MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

とにかく頭が…『かい~の』

2010-05-02 21:01:11 | 健康・病気

Washington Post から恒例の
Medical Mysteries(メディカル・ミステリー)のコーナー

4月20日付 Washington Post 電子版

Medical Mysteries: Dermatologists couldn't explain woman's endless itching メディカル・ミステリー:女性の絶え間ない痒みを皮膚科医たちは説明できなかった

Endlessitching

Susan Benda さんは正しい診断を受けるまで1年以上も症状に苦しめられた

By Sandra G. Boodman
 Susan Benda さんにとって、その行動は日課となっていた。夜に目を覚まし、浴室まで歩き、それから湯気の立つ熱いシャワーの下に頭を突っ込むのだった。それは、一年以上もの間彼女を悩ませてきた腹立たしいほどの頭皮の痒みを一時的にでも和らげる唯一の方法だった。
 連邦政府の弁護士としてコロンビア特別区に住む Benda さんは驚くほど大量のシャンプーを収集していた。それらは、安いドラッグストアの銘柄から、処方による高価な医薬品まであり、中には悪臭ただようものもあれば、花の香りがするものもあった。彼女は3人の皮膚科医を受診していたが、そのうちの一人は、夜になると増悪する彼女の持続的な痒みは精神的な原因であると彼女に言った。他の二人はアレルギー性であると言った。彼女のかかりつけの内科医は癌の前兆ではないかと疑った。頸部に痒みを伴う不可解な発疹が彼女に現れたため、まれな消化器系疾患に関する検査を行うため頸部皮疹の生検を受けていたのである。
 2月、Benda さんの頸部の皮疹を診たアレルギー専門医が本当の問題が何だったのかを彼女に伝えた時、彼女は茫然とした。
 「笑ったらいいのか泣いたらいいのか」と、当時の気持ちを思い出す。「医師たちが私の本当の病気をわからなかったのはどうしてでしょう?また、なぜ私はそれを思いつかなかったのでしょう?」
 2008年8月、Benda さんは有名なワシントンの皮膚科医を予約した。この数週間、頭皮に痒みを感じていたためだ。その医師が Benda さんの頭皮を診察したとき、彼女は症状を説明し、『まるで赤アリが頭全体を這いまわっているように感じる』と話した。そういった表現の仕方、および明確な原因がなかったことから、その医師は Benda さんにその痒みの原因は神経症によるものであると説明した。
 侮辱に感じた Benda さんは、自分がなんらかの含有物に対するアレルギーではないかと考え、様々なシャンプーを試し始めた。それと同時に、彼女はその豊かでウェーブのかかった茶色い髪の毛を長く伸ばすことに決めた。
 11月、コネチカット州の母親のもとを訪れたとき、Benda さんは家族の親しい友人であり、隣に住む皮膚科医に自分の問題について話した。彼女は Benda さんの頭皮を調べ、その痒みを説明するようなものは何も見当たらないと話した。彼女は Benda さんに抗ヒスタミン薬を飲むように勧めたところ、それによって痒みは減じたものの、頻回にひっかき傷を招いてしまうことで、悪循環が始まってしまった。Benda さんは飲んだ薬に効果がないとみるや、また別の薬を試みた。
 2009年2月までには、抗ヒスタミン薬が解決策とはならないことが明らかとなった。彼女は3人目の皮膚科医の受診を予約、彼女の頭皮の診察を受け、コルチゾン入りシャンプーが処方された。
 中学生の子供のシングルマザーである Benda さんはその後の数ヶ月間、痒みと何とかうまくやっていこうとした。最初の皮膚科医が正しいのではないかとも思った。3番目の皮膚科医を再度受診したが実を結ぶことはなかった。        
 9月、なじみの内科医による年に一度の健康診断の時、彼女はその症状を訴えた。その内科医は抗真菌薬入りシャンプーを処方し、もし痒みが続くようなら、『まさに慎重の上にも慎重に』とリンパ腫の検査目的でCTスキャンを受けるべきだと Benda さんに話した。原因不明の痒みは癌の症状のことがあり、Benda さんは寒々とした恐怖感を抱いた。仲の良い二人の友人がその病気と戦っており、症状が最悪の時には次は私の番ではないかと不安に思った。
 53才になった Benda さんは2010年1月、新たな症状に気付いた。凹凸を持った紅色の隆起状で、やはり痒みを伴う発疹が一年以上カットしていなかった彼女の髪の毛の生え際から頸の後ろに広がった。彼女が3番目の皮膚科医を再び訪れたところ、その部位の生検を受けることになった。疱疹状皮膚炎を疑うと彼は Benda さんに告げたのだ。それはセリアック病に関係する発疹で、これは小麦に含まれるグルテンを消化できないことを特徴とする疾患である。その医師は皮膚の小片を切除し臨床検査にそれを送った。
 その時 Benda さんは奇妙にも安らぎを覚えたが、インターネットでセリアック病の皮疹の写真を見て再び不安になった。彼女の発疹とは似ても似つかない写真だったからである。一週間後、抜糸をしてもらいに受診した時、皮膚炎ではなかったことを告げられた。自分の頸部の皮疹のどれをとっても彼女が見た写真に似ていなかったことをその皮膚科医に話したが、彼は実に素っ気ない態度だった。その検査の報告は他の二つの原因を示唆していた。薬物反応あるいは、蕁麻疹である。その皮膚科医は後者である可能性が最も高いと考えた。抗ヒスタミン薬を飲み続けなさい、彼はそう言った。
