JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

『妾』って知ってる?

2014年03月03日 | d-f

「えー、おわたくしはお八五郎さまで、このたびはお妹のアマっちょが、餓鬼をひりだしたてまつりまして・・・・」

とつぜん何?って話でありますが、落語『妾馬』の一節でして、では何故に『妾馬』なのかと申しますと

「いらっしゃいませ。こちらはお袋にお入れしましょうか?」
Mさんのお店のアルバイト生W君が、お客様にこんなお事をお申しになりたてまつりまして(笑)
「おいおい、テメェは商品をお袋さんの何処に入れようってんだい?」

W君はいたって真面目な男なんでありますが、何処か抜けているというか、アホというか(悪い意味じゃなく)、まっそこが彼のチャームポイントだったりもします。

「えっ?変ですか?」
「変ですかって・・・・そもそも何にでも『お』を付けりゃエエっちゅうもんじゃなかろうが」

ところが、注意されればされるほど、緊張するのかついつい
「お袋・・・・」
そして、ハッとしながら赤面するんであります。

まぁねぇ、接客言葉というのは、本来の日本語のルールを無視しているようなところもありますし、敬語や謙遜語を使い慣れない彼らにその多少乱れた接客言葉を覚えろっちゅうんですから、こんな落語のような話も「さもあろう」ということですよ。

「テメェこの野郎、直さねぇとお袋さん連れてきてぶち込むぞぉ!」
「バブさん、それは言い過ぎ!」(とは、Sちゃん)

『妾馬』『妾』は、いわゆる『お妾さん』ですが
「そういやぁ最近『妾』だの『二号』だのいう言葉は聞かなくなったねぇ」
と私、
「えっ何ですかそれ?」
とは、W君と同じバイト生、K君。
(「あら?言葉すら知らん?」)「Sちゃんはわかるよねぇ?」
「・・・・・・?」
「じぇじぇじぇ(これもすでに死語になりつつありますが)、『妾』も『二号』も今や死語かいな?!」

そもそも『妾』なんてぇ字は「入れ墨をした女奴隷」てな意味ですから、「目をかける」てな意味の「めかけ」に当てはめた時点で、あまり良い言葉じゃござんせんが
「つまりだねぇ、本妻がありながらも、別邸に別な女性を生活させて、時々通うみたいな・・・・だから、本妻の次が二号、その次が三号ってね。」
「なぁんだ、不倫相手ね」
と、Sちゃんに軽くいなされたとき、
「いや、違うんだなぁ、単なる不倫相手というより・・・・・」
ふと感じたんです、私の中に男尊女卑のその昔から植え付けられた男のエゴみたいなものが脈々と流れていると
「だから、今で言うところの不倫相手となると、なんだかこういかにも悪い事してるって感じがあるじゃん、だけど『妾』となると、本妻もあるていど認めていたし、最後まで面倒を見るってな責任感もあったし、男にしてみると一つのステータス的意味合いもあったりして・・・」

いやいや、まさしくこれはエゴであります。どこがどう違おうとSちゃんが言うとおり『不倫』以外のなにものでもありませんもんね。
我が義理の叔父も、土木業で名を成した地元の名士でありましたが、本妻(叔母ね)に子が出来ずにいた頃、それこそ『妾』を一人持ちましてね。
けっきょくそちらに子供が出来て、「本妻と二号が逆転!」みたいな感じで、叔母もけして二号さんを恨んではおりませんでしたけど、晩年幸せだったかというと・・・・

あれ?今日は何の話でしたっけ?
そうそう『妾馬』でしたね。
殿様の妾となった妹が子をなし、「お鶴の方さま」「お部屋さま」と大出世。
殿様の前で無礼な振る舞いだった一文無しの兄、八五郎も「じつに面白い」とお殿様のお気に入りに、侍にまで出世するという噺であります。
ただし、ここまでの噺ですと『妾』は出ても『馬』が出てこない、実は続きの噺があるんでありますが、全編語れば一時間近くはかかろうかという大ネタで、私のログのように長い(笑)
希望があればここで語っても良いのですが・・・・・
「お呼びじゃない、こりゃまた失礼いたしました。」(このギャグも死語?だろ)

さて、今日の一枚ですが、昨日あらためて「やっぱドルフィーや!」と一人納得していたこれにしました。
私が、バスクラリネットに心を打ち抜かれた一枚であります。(笑)
コルトレーンもそうですが、「聴いている間は何人も邪魔しないでほしい」という演奏が幾つかあります。
「HI-FLY」でのフルートもその一つではあるのですが(飛び入りのチャック・イスラエルのベースがまたエエんですよねぇ)、「GOD BLESS THE CHILD」は、まさにその筆頭と言っても良いほどなのです。
前回紹介したのは2012年の5月ですから、早い再紹介になってしまいますが、私はこのアルバムを年に何度、いや何十回も聴くんですから、いいじゃござんせんか。

ともかく、私は「GOD BLESS THE CHILD」を聴くと、いまだに涙が出そうなほど感激するんです。昨日も良い気分で聴き終えました。

ERIC DOLPHY IN EUROPE, VOL.1 / ERIC DOLPHY
1961年9月8日録音
ERIC DOLPHY(fl,bc) BENT AXEN(p) CHUCK ISRAELS(b) ERIK MOSEHOLM(b) JORN ELNIFF(ds)

1.HI-FLY
2.GLAD TO BE UNHAPPY
3.GOD BLESS THE CHILD
4.OLEO

おまけ、『料理当番、本日の一品』ですが、

昨日、赤ワインをいただきまして、ならばと、冷凍保存しておいた餃子の皮を使って、ちょっと前の『料理当番、本日の一品』のダダカブリを作りワインを楽しんだのでありました。

こちらは、サーモンのユッケ風サラダです。

も一つおまけで
今日3月3日は、我が娘の誕生日です。現在東京で一生懸命働いておりますが、
「誕生日おめでとう、仕事大変だろうけど、若さとやる気で頑張ってください。」