A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ダニエル・ブエス+広瀬淳二+吉本裕美子@阿佐ヶ谷 Yellow Vision 2012.9.24 (mon)

2012年09月26日 00時35分44秒 | 素晴らしき変態音楽


Daniel Buess来日公演
Special Session feat. SALK (Daniel Buess + Kumiko Okamura)

スイス・バーゼルを拠点に活動するドラマー/パーカッショニスト/エクスペリメンタル・ミュージシャンのダニエル・ブエスの来日ツアー。この日は女性ギタリストKumiko Okamura嬢とのデュオ"SALK"を中心としたライヴの予定だったが、Okamura嬢が急病で欠席、広瀬淳二さん、吉本裕美子嬢との3人のセッションになった。今回のツアーは六本木Super Deluxe 3Daysを始めとする「EXTREMITIES~JOLT JAPANESE AUSTRALIAN SONIC FESTIVAL 2012」を中心に東京・名古屋・大阪・京都の4都市7公演行われる。

吉本嬢からビデオ撮影を頼まれていたのだが、デジカメと三脚は持ってきたのに電池を充電したまま忘れるという失態を犯し急遽iPhoneとiPod、吉本嬢のスマホを使って撮影することに。さらに開演前にビール瓶をひっくり返し迷惑をかけてしまった。前日のJAZZ非常階段の後遺症だろうか?

Yellow Visionはカウンターとテーブル3つだけの小さなスペースで演奏が目の前で楽しめる。ブエスと共に来日中のミュージシャンも来店し賑やかな雰囲気。広瀬さんは福島ノイズ電車以来。電車は人が一杯で大変だった、と言うが一番歩き回っていたのは広瀬さんだった。前日ピットインで聞いた勝井祐二氏と岡野太氏とのバンド"太陽の塔"に触れると「ライヴは一回しかやってないかな~」とのこと。正に幻のバンドだったようだ。

最初にトリオのセッション。ブエスはエレクトロニクスとドラムを演奏。蕎麦打ちの麺棒の親玉のような自作楽器も使用する。広瀬さんのフリークトーンのテナーが炸裂、吉本嬢のギターもアブストラクトなフレーズを畳み掛けて三つ巴の爆音演奏。特に"麺棒"が凄まじいノイズを発し、JAZZ非常階段にも負けない異種格闘技の様相を呈する。20分の演奏。



続いてブエスのソロ。パソコンは使わず、テーブルに並べた電子楽器と自作楽器を駆使してユニークなエレクトロ空間を産み出す。海外ノイジシャンに多いドローン演奏ともハーシュ・ノイズの嵐とも違った美と破壊が共存したメリハリのある素晴らしいもの。ノイズ・ミュージックが如何に芳醇な世界か実感できる。ZENI GEVAのT-シャツが素敵だった。



休憩の後組み合わせを変えての3パターンのセッション。最初は広瀬さんと吉本嬢。サックスとギターのデュオというと阿部薫&高柳昌行の解体的交感を思い出すが、細かいタンギングで空気を切り刻む広瀬さんとE-BOW2個使いという反則技まで繰り出す吉本嬢の演奏はだれるところがなく即興のスリルに満ちたものだった。



続いてブエス+吉本嬢。ブエスの自由自在なエレクトロに引けを取らない吉本嬢のノン・イディオマティック演奏が印象的。女性ギタリストでこういう非ジャズ/非ロック的な演奏は珍しい。ギター歴20年、即興歴6年とのこと。最近とみに非イディオムな方向になってきたそうだ。ライヴ活動も盛んにやっているようだし、今後に期待できるギタリストである。



最後にブエス+広瀬さん。初顔合わせだそうだがインプロに国境なし。広瀬さんはその経歴から分かる通り、1980年代末まではフリー・ジャズ界で活動していたが、80年代末大友良英さんとの出会い以来所謂ジャズを遥かに凌駕した活動を行っている。ノイズ系のミュージシャンとの共演も多く、もっとロック寄りのファンにも知られてもいいと思う。エレクトロ・ノイズとジャンル分け不能のサックス・ノイズが共鳴し合った神々しい演奏だった。



非常階段程の知名度はないが、目指す方向が同じアーティストによるセッションは”JAZZ非”としてとても貴重な経験だった。

終演後ブエスと話をしたら来日はもう7、8度目だという。MIRやBuggatronic、BOLT Ensembleなど数多くのプロジェクトに参加し、ヘンリー・カウのティム・ホジキンソンとも交流があるという。ヨーロッパのフリーミュージック・シーンの進化には今後も注目していきたい。

スイスから
やって来たよ
ゼニゲバ好き

<ダニエル・ブエス ジャパン・ツアー>
9/26(水) 名古屋 K.D.ハポン
TestToneMusic presents vol.12[Daniel Buess+Cal Lyall+ 菊池行記 / BOLT Ensemble / Philip Brophy / Robin Fox / 岡野太+小埜涼子+武藤宏之]

9/27(木) 大阪 難波ベアーズ
<EXTREMITIES: JOLT JAPAN AUSTRALIAN FESTIVAL TOUR 2012>BOLT Ensemble (Australia) + Daniel Buess (Switzerland)/Yamamoto Takahiro(ex.busratch)+Naka Takuji/Philip Brophy(Australia)/Robin Fox(Australia)

9/28(金) 京都 アバンギルド
「EXTREMITIES: JOLT JAPAN AUSTRALIAN FESTIVAL TOUR 2012」Tim Olive + Cal Lyall/BOLT Ensemble (Australia) /Philip Brophy (Australia) /Robin Fox (Australia)/毛利桂

<広瀬淳二+組原正(グンジョーガクレヨン)>
11/17(土) 入谷なってるハウス
「やんてらのやぶれかぶれVol.2」組原正(g)広瀬淳二(ts)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする