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MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

辛く(から・つら)くても快感?

2011-09-12 16:32:27 | 科学

MrK はピリ辛系に特に弱い。
ひと口食べただけで動悸はするわ、
汗は大量に噴き出すわ…
刺激物に対する感受性が異常に高いのだろうが、
それはどこからくるものなのか。
どうやら種々の刺激物に対して特異的に反応する
レセプターとイオンチャネルが
細胞膜に存在しているらしいのである。
その機能に個人差があるのかも知れない。

9月6日付 Washington Post 電子版

How your harsh reaction to horseradish may lead to new pain-managing medicines どのようにしてセイヨウワサビ(horseradish)に対する強烈な反応が新たな疼痛管理医学につながるのか

Horseradish

チリ・ペパーの刺激は進化した防御メカニズムである。

By Ivan Amato
 今度みなさんがセイヨウワサビ(horseradish)を体験されるとき―それは、ご存知のように、ガブッと食べた大きすぎたひと塊の植物の辛味によって頭全体が津波に襲われたようになり、涙がちょちょ切れてヒャーとなる瞬間―この苦悶の瞬間が、一部の生物学者によって、まさしく天然型催涙ガスへの短時間の曝露に他ならないと表現されていることを考えてみてほしい。
 セイヨウワサビの主要な化学性刺激物である allyl isothiocyanate(イソチオシアン酸アリル)は、口に火がついたようになるチリ・ペパーに含まれる化学物質であり催涙ガスの作用物質や唐辛子催涙スプレーに含まれる capsaicin(カプサイシン)同様、ひとの口、のど、鼻、副鼻腔、顔、目の同じ知覚細胞の同じクラスの化学的受容体を刺激する。
 ここ数年、科学者たちはこれらの感覚の根底にある生物学的機序を明らかにしてきた。彼らの発見は新たな疼痛管理医学につながるだけでなく、タバコにメントールを加えることで常習となりやすくなるかどうかを理解する手がかりとなると彼らは言う。
 しかし私たちがそこに至る前に、一体私たちはどのようにして、またなぜそのような化学物質を知ることになったのかについて考察する必要がある。とどのつまりはこうである:進化が私たち人間を含めた動物に、環境中の有害な化学物質に対する重要な防御手段を与えた。一方、逃げる能力がないことからずる賢くならざるを得なかった植物は、少なくとも植物の種の散布に手を貸さない動物に食べられることを防ぐ目的で化学的防御を発展させた。
 例えばあなたがセイヨウワサビの植物で、小さな虫があなたの根の重要な部分を食べ始めたとする。あなたは自分を守るために逃げも隠れもできない。しかし、もしあなたが賢い植物なら、ひと齧りすると、その齧られたひと口分の根の中に含まれるイソチオシアン酸アリルによって威圧的な『食べるべからず』命令を出す酵素反応がもたらされることに力を入れることだろう。それは、ピリ辛のマスタード・オイルに含まれるのと同じ舌をヒリヒリさせる成分である。
 セイヨウワサビ、マスタード、わさび、種々のコショウ、ニンニク、たまねぎ、あるいはその他の野菜が、これらの化学物質の防御を進化させてきたが、これは一方で動物の側も、被害を受けたり死に至ったりしうる環境中の化学物質を感知し対応する能力を発達させてきたことがその理由の一部である。これは私たちの『身体からそれを遠ざける』反応を説明している:つまり、即時性のくしゃみ、気道の収縮遮断、咳の発作、流涙などである。進化と関連して、植物は、自身の種を撒き散らす成功率を高めるためにこれらの反応をうまく利用してきた。チリ・ペパーは、自分のカプサイシンによって、チリの種をその排泄物を介して上手に撒き散らしてくれる特定の鳥たちから拒絶されないよう巧妙な手段をとっていることを覚えておいていただきたい。
