或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

Dee Dee Bridgewater

2007-05-16 06:33:25 | 200 ジャズ
GWの東京滞在で、ひとつ残念だったのが夜ライブを聴きに行けなかったこと。まあいろいろ調べてぐっとくるのがなかったのも確か。ということで、行き帰りの新幹線でよく聴いたアルバムを紹介しておきます。ディ・ディ・ブリッジウォーターの「Keeping tradition」(1993年)。おそらく今年のお気に入りベスト5ぐらいには入るだろうなあ。パリでの録音。バックのピアノトリオは全員欧州人。中味はタイトル通り本格的なジャズ・ヴォーカル。この路線は里帰りライブの「Live at Yoshi’s」(1998年)へも続くけど。

実はジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen)が作曲した"Polka dots and moonbeams"のヴォーカルを探していて見つけたのがこのアルバム。この曲は歌詞が素晴らしい。「ダンスパーティーで、たまたまお尻がぶつかったことで知り合ったのが彼女。それが一緒に踊るきっかけに・・・。今二人は幸せに暮らしている。いつも想い出すのは、その夜に彼女が着ていた水玉模様の服と、照らしていた月の光」、なんて感じで、あたかも短い物語のような印象を与えてくれる。まさにノスタルジア。

他はどうだろうと聴いてみると、どれも工夫が凝らしてあって捨て曲がない。特に素晴らしいと思ったのが、イヴァン・リンスが作曲した隠れた名曲、"The island (Comecar De Novo)"。面白かったのが、米国アマゾンのリスナーコメント。この曲に対してextremely seductiveだって。日本語に訳せば、「ありえないぐらい誘惑的」ってとこ。高音の裏声が独特の強いビブラートによって震えてくると、もうたまりません。やはり男は同じような気持ちになるんだなあと納得。しかしその実力はずば抜けてるなあ。

ディ・ディは、有名になった日本録音の「Afro Blue」(1974年)でのデビューが鮮烈だった。でもその後フランスに渡り、すっかりジャズから足を洗ったと思っていたけど、どっこいやる時はやるんですね。彼女の歌だけでなく、バックのメンバーやジャケ、クレジットのセンスを含めて全てがハイレベル。派手さはないけど、これからもこんなアルバムを創り続けて欲しいものです。

Afro BlueAfro Blue

Keeping TraditionKeeping Tradition   Live at Yoshi'sLive at Yoshi's