A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

小曽根真トリオ@青山ブルーノート東京 2012.9.17 (tue)

2012年09月19日 00時35分11秒 | こんな音楽も聴くんです


小曽根真トリオ featuring クリスチャン・マクブライド&ジェフ“テイン”ワッツ

私がジャズに入ったきっかけはオーネット・コールマンとアルバート・アイラーと阿部薫なので何といってもサックスが好きだが、自分の楽器を持ち運べないという宿命に縛られてたピアニストにはまた違った魅力がある。基本的にその会場に備えてある楽器を演奏するしか無い。調律師がいても完全に自分好みにチューニングすることは難しい。上原ひろみちゃんが言っていたが、ピアノにはそれぞれ個性があって、幸せなピアノ、愉快なピアノ、寂しいピアノ、病んだピアノなど弾いてみると判るそうだ。そんな楽器に優しく、時には懸命に語りかけて短いサウンドチェックの間に何とか自分の音を出せるように導いてやる。それがたいへんだがピアノ奏者の喜びだと言う。

好きなピアニストはサン・ラ、セシル・テイラー、バートン・グリーン、ミシャ・メンゲルベルク、山下洋輔、佐藤允彦、比較的若手だと藤井郷子、スガダイローなどのフリー・ジャズ系と突然変異ハイパー系(?)の上原ひろみちゃんだが、よりオーソドックスな小曽根真氏の演奏も機会があればよく聴く。22歳で全米デビューした小曽根氏はバークレー音楽院出身。ひろみちゃんの先輩である。フリーでもロックでもプログレでもない彼の魅力は論理的/知性的な演奏とジャズを幅広い人たち伝えようというエンターテイナー精神である。

デビュー当時にゲイリー・バートンと一緒に全米ツアーをする幸運に恵まれ世界的天才ピアニストとして注目を浴びたが、名声に溺れて慢心することなく自己鍛錬に務め常に音楽の深淵に果敢に挑戦、40歳を過ぎてからクラシックを学ぶために渡米するなど常に自己の内面を磨き続けてきた。ゲイリー・バートンとの共演盤がグラミー賞にノミネートされたり、厳格なクラシック演奏会にソリストとして招かれたり、日本の若手ミュージシャンを集めてビッグ・バンドを結成したり、正統派ジャズメンながら八面六臂の活躍ぶりは51歳にして日本のジャズ界を背負って立つ存在である。

昨年、東日本大震災の復興を支援するために日米実力派ミュージシャンに呼びかけてチャリティ・アルバムをリリース。そこで結成したのがクリスチャン・マクブライド(b)、ジェフ・”テイン”・ワッツ(ds)とのトリオである。いずれも百戦錬磨の実力派とのトリオはテクニック抜群、エンターテインメント性も満点。その素晴らしさはこのトリオでの最新アルバム「マイ・ウィッチズ・ブルー」に克明に刻まれている。この新生トリオの来日ツアーをライヴハウスで観られるのだから最高だ。

休日で早めの時間のスタートだったが、ブルーノートは満席。ラジオ番組「OZ MEETS JAZZ」でパーソナリティを務めた小曽根氏の人気の高さはジャズのコア・ファンに留まらない。ステージに登場した小曽根氏のMCはウィットに富んだ口調のアメリカン・スタイル。客席を話で十分温める。彼の紹介でステージに上がるマクブライドとワッツは冗談を言い合って楽しそうだ。リラックスしたムードが演奏が始まると緊張感とスリルに満ちた雰囲気に切り替わる。3人とも楽々と超絶演奏を展開する。だいたい小曽根氏のオリジナル曲だが、クラシック風のフレーズが徐々にスイングしていき白熱のアドリブに突入するプレイには背筋が正される思いがする。特にワッツのドラムが凄まじい。ニコニコしながら驚異的なスティックさばきを見せる姿はさすがにマルサリス兄弟やマイケル・ブレッカーに起用されただけある。フリー・ジャズの破壊的演奏とは異なり、正統派ジャズ理論に忠実な演奏だが、下手な”過激即興”よりもよっぽどエキサイティングなステージを堪能した。生きているのが楽しくてしょうがない少年のようにキラキラした3人の瞳が印象的だった。

▼新生トリオの動画はないので、2006年代のジェイムス・ジナス(b)、クラレンス・ペン(ds)とのトリオ演奏を。



小曽根さん
OZONEのダンス
踊ってよ

10月には小曽根氏が主宰するビッグ・バンド「No Name Horses」のツアーも予定されている。
No Name Horses “Road” ツアー
2012年10月4日(木)19:00@東京/文京シビックホール
2012年10月6日(土)16:00@三重県/三重県総合文化センター―
2012年10月7日(日)16:00@兵庫/神戸文化ホール
2012年10月8日(月)16:00@山形/酒田市民会館「希望ホール」
2012年10月9日(火)19:00@山形/川西町フレンドリープラザ
2012年10月12日(金)19:00@静岡/富士市文化会館ロゼシアター
2012年10月13日(土)18:30@神奈川/グリーンホール相模大野 大ホール

