MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

景気低迷と揺さぶられっ子

2010-05-09 17:35:00 | 健康・病気

親による子供の虐待が年々増加していることは
以前から言われており、そこには
核家族化、コミュニティの希薄化などの関連が
指摘されてきた。
しかし今年になって、テレビや新聞などで、
幼児に対する身体的虐待やネグレクトなどのニュースを
やたら目に耳にするように感ずるのは気のせいか…
長引く景気低迷、雇用不安、将来に対する閉塞感、
政治不信などなど、
様々なストレスが親の心から余裕を奪っているのは
確かだろう。
虐待の仕方こそ異なるが、それは米国でも同じようで…

5月3日付 TIME.com

Study: Shaken-Baby Cases Rose During the Recession 研究:景気低迷時に増加する揺さぶられっ子

Shakenbaby

By ALICE PARK
 低迷する経済、失業率の急増、不安定な家計など様々なストレスの影響は恐ろしいほどである。人はそれに対応しようとして喫煙を始めたり、アルコールを利用する、あるいはうつ状態となったり、自暴自棄になったり、心臓疾患などのストレスに関係する疾病に罹ることもある。ストレスが思わず自分たちの子供を傷つける方向に親たちを向かわせてしまい、被害が子供たちにまで及ぶ恐れがあることを、今回研究者らが報告している。
 バンクーバーで行われた Pediatric Academic Societies の年次総会で5月1日に発表されたもので、Children's Hospital of Pittsburgh の児童虐待の専門家 Rachel Berger 医師が主導する研究チームは、児童が大人によって乱暴に揺さぶられる shaken-baby syndrome(揺さぶられっ子症候群)の件数が、現在の不況が始まって以来顕著に増加していることを報告した。研究者たちは 4病院(ペンシルベニア州ピッツバーグ、オハイオ州シンシナチ、オハイオ州コロンブス、およびシアトル)の小児センターにおける頭部外傷 512 例のデータを解析し、症例数が2007年12月1日以前は月6例であった(この比率は2004年以降変わっていなかった)のに対し、それ以降は月9.3例と増加していたことを明らかにした。
 揺さぶられっ子件数の増加は不景気に関連する経済の低迷と関連している。「これは悪い状況下にみられる “perfect storm(一層悪い状態)” です。そこには、児童虐待を防ぎこれに本気で取り組むことになっている社会福祉組織の排除まで引き起こしてしまう経済的ストレスがあります」と、Berger 氏は言う。この研究で観察された関連性には別段驚きはなかった彼女は言うが、虐待による小児の頭部外傷例の最近の急激な増加については“特筆すべき”事態であると言う。
 Berger 氏の研究が明らかにしたのは、不景気と揺さぶられっ子の頻度の間の因果関係ではなく、両者間の関連であると彼女は警告する。しかし、今回の知見は、様々なストレスの多い状況、たとえば家族の不幸、自然災害、財務状況の悪化などが親たちをその対処能力の限界まで追い詰めてしまう可能性があることを明確に思い起こさせるものである。1999年、ノースカロライナ東部地域を襲った壊滅的なハリケーンの後、Chapel Hill にある University of North Carolina の研究者は、ハリケーン後の6ヶ月間に児童虐待による脳損傷の頻度が、この災害の前に比べて5倍に急増したことを明らかにした。同州の被害のなかった地域ではそのような件数の増加は見られなかった
 乳幼児に対する揺さぶられっ子症候群や脳損傷の症例の大部分は、苛立っている親が、泣いている子供を鎮めたり、子供の癇癪を止めようとして彼らを揺さぶる時に発生する。この動きの力は頭蓋骨の中で幼児の脳を激しく移動させるため、脳血管の破綻を生じたり、発達中の組織を損傷したりする。それはストレスにさらされた親にみられる無条件反射的に表面化してしまう自暴自棄的行動である。
 たとえその激しい揺さぶりがほんの数秒間であっても子供の発達には長期的に深刻な結果を招き得る。こういった揺さぶりは、学習障害、視覚・聴覚障害、てんかん、行動異常さらには死亡を引き起こす可能性があるとされている。Berger 氏の研究では揺さぶりを受けた9ヶ月から6才までの子供の63%は重度の障害のため入院を要しており、16%が死亡したという。
 米国には揺さぶられっ子の統計をとる公式な中央登録制度はないが、非営利の人権擁護団体のスポークスマンの Amy Wicks 氏によれば、毎年1,200~1400人の子供が揺さぶられることによって死亡あるいは損傷を受けているとNational Center on Shaken Baby Syndrome (NCSBS) は推測しているという。虐待はほとんどの子供たちに深刻な障害を残す。虐待を生き延びた75%のうち、80%は精神発達遅滞から運動機能の発達障害までの永続的障碍に苦しんでいる。
 すでに親のストレスが報告される揺さぶられっ子症候群の主要因であることが報告されていることから、悪化する経済と関連して本症の増加を見ることに驚きはない。国内の多くの病院で児童虐待の増加が認めらるようになっていると研究者らは報告している。「カリフォルニア州 Oakland の Children’s Hospital での私自身の事例となる経験では、肉体的虐待の頻度はここ2、3年間で上昇してきており、経済の状況を反映しているように思われます」と Children’s Hospital and Research Ceneter Oakland の Center for Child Protection の医学部長である James Crawford-Jakubiak 医師は言う。
 景気低迷が始まって以来、NCSBS では、虐待の疑い事例の調査のために緊急室の医師から要請を受ける検察官からだけでなく Crawford-Jakubiak 氏の病院のような医療施設からも揺さぶりっこ症候群の報告が増加してきている。「Berger 氏による今回の報告はこれまで長い間私たちが耳にしてきたことを明らかにしてくれるものです」と、Wicks 氏は言う。
 今回の知見は、経済が厳しい状況を迎えると都市によって提供される社会福祉サービスまでもが削減されてしまう危険性を浮き彫りにすることにも役立っていると Berger 氏は言う。これらのサービスは、親たちがストレスにうまく対応する支援を行い、児童虐待の発生を未然に防げる可能性がある。
 揺さぶられっ子症候群の件数が増加していることは特別に憂慮されるべきであると、Berger 氏は言う。なぜならそれは児童虐待の中でも最も暴力的な形態の一つであり、それゆえ病院で発見され、追跡できる数少ない虐待のタイプの一つだからである。児童虐待の多くは表に出ることなく、そういった例は失業や不景気が長く続くにつれ同様に増加している可能性がある。個人的なものであれ、社会的なものであれ、ストレスは、特に自身の家族と良好な関係を保つ能力をくじかせる可能性があることを親は強く心に留めておく必要がある。「ストレスがどのように私たちに影響を及ぼすかを私たちは大人として認識しておく必要があります。そして、生活上のストレスを子供たちにぶつけることがないよう肝に銘じておかなければなりません」と、Crawford-Jakubiak 氏は言う。