 ピリピリするような食べ物、催涙ガス、そしてさらにうがい薬にいたるまで、Transient Receptor Potential channels(TRP チャネル)と呼ばれる小さな孔のゲートを広げることで快感帯を刺激することも同じように行われるのである。それらはとりわけ、口、鼻、のど、目そして顔のすべての感覚細胞のいたるところに存在する。これらの小孔が開くと細胞は脳に信号を送る傾向を示すが、これによって脳は、くしゃみ、咳、流涙あるいはその他の化学物質を排除するような行動を起こさせる。
 「痛みを感じるところにはすべて TRP チャネルが存在します」と Yale School of Medicine の薬理学教授 Sven-Eric Jordt 氏はいう。
 このことから次世代の鎮痛薬を開発しようとしている人たちにとってこれらの受容体は魅力的なものとなっている。
 Jordt 氏は炎症、関節炎あるいはその他の慢性疼痛疾患において TRP チャネルがどのような役割を果たしているのかを研究してきた。
 彼はまた、喫煙との関連についても調べている。
 「メントールは喉やその他の部位において痛みや煙に対する刺激性の反応を抑制することを私たちは発見しています」と、Jordt 氏は言う。「メントールは人がより多く煙を吸うことを可能にするため、人がタバコの常習になる手助けをしていることになっているのかもしれません」
 彼によると2年前に法制化された Family Smoking Prevention and Control Act(家族の喫煙予防とタバコ規制法)は食品医薬品局に風味をつけたタバコを禁止する権限を与えたが、少なくとも当分の間、免除されているのだという。メントールと TRP チャネルとの間の相互作用についての科学的理解が不完全なままであることがその理由の一部である。
 喘息と TRPA1 と呼ばれるレセプターチャネルとの間に関係があることも Jordt 氏は推測している。
 「TRPA1 チャネルに欠損があるマウスは喘息にならないのです」と彼は言い、さらにこれらの特異的なチャネルは新しい喘息の治療の魅力的なターゲットとなっていると付け加えた。
 「15年前は TRP チャネルが何であるかわかっていませんでした」とノースカロライナ州 Winston-Salem にある Wake Forest University の感覚生理学者 Wayne Silver 氏は言う。「今、私たちは至るところでそれを見つけています」
 これらのレセプターは私たちの日常でもよく知られるものとなっている。
 「私の息子は毎朝うがい薬を使っており、毎朝くしゃみをします」と、Silver 氏は実例を挙げる。
 チモールやメチルサリチル酸などの刺激性のうがい薬は、約30ある既知の TRP チャネルのうち、TRPA1 と TRPV1 の2つを開くように作用する。一方、ユーカリプトールやメントールなどその他のうがい薬の成分は TRPM8 チャネルを開く作用があるが、このチャネルは低温に対しても反応する。このようにして、これらの “クールな” 化学物質は、より刺激性の強い活性成分がうがい効果を発揮するまでの時間を稼いでいる。
 「私たちの体内の感覚はこれらのレセプターに依るところが大きく、快感や痛みに影響を及ぼします」 St. Louis にある Washington University Pain Center の生化学者 Gina Story 氏はそのように言う。彼女らはこれらのレセプターの分布の性差について研究している。彼女の知見によって、いずれはなぜ『男と女はサーモスタットをめぐって言い争うのか』が説明されることになるだろう。