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネコ動画85:曲の合間にシャウト!ロック魂溢れるにゃんこ

2012年09月18日 00時23分12秒 | ネコ動画


たまに音楽を理解してると思える動物がいますが、この猫はそれどころのレベルではありません。
ロック魂を感じる映像をご覧ください。



曲の合間合間に「にゃーん」のシャウト。
リズム感といい、抑揚といい、ロックしてると言わざるを得ませんよね。
(らばQ)

ネコだって
ロケンローで
ノリノリだ

曲はアメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、コレクティヴ・ソウルの1994年のデビュー・ヒット「シャイン」。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4-D mode1@高円寺HIGH 2012.9.15 (sat)

2012年09月17日 00時31分44秒 | 素晴らしき変態音楽


<~4-D mode1 presents 30th Anniversary Konnektion~>
“Der Karneval der Nacht(夜のカーニバル)vol.3″
New Album Release Party!!

1980年代初頭に関西から登場したテクノポップ・ユニット4-D。当時はEP-4、Be-2、EVA-1、D-Dayなどローマ字・数字の名前のバンドがいくつかおり紛らわしかったが、4-Dはソノシートをレコード店やライヴハウス、ブティックなどで無料配布するという戦略で知られていた。全部で8枚あるらしいが私は1枚だけフリーペーパーの付録で入手したのみである。当時はインターネットやSNSがないので、配布状況の情報がなく、どこで手に入るのかわからなかった。音はEP-4に似たエレクトロ・ファンクだった。何となく孤立した存在で他のバンドとの交流は余りなく関西を中心に独自の活動をしていた記憶がある。1985年解散直前にテレグラフから透明セルロイドの特殊ジャケットのLPをリリースした。

このブログで「Vanity Records特集」をしたとき4-Dの情報にもアクセスした。2004年に20年ぶりに小西健司氏、横川理彦氏、成田忍氏の3人のオリジナル・メンバーで再結成して新作もリリースしている。 横川氏は2006年7月に灰野さんとの共演を観たがヴァイオリン中心のドローンっぽい演奏だったと記録にある。横川氏と小西氏はP-Modelに参加したので、テクポップ・ファンに名を知られているようだ。再結成に合わせて「Die Rekonstruktion」という80年代全音源のコンピレーションCDがリリースされている。再結成および新作リリースは一部のメディア/ファンの間では話題になったようでネット上にいくつかニュースやインタビューが上がっている。再結成時の小西氏のインタビューが判りやすい。



友人から今回の4-Dのデビュー30周年記念ライヴの誘いがあり、初めて彼らのステージを観に行った。私の中ではEP-4やタコに比べてミステリアスでマニアックなバンドというイメージがあったので、どんな客層なのか興味があった。7割くらいの入り。同世代の懐かし系ファンと若いファンと半々。女性の姿が多いのが意外だった。

左から横川氏、小西氏、成田氏。ゲスト・ドラマーはイトケン氏。ステージ上のスクリーンにはニューアルバム「in -胤-」のロゴが映写されている。開演時間になると幾何学模様の映像とエレクトロ音響が流れ、4-Dワールドの始まりだ。メンバーは皆50代半ばだが現役バリバリの存在感がある。デジタル・ビートとシンセ音が鳴り響く。特にヒット曲がある訳ではないので、コンピCDではどの曲も同じように聴こえたが、ライヴで観るとかなりヴァラエティ豊かなサウンドでロックのグルーヴがあり身体が反応する。特に横川氏はヴァイオリン、シンセ、ヴォーカルと大活躍。新作からのナンバーではゲスト参加したドイツ系アメリカ人女性シンガー、サブリナ嬢が2曲参加。モヒカン頭に革ジャンのパンクなファッションでエンヤのような澄んだ歌声を聴かせるのが面白かった。

演奏が進むにつれ観客もヒートアップし、両手を振り上げダンス大会、黄色い歓声が上がる。小西氏は年の1/3はドイツに住んでおり、新作にはドイツでヴォーカルをレコーディングした曲もあるらしい。終盤には横川氏がノリまくりペットボトルの水を会場に巻き散らす。観客ばかりかPAや物販商品にも水がかかり被害を与え、アンコールのMCで横川氏は「スミマセンでした」と謝り、反省のために自ら頭から水を被っていた。2度のアンコールを含め100分に亘る演奏。彼らは10月に関西ツアーをし、年末の高円寺HIGHのカウントダウン・イベントに出演が決定した。



[9/17追記:4-D official siteより]
<Set List>
登場 胤~HeyHeyYo
1、konversation analyse
2、ヒメノカリス
--MC--
3、Big house
4、何かインプロ92bpmスタート
5、Requiem (+サブリナ)
-MC-- 
6、Totentanz (+サブリナ)
7、Dysfunktion
8、ADP(成田バージョン)
--MC--
9、Kudan
10、-17℃
11、shaku
12、Angerstrasse
***************
Encore
13、Very

Encore2
14、ADP(小西バージョン)

