晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 丹波マンガン記念館の7300日(1) 11/5

2011-11-05 | 雨読

2011.11.5(土)雨

 自転車日本一周旅行中に多くの鉱山博物館や観光鉱山を巡ってきました。特に東北地方には多くの施設があり、小規模ながら頑張っているという感がしました。ところが、坑内労働の厳しさ、過酷さは表現されていても、罪人の労働や戦時中の朝鮮人強制労働など鉱山の歴史の暗い部分、もっとも悲惨な部分は表現されていません。底辺の労働者こそが日本の近代化、日本の重工業を支えてきたわけで、そういったものを展示、表現して欲しいとその都度記事に書いてきました。Img_1160 Img_1170
 



 写真:2006.10.14に訪れた、岩手県野田村の野田玉川鉱山は珍しいマンガン鉱の観光鉱山です。古い有数の鉱山ですがここでも過去の暗い歴史にはふれることなく、近代的な工法の紹介や宝石の販売などが行われています。

 ちょうど「マンガンぱらだいす」田中宇著が観光鉱山で、本書が鉱山の実態を訴えている博物館というふうに対比できるものです。
 「丹波マンガン記念館の7300日」李龍植(LEE Yog Sik)解放出版社2009.6初版 南丹市美山図書室から借りたものです。
「マンガンぱらだいす」は既に雨読で紹介していますが、本書の目次に「歴史の歪曲を糾すー田中宇「マンガンぱらだいす」第三章批判」というのがあり、取り寄せて読んだ訳です。P1000210
 「マンガンぱらだいす」(雨読 8月17,18日参照)というタイトルには実は驚きましたが、なぜぱらだいすかは語られていません。結局、大儲けをした鉱山資本と一攫千金とばかりに山を当てた鉱山師、徴兵逃れにマンガン鉱に手を出した京の旦那衆にとってのぱらだいすなのかもしれません。
 第三章批判というのは、田中氏が朝鮮から丹波のマンガン鉱に出稼ぎに来て、多くの報酬を得て帰国したという風に書いてある事に対し、そうではなくて強制連行で連れてこられて、強制的に働かされたと言っていることです。
 従軍慰安婦の問題も書かれていますが、やはり強制連行とは首に縄付けて引っ張るということではなくて、行かざるを得ない状況にして、連れて行くのも強制連行ではないでしょうか。戦時中の朝鮮の場合、土地を奪われ、仕事や役職を奪われ、そのと地では生きていけないようにして連行しています。
 田中氏は李親子と共に協力して取材をしてこられたと思います。記事に重複する場面がいくつかあるからです。そして田中氏が「マンガンぱらだいす」を発行されて李氏は驚いたのでしょう。強制連行や過酷な労働、じん肺の苦しみと差別などが、「ぱらだいす」になっているからです。これ等は私の想像ですが、氏の本書を書く動機の一つはこういう事だったのではないでしょうか。つづく

今日のじょん:なっちゃんが遊びに来て疲れてしまったようで眠り込んでいる。P1000220




 なっちゃんが大きくなって怖くなったみたい。小さいときは一緒にサークルに入って遊んでいたのに、、、。Img_0764

コメント
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