先週金曜日のNY市場大幅続落を受け、今朝の日経平均は大幅に下げた。先週火曜日に上海証券市場の暴落から始まった世界同時株安の流れはまだ収まっていない。一体何が起こっているのか、底流に流れるものは何だろうか。今の時点で仮説を論理立てて考え纏める段階にないが、入手した情報を整理して推理してみたい。
加熱する中国市場
先月27日の夜、米国時間同日朝のダウジョーンズが暴落して始まったと速報メールを受け、初めて中国上海市場の暴落に気がついた。これはえらいことになる、明日は間違いなく東京市場は暴落すると思った。翌朝市場があくと予想通り日経平均は一時700円を越す下げとなった。
前日上海市場が開いている間に起こった暴落には東京市場はびくともしなかったのだが、それが地球を一回りして米国市場に打撃を与えると意味が変わった。中国の株式市場は従来世界の2%程度で世界市場との連動性はない閉ざされた辺境の市場だった。海外からの投資は4%程度で中国市場はいわば別の星のことだった。(Wポスト3/4)
中国市場は情報公開がなされておらず不透明で不正がまかり通り90年代半ばから国内外の投資家から世界最悪の市場と見放されていた。殆どの企業は国有企業の子会社でインサイダー取引が横行している。しかし中国政府の改革が進むと同時に豊かになった個人投資家がはけ口を求め突如株式市場に向かい昨年一気に過熱した。
滅茶苦茶な加熱振りは、不祥事が発覚するとその企業の株価が倍になるという馬鹿げたことが起こっても疑わない異常さであった。勿論政府は放置できないとし上海市場に捜査の手が入る噂が流れ、それをきっかけに暴落が起こったのである。
これに、アジア・オセアニアや欧州の市場が反応しNYに達し反応が倍増され日本に上陸したのである。しかもこの大波は地球を1週して収まらず、その後も続いている。今回の世界同時株安は中国の世界経済に対する影響力を示したと見られているが、一方で中国は心理的な引き金になっただけとの見方がある。
世界的過剰流動性の危機
暴落が起こる直前、NY市場は住宅バブルを克服し軟着陸の見通しが立ったと見做され上昇基調が続いていた。東京も円安をベースに輸出が好調で日経平均は18,000円を越え20,000円台も遠くないという強気の声が聞かれていた。
しかし、世界的な金余りが有望な投資先を求めて駆け巡る所謂「グローバル過剰流動性」の危機も認識されていた。世界的に株式市場が加熱し実力以上の評価を受けているという見方だ。私もこの考えが正しいと考えるが、その原資として日本の超低金利による円キャリートレードが悪さをしている説には私は懐疑的だ。
日曜日フジテレビの番組「報道2001」で、日銀の金利上げが円キャリートレードを縮小させ資金の流れを止めた為暴落が起こったという主張を見た。以前書いたように既に円キャリートレードは大幅に減少し今は個人投資家が主役だ。円キャリートレードの脅威は「過去のイメージに引きずられた幻想で現在は僅か60億円」と最新号の日経ビジネス(7/3/5)も報じている。
専門家は足元の企業業績は好調で一時的な傾向と沈静化に必死だ。金融機関を守る立場の発言に傾きがちな彼等の立場から言えば当然のだが、ヘッジファンドは既に株式から債券の投資比率を高め始めたと報じられておりまだ過渡期が続きそうな気配だ。
そうなると日本では円安期待の輸出企業の好業績がマイナスに働き、米国経済は軟着陸できず秋ころに景気悪化の恐れという見込みも現実味が出て来る。今回特に日米の市場への影響が大きいという。そうなると私が年頭に予測した「大胆占い」のシナリオに近づく、嬉しくないけど。
「この株価暴落(米国)は世界的な調整の一環であり、全世界で安定するまで終らない。それまでは底値が何処になるか試す動きになる」(CNN-Money3/2)、つまりまだ下がる、という考えはより日本に当てはまるように感じる。■