会場には80年代の同期のバンド仲間の姿も多く見られ、ちょっとした80'sニューウェイヴ同窓会的なニュアンスもあった。

デビュー当時からジャケット・アートワークに拘りのあった彼らは再結成後リリースのCDはさらに輪をかけて凝りまくっている。六角型だったり、穴あき紙ジャケだったり、新作「in -胤-」も「KATANAジャケット仕様」と称した歪み菱形にカラー歌詞カード3枚封入の豪華版。写真では判らないが上下で厚さが違うという凝り様。音の方も最新テクノロジーを活かした進化型エレポップが素晴らしい。


若手バンドの
リスペクト
4-Dはテクノの王者

mode1が本体だが昔のようにmode0、mode2など別ユニットでの活動も期待したい。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台湾美人女優リン・チーリンのCMが中国で「エロすぎる」として放送禁止に 

2012年09月16日 01時58分44秒 | ラジオやテレビのこと


台湾の女優リン・チーリン(林志玲)。名前を知らない人でも映画『レッドクリフ』の小喬役と言えば顔を思い浮かべることができるのではないだろうか。そのほか日本でもドラマやチョコレートのCMに出演と、まさに台湾が世界に誇る大女優である。

そのリン・チーリンが中国でランジェリーブランドのCMに出演することとなった。37才とは思えない美しい体を披露し話題になったのだが、なんとそのCMが中国のテレビ局で「エロすぎる」という理由で放送禁止になっていたのだ。

放送禁止になってしまったのは中国の大人女子向けランジェリー「都市麗人」のCMだ。CMでは着ている洋服をバッと激しくはぎとり、下着が露わになるという演出がされている。その表情もなかなか扇情的。確かに脱ぎかけの衣服から下着や胸が露出しているというのは、ある意味全裸よりもセクシーだ。

このCMが先行放送された北京市地下鉄では「性犯罪を助長する」とクレームが寄せられたそうだ。テレビ放送されると支持派も現れたものの、反対派の意見は根強い。国営テレビ局である中国中央電視台の司会者も「女性の肌の露出も一種のセクハラだ」と発言している。CMは同局での放送は差し止めとなった。

台湾のファンからは「どうして放送禁止に?」「中国大陸のテレビ局の幹部は頭が固すぎる」「チーリンはプロの表現者としてやっているだけだ」と戸惑いの声が上がっている。

なお、問題のCMは禁止後も「都市麗人」の公式サイトに掲載中だ。Youtubeや中国の複数の動画サイトでも確認することができる。世に出すこと自体が禁止になったわけではなさそうだ。やはり「国営テレビ局の体面」が大きな壁となってしまったのだろうか。
(Rocket News 24)



いけません
美人に似合う
ランジェリー

中国ではこのバンドも放送禁止だろな。



このバンドもヤヴァい。



このバンドは監獄行き間違いなし。それとも病院送りか?


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

英國音楽の伝統を継承して40年~マイク・オールドフィールドの幻惑の世界

2012年09月14日 00時21分52秒 | 素晴らしき変態音楽


近年数々のロックの名盤が未発表曲やレア映像を加えてスペシャル・エディションとして再発されているが、あまり大きな話題にならないがブリティッシュ・ロックを代表するギタリスト/作曲家マイク・オールドフィールドの諸作のデラックス盤のリリースが進行中である。2009年にデビュー・アルバム「チューブラー・ベルズ」(1973)、2010年に2nd「ハージェスト・リッジ」(1974)と3rd「オマドーン」(1975)、2011年に4th「呪文」(1978)、そして今年5th「プラチナム」(1979)と6th「Q.E.2」(1980)、さらにマイク自身の選曲によるベスト盤「トゥー・サイド:ベリー・ベスト・オブ・マイク・オールドフィールド」もリリースされ、彼の広大な音楽宇宙が眺望できるようになった。先日ロンドン・オリンピックの開会式で来年還暦のマイクが登場し、ミュージカル風に編曲された「チューブラー・ベルズ」を10分に亘り演奏し、健在ぶりを示すとともに英國を代表する音楽家としての人気と評価の高さを証明したのも記憶に新しい。

中学1年生の頃洋楽に目覚めて、映画音楽、特に西部劇のシングル盤を買い漁るうちに「エクソシストのテーマ」すなわち「チューブラー・ベルズ」に出会った。勿論プログレどころかロックというジャンルも知らなかったが、レコード店で流れていた美麗かつ不穏なメロディが気に入ったのである。そのシングル盤の解説でこの曲がマイク・オールドフィールドというロック・ミュージシャンがひとりですべての楽器を演奏して作り上げた作品であること、彼が姉のサリーとサリアンジーというデュオを組んでいたこと、その二つの事実が脳裏に焼きついた。しかし捻くれた中坊はそのままプログレ道へは進まず、ジョン・デンヴァーやビーチ・ボーイズといった"アメリカ青空系音楽"に憧れ、続いてキッス、エアロスミス等ハードロックに聴き進んだ。一時期冨田勲にはまりシンセ音楽に興味を持ったが、雑誌で見たジョニー・ウィンターに一目惚れしブルース・ロックへ。中3の時にパンクの洗礼を受け卒業アルバムに"パンクロックのみ"と書くほどのめり込んだ。しかし同時期にNHK-FM「サウンド・ストリート」で渋谷陽一さんと今泉ひろしさんによるプログレ特集を聴きジェネシスが好きになった。