日本テレビ系水曜夜10時『mother』…
全編暗い表情で瞬時として笑顔を見せないが
なかなかの好演を見せる松雪泰子以上に
名演し怪童ぶりを発揮する子役の芦田愛菜が
見ものである。

Photo

このドラマ、ほとんどの出演者が
小声でささやくようなセリフ回しなのだが、
大声を上げて演技をするのは、松雪の育ての母親役、
高畑淳子ただ一人…(苦笑)
それはさておき、このドラマを見ていると、あらためて
児童虐待に対する取り組みのむずかしさを
考えさせられてしまう。
『揺さぶられっ子』症候群とは奇異な訳であるが、
キリスト教の影響か、欧米では自分の子供の躾として
殴ったり、叩いたりすることが忌避される(鞭打ちはよい?)ため、
子供への叱責の方法として両肩を持って強く身体を
揺さぶるという手段が取られがちである。
頸部の筋肉の発達が未熟な乳幼児ではこの行為によって
頭部が強く前後に揺さぶられることとなり、
脳組織や眼球に衝撃が加わり
急性硬膜下血腫、脳挫傷、びまん性脳損傷あるいは眼底出血が
引き起こされる。
ストレスや焦燥から溜めこまれた怒りが、過大なエネルギーを生み
それが一気に揺さぶりの行為に注ぎ込まれるのであろう。
そういう意味では日本流の平手打ちは、
鼓膜を損傷しないように、一発だけに限定という条件なら、
脳損傷の可能性は低いし、すぐれた躾の方法と言えるかもしれない。
何より子供はそれによって自分の非を痛感するとともに
親の愛情を感じることができ、一方、親は親で
その一発でストレス発散できるかもしれない(な、わけない)。

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