A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者@高円寺HIGH 2016.3.28 (mon)

2016年03月30日 01時22分15秒 | 灰野敬二さんのこと


「変容されるべきものの資質が 礼儀正しく 僕の前に整列しだした。」

不失者
Fushitsusha


灰野敬二 : vo, g, etc.
森重靖宗 : b
Ryosuke Kiyasu : ds



新メンバー森重靖宗を加えた不失者の昨年11月9日に続く2回めのライヴ。前任者と真逆のスキンヘッドの異形に加え、ベースギターを振り上げ、飛び跳ね、掴みかかり、弓で擦り、身体全体でパフォーマンスする森重のアクションが灰野の歪んだ合わせ鏡となり、真ん中でどっしり構えるKiyasuを支点に均衡から不均衡への果たし状を交換する。これまでの不失者に於いては、音楽性はもちろん、ライヴステージにおける力点は常に灰野に傾斜しており、他のメンバーはあくまで従者のように追随してきた。森重のステージは、ある意味でバランスの揺り戻しであるが、逆に灰野の世界がよりクッキリした輪郭を成してきたことを、この場に立ち会った聴衆は肌で感じたに違いない。



ひとつひとつの音に意味を与えようと慈しむように鳴らされるギターは、どんなに轟音でどんなに激しくストロークされようとも、冷徹な意思に貫かれ、勢いに任せて加熱することはない。コートを着ても染み入る冷気は決して強めの空調だけが原因ではない。降り注ぐ音のシャワーは極めて透明で繊細で寛容に、耳殻を柔しく刺激する。どんなに楽器の激しさが増しても、ヴォーカルの一語一句まで明確に聴き取れるクリアな音響は、KOENJI HIGHならではハイクオリティ。地下音楽だからといって劣悪なスペースの劣悪な音響で聴き手に苦行を強いるものであってはならない。誰に教えたられた訳でもなく、居心地の良さを求めた結果がこのライヴハウスであるならば、愛の力が産んだ奇跡に大きな感謝を捧げたい。



「なしくずし」、「いみくずし」、新アレンジでの「お前」、1コーラスだけ歌った「赤い靴」。『みんなのうた』には成り得ない重層的な意味の謎かけは、高円寺から外の世界へと生き物のように匍匐前進していた。覚えている限りでは少なくとも3曲以上披露された新曲は、いずれも深い共感と理解力に育まれ、今後の不失者に欠かせない人気ナンバーとして歌い継がれるのだろう。



すべての音がひとつのフローで処理できればたいへん楽チンに違いない。とは言っても、自分で自分の首を締める失態を演じることを潔しとしない文化の登場をひたすらポジティブに味わい尽くしたい。



喪わない
失われない
音の狭間

<灰野敬二Live Schedule>
4月28日(木) KOENJI HIGH
SEE HARD ROCKS PLAY
THE HARDY ROCKS / KINOCOHOTEL

70年代から現在まで、ソロ、不失者、NAZORANAI、パーカッションダンス、DJなどさまざまな形態で幅広く活動し、常に「今」を追求しつづけているアーティスト、灰野敬二。稀代の<音楽至上主義者>でもある灰野が実力派若手ミュージシャンとともに<音楽>をまた<本気>で<遊ぶ>ニュー・バンド「THE HARDY ROCKS」を結成。鬼才・マリアンヌ東雲を中心に創業された謎めいた女性だけの音楽集団「キノコホテル」を対バンに迎え、デビュー・ライヴを開催する。

open/start 18:30/19:00
adv/door 3000円/3500円+1D
-Live-
THE HARDY ROCKS
(灰野敬二vo, 川口雅巳g,cho, 山崎怠雅g,cho, なるけしんごb, 片野利彦ds)
キノコホテル

-チケット-
3/13 ~ KOENJI HIGH店頭、e+
-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券

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