という感じで当時はロックが今ほど細分化されておらず、オリヴィア・ニュートン・ジョンとディープ・パープルとドゥービー・ブラザーズとセックス・ピストルズが同じ雑誌/ラジオ番組で取り上げられる程"ロック"の概念が幅広かったのである。その頃ブリティッシュ・トラッドの名門トランスアトランティック・レコードの再発シリーズで名前だけで妄想が膨らんでいたサリアンジーの「チルドレン・オブ・ザ・サン」が発売され狂喜乱舞、サリー・オールドフィールドに心酔する。彼女のソロ・デビュー作「ウォーター・ベアラー」のミニマルで神秘的な世界にどっぷり浸かった。

マイク・オールドフィールドと再会したのは大学で「ユーロロック研究会」というサークルに加入した時である。既に「フールズ・メイト」や「マーキー・ムーン」でマイナーなプログレには親しんでいたがメジャー系に弱かった私に先輩が渋谷公会堂でのマイク・オールドフィールド初来日公演の隠し録りカセットを聴かせてくれたのである。「チューブラー・ベルズ」をはじめとするシフォ二ックな組曲中心の壮大な演奏に痺れた。「プラチナム」のアメリカ盤は2枚組で「チューブラー・ベルズ」全曲のライヴLPが付いておりそれも聴き狂った。しかし80年代のマイクはニューウェイヴ・ブームに便乗してディスコ・ビートを取り入れたりしてポップ化したので余り聴くことはなかった。

マイクが自分の中で過去の人になりつつあった1990年頃川崎クラブチッタに誰かのコンサートを観に行ったら、開演前のSEで凄くミニマルで前衛的な曲が延々流れており気になって会場のスタッフに尋ねたらマイク・オールドフィールドの「アマロック」だった。このアルバムは強烈だった。全1曲60分という掟破りのCD。今のようにiTunesなどなく聴き始めたら途中で止めるわけに行かないのだ。その後自らヴォーカルを取ったポップな作品や「チューブラー・ベルズ」の続編をリリースするが「アマロック」こそデビュー3部作に次ぐマイクの最高傑作だと思う。

マイクの過去の作品や21世紀になって思い出したようにリリースされる新譜を愛聴していたところへ今回のデラックス・エディション攻勢である。各アルバム・リリース時のライヴDVD等がカップリングされた夢のような企画である。彼の音楽の中に色濃く流れる英國伝統のトラッドの響きに全くブレがないことに感動する。

ひとりでコツコツとスタジオ作業を繰り返した"元祖インドア派"の根クラ青年が英國を代表する大音楽家へ。ヲタクの星のような存在がマイク・オールドフィールドなのである。









幻惑の
ギター・プレイは
夢の中

多分1985年以降日本の地を踏んでいない筈。来年あたり来日してくれないだろうか。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポール・ニルセン・ラヴ & ケン・ヴァンダーマーク・セッション@新宿ピットイン 2012.9.11 (tue)

2012年09月13日 00時55分11秒 | 素晴らしき変態音楽


ポール・ニルセン・ラヴ(Ds)ケン・ヴァンダーマーク(Ts,Bs,Cl)
ゲスト:坂田 明(As,Cl)八木美知依(エレクトリック21絃箏、17絃ベース箏)本田珠也(Ds)

ポール・ニルセン・ラヴからのメッセージ:
今年もまた日本に行ってピットインで演奏するのを心から楽しみにしています。今回は10年以上も共演を続けているケン・ヴァンダーマークが同行します。このデュオは私の多岐に渡る音楽活動の中でもとりわけ重要なものです。ケンと私はスタイルやジャンルなどに足を引っ張られることなく、自由に互いを挑発しながら、常に極限的な演奏を心掛けています。今回のピットイン公演には親愛なるゲストたちを招きました。坂田明、佐藤允彦、八木美知依、本田珠也、そしてジム・オルークは何れもケンと私が敬愛するアーティストであり、私達にとって家族の様な存在です。きっとエキサイティングになるであろうピットインでの2日間、どうぞご期待下さい。
(新宿ピットインHPより)

----------------------------------------------------------------------

シカゴのリード奏者ケン・ヴァンダーマークとノルウェーのドラマー、ポール・ニルセン・ラヴデュオ来日ツアー。2000年代半ばに若手北欧フリー・ジャズ・グループ、アトミックのメンバーとして来日して以来毎年何度も来日し、実は日本に住んでいるんじゃないか、なんて冗談も囁かれるポールだが、ケンとは10年来の付き合いでデュオ・アルバムも6作リリースしている。ペーター・ブロッツマンのグループで一緒に来たことはあるが、デュオとしては初来日。

