或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

東京藝大美術館

2007-05-21 06:16:38 | 300 絵画
今日はGW特集の第5回。東京3日目はカミさんと娘が名古屋へ行ったので、自分ひとりが単独で行動。友人と待ち合わせて渋谷で昼食をとった後で向かったのは、上野にある東京藝術大学 大学美術館。ここはJR上野駅から歩くと国立博物館や動物園の奥。実はこっそり一番楽しみにしていたかも。というのも、「創立120周年企画:パリへ―洋画家たち百年の夢~黒田清輝、藤島武二、藤田嗣治から現代まで~」が開催されていたから。

このブログで特集している佐伯祐三と小出楢重は、この大学の前身である東京美術学校の出身。彼らを調べていくと、必然的に黒田や藤島、藤田が出てくるわけで。いつかは行ってみたいと日頃から思っていたところにこの企画。ラッキーでした。

最初の展示の中心は黒田清輝。シロウトが言うのもなんだけど絵が上手い。次ぎが藤島武二。印象に残ったのが下の写真の「港の朝陽」(1934年)。輝いていたなあ。でもそれ以上だったのは「イタリア婦人像」(1909年)。これは自分の小説「フォーライフ」で登場人物の一人、貴美子のイメージとして使ったもの。むろん実物を見るのは初めて。ここで出会えるとは。まさにサプライズ。

次の展示室は、なんと佐伯、小出、藤田のそろい踏み。展示で共通するのは自画像。この学校の卒業制作として義務づけられている。3枚の自画像を比べてみると、各々の性格が見えてくるから不思議。それにしても、3人の絵に囲まれてソファーに座っていると、自分が大正や昭和初期にタイムスリップしたような気持ちに。うーん、この上なく幸せな時間だった。

それで美術館を出て駅の方へ歩いていると、子供の日に動物園に行った大勢の家族連れに遭遇。別にそれは当たり前なんだけど、美術館というのは行くまでや帰りのプロセスが、ある種の鑑賞のプロローグやエピローグにもなっているわけで。立地として少なくとも美術館関係は別の駅経由で別の場所にあったらいいのになあと。上野の森そのものが素晴らしいだけに。