通でがんす

いろんな広島を知って、ひろしま通になりましょう!
(旧ブログタイトル:通じゃのう)

広島をまどうてくれ!

2015年08月01日 | 広島弁
まどう

元通りにする

広島弁






「広島をまどうてくれ!」

………???

「まどう」って何じゃ?





人類史上初の原子爆弾が投下された広島市では、

毎年8月6日の午前8時から、平和記念公園で

平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)が行われる。





そこでは、

歴代の広島市長が平和宣言をしてきた。





今年(2015年)の平和宣言の骨子を、

松井一実(まつい かずみ)広島市長が

昨日、発表した。





その中に、

「広島をまどうてくれ!」

という一文があった。





わしゃ、それを聞いて驚いた。





「まどう」って何じゃ?

どういう意味なん?

それって広島弁?





調べてみると、

「まどう」は、

「(壊したものを)元通りにする」ところから、

「弁償する」という意味になった広島弁じゃそうな。





「広島をまどうてくれ!」には、

「原爆で傷つけられた体や心を元に戻してくれ」

「原爆で殺された家族を返してくれ」いう、

被爆者の思いや叫びが込められとるんじゃろう。





思い起こせば、5年前。

2010年(平成22年)の平和宣言で、

当時の広島市長じゃった秋葉忠利(あきば ただとし)氏は、

次のような一文を盛り込まれた。





「こがあな いびせえこたあ、

ほかの誰(だれ)にも あっちゃあいけん」





「いびせえ」は、

そのころのわしは知らんかったが、

「怖い」「恐ろしい」を意味する広島弁じゃ。





「こがあな いびせえこたあ…」とは、

「原爆を使うような恐ろしいことは、相手が誰であっても二度とあってはならない」。

つまり、「あの日を二度と繰り返してはならない」

という思いを込めた一文じゃったと思う。





言葉いうのは、

みんなが使わんようになると、

その言葉自体が消えてしまう。





それと同じように、

過去に起こった災害が人々の間で語られることがのうなる(=なくなる)と、

その災害自体が忘れられてしまう。





年に1回でもええ、

あの日、あの時、あの場所で、

どんなことが起こったか、

を思い出すことが必要なんじゃ。





広島・長崎の原爆だけじゃない、

戦争中、各地にあった空襲の被害、

戦地での悲惨な体験。





阪神・淡路大震災、

東日本大震災と、

それに続く福島第一原子力発電所の事故。





過去に起こったことを、

なかったことにしたり、

「まどう(=元通りにする)」ことはできん。





ほいじゃが、年に1回でもええ、

あの日、あの時、あの場所で、

どんなことが起こったかを、

口に出して語る、

文章にして綴る。





そういうことが大切なんじゃないんかの。





↓今年(2015年)の平和宣言については、こちら↓

「平和宣言【平成27年(2015年)】」広島市


↓2010年の平和宣言については、こちら↓

「平成22年(2010年)」広島市





↓「いびせえ」についての関連記事は、こちら↓

宮島言葉のいろいろ その41 「いびせー」





今日は、今年の平和宣言に盛り込まれた「広島をまどうてくれ!」という言葉について話をさせてもらいました。

ほいじゃあ、またの。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 漬ける | トップ | 平和記念式典準備中 2015年 »

コメントを投稿

広島弁」カテゴリの最新記事