2000年以降北欧ジャズが大きな注目を集めている。ブッゲ・ヴェッセルトフトやニルス・ペッター・モルヴェルを中心とするフューチャー・ジャズ(懐かしい響き)がクラブ・シーンで注目され若いファンを開拓し、そのまま以前から脈々と流れていた知られざる北欧フリー・ジャズの鉱脈を掘り起こすこととなった。1970年代のヨーロピアン・フリー・インプロヴィゼーションの伝統を引き継ぐ新世代のアーティストが次々登場し、ジャズに限らず世界中の様々なミュージシャンとも盛んに交流し、今や北欧カルチャーの最前線として注目されている。北欧各国の大使館が自国の文化紹介の為にこうした前衛アーティストの招聘に協賛しているほどだ。ヲタク文化の輸出にしか興味のない我が国とはエライ違いだ。

それはさておき、ケン&ポール・デュオの来日ツアーは9/5千葉から始まり九州~関西と周りラスト2 Daysが"Pit Inn Sessions 2012"として日本のミュージシャンとのセッション。初日は坂田明さん、八木美知依嬢、本田珠也氏がゲスト。坂田さんは2008年ケンの初来日時にスーパーデラックスでペーター・ブロッツマンと一緒に3管で凄まじい演奏を繰り広げたし、ポールとは来日時は毎回、海外のフェスでも共演する旧知の仲。八木嬢も何度か共演しているハズ。本田氏は初顔合わせらしい。

椅子席が丁度埋まるくらいのまずまずの動員。年季の入った往年のフリー・ジャズ・ファンから如何にも楽器をやってそうな若者まで幅広い年齢層。意外にも女性ファンが多い。

1stセットはケンと本田氏の初共演。ケンはバリトン・サックスで探り合いのように厳かに始まるがすぐに呼吸を掴んで激しいバトルに突入する。大口純一郎トリオ、菊地雅章トリオ、ケイ赤城トリオ、菊地成孔Dubsextetなどに参加するとともに数多くの即興音楽家とセッションしている本田氏だからダイナミックなケンのブロウに負けない迫力のドラミングで対抗する。喧噪に満ちた轟音セッションのあとはケンがクラリネットで大人しめの演奏。それをしっかり受け止める表情豊かなドラムがよかった。20分強のセッション。



2ndセットはポール、坂田さん、八木嬢のトリオ。いきなりフルスロットルで吹きまくる坂田さんに鋭いポールのドラム、電気増幅された八木嬢の箏が絡み合い一気に駆け抜ける演奏。2曲目は坂田さんがクラリネットで起伏のあるドラマティックな演奏。最後は再びアルトで静から動へと徐々に盛り上がる怒涛の展開。坂田さんを観るのは4月のJAZZ非常階段以来5ヶ月振りだが、いつ聴いても艶のある美しいサックスの音色に酔ってしまう。40分の演奏。



最後に全員でのセッション。ケンのバリトンと坂田さんのアルト、そしてツイン・ドラムの見るからに豪快なクインテットだ。突っ走るだけではなくクラリネットのデュエットや音の谷間に震えるような緊張感のある演奏は現代即興音楽の頂点を観るような気がする。それにしてもツイン・ドラムの迫力は凄い。八木嬢の箏が実に効果的に響き坂田さんの歌も披露され、大いに楽しんだ30分だった。



鳴り止まぬ拍手に応えてアンコールはケン&ポールのデュオ。流石の阿吽の呼吸で展開される息もつかせぬインプロヴィゼーションにヨーロッパ音楽の中世以来の伝統を垣間見た気がした。



終演後楽屋で坂田さんに挨拶。ツイン・ドラムが2週間後のJAZZ非常階段の予行演習になりましたね、と言うと嬉しそうに微笑んでいた。横でポールがタバコをふかしていたが、嫌煙家の坂田さんは平気だったのだろうか。

北欧と
日本の出会い
純結晶

翌日は佐藤允彦さんとジム・オルークがゲスト。そちらも観たかったな~。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

灰野敬二/東野祥子/山川冬樹etc.~DANCE TRUCK PROJECT@横浜 新港ふ頭入口前 特設会場 2012.9.9 (sun)

2012年09月11日 00時33分06秒 | アート!アート!アート!


"トラックの後部を使用するモバイルの「ダンス・トラック・プロジェクト」。
港湾都市・横浜の水際に、ダンスを軸に、美術や映像、照明のインスタレーション、LIVE演奏/DJなど、3日間出現する特設の異空間。独自の身体感でダンス/音楽/映像/美術を創りだすアーティストたちが、トラックの極小スペースの特異な上演状況や都市の景観からインスパイアされたパフォーマンスを展開します。
ポートランドの総合芸術祭「TBAフェスティバル2011」で同プロジェクトに参加した東野祥子とOffsite Dance ProjectとのCo.キュレーションにより、2009年に米国ジョージア州アトランタ市のNPOと連携し、日本で初開催します。"(DANCE TRUCK PROJECT HPより)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

横浜は毎年恒例のジャズ・プロムナードや横浜トリエンナーレなど文化事業が盛んに行われている街だが、今年の7月12日~10月6日の約3ヶ月に亘って「ダンス・ダンス・ダンス at ヨコハマ2012」と銘打った大規模なファスティバルを開催中である。100を超えるイベントが市内各地で開催され横浜をダンスの街に変える。バレエ/コンテンポラリー/ストリート/ワールド/チア/ソシアル/ワークショップなど様々なジャンルのダンスが展開される。

