このところ話題になっているプロ野球ドラフト制度と公務員制度の改革に奇妙な共通点がある。どちらも明らかに問題があることが分かっているのに中々改革が進まないことだ。
当事者達が散々議論しているがちっとも纏まらない、自己解決能力というか自浄能力がないのだ。彼らは何とか先送りしよう、2年後とか5年後にやれば良いだろうという先送りの発想だ。問題があるのなら即修正しようという姿勢がない。これが我国を世界から遅れさせてしまう悪癖なのだ。
それでも日本プロ野球組織の根来コミッショナー代行は急転直下本日緊急記者会見を開き希望入団枠の廃止を今年から廃止すると発表した。しかし、当事者の自己解決ではなく世論の高まりに抗し切れなくなった結果だ。コミッショナーのリーダーシップも全く無かった。
残念ながら天下り防止の為の公務員制度改革については、今のところプロ野球ほどの世論の高まりがない。霞ヶ関が大反対し自民党の意見が割れている。何故か野党は静観している。しかし、これも世論が後押しするかどうかが決め手だと考える。
ところが天下りに関しては奇妙なことにメディアの意見が一致してないようだ。あるブログは産経は支持、毎日は中立、読売は慎重と分析していた。朝日は毎日に近いようだ。これほどバラバラなのも珍しい。職業選択の自由に微妙に係わるからだろうか。
しかし事は最終的に税金を如何に効率よく使うかに繋がる。公金の無駄使いさせないシステムの実現は国家の最優先事項の一つであり議論の余地はないと思うのだが。公団を渡って高級官僚が巨額の公金(退職金)を手に入れるシステムなどあってはならない。
読売が公務員制度改革に慎重なのは、配下の巨人の利益を守ろうとして希望枠入団枠を出来るだけ存続させようとしたのと奇妙に一致する。偶然だとは思うが奇妙な共通点がここにもあった。
長年天下りの弊害が指摘されながら改善されることも無く続いてきたのは、考えてみれば誠に奇妙だ。安倍首相が決断したとしても世論の後押しが無ければ骨抜きになる可能性が高い。その為にはメディアの役割は極めて大きい。
職業選択の自由を含め論点を明確にし、誰が何を主張し賛成もしくは反対しているか、背景は何かまで分析し、その上でこの件で世論を高めるべきだ。個別に議員の意見を確かめ参院選に反映させるべきマターにすべきだ。
誰かの言葉を借りると結局公務員制度の見直しは「この国の形」を決める選択であり、安倍首相の問題認識とその優先順位付けの健全さを示すものだと私は考える。■