『唐辛子やワサビなどの刺激物で痛みを感じる』
『ピリ辛を食べた直後にはぬるいお茶でも熱く感じる』
『ドライアイスや氷を触ると痛みを感じる』など、
日常感覚にまつわるこれらの体験は
感覚機能に関与する
TRP(Transient Receptor Potential)チャネルファミリーが
関係しているようである。
このチャネルが感覚細胞に存在することが初めて
発見されたのは1997年のことである。
TRP スーパーファミリーは哺乳類では6つのサブファミリーを
構成し、それぞれ複雑な機能を持っているという。
感覚だけでなく、細胞の分化・増殖、炎症などにも
役割がある他、同性愛やハゲなどにも関わっている可能性が
示唆されている。
記事中にあるように新たな鎮痛薬の開発のターゲットにも
なっている。
TRP チャネル機能の一層の解明が期待されるところである。

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動物緊急地震速報

2011-08-30 22:39:07 | 科学

8月23日、米東部を67年ぶりに
マグニチュード5.8の地震が襲った。
ワシントン市では、
日本の震度3~4程度の揺れが起こったと
みられている。
めったに地震の起こらない当地では
一時パニック状態となり、
震源地近くの原子力発電所では
原子炉が運転を停止したと伝えられている。
そんな中、ワシントン市内にある
国立動物園の動物たちはこの地震の襲来を
いち早く察知していたという。
この話題は日本のメディアでも
取り上げられていた
8月28日付 Asahi.com ウェブ魚拓)。
一体動物たちは何を感知していたのだろうか?