その一環でダンス・カンパニーBaby-Qを主宰する東野祥子嬢を中心として開催されたのが「トラック・ダンス・プロジェクト」。説明にある通りトラックの中でアーティストがパフォーマンスするという企画だが、実際に会場に行くまでどういうものか想像がつかなかった。

10年位前は赤レンガ倉庫のジャズ・クラブ「モーション・ブルー」によく通ったものだが、みなとみらい線が出来て以来この界隈に来ることは滅多に無くなった。馬車道を海の方へ歩いて10分、暗くて足元もおぼつかぬ空き地に不思議なオブジェが浮かび上がる。係員が懐中電灯で地面を照らして観客を誘導している。説明にあるように正に水際に突如出現した異空間。


好天にも恵まれ50人以上の若者で賑わっている。舞踏/ダンス公演では"観客全員知り合い"的な雰囲気があり多少のアウェイ感を感じることがあるが、東野嬢主宰のイベントはとても開放的で初めてでも寛げて居心地がいい。しかも野外で海辺の風が頬に当たり最高の気分。地面が石だらけだったので簡易チェアを持参して正解だった。出演者は所謂舞踏家ではなく、灰野さんを始め幅広い活動をしている個性派パフォーマーばかりだ。

一番手が灰野さん。事前にスタッフのツイートでパーカッション&ダンス・ソロだと判っていたのでシビアな音との対峙ではなく、リラックスして灰野さんの動きを楽しむ気持ちで観れた。真っ暗な中にぽっかり空いた四角い空間でパフォーマンスする姿はまるで映画を観ているようだが、実際にその場で生で演じているのが不思議で幻想的。タンバリン、シンバル、ウォーターフォン、鉄琴など様々なパーカッションを叩き舞う20分間。数年前横浜トリエンナーレのイベントで美術館でパーカッション&ダンス・ソロを観たことを思い出した。



2番目は東野祥子嬢の「the VOID」と題された演目。何度観てもキビキビした動きとしなやかなバネに感心するがこの日も四角い舞台一杯に使っての弾け飛ぶようなダンスが素晴らしかった。月並みな表現だが正に"元気をもらえる"ダンスである。



インターミッションとしてoff-Nibrollによる映像インスタレーションがあり、その間にビンゴ・カードが観客に配られる。プレゼント大会でもやるのかと思ったら、続いて登場した鉄割アルバトロスケットのパフォーマンスの小道具だった。3人のメンバーによるシュールなショートコント6連発。ギャグがかなりスベッていたので売れないお笑い芸人かと思ったら、意外に真面目なパフォーマンス集団のようだ。



4番目は白井剛/Dillによる「ツキワクモノス」。Dill氏がキーボードとギターを演奏し白井氏がパフォーマンス。コンセプトがあるようなないような微妙な展開。即興アンビエント・ダンスとでも呼ぼうか。音響・照明効果を活かした演出が良かった。



最後は山川冬樹氏。灰野さんと共演したり日本の前衛音楽シーンを描いた映画「WE DON'T CARE ABOUT MUSIC ANYWAY」に出演したりと現代アート界の注目株である。上半身裸で胸にライト灯を付けセッティングを完了すると音を鳴らしたまま会場の外へ駆けて行ってしまった。観客が戸惑う中、何食わぬ顔で戻ってきてステージへ。ホーメイを歌いながらのギターを2台使ったパフォーマンスは観て良し聴いて良しの素晴らしいものだった。



灰野さん目当だったが、これほど開放感があってバラエティに富んだイベントなら誰が出演しても面白いに違いない。横浜という異国情緒たっぷりの街に相応しいイベントだった。

ダンスとは
踊るだけでは
ありません

唯一の心残りは屋台のカレーが品切れで食べられなかったことである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

限界を突き抜けるしなやかな感性~上原ひろみ「MOVE」

2012年09月10日 00時48分36秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2003年の全米デビューの時から追っかけている上原ひろみちゃんも来年デビュー10周年になる。ボストンを拠点にキーボードを抱えて世界中をツアーする健気な姿が描かれた「情熱大陸」がきっかけになってジャズ・ファンを超えて日本中の人気者になり、それ以来フジロックを始めとするサマフェスへの出演、ドリカム、矢野顕子、絢香、スカパラ、清水ミチコ等ジャンルを超えたアーティストとのコラボレーション、数々のCM出演、と八面六臂の活躍を繰り広げる彼女がアンソニー・ジャクソン(b)、サイモン・フィリップス(ds)とのザ・トリオ・プロジェクトとして昨年3月発売の「ヴォイス」に続く2作目のアルバム「MOVE」をリリースした。

