ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

高速深夜バス

2012年06月20日 | 感じたこと
 関越自動車道で深夜高速バスが側面のガードレール壁に激突して47人もの死傷者を出した衝撃的な事故から数ヶ月が経ったが、事故の原因として考えられる一因が従来は一人の運転手で670キロメートルもの長い距離を運転してもいいとしていた指針であり、多くの運転手を対象とした事故後のアンケートでも明らかな様に、有効回答を寄せた約2800人による平均の安全運転ができるとした距離が夜間で345キロで、昼間で420キロとすることを参考に、国土交通省は漸く乗客を運ぶ距離として400キロを超える夜行ツアーバスには交代の運転手を乗務させることを原則義務づける新基準案をまとめた様で、7月中旬までに実施する予定だと公表した。

 ともかく思い出してみても金沢から東京ディズニーランド行きの低額のツアーバスだつたのだけれど、お年寄りから青年たちまで夢見ごこちに多くはテーマパークで楽しむことを目的としていた普通の人々が一瞬にして事故に巻き込まれて、多数の死傷者となり、無念の帰宅を余儀なくされた方々のことを思うと、ご遺族や関係者には一生忘れられない悲惨な事故であった。

 事故を起こした運転手は自らも大型バスを何台も保有しながら、チャーターされればバスをレンタルさせて運転もするというパート的事業者でもあり、この日も急遽金沢からの東京行き便の深夜の高速道路を中心とした運転業務を一人で任されていたようで、通常は通らない予定の関越自動車道を走っていた際に居眠り運転となって取り返しのつかない大事故となったのだという。

 行きは別の運転手が東京から金沢までを運転したので、過失致死罪の容疑で逮捕された運転手は前夜は十分休息できたはずなのだが、自分の事業の連絡業務やその他で十分には眠っていなかったらしく、つい居眠りをしてしまったと供述していると報道されていた。

 東京から金沢までの距離はほぼ500キロ程度なのだが、長距離であるか否かだけでなく、ともかく十分な休養と体調の良し悪しもチェックされていないと少なくとも多くの乗客を輸送するバスツアーの貸切運転手は務まるとは思えないのだが、日頃の日常的業務の延長で多数の命を預かると言っても過言ではない、安全第一の運転業務に支障をきたすこともあるという危険なリスクが潜んでいることは明らかなのである。

 今回、国土交通省がまとめた新基準が義務づけられることとなったとしても、運転手の健康管理や心情も含めたメンタルチェックも含む運転業務前点検がバス車体だけでなく、運転手自身に対しても厳しく行わないと、時間的制約や交代運転手を配置すれば安全を保障できるというものではあるまい。

 また休憩を含む乗務時間が10時間を超える場合も交代運転手を乗務させる義務が示されていた李もするが、デジタル運転記録計による運行管理やテレビ電話による点呼、運転直前の休憩期間が11時間以上、連続運転時間が2時間未満、運転手の年齢が70歳以下などの条件を満たせば、500キロまでのワンマン運転が認められるというルールも併記されているという。

 いずれにしても、格安深夜バスの利用者は若者や観光客を中心に増加傾向がはなはだしく、JR系や大手私鉄関連の高速バスと比べると格段と低額なためもあって、少しぐらい乗り心地が悪いというか眠り難いというリスクがあったとしても、例えば東京、大阪間の名神、東名を中心に走る深夜バスの場合では大手の9千円前後の価格と比べると一番安価なのものは4千円を下回る安値であり、営業利益を最低限出すためのコストカットや安全面でのチェックが疎かになるケースもあると思われるのである。

 私も最近では昨年の東日本大震災の支援ボランティアで宮城県に出かけた際に、京都、東京間と東京、仙台間のそれぞれの深夜バスを利用したので、上記の関越での事故は人事ではないと強烈に感じた一人として、国土交通省の長距離バスの運転手二人体制の新基準だけでなく、過当競争化しているツアーバス業界の中小ツアー企画会社とバスを提供するバス保有会社の両社に対する「安全第一」のための指針を指導し、格安競争によるコスト削減による安全軽視を厳しくチェックしていただかないと、規制緩和という形だけの過当競争による新たな犠牲や事故がまた起こる危険性を感じてならないのである。
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