
知っている話は意外な一面を教えられ、知らない話は興味深い。

書評と印象が重なるけれど、表題作の「おおきなかぶ」の話が面白かった。

「おおきなかぶ」の類話には、ねずみがかぶを食べてしまう話があるそう。
みんなで力をあわせて抜くのとは大ちがい!

それから「桃太郎」の話。
「桃太郎」には、おじいさんとおばあさんが桃を食べて若返り、それでおばあさんが桃太郎を生むというヴァージョンもあるそう。

江戸時代はこっちの話が主流だったらしい。
このヴァージョンに「回春型」という用語があてられているのも、なにやら可笑しい。

その名残か、赤羽末吉が絵を描いた絵本「ももたろう」では、最初に流れてきた桃は食べられている。
食べているおばあさんの絵が、なんとなくかわいい気がする。

そうそう、「おおきなかぶ」は小学校の教科書に載っているけれど、1980年代のはじめ、自民党広報誌がこれを批判したとのこと。

「この民話は団結を考えさせるらしいが、それなら日本の民話にもおなじようなのがある。どうしてソ連の民話をもってくるのか」

と、いうのが批判の趣旨。
それで大論争が起こったそうだけど、これは知らなかった。
こういうことをいうひとを、どうやったら納得させられるものか。

この本はひとつひとつの文書が手ごろな長さで、すぐ読めるのも魅力。
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