A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ノイズ大学~JOJO広重+坂田明@渋谷UPLINK FACTORY 2012.9.25 (tue)

2012年09月27日 00時34分01秒 | 素晴らしき変態音楽


JOJO広重のノイズ大学 Vol.6(ゲスト:坂田明)

ノイズバンド非常階段のリーダー、JOJO広重が「ノイズ」という音楽表現についてトークと実演で詳らかにし、その魅力を紹介するシリーズ講義「ノイズ大学 /渋谷分校」(本校は大阪なんばベアーズ!)。第六回目となる今回は、新宿PIT INNでのライブが話題の『JAZZ非常階段』のメンバーであり、非常階段との共演盤のリリースが決定しているサックス/クラリネット奏者の坂田明さんを ゲストにお招きします。(UPLINK FACTORY HPより)
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JOJO広重さんは2001年から10年間「こころの歌・最後の歌」とういうコラムをアルケミーレコードのサイトに連載しており、2004年には同タイトルのトークイベントを移転前のUPLINK FACTORYで開催していた。町田康さん、遠藤ミチロウさん、三上寛さん、灰野敬二さん、山本精一さん、インキャパシタンツなどの豪華ゲストと音楽談義をするという内容で、灰野さんがゲストの時に行こうとしたがUPLINKの場所がうろ覚えで辿り着けず結局行けずじまいだった。コラムは100回の連載でプログレ、ハードロック、サイケデリック、パンク、ジャズ、フォーク、日本のロック、歌謡曲など幅広い音楽知識を活かして自らの経験を絡めて書かれた興味深い内容で、イベントもゲストの音楽体験を探求する貴重なものだったろうと想像する。

広重さんはライヴのMCが面白く、特にソロ・ライヴでの話は含蓄豊富で勉強になる。昨年末、新宿ピットインに大友良英さんとデュオで出演した時は二人のトーク、特に"ツイートしたら駄目だよ"と釘を刺しての裏話はまさにその場にいる者しか知り得ない貴重かつ抱腹絶倒な内容だった。

2011年8月から難波ベアーズで「ノイズ大学」というトークイベントを開始し、今年3月から渋谷分校としてUPLINK FACTORYでも月イチで開催されるようになった。今まで登場したゲストは美川俊治さん、山本精一さん、勝井祐二氏など異能音楽界の個性派揃い。第6回となる今回は2日前にJAZZ非常階段で共演したばかりの坂田明さん。共演CD2作も発売されたばかりだし、坂田さんもソロ・ライヴのMCでいきなりミジンコの生態について語り始めたりしてとても楽しいので、どんな会話が飛び出すか興味津津。


トークの内容を事細かに書くのは野暮というものだから、特に面白かった話を少しだけ記す。
広重さんが非常階段を始めるヒントに山下洋輔トリオのレコードを聴いて「こんな音楽が世の中にきっとある、と思っていた音楽がそこにあった」と衝撃を受けたのは有名な話。何と坂田さんは1982年新宿ロフトで非常階段を観たという。汚物や生魚やゴカイやミミズなどを撒き散らし女性メンバーが放尿するという過激なパフォーマンスでスキャンダラスな話題になっていた頃で、それを観た坂田さんは「こいつらにはついていけない。いい加減にしてほしい」と思ったそうだ。広重さんは楽屋で坂田さんが観に来ているらしいという話を聞いたが半信半疑だったとのこと。

それが27年後の2009年3月スウェーデンのノイズ&フリージャズ・フェスで再会し、それをきっかけに2009年8月難波ベアーズでの非常階段結成30周年記念ライヴのゲストとして坂田さんを呼んだのが初共演。坂田さんは「生魚だけは勘弁してほしい」と思ったが、ちゃんとした演奏だったので安心したとのこと。その縁で昨年坂田さんのソロ・アルバム「平家物語」のライナーを広重さんが書くことになり、今年4月の新宿ピットインでのJAZZ非常階段、さらにはスタジオ録音と今回の2回目のJAZZ非常階段に繋がった訳だ。「こうなるまでに30年近い年月がかかったけど出会いというのはホントにちょっとしたきっかけに過ぎない」と坂田さん。次は魚市場へ突っ込むしかないな、と冗談を飛ばす(ってかマジかも)。

山下洋輔トリオ時代の自分と今の自分は別人だと言いつつ、トリオに参加する経緯も色々話してくれたが、その橋渡しをした大阪の名物マネージャー阿部登さんの話や、テレビ番組で森山威男さんと30分間目茶苦茶な演奏をしたこと、80年代に打ち上げ宴会芸の新童謡がバカ受けしタレントとして人気を得るが自分では違和感を感じていたこと、ビル・ラズウェルやジム・オルークとの出会いと彼らへの感謝、イタリア・ツアーの凄まじく笑えるエピソード、などトークは2時間近く続いた。「ノイズ大学」というから"ノイズとは何ぞや?"という音楽論になるかと思っていたが、坂田さんの半生記に終始しとても面白かった。音楽論についても別の機会にお尋ねしたいものである。

その後デュオでセッション。二人だけではライヴでもCDでもやってないので史上初共演。15分ほどの短い演奏だったが大変貴重な魂の交感を経験できた。



ノイズ大学渋谷分校は10月にコサカイフミオ氏、11月に「蔵六の奇病」の作者の漫画家、日野日出志さん、12月には美川さんの「酒とノイズ」との合同イベントが開催される。また11/18に四谷アウトブレイクで大友良英さん、山本精一さんを迎えて四谷分校も開講。その現場でしか聞けないトークが展開されるのでご興味のある方はぜひご参加を。

11/29には80年代初期に大阪の第五列のメンバーがやっていた幻のユニット阿部怪異として広重さん+美川さん+吉田達也氏+Issheeさん(Bar Issheeのマスター)でイベントが開催される。対バンは高柳昌行さんの遺志を継ぐ集団投射。これまた見逃せないイベントである⇒doubtmusic presents 阿部怪異と集団投射

大学で
ノイズを学ぶ
ステキなり

10月にテイチクよりリリースされる「蔵六の奇病」30周年記念盤のチラシに「中坊時代にこのアルバムを聴いてぶっ飛んだ」という氣志團の綾小路翔氏がコメントを書いている。Twitterで広重さんが「"氣志階段"やりましょう」と呼びかけていたが、あながち夢じゃなさそうだ。実現したら凄えな~。


コメント (2)
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