8月25日付 Washington Post 電子版

Zoo mystery: How did apes and birds know quake was coming? 動物園のミステリー:猿や鳥たちはどのようにして地震が起こるのを知ったのか?

Zoomystery

8月24日、National Zoo のO-line(Orangutan line)の塔にぶら下がっているオランウータンの Iris。前日の地震が実際に起こる直前、うなるような遭難声を発していた。

By Joel Achenbach
 彼女の名前は Iris。まっすぐでエレガントな赤橙色の毛の持ち主で、National Zoo において最も可憐なオランウータンであることに議論の余地はない。彼女は穏やかで、静かで、うろたえることはない。「彼女は女王のような生活を送っています」と、類人猿の飼育係である Amanda Bania さんは言う。8月23日の午後、この女王様はその冷静さを失った。
 動物園の動物たちはどのようにして東海岸の地震を予知したのだろうか?
 それは午後2時ちょっと前に起こった。霊長類飼育係の K.C.Braesch さんがほんの数フィート離れて立っていたとき Iris が大きな耳障りな叫び声を発した。それは科学者により belch-vocalizing と呼ばれているものだ。そして Iris は檻のてっぺんまで慌てて登った。
 Braesch さんは後ずさりしてこの猿を興奮させたものを確認するために檻を見渡した。オスの Kiko だったのか?普段はのんびりな Kiko だが、怒りっぽくなって物を投げることがある。しかし違っていた。Kiko はのんびりとしていた。これらはすべて約5秒以内に起こったことだが、それから Braesch さんは地震を感じたのである。
 「動物たちはわかっていたようです」と、24日に彼女は語った。「話にはいつも聞いていますが実際に目にしたのは今回が初めてです」
 歴史的なマグニチュード5.8の地震を人間が感じる前に、オランウータン、ゴリラ、フラミンゴ、アカエリマキキツネザルらが奇妙な行動を示した。今この動物園で持ちきりとなっている疑問は、動物は何を感知したのか、そしていつ彼らはそれを知ったのかということである。
 そこには科学的ミステリーが存在する。その一つに、厳然たる事実やきちんとした観察がこれまでの言い伝えや伝説とごっちゃになっているという事実がある。断裂した断層によって発生したよくわかっていない電磁場について何年も議論されてきた。また、人間には聞こえない音、造岩における微妙な傾斜、あるいは人間には嗅ぐことのできない気体の放出などについての推察もある。
 しかし、このミステリーは見ため以下のものかもしれない。23日の動物園における異常は、人間が行っていることが何であれ、それと関係なく多くの野生動物たちは自然に対して細心の注意を払っているということを思い起こさせる手がかりとなっているだけかもしれない。
 同動物園は、バージニア中部を震源とし米国東部の多くで揺れが生じたこの地震の前、最中、さらに地震後に、幅広く動物の行動を記録している。たとえば、ゴリラの Mandara は、地面が強く揺れ始める数秒前に、甲高い声を上げ、自分の子 Kibibi を抱いて構造物のてっぺんに急行した。二匹の他の猿、オランウータンの Kyle とゴリラの Kojo は餌を投げ捨てて、高い所に駆け上がった。64 羽のフラミンゴも同様に数秒前に揺れを感じていたようで、地震が起こる前に興奮気味に密集した。同動物園の像の一頭は、まるで他の2頭の像に知らせるかのように低音の声を発した。
 同動物園によるとアカエリマキキツネザルは今回の地震の15分も前に警戒声を発していたという。
 この地震の最中、この動物園内はうなり声や叫び声であふれかえった。昼間は普段不活動性の蛇も身をくねらせずるずると動き回った。ビーバーは後ろ足で立ち上がり、池に飛び込んだ。コモドオオトカゲの Murphy は逃げ場所を求めて走った。屋外で休んでいたライオンは突然立ち上がり、壁が揺れている自分たちの建物を凝視していた。
 スマトラタイガーの Damai は驚いたように跳び上がったがすぐに落ち着いた。動物の中には、その日ずっと興奮したままだったり、食事を取ろうとしなかったり、いつもどおりに寝ようとしないものがいた。
 「彼らは我々以上に環境に対してより敏感なのです」と哺乳類の上級管理者である Brandie Smith 氏は言う。「こういったことが発生することを彼らが直感できるとしても驚きはありません。そうやって彼らは生き延びてきたのです」
 動物飼育副部長の Don Moore 氏は、「象が超低周音波の感知能力を持っていることを、私たちは実験的研究から知っています。私たちが聞くことのできるレベルより低い音を聞くことができるのです」
 そのような奇妙な動物の行動が地震に対する前触れであるという考えは大昔にさかのぼる。最近の科学的研究では、イタリア・ラクイラの2009年の地震の数日前にヒキガエルがより高い場所へ逃走したことが示されている。近代で最も有名なケースでは、1975年、中国・海城のマグニチュード7.3の地震の数週間前、真冬に蛇や蛙が穴から姿を現した(この奇妙な動物の行動は地震の直前に市外に避難することを役所に踏み切らせることになっている)。
 しかし、科学者たちは事例的証拠を、論文審査のある学術誌での発表に耐え得る検証可能な仮説と強固な結論に変換するよう努力してきた。しかし海城の例でさえ脆弱なものである。なぜなら、実際には蛇を混乱させ役人に措置を講じらせる前震が多く存在していたからである。
 地震予知を研究している米国地質調査所地震学者 Susan Hough 氏は、火曜日に同動物園で起こったことの最も簡潔な説明として科学者に P 波と呼ばれているものが挙げられると言う。
 地震では2つのタイプの地震波が生ずる。最初のものは速く伝わる比較的弱い波である P 波(primary wave)である。続いて強力な S 波(secondary wave)が来るが、これはゆっくりとした速度で荒々しく伝わり地面を上下にうねらせる波である。
 Hough 氏の簡単な計算によると、第一波の P 波は S 波の約15秒前にワシントンに到達していたことが示唆されている。ということはこれで多くのことが説明できるかもしれない。人間が地面の揺れに気づく前に Iris や他の動物たちが P 波に反応していた可能性がある。
 しかしそれではアカエリマキキツネザルの謎が残る。彼らは地震の15秒ではなく約15分前に大声を上げ始めたのである。しかしそれは偶然の一致であり、地震に無関係の叫び声だった可能性もある。後からの評価は誤解を招く恐れがある。選択的記憶は原因と結果の間に錯覚を生ずるからである。
 これらすべてには未解決の問題が残っており、動物たちが人間には把握できない地球上の現象に敏感であるという可能性も排除できない。
 Hough 氏はこう言う。「地球上には私たちの理解を越えたことが起こっているのです」

地震に対する危機管理能力も
人間より動物たちの方が
格段すぐれているということかもしれない。

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地球の生命は宇宙由来?

2011-08-18 22:43:51 | 科学

今回もまたまた宇宙の話題から。
DNAの主要な構成成分である核酸が
宇宙から落ちてきた隕石中に存在するのが
どうやら確実のようなお話。

8月9日付 Washington Post 電子版

DNA building blocks found in meteorites 隕石中に発見されたDNA成分

Dnainmeteorites

Smithsonian Natural History Museum collections manager の Linda Welzenbach 氏が手にしているのは隕石の小片。

By Brian Vastag
 この50年間、地球上のすべての生命体に重要な分子であるDNAの成分が宇宙で自然に生じ得たのか否かという問題が科学者らによって議論されてきた。このたび南極やその他の地で発見された多くの隕石の新たな解析によって、その答えがイエスとなるまさに最強の証拠が示されている。
 隕石は地上に落ちてきた宇宙の岩であり、この新しい報告は、早期の地球への重い隕石の落下がこの惑星に生命体の素を蒔いた可能性があるという考えを支持するものである。
 「隕石は、地球やひょっとするとその他の星にも、生命体の起源として必須の要素をもたらす分子キットとしての役割を果たしてきた可能性がある」この報告の著者らは、Proceedings of the National Academy of Sciences 誌にこのように記載している。
 生命体は地球以外で発見されていないが、すべての地球の動植物は遺伝的情報を保存するのにDNAに依存している。梯子状のDNA分子の中核には核酸と呼ばれる環状の構造が存在する。
 NASAとWashington にある Carnegie Institution for Science の科学者たちが精査した12個の隕石中11個で発見したのはこれらの小さな環状構造物である。
 これらのうち特に Murchison と Lonewolf Nunataks 94102 と呼ばれる二つの隕石には、DNA 中にも認められるものを含めた核酸が豊富に含まれていた。しかし、これらの隕石はさらに地球外の神秘も持ち合わせていたのである。それは同族ではあるがこれまで見られたことのない外来性の核酸である。宇宙の岩を解析してきた NASA の科学者 Michael Callahan 氏はそのように述べている。
 一方、隕石の近くで見つかった土や氷を解析したところ、このような外来性の核酸の痕跡は得られなかった。
 1960年代以降、他の科学者たちも隕石中の核酸を報告してきたが、そういった発見には常に混入の懸念が残されていた。そう指摘するのは、隕石中の有機分子を研究してきた NASA の科学者 Max Bernstein 氏だ。彼は今回の研究には関与していない。
 外来性の核酸を検出したこと、さらに周囲の物質にそれらを認めなかったことから、本研究においては混入を除外することができると、Callahan 氏は言う。
 本研究の完全性から、その結論には確信を持てると Bernstein 氏は言う。「それは混入ではないと思います」と、彼は言う。
 研究室での実験で、Callahan 氏らは、どのようにしてそれらの核酸が隕石中に形成され得たのかを示している。アンモニアや水やシアン化水素など(これらすべては隕石中に認められる含有物である)の単純な化学的反応によって、今回の科学者らが隕石中に認めた様々な核酸が産生された。
 「もし私たちの実験室での化学物質が、今回の隕石中で見たものと同じ物質を産生するとしたらそれはきわめて高度な偶然ということになります」と、Callahan 氏はいう。
 隕石中に、科学者たちはすでに生命体の他の成分も発見している。代表的なものとして、たんぱくを構成する要素であるアミノ酸がある。
 地球上の最初の生命体が空から落ちてきた化学物質で形成されたのかどうかを見極めることは不可能であると Bernstein 氏は言うものの、目下その可能性は強まっている。「これらの分子成分は生命体の設計図の中心にあるものです」Bernstein 氏は核酸についてそう述べている。「隕石中のこれらの分子の存在が現在ある私たちを作った可能性があるのです」

地球上の生命体は
地球で発生したものとばかり思っていたが、
本記事にあるように、最近では
宇宙から飛来した物質が元になって誕生したという
説が有力となっているらしい。
もしそうだとしたら、夜空にまたたく無数の星の中に、
隕石によって地球と同じように生命体が誕生し、
中にはまさに地球上の人間と同じ様に
進化した生命体が存在する可能性は
かなり高いのではないだろうか?
今夏も残り少なくなってきたが、
そんなことを思いながら、
目にする星の数がホントに多い今の季節の夜空を
じっと見つめるのもまた一興である。

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ジュノー、ジュピターを暴く旅

2011-08-13 23:19:21 | 科学

前エントリーの火星に続いて、
今度は木星のお話である。

8月5日付 TIME.com

Jupiter Bound! Juno Heads for Deep Space 木星めざして!Juno は深宇宙に向かってゆく。
By JEFFREY KLUGER

