MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

迷子にならない子猫ちゃん

2013-03-01 16:41:35 | ペット

鮭ははるか彼方の大洋から生まれた川に戻ってくる。
アオウミガメは大洋を泳ぎ毎年2,000㎞も離れた
いつもの産卵場所を目指す。
渡り鳥は毎年、何千キロも離れた土地を往来する。
種の保存のためとはいえ、動物たちの方向感覚の正確さには
驚かされる。
住み慣れた町でも迷ってしまうことのある人間には
持ちあわせない何かが彼らにあるのは間違いないなさそうだ。
果たしてその何かとは一体何なのであろうか?

2月19日付 Washington Post 電子版

How does a lost animal find its way home? 迷子の動物はどうやって自宅にたどりつくのか?

Animalswayhome

果たして哺乳動物が磁北を感じることができるのか、また感じるとすればどれほど強く感じることができるのかは科学者たちに分かっていないが、それらは別の方向感覚の手段を持っている。

By Brian Palmer,
 フロリダ州 West Palm Beach のある夫婦の猫が11月に Daytona Beach でいなくなったが、結果、2ヶ月後に自宅から1マイル以内のところにその動物が現れた。その猫が200マイル移動したことは間違いない。この驚くべきできごとには前例がないわけではない。オーストラリアの猫が1年以上かけて1,000マイル以上を旅して自宅に戻ったことが伝えられている。Bobbie the Wonder Dog という犬がインディアナからオレゴンまで歩いて自宅に戻ったことで1920年代にちょっとした有名犬となった。また昨年 Buck という名前のラブラドールは、バージニアの Winchester からサウス・カロライナの Myrtle Beach まで500マイルを移動した。動物たちはそのような遠距離の地からどのようにして自宅までの道を見つけるのであろうか?
 それではまず基本的なことから始めてみよう。動物にとって最も単純な手段は taxon navigation と呼ばれるもだが、これはほとんどナビゲーションといえるようなものではない。Taxon navigation は自分が居たい場所を直接的に感じる能力である。
 「ラットや犬は臭いの跡を追跡します」そう言うのはカナダ、University of Waterloo で空間的意思決定の神経科学を研究している Matthijs van der Meer 氏である。「虫は化学的痕跡を追跡し、それらを引きつける化学物質の濃度が高い方向に移動するのです」
 アニマル・ナビゲーターとして最も有名な鳥類は地球の磁場を感知することができる。そのため、夏の間、雁が北に渡るとき、その手段の一つは地球の磁北を感じそれに向かうことである。他の動物にもこの磁気感覚を持っているという兆候が見られるが、それらの大部分において、その感覚はより弱い形でしか現れない。
 動物がその目標を直接的に感じとれないとき、作業ははるかに複雑となる。そうなると一連の別の能力が必要となる。最も基本となるのは記憶である。動物が向かいたいと思う場所について何かを記憶していなくてはならない。猫、犬、さらに鳥までもが、すべてこのタイプの能力を持っている。記憶を持たずに道を進むことは、住所を知らないまま地図上でレストランを見つけようとするようなものである。
 もう一つの基本的なスキルは自分の位置と他の場所とを関連付ける能力であり、これを私たち人間は方向感覚と呼んでいる。
 「鳩は、その磁気感覚を用いて北を感知できますが、もし東に向かう必要があるときにはそれは役に立ちません。北と東の関係を理解する追加の情報が補足されなければなりません」と van der Meer 氏は言う。
 哺乳動物が磁北を感知できるのか、できるとしたらどれくらい強く感知できるのかについては科学者たちにはわかっていないが、それらには別の方向感知戦略が備わっている。哺乳類は内耳に小さな毛があり、向きを変えるときにそれがある方向から他方向へ押されることで、身体が回転していることを脳に伝えるようになっている。このいわゆる前庭器官は便利なものではあるが、鳥類の体内コンパスと比べると発達が不良である。この毛はゆっくりとした方向転換を感知することはできないし、一方であまりに速い回転は方向感覚を失わせる(ぐるぐる回転させられた後ロバの絵に尻尾をつけるゲーム“Pin the Tail on the Donkey”をご記憶か?)