彼女の所属するテラーク・レコードは1977年設立のアメリカの名門で録音/音質に拘る良質のレーベルだが、いかんせんジャケットのセンスが良くない。オスカー・ピーターソンやミシェル・カミロ、ジョン・ピザレリなど人気アーティストを抱える割にジャケットはイマイチのアーティスト写真に適当にロゴをあしらった感じで、正直二流の再発専門レーベルの作品かと思ってしまう程だ。ひろみちゃんも例外ではなく、デビュー作「アナザー・マインド」から5th「ビヨンド・スタンダード」までのジャケットは彼女のチャーミングさが充分活かしきれていない気がした。それが2009年の「プレイス・トゥ・ビー」からファッション雑誌風の写真とスタイリッシュなデザインに一変、たいへん魅力的は装丁になった。実はテラークは2009年に大幅な事業縮小を実施しておりプロダクション・チームも一新したという。これがデザイン面に影響を及ぼしたのかどうか判らないが、悪いことばかりではなかったようだ。

勿論装丁に関わらず内容はどの作品も卓越したテクニックと感情表現を備えたひろみちゃんのピアノと共演ミュージシャンのインタープレイの妙に溢れた秀逸なものばかりなので、どの作品を聴いてもハズレは無い。特に今回のトリオは超ベテランの二人を見事にリードする彼女の才能が漲っており、完成度の高さには唖然とするしかない。というかデビュー作以来「唖然」とさせられっぱなしのアーティストは他にはいない。

フランク・ザッパがフェイバリット・ミュージシャンだという彼女の演奏には実はプログレ好きの隠れファンも多いと聞く。発売されたばかりの「別冊カドカワ」が「プログレ特集」でジョン・ウェトン、ピーター・ハミルと並んでひろみちゃんのインタビューが掲載されているのが面白い。実際今作のタイトル・ナンバー「MOVE」や3部構成の組曲「スイート・エスカピズム」はもろジャズ・ロックである。こうしたマニアックな音楽性と、テレビ、ラジオや新聞でお茶の間の人気者という両面を持った彼女の存在は極めてユニークである。



PARCO 2012秋ファッションキャンペーン「...or FASHION」のキャペーンモデルに起用。



ライヴでは
もっと凄い
ひろみ節

無茶を承知で"ジャズ界のきゃりーぱみゅぱみゅ"と呼んでしまいたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日はJOJO広重さんの誕生日!~激ヤバ音楽の権化、非常階段リリース情報

2012年09月09日 00時24分26秒 | 素晴らしき変態音楽


結成30年を超えてまだまだ第一線で活躍するKing Of Noise=非常階段の新作+旧作のスペシャル・エディションがリリースされる。

今年はJAZZ非常階段、FREEDOMMUNE 0<ZERO>出演、ノイズ電車・ノイズ温泉とユニークな活動の続く非常階段だが、9/23新宿ピットインで再びJAZZ非常階段として前回の坂田明さん(as.cl)+豊住芳三郎さん(ds)に加え勝井祐二氏(vn)がゲスト参加、また非常階段の正規ドラマー岡野太氏も参加してのフルメンバーによるステージを繰り広げる。前回は椅子席にも関わらずコサカイフミオ氏のダイヴ攻撃を受けるという貴重な体験をしたが、今回はどんなハプニング&ケミストリーが生まれるのだろうか。9/30にはコサカイ氏、勝井氏を除いたメンバーで名古屋得三にも出演。

doubtmusicから9/30にリリースされるのが4月の新宿ピットインでのライヴ盤「JAZZ 非常階段/メイド・イン・ジャパン ~ live at Shinjuku Pit Inn 9 April, 2012」と8年ぶりのスタジオ録音盤「非常階段 フィーチャリング 坂田明/メイド・イン・スタジオ」の2作。70年代ロックに造詣の深いJOJO広重氏ならではのジャケットにニヤリとするオールド・ファンも多いに違いない。生で体験したJAZZ非常階段の衝撃を極上録音で追体験できるのは嬉しいし、坂田さんを迎えてのスタジオ録音もかなりヤバい内容であることは間違いない。doubtmusic直販部かアルケミー通販に2枚同時に注文すると特典CD-Rが貰える。doubtmusicが社運を賭けて(笑)制作したという宣伝ビデオをご覧いただきたい。



もう1作は10/24テイチクよりリリース、ノイズミュージックの金字塔として語られる1982年発売の1stアルバム「蔵六の奇病」の30周年記念2CD「蔵六の奇病~30TH ANNIVERSARY EDITION~」。DISC 1にはリマスタリングが施された「蔵六の奇病」が収められ、DISC 2には現在入手困難でこれが初CD化となるカセットテープ「極悪の教典」からの音源が収録される。2009年の30周年記念30枚組BOX「THE NOISE」が殆ど全て未発表音源だったのにまだあるのかレア音源!と呆れてしまうが、ノイズファンなら必携の作品。



本日53歳の誕生日を迎えた広重さんは9/14~16「早川義夫とJOJO広重の世界」として早川さんとのデュオ・ツアーを行う以外にも様々なイベント、セッションの予定がある。詳細はアルケミーレコードHPにて。
また非常階段としても新たなイベント出演が発表になった。
11月18日(日)四谷アウトブレイク「自家発電」
早速チケット購入した。