Jupiter2

Jupiter

2011年8月に地球から打ち上げられた Juno 宇宙船は2016年に木星(Jupiter )に到着し、楕円状の極軌道からこの巨大な惑星を調査する予定である。

 5日、人類初のレゴ・フィギュリンを宇宙に送り出すという歴史的偉業を NASA は成し遂げた。それはウェブを駆けめぐっているうわさであるが、100%正しいので、まずそのことについて片づけておくことにしよう。8月5日の東部標準時午後12時25分に、Juno 宇宙探査機は Cape Canaveral(フロリダ)から打ち上げられ、2016年の木星への到達をめざした。同機にはレゴの関係者によって作られたローマの神 Jupiter、その妻 Juno、さらに1610年に木星の4つの大きな衛星を発見した Galileo-Galilei(ガリレオ・ガリレイ) の3体のフィギュリンが搭乗しているのである。
 さらにいくらか優雅なことに、イタリア宇宙局から提供された小さな飾り版がこの宇宙船の推進室にとりつけられていた。その飾り板にはこの偉大な天文学者 Galileo 自筆の日記が記入されているだけでなく彼の手による自画像が描かれている。その日記には彼によって衛星の発見が記載されている。『木星の周りにはこれまで誰にも見ることのできなかった3つの動く星が存在しているのは確かである』(その後彼は4つ目を発見している)。
 そういった装飾品は、無人宇宙船の打ち上げが多くの注目を得るためにしばしば用いられるものである。しかし Juno が着手しているミッションは、その宇宙船そのものだけでなく、多くの理由によりそれらよりはるかに報道価値があるのである。
 他のすべての惑星を合わせた2倍の質量がある木星は単に太陽系で最も大きな惑星というだけではない。それは一種の原始の世界と言えるものであり、最古の日々からほとんど変化していない。このようにして、それは太陽系初期を生で見ることを可能にし、岩でできた、より小さな惑星である水星、金星、火星、そして注目される地球がどのようにして形成されたかについての重要な手がかりを与えてくれる。木星について学べば学ぶほど、私たちは自分たち自身を学ぶことになるのである。
 Juno が木星に向かって飛行する最初の宇宙船になるというわけでは決してない。パイオニア10号、11号、さらにボイジャー1号、2号が1970年代に同惑星をスウィング・バイ(惑星の重力に吸収されることによって加速しながら進むこと)している。Galileo探査機は1995年から2003年まで同惑星の軌道に8年間載り、プローブを渦巻く雲の中に突入させるなどして、木星について詳細な調査を行った。それらのミッションは木星の科学や構造について多くの疑問に答えたが、答えが得られなかった多くの事柄も残された。例えば、この惑星が完全にガス状なのかそれとも固い核を有しているのかは誰にもわかっていない。木星の美的特徴となっている色鮮やかな帯や巨大な赤い斑点の向こう側には何があるのか、そして、それらがどれほど深くまで下層の大気まで伸展しているのかは、同じくまさに謎のままである。
 さらに興味深いことは木星の強力な磁場の作用である。木星の大気中の強い圧力によってその水素の一部に、少なくともその分子構造において金属特性(液体金属水素として存在)が獲得され、このことによって同惑星の極地帯に爆発的に明るいオーロラを生みだす磁力の供給が促進される。Juno は極軌道と呼ばれる軌道に入る予定である。これは、ほとんどの宇宙船が惑星の胴周りを飛行するおなじみの経路とは90度交叉する軌道であり、木星の最も高緯度と低緯度の初めての画像を我々地球人に提供してくれることになっている。
 そういった写真は少なくとも世間では今回のミッションの最大の目玉となるだろう。しかし、科学者たちはむしろこの宇宙船の他の装置によって集められるデータに関心を持っている。それには大気深部の状況を測定するための、プラズマおよび粒子の検出器、紫外分光計、赤外分光計あるいはマイクロ波放射計などがある。
 地球から最大6億マイル(9億7千万キロ)の距離でそれら多くのハードウェアを作動し続けることは探査機を目的地まで到達させるまでの5年の間も、木星を33回の周回を行う1年間も容易ではないだろう。現在土星を周回中の Cassini 探査機は船内に原子動力を搭載しているが、それは、そこまで遠く離れていると太陽エネルギーは実用的ではないからである。地球で得られる太陽光の25分の1しか得られない木星が土星よりかなり明るいということはない。しかしソーラー技術の開発によって、旧モデルに比べて50%以上効率の良い集光パネルが作られている。それは Juno が必要とする動力源のほとんどすべてを供給できるに違いない。というのも、特にその主たる観測とそれにかかる最大のエネルギー需要は11日間周回毎に約6時間を占めるに過ぎないからである。
 もし Galileo 探査機のミッションが何かの方向性を示すものとなれば、Juno は恐らくその予定された軌道寿命年数以上に多くのことを得ることになるだろう。NASAは伝統的にその宇宙船の能力を低く見積もってきたが、それは国民の期待を牽制することと、任務の計画者に対して調整しやすい遂行リストを与えることの両方の目的がある。そのようなチェックリストが完全に成されれば、正しく機能している宇宙船には通常さらなる使命が与えられるのである。
 Juno が最終的にその業務を何とか遂行した場合、恐らく Galileo がたどった劇的な最期を迎えることになる。木星の衛星の一つ、特に水が存在する Europa との衝突を阻止するために Galileo は木星そのものへの死の突入を余儀なくされた。同衛星が地球からの微生物によって、存在が考えられる木星の生命体が汚染を被る可能性があったからである。巨大な世界を調査するためにやってきた宇宙船はこのようにしてその一部となったのだが、今日地球を飛び立った宇宙船も同じ運命をたどることになるだろう。