 現在地を視覚化することももう一つの位置確認の手段となる。人間が用いるその一つの形は目印をつけることである。誰かが方角を尋ねたら、あなたは、「あの教会に向かいなさい」とか「コーヒーショップを見たら左に曲がりなさい」とか言うでしょう。動物もまた目印を頼りにすることがわかっている。van der Meer 氏の実験によると、もし実験用ラットが方向感覚を失うまで回転させられたなら、ラットは、自宅への帰り道を見つけるための指針として人間の作った出口標識や電球などの視覚的手掛かりを用いることになるという。
 メンタルマップを作成する人間の能力を人間以外の哺乳類も保有しているとの神経学的エビデンスが存在する。ラットが迷路を探っているとき、head cell と呼ばれる特殊な地図製作ニューロンが活動を起こす。ラットが動き回るとき、様々な細胞のスイッチが切れたり入ったりして、活動する脳細胞に基づいてラットは迷路の中でその位置を特定することが可能となる。さらに grid cells と呼ばれる別個の細胞群も存在し、それらはラットの一般環境を区別するという。例えば、ラットが迷路Aにいるのかそれとも迷路Bにいるのかといったことである。(Head cells は都市の地図、grid cell は国道の地図と考えていただきたい。有効なナビゲーションには両者が必要である)
 さて神経科学の話はこれくらいにしておこう。例のネコに話を戻そう。どのようにして猫は Daytona から West Palm Beach まで行けたのだろうか?おそらく海が鍵となったと考えられる。West Palm Beach は Daytona から海岸沿いにまっすぐ200マイル南にある。その猫が一旦海を見つけたら、一つの選択をするしかないのである。すなわち左か右か?である。
 「猫は弱い磁気感覚を持っていたか、それとも北へ向かっていた間にどちら側に海があったかを覚えていたことが考えられます」と van der Meer 氏は言う。「あるいは単にまぐれ当たりだったのかもしれません」
 まぐれ当たりだったというのはちょっと手厳しい。とりあえず、この猫が利用した可能性がある能力の数を列挙しておこう。記憶(自宅は海の近く)、目印(海そのもの)、taxon navigation(海を感じること)、そしておそらく過ちの繰り返しを避けるためのメンタルマップ。
 『チャンスは備えあるところにだけ訪れる』―パスツールもそう言っているのだから―

遠く離れた場所から自分たちの巣に戻ることのできる
動物たちが持つ能力を帰巣本能という。
この本能が発揮されるには、
自分の位置認識や方位の正確な判断を可能にせしめる
特殊な能力が備わっているに違いない。
その能力がどのようなものであるかはいまだ解明されていないが、
彼らには自立航法システムのようなものが備わっていると
考えられる。
これについては、
視覚、聴覚などの感覚器官から得られる情報を基にして
脳に地図のようなものを描いているのではないかとする説、
あるいは体内にあるコンパス機能を持つ物質を利用して
方角を感知できるのではないかという説、
さらには方向細胞(記事中の head cell、正確には head
direction cell)という大脳辺縁系に局在する脳細胞が
暗闇でも目標の方向に頭が向いたときだけ活性化し、
目的地の方向を察知するという説、などがある。
いずれにしても、
私たち人間には及びもつかない特殊な能力が
関与している可能性がある。
ひょっとしたら、実際に私たちのまわりにも
“体内コンパス(生体磁石)”を持ち
方角を感じとる能力を持つ人間が存在するかも知れない。
それとも、人は皆、本来その能力を持っていたのに
地図やコンパスを利用するようになって
退化してしまった、とは考えられないだろうか?

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