十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

文学は知識とは違ふ

2018-02-28 | Weblog
川上未映子著、『乳と卵』。南関町図書館で、すでに新刊ではない「か行」の書架の一番下にあったものを何気なく手にした本。大阪弁そのまんまで語られた数日間の出来事だったが、女と生まれれば素通りできない現実が、繊細な会話を通じて提言されていた。文体は、「、」で繋がる文節はどれも長く、「。」になるまで、何と8行もあったりと、学校で習った作文のイロハなど知らないかのようである。世に溢れ返っている既成の言葉ではなく、彼女自身の平明な言葉で綴られているにも関わらず、第3者である読者の五感に新鮮にリアルに伝わってくるのは、物事への関心の深さと、何でも当たり前のこととして片付けてしまわない感受性の高さが根底にあるからだろう。これは俳句にも通じることだと改めて実感!第138回芥川賞受賞作だけある素敵な作品だった。(Midori)

コメントを投稿