よくわかっていたようでいて
実はよくわかっていなかった木星。
太陽系の惑星中、
最大の大きさと質量を持つ木星は、
表面を覆う厚いガスがこの惑星のどこまでを
占めているのもわかっていない。

木星の衛星にもし生命体がいるとすれば、
宇宙船 Juno はそれらにとって
UFO ということになる。
向こうの環境を汚染させてはいけないという
配慮は宇宙マナー?
Juno の木星到達まで5年を要するが、
新たな発見が待ち遠しいところである。

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火星を見つめ直す

2011-08-09 17:39:00 | 科学

日本でも報道されていた
『火星に水の可能性』のニュース。
日本のメディアからは
詳細を知ることができなかったので
Washington Post 紙からの記事を紹介する。

8月5日付 Washington Post 電子版

Water on Mars? Scientists find strongest evidence yet in reappearing streaks 火星に水?科学者らは出没する筋(すじ)に最強の証拠を発見

Wateronmars_3

火星表面に認められる暗色で指状の筋が季節の寒暖とともに出たり消えたりする。それは恐らく塩水の存在する証拠と考えられている。

By Marc Kaufman,
 数十年間、宇宙科学者らは、生命体に必須と一般に考えられている液体、すなわち水が存在する形跡を火星で探してきた。
 火星の南半球のあちこちに、これまで発見されていなかった暗色の筋が季節ごとに出たり消えたりするいくつもの傾斜地が発見されたことを木曜日に科学者たちは発表した。そこではこの惑星の温度が上がるとき、この筋が現れ低い方に広がってゆく。気温が下がるとこの筋は消失する。

Wateronmars2

季節性に認められる火星上の暗色の小さな筋は、火星の夏の間、傾斜地を流れ落ちる解けた塩水かもしれないと科学者らは言う。Newton クレーターからの5枚の連続した画像と Horowitz クレーターからの1枚の画像には、黒い線が斜面の頂点付近に現れ、それから多数の筋状の影に伸びてゆく状況が示され、それらは寒い気候が戻ってきて消滅するまで数ヶ月間持続する。これらの画像は火星を撮影するために周回している NASA の Mars Reconnaissance Orbiter(マース・リコネサンス・オービター)に搭載された HiRISE カメラによって5年以上にわたって撮影されたものだ。