 数日後、Benda さんは兄と昼食をとりながら、これまでのすべての経緯を彼に話した。彼は、精密検査のために自分のアレルギー専門医であるChevy Chase にいる Michael Kaliner 医師を受診することを勧めた。
 2月16日、彼女はKaliner 医師に経過を詳しく話し、『苦悩以上の痒さ』を感じていることを彼に伝えた。このベテランのアレルギー専門医は頸部の後ろを一目見て、原因は蕁麻疹ではないと Benda さんに告げた。
 「あなたの病気が何であるのか見当がつきます」と、Kaliner 医師は彼女に言った。「シラミ (louse, lice [複数形])です」。彼は髪の毛の一部を切り、ショックを受けている患者と看護師とともに、それにくっついている検体を調べたところ、正真正銘、シラミだったのである。
 「私がこれまで見た中でもかなり悪い方のケースでした」と、Kaliner 氏は思い起こす。「すべての髪の毛にシラミがついており」、虫体も見えました。Kaliner 氏は頸部の発疹が手がかりだったと言う。 あのような発疹はしばしばシラミを合併していることがあり、糞による刺激で引き起こされるのである。
 小さな寄生性昆虫であるアタマジラミは宿主である人間の頭皮や頸部の毛で生活し、血液を食物とする。Harvard School of Public Health Web site によれば、それは社会経済的地位や清潔度に左右されないという。シラミは通常、寄生している人の髪の毛から直接的な頭部と頭部の接触によってうつるが、寝具類、布張りをしたソファーなどの家具、あるいは帽子などの装身具からも感染し得る。
 通常寄生された人の頭皮上では活発なシラミは十数匹よりは少ないが、nit と呼ばれる生存中あるいは死んでいる卵が数百個認められることがある。
 「私の最初の反応は泣くことでした」と、Benda さんは思い起こす。「それを考えもしなかったことが信じられませんでした」。一年以上前、Benda さんが最初の皮膚科医を受診するちょっと前に、彼女は息子のシラミを治療していたのだ。また自分自身も治療していたのだが、十分でなかったのは明らかだ。
 ショックを受けたあと、今度は怒りが沸き起こった。「私はずっと精神病患者のように考えられて治療を受けていたのです」と、彼女は言う。以前にも同じような症状がなかったかどうかを尋ねた医師が一人としていなかったのがなぜなのか理解できなかった。「そして私もシラミのことが念頭に浮かびませんでした、なぜならすでに治療を行っていたからです」
 Kaliner 医師は、アレルギー性の痒みと考えられて彼を受診してきた患者の中から、年間1~2例はアタマジラミのケースを見るという。ひとりとして医師が Benda の明らかな症状を見極められなかったことに驚いていると彼は言う。「通常症状ははるかに軽微です」と、彼は言った。
 Benda さんはシラミに対する強力な薬物治療を数回行った。それにはケロセンのような臭いがするものがあり、搔きむしりによって彼女の頭皮はかなり擦りむけていてひどい痛みを伴った。Maryland の郊外に住む、自称 nitpicker(卵摘除人)の女性によって、彼女と息子は数時間をかけて髪の毛をくまなく念入りに調べられた。Benda さんによれば、その女性は彼女の髪の毛から500個以上の卵や死んだシラミを探し出したという。
 ほどなく例の生検を行った皮膚科医に電話をかけ、その後の経過を説明した。彼は謝罪を行った。3月1日、彼女は nitpicker にかかった費用、368ドルの請求書を彼に送りつけた。「あなたが私のシラミを診断できていれば、こんなことにはなっていなかったと思います」との手紙をつけ、自身の『苦悩の年月』を伝えた。
 翌日、「もっと早期に診断できていればと残念に思っています」と彼は返事を書き、275ドルの小切手を同封した。彼は弁護士に相談したことに触れ、Benda さんにはそれを換金することで彼のすべての賠償責任を放免してほしい旨を付け加えた。
 彼女は小切手を換金したが、彼女の診断につながるまでのできごとはいまだに長く心に疼いている。「朝の痒みで目が覚めることがなくなったのは大きな安らぎです」と、Benda さんは言う。何年分もありそうなたくさんのシャンプーがそのまま残っていることについては複雑な思いでいる彼女だった。

シラミの流行は過去の話ではない。
生活水準の高い現代の日本でも、近年、
小児(特に小学校低学年以下)やその家族の間で
アタマジラミが急増しているという ↓
3月31日付産経ニュース(魚拓):ページ1ページ2
清潔を保っている人にも感染するため
臨床ではもちろん、
幼稚園や学校など集団教育の現場でも、
日頃からシラミの可能性を
念頭に置いておく必要がありそうだ。
しかしこの Benda さん、
一度シラミに罹っていたのなら
そのことをどの医者も尋ねてこなかった、などと
医師だけに責任を押し付ける前に
自分で気づけよっ!と、言いたい気もする。
しかも
駆除にかかった費用368ドルの請求書を
ちゃっかりその誤診した皮膚科医に送りつけるとは…
一方、医師の方も心得たもので、
謝罪はしたものの、そのうち 275ドルだけお支払い…
これって、
日本人のとは、ちがうなぁ~(ドラマ『臨場』風)。

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