或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

フォーライフ(2)

2006-01-28 08:22:20 | 020 小説「フォーライフ」
◆湯郷温泉
湯郷は岡山の山間にある小さな温泉街。岡山市内を散策した後ここに着いたのは夕方。貴美子は嬉しそうだった。お互いなかなか時間が取れなかった。それだけに楽しみにしていたのだろう。

ポピースプリングスはこの温泉街のちょうど真ん中にある。古びた和風の家屋が多い中でモダンな建物は際立っていた。リゾートを感じさせる外観、洒落た部屋、そして屋外ジャグジーと充実したスパがこのホテルの特徴。1Fにあるレストランで本格的なコース料理を楽しんだ後、ほろ酔い気分で入ったジャグジーは思ったより広くてゴージャズ。見上げる秋の夜空が美しかった。貴美子はさっき飲んだワインのせいかやや紅潮していた。

翌日近くのオークレットゴルフクラブで二人でゴルフ。抜けるような快晴。そよ風が気持ちいい。平日だったせいか客もまばら。二人のためだけのゴルフ場。意外に貴美子はゴルフが上手かった。赤とんぼが秋の風情を感じさせた。

帰りの高速道路。疲れたのか貴美子は隣で寝ている。寝顔が可愛い。つかの間の2日間を思い出しながら、この関係はいつまで続くのだろうと、ハンドルを握りながらふと植田は思った。

◆不思議なメール
美和子は知らない相手からメールが届いているのに気がついた。開いて見て驚いた。たまに見ているブログ「ライフタイム」のオーナーから。そこはジャズアルバムの紹介中心でなかなか趣味が良く気に入っていた。何回かコメントしたこともある。

「なんだろう?」とメールを開くと、「誰だか分かります?実は美和子さんのこと知ってるんですよ。またメールします。それでは。トニー。P.S.素敵なブログ。いつも拝見してます。」 短い文章だった。

「どうして私だって分かったんだろ?」すぐに相手のブログを調べてみたが、住所が神戸というだけでそれ以外は分からない。ブログはすこぶる真面目だしメールにも不信なところはない。美和子は不安は感じなかったが相手が誰なのか気になった。記憶を辿ってみたが思い出せなかった。

フォーライフ(1)

2006-01-28 08:13:16 | 020 小説「フォーライフ」
◆プロローグ
「おい、フォーライフって知ってる?」
「それって、オダギリジョーが宣伝している消費者金融の名前だっけ?」
「違うよ、それはライフカードだろ。2枚目にあれやられちゃかなわないなあ。」
「今話題のライブドアの関連会社じゃないの?」
「それはマネーライフ。バカだなあお前ら。伊坂幸太郎のミステリー小説のタイトルだよ。」
「おまえ輪をかけてイカれてるな。それはラッシュライフ。俺はもう読んだよ。」

「吉田拓郎が大昔に作ったレコード会社が、なんかそんな名前だったような気がする。」
「その人って前にテレビの“堂本兄弟”でギター弾いてた頭の髪の薄いオジさんだっけ?」

「そんな古い話じゃないよ。えーと、確かレーザーラモンHGのギャクで・・・。」
「ライフ、フォー!かよ。それありえない。けど、イケてるかもな。」

公園のベンチのあたりから学生達の話声が聞こえた。若い奴は楽しそうだな、と感じながら自分が今聴いているのは日本人ジャズピアニスト、山本剛の「ライフ」(1976年)。ひょっとして”ライフ”つながりか、と妙な親近感が湧いた。考えてみれば、いい歳をした中年が平日の昼間に公園の側に車を止めて、大昔のジャズ、それも夜にホテルのバーで聴くようなカクテルピアノを聴いてるなんて誰も想像できないだろうな、と思った。

山本剛は南青山の「Body & Soul」でよく聴いた。アクは強いが日本人離れした歌心とノリが素晴らしい。彼が米人のベース、ドラムと録音したこのアルバムは大のお気に入り。やっぱり、リズム隊はロイクに限るよなあ、と思った途端に流れ始めた曲がミシェル・ルグランの”これからの人生(What are you doing the rest of your life)”。

なんだこれも”ライフ”つがりか、と広之の顔から苦笑いがこぼれた。

山本剛 ライフ(紙ジャケ)

小説執筆開始

2006-01-28 08:04:54 | 020 小説「フォーライフ」
突然ですが、今日からこのブログで小説を書き始めます。というのも前に紹介した伊坂幸太郎の小説「ラッシュライフ」を読んだら、なんかだ触発されちゃって。応援してくれるブログ友達もいたりして。まあこの際なんでもやっちゃえ、途中でやめてもいいじゃん、なんて軽いノリ。あくまでお遊びということでよろしくお願いします。

とは言いながら一応コンセプトはあります。オ・ト・ナの男と女の物語…。でもストーリーは現時点全く白紙の状態。気の向くまま。だからどんな人物を登場させるか、どんなシチュエーションにするかなど今から勝手に作ります。実は自分が考えるだけじゃなくて、他の人のブログの記事をヒントに膨らませて行こうかなと。ある意味他力本願。良く言えば“インタープレイ”。

そうそう忘れてました。タイトルは「ラッシュライフ」の向こうを張って「フォーライフ」。(笑)

路線としては、ジャズと絵画をふんだんに織り交ぜ、アガサ・クリスティのストーリーの緻密さを追求し、三島由紀夫のエロチシズムを匂わせながら、村上春樹の“知識やけにひけらかし系”と伊坂幸太郎の“哲学的うんちく多すぎ系”の雰囲気を漂わせつつ、久保田二郎の高貴と低俗が同居する“お馬鹿さ”を発揮していく。最終的には読者に、この作者って高田純次とか大竹まこと系の人?とやんわり感じさせる、そういう小説を目指したいと思います。

写真は将来書籍化された時?のための本の表紙のイメージ。ちょっとやりすぎかも。(笑)

今までの記事と同じようにアップしていくつもり。乞うご期待です。