今更「コードギアス」2代目OPについて

 現在放映中の「コードギアス 反逆のルルーシュ」のOP・ED曲が第13話から変更されたが、ネット上では2代目OPの「解読不能」(歌:ジン)が、かなり不評を買っている。この件について、今更ながら思うところを書いてみたい。


 まず、最初に新OPの個人的感想を書いておくと、私は「嫌い」だ。何を言っているかよく判らないボーカルは、聴いていて気持ち悪いし、問題はそれだけではない。詳しくは、後述する。
 本作では、初代OPの「COLORS」も、新EDの「モザイクカケラ」も、「解読不能」と同様にタイアップ曲だ。きちんと作品世界に沿った歌詞の「主題歌」は、初代EDの「勇侠青春謳」くらいだろう。しかし、初代OPや新EDに対しての批判は、あまり聞かない。タイアップであっても作品のイメージからかけ離れていなければ、それほど気にはならないものだ。
 今回、「解読不能」を歌うジンがかなり叩かれているが、責められるべきはアーティストではなく、この曲を「コードギアス」のOPに決めた人間だと思う。「解読不能」がギアスのOPでさえなければ、おそらく私はジンの曲を聴く事は無かっただろう。ただ、歌を聴いてしまった以上、どうしても歌に対する不満も感じてしまう。


 さて、新OPの問題は歌だけではないと書いたが、その点について詳しく述べる。
 「コードギアス 反逆のルルーシュ」は、谷口悟朗監督の最新作。谷口監督がこれまで手がけた「無限のリヴァイアス」「スクライド」「プラネテス」「ガン×ソード」では、OPアニメはストーリー展開に合わせてマイナーチェンジを重ねる趣向が取られており、細かいところまで目が離せず、毎回OPを観るのが楽しみだった。
 また、歌は全てビクターエンタテインメントより、作品内容に合った「主題歌」(「ガン×ソード」は「主題曲」だが)がリリースされており、OPに対する監督とスタッフのこだわりが非常に強く感じられた。

 それに対して、今回の「解読不能」に付けられたOPアニメは、どう見ても初代OPを曲に合わせて適当につなぎかえたとしか思えないもので、谷口監督作品とは思えないやる気の無さだ。
 これが、スケジュールの都合でツギハギにせざるを得なかったのか、それともタイアップで突っ込まれた曲が気に入らず、OPアニメに対してやる気が起きなかったのかは判らないが、いずれにしても、過去の谷口監督作品のOPとの落差があまりにも激しく、失望せざるを得なかった。
 つまり、歌とアニメを合わせた「OPアニメーション」として、今回の「コードギアス」新OPは並以下の出来であり、それ故に「嫌い」なのだ。


 しかし、このような事態は、Sony MusicがOP曲を提供する以上、予想できた事ではある。
 現在、テレビアニメにOP・ED曲を提供している主なレコード会社の中では、Sony Musicは最もタイアップに熱心な会社だろう。もちろん、タイアップであっても、初代OP「COLORS」のように作品イメージとかけ離れていなければそんなに気にならないのだが、Sony Musicが手がける曲には、作品イメージを考慮しているとは思えないものも多い。
 今回の件以外では、「ケロロ軍曹」が放映2年目に入った時のOP曲変更が、記憶に新しい。
 正統派主題歌だった「ケロッ!とマーチ」から、「どこがケロロの曲?」としか言いようのない「全国無責任時代」に変わってしまい、かなりショックを受けた。OPだけが原因ではないが、程なくして番組自体の視聴を止めてしまった。

 コロムビア、スターチャイルド、ランティス、ビクターなど他の会社は、最低限タイアップであっても作品からかけ離れた曲をねじ込む事はあまりないし、タイアップでない堂々たる主題歌も、しっかり作っている。
 これらの会社と比べると、Sony Musicはテレビアニメをタイアップ曲の宣伝場所としてしか考えていない印象を受ける。好きな作品や期待の新作にこの会社が関わると聞いて「これで主題歌には期待が出来ない」と、醒めてしまう事も多い。今回の「解読不能」の件も、起こるべくして起こったと言えるだろう。正直言って、アニメの曲にはあまり関わって欲しくない会社だ。


 少し長くなってしまったので、今回はここで終わるが、現代のテレビアニメにおける「主題歌」については、他にも色々と思うところがあるので、近いうちにもう少し突っ込んで考察してみたい。
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