ガリバー通信

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ノーベル賞の受賞。

2010年10月09日 | 季節の話題
 先日、日本人としては一昨年の化学賞三人についで、また日本人がノーベル化学賞を受賞し、日本中が大騒ぎで号外がでるやらテレビメディアを中心に二日間ほど、この話題で盛り上がっていた。

 ついで、昨日ノーベル賞委員会は、今年の「平和賞」に、長年にわたり、非暴力で中国の人権問題と民主化運動で闘い続けて、現在は「国家政権転覆扇動罪」で懲役十一年、政治権利剥奪2年の刑が確定し、遼寧省の刑務所に服役中の中国人作家「劉暁波氏」に授与すると発表し、大きな話題となると共に、中国政府は強く反発しているという。

 今回の受賞に限らず、ノーベル賞の受賞については、どういう選考過程で誰が決定権を持つのかも含め、いろいろと取り沙汰されることが多いのだが、特に「平和賞」については、時の政府との関係や世界的な視野での判断からすると、どうも適任者と誰もが認めることのできる受賞者もいるが、なかなかそうとは限らない場合が多くあった。

 昨年のアメリカ大統領「オバマ氏」の場合もそうで、中近東やイスラム社会、またイスラエル問題など多くの世界の紛争地域や国、反米勢力などにとってはとんでもない受賞者であるとの見方があって、到底納得できないと抗議すらあったし、日本の沖縄返還交渉を成し遂げた功績で受賞者となった元首相の故「佐藤栄作氏」の場合も表立ってはマスコミは騒がなかったが、疑問が多く残る、日本人としても手放しで喜べない受賞であり、背景に政治的利害も見え隠れしていた。

 その様に今回の「劉暁波氏」の受賞決定に至る過程では、中国政府がノーベル賞委員会に対して圧力をかけたとの報道もあったが、受賞が公表されるや中国国内のメディアでは、この報道に対して国家権力の介入と思われる様な「放送映像」が途中で遮断されるなどの妨害がなされ、中国外務省は「劉氏は犯罪者で受賞は平和賞を冒涜している」とのコメントも発表し大騒ぎとになっている。

 劉暁波氏は、1955年中国吉林賞生まれの55歳で、88年に北京師範大学大学大学院で博士号を取得後、アメリカのコロンビア大学で客員研究員として滞在中に、中国民主化運動を知り帰国し、89年6月の天安門事件で民主化運動に参加し、96年には言論の自由を求める「双十宣言」を発表し、中国政府に身柄を拘束されるなど何度も投獄されているらしいが、08年12月には人権の保障を求める「08憲章」をインターネットで発表する直前に再び身柄を拘束されて、現在は刑務所の中にいる。

 中国政府の言う「犯罪者」とは、国家権力に背く者、すなわち自分たちに都合の悪い思想や見解、批判的な言論や行動をする者を排除するための「掟」に違反したとするもので、国際社会から観ると、明らかに一国独裁の中国政府の見解の方が可笑しいのではあるが、13億から15億人もの人民を国家的権力で黙らせるためには必要不可欠の「犯罪者扱い」なのであろう。

 一方のノーベル賞委員会は、受賞理由として「中国の憲法35条は、言論、出版、集会、結社、抗議行動の自由を保障しているのに、実際はその権利が著しく限定されている」と指摘し、その中国で20年以上、民主化運動や人権活動を展開し続けている劉氏高く評価し、受賞者に決定したとしている。

 また、劉暁波氏が現在懲役刑で投獄されていることについては、「中国の憲法、基本的人権の双方について違反している」と劉氏本人が主張しつづけていると指摘し、暗に中国政府を非難している。

 今回の受賞についての中国政府の事前の圧力とは、「反体制派指導者へのノーベル賞の授与は、反発を招く」とのノーベル賞委員会への警告があったとしていているが、「中国がより民主的な国になるために、他国や他人が言えないことを我々は言わなければならない」とコメントし、人権と平和を尊重する委員会の立場を強調したとされている。

 ノーベル平和賞を受賞する「劉暁波氏」には、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2500万円)が授与されるのだが、12月10日に首都オスロで行われる授賞式には本人は参加できないだろうし、奥さんの授賞式参加も危ぶまれる状況だが、果たして中国政府は国際世論やメディアの批判を如何にかわして、中国人民にも真実や実態を知らせずに強硬な姿勢を持続しつづけるのであろうか。

 先の沖縄県、尖閣諸島近海での中国漁船の海上保安庁の巡視船への衝突事故に関しての報復的事件でもある中国国内での日本人フジタ社員の拘束はやっと解かれて無事帰国されるようだが、中国当局の今後の「ノーベル平和賞」に関する対応と、「劉暁波氏」の拘束解除とと自由への決断を期待したいが、大変困難なことであろう。
コメント (1)
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