まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

オヤジの戯言(たわごと) 2013 8 あの頃

2020-08-06 07:48:27 | Weblog



ことさら道徳心や公徳心をあげつらうものではない。
ただ、公徳心を喚起する社会なり国家の運動は、一方でデフレやインフレ、まして景気だと何でもアリの状況で、どこか矛盾することが現れているようだ。

それはいっとき騒がれた民営化にともなう規制の弛みが、いたずらな競争意欲をかきたて、かつ国営時代の独占的支配を、単に法的土俵を民と同様な位置におくだけでその施設や資材、土地の占有などに変化はなかったようにみえる。くわえ有効活用と利潤の追求が烈しくなった。

たしかに親方日の丸からの離脱だが、ことは人間の問題だ。参入障害をのこした独占状態は変わらず、企業は利益追求だとあらゆる手立てを使って多角的に進出している。電電公社がNTT、国鉄はJR、タバコはJT、道路公団はNEXCOと分割され、利潤追求に走っている。アベノミクスとやらで新幹線は延長され、国土強靭化を謳い道路は親延長され彼らの基礎的基盤は強化される。しかも管理経常経費は利用者が有無にかかわらず増大し、いずれ再国有化の憂き目にあわないとも限らない。

しかも分割されたとしても電力九分割(国内九電力会社)同様、原価、経常経費に利益を加えて料金を設定しているように、まず余計なことが無い限りつぶれることはない。いくら民営でも経済・生活の機関となる企業は政府が手を差し伸べざるを得ない、それが日本型の資本主義だからだ。だから勝手にアイディアをつくり占用施設で好き放題、政治家も税金食いに勤しみ、その担保として便宜供与という手心と選挙区へのお手盛りに懸命となる。その族がまた冬眠から覚めうごめいているような時世であろう。

繁華街でJTのメーカー事業部なのがある銘柄のタバコのキャのペーンにミニスカート若い女性を使って販促活動をしている。もちろんピースやハイライト、ショートホープにはなじまないのか洋モクが多い。なかにはF1レースのスポンサーにもなっているが、確かなミニスカートとレースはイメージがいいのだろう。いっそのこと和服の中年女性を使ってピースのキャンペーンは無いものかとも考えるが、箱書きに「タバコは健康上,害があります」と書かれているものを販促する企業もおかしなものだ。

JTだが通勤電車でも近ごろでは女性の化粧、菓子パンの朝食、飲料と観光バスのようななってきた。そのうち便利になった横浜帰りにシュウマイの薫が充満するだろうが、早朝の埼京線下り池袋から大宮までの間で肌つやがわるく眉毛のない女性が、絶世の美女に変身する様子には驚きだが、菓子パンをほおばり紙パックの牛乳を呑みながら揺れる社内の化粧の割には絵筆もずれていない。他の中年女性の一団もコンビニおにぎりを頬張っていた。

これは愛きょうだが、あの吉永小百合さんのポスターで大人の休日倶楽部という企画がJR東日本である。四日間新幹線を含む路線の乗り放題1万4千円というプランもあるが、そこをめがけて女性が殺到する。だが資格は60以上だ。試しに乗ってみたが大宮から嫌な雰囲気がした。

乗車して2時間半で新青森だが、その間車内は男二人。あちこちで嬌声、煎餅の噛む音、植木、ペット、孫、嫁の愚痴、ファッション、ときおり顔を寄せたり小声になるのは同行者の陰口か留守番のオヤジへの愚痴だ。これが到着まで延々と続く。
オッチョコチョイの男は小百合さんのポスターにつられて乗ってしまうが、車内の女性は小百合さんより年下だが、見事な元気さというに云われぬ品性が備わっている。

新青森から在来線で弘前まで行くが、まだぞろぞろ付いてくる。在来線は静かな青森県人。そこでも喧騒が始まり、寡黙な県人と大口を開けて笑う都会の一団が弘前まで続く。
断っておくが、善悪のことをいうのではない。あまりにも目立つ可愛い女傑に驚いたまでだ。それ以来、おばさんの休日倶楽部の安さが判ったのでその時期をずらしている。

駅地下、駅デパ、おばさん列車と新企画で楽しましてくれるJRだが、にぎわいと喧騒は人のモノを運ぶ必須の交通機関としての複雑に気分にさせてくれる。たとえオヤジの戯言ではあるが、便利さとともに金を落とす場所をつくることに汲々としている経営者に妙な品性を垣間見るようだ。消費者が求めているものを与える、異論はないが尻を叩いて絞り出した名案が、一方では安易さを求める大衆の遊惰を誘い、人によっては自堕落にもなりうることを逆賭しなくてはならないだろう。

野にして粗にして、貪ならず、とは石田国鉄総裁だ。満鉄総裁の後藤新平も国家や社会への事業接点を乗数効果での利潤追求だけでなく、超数的効果として「人物によって資材と人を活用する」社会に役立つ経営をおこなっている。つまり企業活動を通じて善導したのだ。

新都心の通勤ホームに食べものと飲料の自動販売機、機会と場所を有効活用のつもりだろうが、ついでに化粧車両と食堂車を通勤電車につけたら便利だろう。
女性は悦ぶ、加えて、男はもっと歓ぶ。

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