 それらについて行われてきた最適な説明は、それらの暗色の指状の筋は火星表面上、あるいはそのすぐ下を流れる一種の塩水であるというものだ。特定の地域、すなわち Newton クレーターでは、斜面を流れ盆地に流れ込んでいる流水と考えられる箇所は1,000を数える。
 もしこの事実が確かめられたなら、火星の理解を根本的に変え、この惑星がかつて、今よりはるかに湿潤で、温暖だったという広く信じられている学説を強く支持することになる発見である。そして、水の発見によって地球以外の生命体の発見の可能性にも格好のターゲットが与えられることになると科学者らは言う。
 「私たちには、今見ているものを水の存在なしに説明するよい手立てはないのです」と、University of Arizona の Lunar and Planetary Laboratory の Alfred Mc-Ewan 氏は言う。McEwan 氏はこの発見について Science 誌に発表した論文の筆頭著者である。
 「そしてもしそれが塩水であることが確認されれば、火星上に現存する生命体を見つけようとするために向かうべき方向について最善策を手にしたことになります。
 問題の暗色の筋は最初、Mars Reconnaissance Orbiter(MRO)から送り返された画像の中で学生によって発見された。ピクセルで構成された画像は2007年まで遡って撮られたものだが、宇宙ミッションから入ってくるデータが大変多いことからそれらは調査されずにいた。McEwan 氏は、地球物理学3年生の Lujendra Ojha さんに筋の位置について入念に調べるよう指導したところ Ojha さんはこの筋が季節によって劇的に変化することを発見したのである。
 「これらの画像それ自体は特別際だったものではありません」と、McEwan 氏は言う。「しかしそれらをまとめ合わせ、時間ごとに起こっていることを見ると、何か重要なことが起こっていることを明確に確認できるのです」
 そうこうするうちに、研究者チームはこれらの変化が温度の上昇や減少と関連して生じていることを発見した。彼らはその他にも類似した反復箇所を見つけるために MRO の画像を調べ、これまでのところ確認できた7ヶ所と、さらに可能性のある32ヶ所を見つけ出した。それらすべての場所で流れは岩などの障害物を乗り越えるのではなく迂回しているように見え、しばしばそれらは平地にたどりつくまでに消滅していた。一般にそれらは2フィート(61cm)から15フィート(4.6m)の幅で、火星の夏に生じている。ちなみに火星の夏の温度は華氏-10℃から80℃である(摂氏で-23℃~27℃)。
 木曜日の NASA の記者会見で、McEwan 氏や MRO、火星科学および宇宙生物学の関係者らは今回の発見を大きな転機となる可能性があるとして称賛した。Arizona State University の地球物理学者 Philip R Christensen 氏は、火星表面に水が存在する可能性の最高の証拠になるものであると述べた。Indiana University の生物地球科学者・宇宙生物学者 Lisa Pratt 氏もまた、現在火星の生命体があるとすれば最も有望な生息環境を示すものであるとし、その状況は生命体の存在するシベリアの永久凍土層に類似している可能性があると考えている。しかし、これらの発言者はすべて、今回の発見は現時点では状況的なものであって証明されたものではないとしている。
 火星上に水が存在する可能性のある形跡はこれまでに報告されているが、後になってその信用性は失われている。例えば2006年、いくつかのクレーターの峡谷に見られる重大な変化と見られるものが科学者らによって報告され、起こっていることの説明として、おそらく『鉄砲水』の形で地下から噴き出てくる水ではないかと考えられた。
 その後の研究でその説明に重大な疑問が投げかけられたのだが、その理由は、特に、温度があまりにも低く水が液体で存在できない火星の冬の間にそれが起こっていたと考えられたためである。現在の見解は、凍った二酸化炭素があふれているものだったのではないかということになっている。
 それにもかかわらず、火星上には様々な形で水が存在している、あるいは存在していたという考えが広く受け入れられている。2008年、NASA の Phoenix 着陸機は火星表面の直下に凍った水を発見しているし、着陸後に同機の脚上に液体の水滴が撮影されていたと主張するものもいる。その他にも、火星上の多くの乾いた峡谷や三角州は、かつて水が火星表面を流れていたことを多くの宇宙科学者に確信させてきた。
 件の筋の性状がいまだ確認されていないことから、この研究者らはそれらを水流と呼ばず、むしろ『繰り返し発生する傾斜線』などと呼んでいる。彼らはそれらの筋が落石であるとか、強風やその他の火星大気の力による結果であるなど他の説明も挙げているが、なんらかの形で水が関与している可能性が最も高いと結論づけた。
 この軌道船にあるスペクトロメータが収集した分子データには水の存在が示されなかったという事実を反映した警告も存在する。McEwan 氏は、この流れが非常に小さいのでスペクトロメータが捕捉できなかった可能性があると指摘し、将来の機器ならそれが水であるかどうかを決定できることを確信していると述べた。
 もしこの筋が水を含有しているとしたら、それらは塩分で強く飽和しているに違いない。塩分は水が凍る温度を下げるからである。Phoenix のミッションでは火星上に強い過塩素酸塩複合体が発見されている。この塩は特別に水の凝固点を下げる強い効果を有している。火星の氷を時々融解させるのに必要な塩分濃度は地球の海洋における塩分とほぼ同じであると、この論文は報告している。
 火星における次のミッションが Curiosity と呼ばれる探査車を配し一年後に着陸が予定されている Gale クレーターへの到達であることを先月 NASA が発表した。McEwan 氏によると、彼のチームはその地点には水流の可能性がある場所を発見していないと言う。

火星にかつて水があったというのは
これまでも容認されていた事実のようだが、
液体の形で水が火星上に
現存している可能性があるとすれば
それは画期的な発見ということらしい。
しかしたとえ水が存在したとしても
大気圧は地球の1%以下、
二酸化炭素が大気の95%、
酸素は0.13%。
平均気温も摂氏マイナス43℃という世界。
とてもまともな生物は存在していそうにない。
それでも水があるということは
将来的に環境を変えることが
可能となるのだろうか?
移住先(旅行先)としては
強くご遠慮申し上げたい場所のように
思うのである。

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