ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

産学公協同!

2006年11月22日 | 地域の話題
 地元に出来た、同志社大学京田辺キャンパス内に建設された「大学連携型起業家育成施設」通称「D-egg」を見学視察した。

 この施設は、中小企業と地域振興をサポートする、「独立法人中小企業基盤整備機構」、略称、中小機構が京都府と地元行政の京田辺市の要請を受けて開設する、大学連携型起業家育成施設、いわゆるインキュベーション施設である。

 インキュベーションとは、卵から孵化することを言うので、大学が有する技術シーズや知見を活用して、起業家や中小企業の新規事業展開を創出し、地域産業の高度化及び拡大の促進に寄与する目的で建設されたので、中小機構が管理、運営の主体だが、大学と府、市も財政的支援をして、総合的な支援を行うというものである。

 中小機構の誘致と勧誘のパンフには、本格的な産学協同、連携が可能で、京都、大阪、奈良への交通アクセスの良さ、学研都市エリアの高いポテンシャル、府、市、機構、大学の総合的起業支援、充実した施設と交流活動拠点だとのアッピールがされており、まさに未来型新産業企業者には、ありがたい「いけいけドンドンの施設である。

 大学構内の建物は「業成館」と称され、業を成す目的が明記されていて、入居者には三年間の家賃の約半分を府、市から援助される特典のほか、インキュベーションマネージャーと呼ばれるスタッフが、起業家の事業プランから特許、戦略、交流などと資金調達、販路開拓なども支援するという体制になっている。

 京田辺市も入居支援としての賃料補助とインキュベーションマネージャー(IM)の派遣事業費として、約1千万円を負担することになっているが、果たして「費用対効果」が問われる行政施策として妥当かどうかは議論の余地があると思う。

 私達の世代は、特に学生時代に「大学の自治」と「学問の主体性」を大切にすべきとの観点から、「産学協同」という響きは、悪であるという価値観の時代を過ごしてきたので、未だに疑問を感じる視点が抜けないのである。

 ある国際理解を進めるためのセミナーの席上で、男性の中年の高校教師の方がいみじくも自問自答されていたことがある。

 自分達にとって産学協同は悪だったのに、今や「産学協同」は当たり前であり、積極的に展開すべきだとの社会的風潮の中で、どうもすつきりと割り切れないでいるとおっしゃっていたのである。

 いくら地域振興策としても、利益追求のための一個人や一企業の新しい儲け口開発、想像のために、大学が協力し、府や市などの地方自治体が全面的に協力、支援するという構図が、果たして税金の使い道として妥当なのかどうかが問われるのではないだろうか。

 大学、特に私学経営における存在価値と多種多様な地元企業とのノウハウの交換や人的交流は、時代的には不可欠な要素となっているだろうが、行政のサポートについての支出については、まだまだ議論の余地があると思える。

 産学公協同には、甚だ問題が残っていると言及しておきたい。
コメント
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