JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

儀式の翌朝

2009年07月18日 | a-c

梅雨空が戻った土曜日、今週もなんだか忙しい一週間で、今朝は空模様に合わせたがごとく身体がど~~んと重い感じです。
まっ、半分は昨夜の儀式のせいという話もありますけど(笑)

儀式?
そう、毎年の7月17日、ジョン・コルトレーンの命日に繰り返す『マイ儀式』です。(失礼、毎年は嘘で、以前行っていた儀式を5年前に復活させたのですけどね。)
昨晩も、8時に帰宅、その後は趣味部屋にこもり、セロリと塩、そしてサントリー・ホワイトを一本テーブルに用意。
まずは2つのショット・グラスにホワイトを注ぎ、一杯はコルトレーンに、
「乾杯!」
クイッともう一杯を飲み干します。
それからは、11時まではスピーカーで、11時過ぎからはヘッドフォンで、ただただコルトレーンを聴きながらホワイトを飲み続けるという・・・・『マイ儀式』であります。

「ねぇ、ねぇ、なんでサントリー・ホワイトなわけ?」
「それはね、この儀式を始めた高校生時代は、ホワイトくらいしか買えなかったからだよ。」
「ねぇ、ねぇ、なしてセロリのなわけ?」
「それはね、儀式を始めた高校時代、下宿の近くの八百屋でセロリを売っていたからだよ。」
「なにそれ」
「・・・・・・」

前衛から主流へと下降をつづけるオーネットに対して、主流から前衛への道をたどった男に、ジョン・コルトレーンがいた。彼は音楽を通じて地獄の現実と対決し、その果てに幻想の神の国をみいだすことによって、自己確認を達成しようとした。その対決の激しさが、彼を無意識のうちにジャズの前衛たらしめたのだ。
  <中略>
彼もまた幻想の世界での、意識せざる革命家であった。
         (相倉久人著『ジャズとその時代』より)

私がコルトレーンに心酔するのは何故か?
それは、その時代背景、あるいは、前衛だの主流だの、あるいは、『神』や『宇宙』だのといったコルトレーンの言動にも、関係のないものなのかもしれません。
昨晩のように、周りの雑音を一切取り払って彼の演奏を聴くことによって、何処からともなく湧き上がってくる自分自身のエネルギー、その大きさときたら、始めて彼を聴いたあの日から何も変わりありません。
それが、私にとって唯一無二のジョン・コルトレーンなのです。

考えてみれば、私が始めて彼に出会ったのが『ジャズ喫茶』という特殊な環境であったことに感謝すべきかもしれませんね。
何故ならそれが、
ドライブの途中でラジオから流れてきた「SELFLESSNESS」の「MY FAVORITE THINGS」の後半部のソロだったら(まっ、ラジオから流れてくる事はなかったでしょうが)、あるいは、彼女と二人、楽しい食事をしている最中、BGMで流れ出した「ASCENSION」だったら(あはは、これは前例よりさらにあり得ませんが)、いや、もっと現実的に言えば、たまたま、友人にレコードを借りたら「AT THE VILLAGE VANGUARD AGAIN !」が紛れ込んでいて、家族とワイワイやりながらそれを聴き始めたら・・・・・私の『マイ儀式』は存在しなかったかもしれません。(笑)
それが『ジャズ喫茶』の大スピーカーで、周りの音などお構いなしの大音量で、彼に出会ってしまったが故に、その時に燃え上がる自分自身のエネルギーに気付いてしまった、という事なのかも・・・・

ともかく、年に一度、自身のエネルギーを感じ続ける夜は今年も終わりました。
翌朝残ったのは、自分でも分かるほどのアルコール臭と脱力感?でありましたとさ。お終い。(笑)

さて、今日の一枚は、とうぜんコルトレーンです。
コルトレーンも、そろそろネタ切れ間近なんではありますが、大丈夫、もう少しは保ちますよ。(笑)
いわゆる至高のカルテット最後の演奏は一度お蔵入りとなります。それは何故か?このアルバムを聴けば理由が分かる気はしますね。

この録音のちょっと前7月26,27日の二日間、カルテットはフランスのコートダジュールで行われた、アンティーブ・ジャズ・フェスティバルに出演しました。この時、すでに変化が生まれつつあったカルテットは、その後のパリで行われたコンサートの時です。エルビン・ジョーンズが、突然自分のドラムを蹴飛ばし、ステージを降りてしまいました。
「私がそのとき一番心配していたのは、ずっと一緒にやってきた仲間を失うことだった。とくにエルビンのことが一番気がかりだった。」(コルトレーン)

前にも書きましたが、コルトレーン自身は、このカルテットと新たな試みとは、まるでマイルスのレギュラー・コンボとギル・エバンスとの関係のように、両立できるはずだと思っていたようです。
だけどねぇ、コルトレーンがそんな器用なわけないんだから・・・・

そんななかで録音された今日のアルバムが、良かろうはずはありません。一週間前に録音された「SUN SHIP」どころではなく、エルビンの心はすでにここにあらずといった感じでしょうか。
それでも、至高のカルテット最後の演奏は、私にとっては貴重なものなのであります。
ファラオ・サンダース、ラシッド・アリを加え、再録した「MEDITATIONS」においての、コルトレーンの違った盛り上がりと、エルビンのあきらめの心が、なんとも私には寂しいのではありますけどね。

FIRST MEDITATIONS
1965年9月2日録音
JOHN COLTRANE(ts,ss) McCOY TYNER(p) JIMMY GARRISON(b) ELVIN JONES(ds)

1.LOVE
2.COMPASSION
3.JOY
4.CONSEQUENCES
5.SERENITY

追伸、
セロリだけをつまみに、サントリー・ホワイトをストレート・・・・・体調的にそろそろ無理がある気もします。来年からはせめてロック、いや、バーのママに忠告されているようにチェイサー付きに変えようかなぁ・・・(笑)



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4 コメント

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コルトレーン忌と付けてくださいよ (monaka)
2009-07-18 21:27:12
バブさん、ご無沙汰しています、いつも変わらずお元気ですね。
コルトレーンの命日廻ってきたのですね。
最近改めてコルトレーンを意識するアルバムなどもあり、そして時代的に考えると、没後の時代変遷を考えてトリビュート作をまとめてらいいのでは思います。
誰かしてくれませんかね。
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monakaさん (バブ)
2009-07-19 22:37:13
こちらこそ、コメントも残さず失礼しています。

なるほどトリビュートですか。
どうなんでしょう?
「コルトレーンを聴いて、燃え上がる自分自身のエネルギーに気付く」なんてぇのは、完全に時代錯誤といった感もありますからねぇ(笑)

ともかく、時代遅れだろうが錯誤だろうが、あたしゃ続けますよ「私のコルトレーン・トリビュート」。
返信する
今更なのですが・・・ (cocoa_tea)
2009-08-03 17:04:24
coltranologyvol1&2は、
CD化されているでしょうか。
針がダメになってしまい、
LPが聞けなくなってしまいました。

もしかしたら、違うタイトルで発売されてる?
事もありますか。
調べたけど意外とHitしないんですよ。
今更なんですけど、バブさん以外にお聞きする方がいなくて。。。

宜しくお願いします。
返信する
cocoa teaさん (バブ)
2009-08-04 17:45:35
今日の記事で触れてみましたが、はたして参考になるかどうか。
お聞きなる相手を間違えたかもしれませんね。(笑)
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