はみ出して
しまった者の
オトシマエ

「絶対内容は保証します」(JOJO広重)
「我々のやってきたことは間違いない」(坂田明)
坂田さんが40年、非常階段が30年追求してきた激ヤバ音楽の湧泉は汲めども尽きることはない。

★8月11日に行われたFREEDOMMUNE 0<ZERO>が、スペースシャワーで放送決定!
初回放送: 9/25(火)24:00~25:00。リピート放送:10月予定。
出演予定:Manuel Gottsching、非常階段、不失者、MERZBOW、大友良英、HEIKO LAUX、KEN ISHII 他
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壊れかけのテープレコーダーズ/愛のために死す/シベールの日曜日@吉祥寺 GOK SOUND 2012.9.6 (thu)

2012年09月08日 00時20分00秒 | ロッケンロール万歳!


ゆさ企画『MEDDLE CONCERT』
出演:壊れかけのテープレコーダーズ/愛のために死す/シベールの日曜日/OA:ぬーとなかい

愛のために死す、シベールの日曜日のベーシスト早川洋平氏が10月末に東京を離れバンドを脱退してしまうことになった。両バンドと仲の良い壊れかけのテープレコーダーズのキーボードの遊佐嬢が企画したイベントが、彼らが最新作「ハレルヤ」をレコーディングした吉祥寺のGOK SOUNDで開催された。1993年に吉祥寺に移転オープンして以来、数多くのバンドがリハーサル/レコーディングを行ってきたレコーディング用スタジオをレンタルホールとして開放。55畳あるのでちょっとしたライヴハウス並みの広さだ。愛のために死すは7月にやはり吉祥寺の練習スタジオで公開ライヴを行っており、そこに遊佐嬢やシベールの坪内氏も遊びに来ていたので、それが今回のイベントのヒントになったのかもしれない。

仕事が終わり次第急行したのだが開演には間に合わずオープニング・アクトのぬーとなかいはラスト・ナンバーしか観れなかった。女性vo&g2名と男性b+dsの4人組。ベースは本日の主賓早川氏。異形人/ゴイゾンのニラ氏が来ていた。いつも高円寺界隈のいかがわしい場所でしか会わないので意外だったが、早川氏とぬーとなかいのドラマー氏と知り合いだという。スタジオは若い観客でいっぱい。

本編のトップは愛のために死す。ヴォーカルの弦人氏は激しい曲ではジャンプ&シャウトし客席に飛び込んでくる。観るのは2回目だが前回同様正統派ロケンローの伝統を引き継ぐ地に足のついたサウンドが印象的。初期のローファイ・サイケデリック・サウンドの狂気を秘めた演奏はただのロケンロー野郎とは違った迫真性がある。歌い上げるバラード・ナンバーも聴き応えたっぷり。早川氏の脱退まで数回ライヴがあるようだから観に行くといい。



続いて壊れかけのテープレコーダーズ。彼らを初めて観たのは2年半前。正直言って初めて観た時の印象はほとんど残っていない。2度目に観たのはシベールの日曜日との2マンで、その時に遊佐嬢のチャーミングさとポップな曲調の端々に漲るサイケ魂を認識した。以来、灰野さんとの対バンや明星音楽祭で観るとともに、遊佐嬢がシベールの日曜日や坪内和夫とサンデーズにゲスト参加したり、UFO CLUBや下北沢のライヴハウスでvo.gのコモリ氏に会ったり、いろいろなところで遭遇してきた。2011年5月に三軒茶屋Heaven’s Doorで初のワンマン・ライヴを成功させ、今年6月には3作目のアルバム「ハレルヤ」をリリース。ジャケットの遊佐嬢の写真がと・き・め・き。"ドリーミィ・サイケデリック・ガレージ・ロック・バンド"を自称するだけあり、所謂日本のサイケ特有の湿っぽいアングラ臭を排した爽やかなポップ感が魅力。



トリはシベールの日曜日。早川氏は本日3バンド目の出演。坪内氏はフリル付シャツを着用、独特の美意識を発散する。サイケなライトショーがスタジオの雰囲気を一気に"不可思議の森"に変えてしまう。トリオになって以来追求し続け、最新作「Gypsy House」で結実したファンキーなビートとトリッピーな浮遊感を湛えた独自の世界を生で体験できるのは嬉しい。途中でギターの弦が切れるアクシデントがあり、一瞬だが壊れかけのコモリ氏愛用のSGを構えた坪内氏の姿が脳裏に焼きついたて。60分のロング・セットに想像の翼が無限に広がった。9月20日(木)幡ヶ谷forestlimitでの「村の緑の保存協会」と題されたレコ発(共演:los doroncos)が楽しみでならない。



このように仲の良いバンドが共同で企画ライヴを行うことは大変意義深い。企画者の遊佐嬢と出演バンドのメンバー、スタジオ・スタッフの協力による手作りイベントは温かい人間味に溢れていた。

大活躍
早川君よ
永遠に

そういうわけで愛のために死すとシベールの日曜日はそれぞれベーシスト募集中のようである。我こそはという方は連絡してみてはいかが?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする